エンディング後の世界で只々毎日を生きているモブ転生者君の日常 作:曇らせは志向の味
窓から差し込む明るい日差しと鳥の鳴き声…そして多くの人の話し声で目が覚める
「……朝か」
俺は先日止まったホテルのベッドの温もりを惜しみながら洗面台へと歩みを進めていた
洗面台に着くといつも通りのモブのような俺の顔が鏡に映し出された、そのまま自分の顔に水を掛け意識を覚ます
「ぅぅあああ‶!」
俺は顔に水を掛けた後、鏡の前で背伸びを行うと背中からボキボキと骨が折れているのではないかと勘違いさせるような音が洗面所に鳴り響いた
洗浄を終えると俺はいつも通りに着替えを行い先日寄った店のおっちゃんが売っていたパンを適当に焼いたものである
「……旨いな」
俺の口の中に焼きパンの硬さと乾いた感覚が口の中を支配し、俺の体は水を欲し始めた
水を飲んだ後俺は未だにギルドに向かわず昨夜泊まったホテルを眺めていた
「やっぱ…元の世界に戻りてぇよなぁ……」
ここで俺についてようやく説明しておこう
俺は先程の発言より分かる通り転生者だ、ほらあるだろ?異世界転生したら最強になる奴。俺も最初はその手の奴だと思ってたんだけどあらびっくり!そんなものは無く現実は非常でした
小さい赤ちゃんに転生して、成長して、その途中でなんやかんやあったけど冒険者入りして、それなりの生活をしている←今ここ!!
大体転生するときはゲームの世界に行くかその代わり最強になるかって相場が決まってんのによぉ!!いや一応ゲームの世界なんだけど!!せめて展開を知ってるやつで在ってくれよ!!
何で親友がやってる方のゲームに行くんだよ!!しかもアイツ鬱ゲー愛好家だし……
落ち着きました
取り敢えず今の俺は冒険者をやっていて聖銀王級冒険者というギリギリ上位入りしている場所に位置している
因みにこの世界はファンタジー系ということもあってギルドには全部共通で十一個ランクというものがあるちょっとだけ言っておくと、最上級が白亜金級と呼ばれていて最早神の域と呼ばれていてその逆が木級で新人や見習いがこのランクになる
俺の聖銀王級は上から4個目であり大体は7か8で止まることが多くそれ故に上位入りの壁と言われることがある、因みに騎士と書いてあるが俺は別に堅苦しい鎧を被っているわけでは無い
「はぁ……今日もまた仕事か……」
俺は席を立ちいつも通りの帽子を被り玄関を出た
受付に鍵を返し親の顔より見た人々が行き交う道へと出る、しかし朝早いのもあるのかいつもよりかは人は少ない、良く居る胡散臭い商人たちも未だに出て来ていない
広場のような場所では今日も今日とて子供たちが魔術で遊んでいた、やっぱり小さい子は体力が有り余ってるからな
(でもやっぱり子供ですら魔術を操れるのは未だになれないな……)
この世界に命を授かってから20年と数か月であったとしても俺は未だに前世の日本との違いに完全になれることが出来ていなかった
「あ!おにーさんだ!こんにちは!」
「はい、こんにちは」
先程まで広場で遊んでいた子供達の内の一人が俺の元へと駆け寄ってくる、この子は俺が少し心を閉ざしていた時に居た子で何故だか俺になついている
「あ!ほんとだー!」
「またあのマジックみせてよ!にいちゃん!」
さっきの子に続いて続々と多くの子がやってきたわんぱくな男の子と可愛らしい女の子である*1
子供を見ていると癒されると言っていたのがようやく理解出来たような気がする
「悪いけどこれから仕事があるんだまた今度でな?」
「えー!」
「それ前も言ってたよ~!」
俺が先程の言葉を発すると周りからブーイングが巻き起こる、これに関してはしょうがない俺にも仕事があるのだ
「はいはい何とでも言いな!また今度マジックしてやるからな!」
俺がそう言い足を再度前へと進めギルドへと進んでいく……因みに後日ちゃんと遊んでやったことをここに記しておこう
筋骨隆々な男性や女性が集まる場所がギルド場だと思われがちだがそれは間違いではない
ギルド場は大声で話す男女達が居る酒場と静かな者達や真剣な面持ちをした集団が良く話すバーの二種類と、良くゲームの背景などである依頼場と大雑把に決めるとこのような場所になる
しかし朝一番に来るとそんな様子は一切なく鳴りを潜めている
「やっぱり朝は最高だな……」
最近は朝に来ることが多くなったが前までは人が多く行き来する時間帯にて行動していた
