エンディング後の世界で只々毎日を生きているモブ転生者君の日常 作:曇らせは志向の味
ホブゴブリンの集団を殲滅した俺は本来の目的地であるロード洞窟へと向かっていた
「ここら辺は確か王都騎士団が来ていたよな……?なんでこんな敵が多いんだ?」
俺がホブゴブリンの集団を殲滅した後も少し経ったらまたもや魔物が出てくるという、ポケットなモンスターだったら草むらを一歩歩くごとに出てくるレベルである。後半からは俺も面倒くさくなって別の広範囲魔術である
そのせいか俺の足元には数多の魔物の死体で絨毯が出来上がっていた、しかしそんな可愛い言葉で表せられるような状況ではなく一般人が見たら吐きそうなものである
これがこのシルヴァリス大森林が危険だと謳われる最大の所以である、今まで数多くの鋼鉄士官級の冒険者集団がボロボロになって帰還するという出来事を俺は何度も見てきた
「それにしても敵が些か多すぎないか…?」
本当に多すぎる前に来た時は流石にこんな量が出てくるようなものでは無かった
しかし今回は前回よりも敵が多くそれでいて狂暴的な物となっている
「まさか……
もしも今
「まあ違う可能性もあるしな……アーティファクトで逃げ切れるっしょ」
俺はそんな軽いノリで体に付着した魔物の血を払いながら足を前へと進める
俺が魔物を適当に始末しながら進んでいると目的地であるロード洞窟へと辿り着いた
例の洞窟は中からひんやりとした風が俺の頬を撫で俺の背中に冷や汗が垂れるのを感じ、俺は再度気を引き締めた
「前の探索より時間が経ってるからな……」
俺は誰かに聞かれているわけでもないのに言い訳の言葉を大森林の中で零した
「流石にもう昼を過ぎてるからな……そろそろ入るしかないのか……」
俺はそう言うと魔物の巣窟であるロード洞窟内部へと足を前に向け歩き出した
ロード洞窟の内部は蒸し暑い外とは違いまさに真逆であり緊張からかそれとも単純に涼しいだけなのか、ロード洞窟内部は肌寒いという言葉が似合うであろう温度であった
「寒…魔物の影響か?面倒なことを……」
俺の服を風通しの良い服にしたせいかその影響を更に顕著にしていた
「こんなローブみたいなのにするのは間違いだったか……」
暑いからこれにするかと決めた過去の俺を多少ながら恨みながら更に先に先に進もうと足を一歩前に進めた瞬間に俺は何かを察した
「っ!?何だ!?」
ベチャァ……
俺は危険を察知しバックステップを取り先程まで俺がいた場所から距離を取った
俺が先程までいた場所には緑色の腐食性のある液体が洞窟の地面を少しだが溶かしながら蠢いていた
「また
俺のその言葉に呼応するかのように洞窟の奥から三匹の体の半分が溶けた獣が這い出てくるように足を引きずったり身体の臓物を引きずりながら現れた
「うお!?臭っせぇ!?」
奴らが這い出てくると共に俺は自身の鼻を摘み別の理由で後ろに仰け反った
理由は単純で奴らの身体は完全に腐敗しており悪臭を放つことで有名であり、ギルドからの対策法も出来るだけ距離を取って鼻に詰め物をして魔法か遠距離武器で倒すのが良いと出ているため魔物の中の嫌われ者である
「本当にこんな臭いのかよ……」
前世で嗅いだシュールストレミングと同等レベルの匂いだ……
因みに前回あった時は結構遠くからチクチク遠距離撃ってるだけで勝ったから本当に運が良かったな……
「グルルルㇽゥ……」
俺が匂いに悶えていると
「おぇ……これは流石に遠距離じゃないと駄目だな……」
俺は魔力倉庫から狩弓を取り出し弦に手を掛ける
これは俺が駆け出しのころにとある樹林の中で魔物が持っていた武器を奪い取って今もなお使い続ける物である。俺の持っている武器は基本的に奪い取ったか落ちていた物を使っており*1一部を除いてはそうである…金がなかったんだ*2
俺は狩弓の弦を力強く引き
「グギャァ!?」
俺が放った矢は一番先頭にて俺に最初緑色の液体をかけてきた奴の喉元に綺麗にヒットした。喉に当たった矢は簡単に相手の腐敗した皮膚を貫き出来上がった穴からは例の液体がドバドバと流れ出てきていた
どうやら俺が貫いた奴はリーダー的なポジションだったのか倒れると同時に、残った
「おっと、不意打ち以外は当たらねえぞ?」
二体が放った液体は俺が少し体を捻ると容易に避けることが出来た
俺が再度矢を番うと好機だと思ったのか片方が歯をこちらに向けながら地面を蹴り飛び掛かってきた