「すいませーん…何か依頼はありますか~?」
俺は何時も通り受付へと移動し受付嬢へと声を掛ける
「はい!依頼ですね!いつもありがとうございます!今のクエストなんですが貴方のランクですとシルヴァリス大森林のロード洞窟があります!」
受付嬢は元気一杯な声で俺に紙を渡してきた
シルヴァリス大森林はこの世界で魔物が蔓延る場所の中で危険度トップ3に入る程の危険度がある場所だ
そんな危険性があってかランク上位の人物のみがこのクエストを受けることが出来る、因みに俺が今いる場所は王都から少し離れた場所にある…簡単に言えば都会と田舎の中間地点である
俺は何時もありがとうと受付嬢に感謝を言ってからシルヴァリス大森林へと歩みを進めた
クエストを受け取った俺は現在ギルド場から少し離れた場所にて顔を顰めていた
「勇者が魔王を討伐…ねぇ?」
この世界すでにエンディングを迎えてました
バグだとしか思えません
だってその場合友人が言うには魔王討伐前に大厄災が訪れて俺達は死ぬとかナントカ言ってたからな!?確か時間制限以内にイベントをクリアしないといけなくて、それをクリア出来たのはプレイヤーの内のわずか三名だとアイツが台パンしながら言って……
待ってくれ?まさかその例のイベントを時間制限以内にクリアしたのか??
でもそれ以外は無いしな?
「まじかぁ……この世界エンディング後かあぁ」
俺は深いため息を吐き壁にもたれ掛かる
因みに俺がこの話を聞いたのは普通に新聞であり、この世界はある程度の技術が確立されているようだ
「絶対に神は許さん……」
俺はもし神が居るんだとしたら絶対に許さん
取り敢えずこんな場所に留まるわけにはいけないので俺は再度シルヴァリス大森林へと歩みを進めた
道中でようやく人が多く出てきたのか、それと同時に勇者の話が多く耳に入り込んできた
「勇者様って女性なのにイケメンだよね~」
「分かる分かる!」
ふむどうやら勇者は女性のようだ
まあ大体主人公は女キャラクターにするのが好きな奴らが多いって聞くからなそんなに驚かない
「なあ知ってるか?勇者様についての噂」
「なんだよ?」
「どうやら勇者はな?好きな人がいるかもしれないっていう噂だよ!」
「何言ってんだあの勇者だぜ?当たり前だろ聞いて損したわ」
途中に男二人組の冒険者であろう奴らがまるで学生のようなテンションで会話をしていた
どうやら勇者には気になる相手が居るらしい
王都の王子か?それとも勇者の相棒と言われ続けた姿は見たことない魔法使いか?まあ今の俺にそんなことを確認するのは不可能だがな……
「勇者ってよ身内以外には超冷たいらしいぜ?」
「そりゃ氷の女王とか一部では言われてるらしいからな…」
「俺はそれを今初めて知ったよ」
勇者は身内以外には冷たいのか意外だな、大体のファンタジーストーリーでは誰にでも優しいキャラなことが多いのに……まあ誰にでも優しかったらこの世界では生きていられないのか
それにしても勇者は冒険者判定なのか?それとも勇者という独自の者に分類されるのか?俺も一応冒険者だからな流石にそれくらいは知っておかないといけないからな
「最低でも白亜金級は確定だな……もしくはそれ以上か…」
勇者がクエストをし始めたら俺達の仕事はちょっとは変わるか?俺はそんなことを心の隅に追いやりながら考えに耽りながら中世ヨーロッパのような街並みを進んでいった
途中で勇者の話を多く聞いたがその大体は噂以下の物で気にも留める物ですらなかった
「人の噂は急に可笑しな方向に流れていくからな……気に留めなくていいか」
本当に噂とはまともに捉えたらダメだと俺の今世で十分に理解した
噂を信じて動くと最悪死ぬので
深い深い森その獣道の奥からはまるで強大な存在がこちらを凝視しているかのような緊張感をこちらに錯覚させる。そんな深く暗い森の名前はシルヴァリス大森林というこのアーリア大陸の中で最も危険だと言われる森林である。世界の主な大陸の中で最も未開の地が広がっている場所とも言われている
「死ぬほど蒸し暑いんだが?こんな軽い装備でも蒸し暑いとかどうすれば良いんですか???」
今の俺は出来る限り風通しのいい信徒が来ているイマージのある頭までも全て隠せるローブを羽織り、顔には遺跡にて見つけた中央に一本の淡い青の線が走ったメカメカしい仮面を付けている。
因みにこれは俺が好きだから付けているのでは無く、低級スキルである鑑定で効果を見た際に色々とプラス要素があった為装着している。俺が好きだからではない*3
俺は全く舗装されていない道をそのまま進んでいく
俺が今向かっているのはロード洞窟と呼ばれるダンジョンであり、これは自然系のダンジョンに分類される
「!っと、危ないな」
俺が思考に気を取られていると目の前に一本の弓矢が突き刺さる
多分だがこれはホブゴブリンというゴブリンの上位種の仕業だろう、アイツらは基本的に通常のゴブリンより知能も身体能力も高いため面倒な相手である
「グオォォォ……」
やはり正解で正面の茂みから出てきたの、緑色の脂ぎった肌をした多くの人間が気持ち悪いと言うであろう醜悪的な姿をした魔物のホブゴブリンであった
数は四体で通常であれば相当苦戦するであろう数だった、左から弓持ちに石をそれっぽく削った大剣持ちに人から奪ったと思われる大剣そしてもう一体弓持ちという数だった
「やっぱりか……面倒だな……」
俺は魔力倉庫から愛武器の一つである戦斧を二本取り出した
これは刃の部分は純白でそれ以外は黒色という一般的な斧である。では何故これが愛武器なのか?答えは簡単両手斧はカッコいいからである
「グゴアァァ!!」
痺れを切らしたのかホブゴブリンの一体が俺に向かって手に持った石の大剣を振り上げてきた
ズゴシャア!!
ホブゴブリンが地面へと叩きつけたその大剣は俺が先程まで立っていた地面を抉り取る程の破壊力を持っていた
当の本人は俺が避けると思っていなかったのかその場で無警戒で立っていた
「それじゃサクッとやりますか」
俺は足に力を入れて前方に勢い良く走り始める
「グォ!?」
俺は最も近くに居る石剣持ちに狙いを定め足元まで即座に潜り込むと、地面をけり上げホブゴブリンの顔まで跳躍するとその首元に斧の刃を当てがいそれを勢いよく横に薙ぎ払うように切り裂いた
グチャ…
嫌に生々しい音を立てながらホブゴブリンの首は地面へと転がり落ちた、これまでの動作は全て僅か一秒程度のものであった
「まずは一体…」
俺の行動にようやく理解を示したのか周りの奴らは俺に向かって走り出した
「さーてとまずは肩慣らしか」
俺はまず遠距離を潰すべく、少し遠くの左側にて既に弓を引いている一体に狙いを定め右手の斧を頭に向かって投げつける
ゴシャァ
ゴブリンの頭に綺麗にクリーンヒットした斧は頭蓋骨すらも貫通し、相手は頭から噴出する真っ赤な血によって疑似的な噴水を作り上げていた。そのまま重力に従い地面へと崩れ落ちていく
一体減ったことを確認すると次は近くに居るもう一体の大剣持ちの足元に潜り込み両足の腱を切り裂きバランスを崩す、地面に両膝を着いた瞬間に脳天に左手の戦斧で縦に振るうと綺麗な放物線を描きながら後ろへと倒れ伏す
「おぇ…汚いな…」
ホブゴブリンの近くに居たのが悪かったのか俺の顔には大量の汚い血しぶきが掛る、俺はそれを適当に拭うと残る一体に視線を向けると弓持ちは既に戦う意欲を失ったのか背中をこちらに向けて走り出していた
「誰が逃がすかよ……
俺が残った奴の背中に向かって手をかざすと周りの空気がバチバチと電気を帯び始める。それは次第に大きくなり小さな雷のような物が表れ始める
俺がそのままある程度の大きさまで膨らんだことを確認すると、先程よりも遠くに行ってしまったホブゴブリンの背中に向かってそのため込んだ力を開放した
ズバッシャア!!
開放し抑える物がなくなった空気中の電力は辺りを焦がさんと縦横無尽に周りの空間を駆け巡り、それにより木々には電流の焦げた跡がくっきりと記されていた
それの対象となったゴブリンは全身に一瞬で電流が流れ全神経が一瞬で焼き焦がされ真っ黒こげに立ち尽くしていた
「魔術のほうも問題ないみたいだな……」
俺が先程使った魔術は
この魔術は空気中に魔力を散布させそれを大雑把に弾け飛ばせることで疑似的な雷を広い範囲に展開させる魔術である。因みに俺はこれを最初に見た時にカッコよさと見た目重視で選んだせいでこれ以外のやつにあまり時間を使えなかったのである!!
「魔力倉庫も異常なしだな……よしそれじゃあロード洞窟に向かうか」
俺は心の中を切り替え歩みを進めた
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