「グガアァァ!!」
俺はこちらに嚙みつかれる前に素早く矢を引き相手に向かって放つと、俺の矢はこちらに飛んできた
「流石にこの程度の奴らからはアーティファクトは出ないか……まあ良いか」
この世界は稀にだが魔物からアーティファクトが出ることがあるのだ、でも大体はゲームの主人公である勇者が強いのは持ってるだろうからな。俺は其処まで気にしたことは無い
俺は最後の逃げようとしている
「目ぼしいアイテムは無し……っと」
アーティファクトの件だが現在俺が持っているアーティファクトは軽く十個は超えており、その中の一つが虚空跳躍の首飾りと呼ばれる物でありこれの効果は指定した場所へワープすると言ったもので、これは訪れた場所にしかいけないデメリットがあるがそれを帳消しにする程の利便性がある
「それじゃあさっさと最奥まで行くとするか……」
俺は
現在俺は六階層まで降りて来ていた、この世界のダンジョンは基本が十階層が最奥となっており偶に変異型のダンジョンとして通常より多い階層のダンジョンが発生する場合もある。現在俺が知っている限りではアーリア大陸の東側に位置するカルディア海を超えた先のラグナスト大陸の神都の近くの樹海にて今もなお最奥が確認されて居ないダンジョンが存在しているらしい
ここまでダンジョンについて説明したわけだがちゃんとクリア条件も存在する。ダンジョンの最奥にて待ち構える強敵……ゲームで言えばボスだな、そいつらを倒すと奥のコアが出現しそれを破壊することで正式に攻略完了となる
「あれは……リザードマンか?後ろを向いている今がチャンスだな……」
そして今は先程までの道より開けた広間に佇むリザードマンの背後に俺は居た
リザードマンは群れで行動する個体も多いのだが単独で行動する一匹狼のような奴も存在する、リザードマンは高い知能を有しており魔法を使うことで知られている
「これもまた弓で良いか……」
俺は気づかれないように物陰から弓に手を掛け矢を番いリザードマンの頭に標準を狙い、確実に当たると思った瞬間に矢を放った
グシャァァ…
リザードマンはそのまま気づくことなく矢が頭に当たり潰れたリンゴのように鮮血がその場に吹き荒れ真っ赤な血の池を生成した
「他の敵影は無し……珍しいアイテムも無いな……」
稀にリザードマンはその場にスクロールと呼ばれる魔法を新たに覚えることの出来る巻物が落ちることがある、だからこそこれが原因でかつては竜狩りの時代が始まったという
「新しい魔法はやっぱ欲しいよな……」
俺が現在使える魔法はほぼ全てがスクロールによるものである、逆にスクロール以外の魔法の覚え方は魔法学術院なる場所で学び覚える必要があるようだ。俺には絶対に無理だな*3
俺はリザードマンから無傷で綺麗な鱗を剝ぎ取り魔力倉庫に放り込むと先に進むために前を向く
「あー……成程な?一人で行動していたわけじゃないのか……」
俺が視線を上げるとそこには全身を岩で覆った肌をしている人二人分はあるサイズをした魔物……ゴーレムがリザードマンだったであろう肉塊を前にしながら佇んでいた
ゴーレムは基本的に動かない魔物であり相手から攻撃を受けるか一定の範囲内に入った存在に対して攻撃するという習性を持っている、今回の場合はリザードマンが喧嘩を売ったのであろうゴーレムはあまり魔物に対しては寛容だからだ
「にしても如何するか……」
ゴーレムの討伐方法は首に存在する魔石の破壊が有効だが、全身が固い装甲に守られているのが原因でそこまで貫くことが出来ず撤退する冒険者が後を絶たない
しかし!俺がそんなことを考えずに来るはずがない!ちゃんとゴーレム対策の魔法が存在するのです!
「まさかここで活躍するとは思わなかったよな……
俺が魔法を詠唱すると俺の周りにある魔力が前方に集まる感覚が身体に行き渡る。体にどこか不思議な感覚が駆け巡ると俺の眼前には銀色の魔力の塊が表れ、それは球状の魔力の塊が徐々に形を不定形に蠢かせながら空中で漂っていた。
「これがあんな馬鹿げた破壊力出すんだから信じられんよなぁ……」
ある程度のサイズに肥大化したら魔法に対しての魔力の供給を止めゴーレムの首に対して魔法を放つ
ゴゴゴゴゴ
俺が放った
揺れが収まるとゴーレムが在った場所にはリザードマンだった肉塊が五つも地面とくっ付いていた
「まともに戦ったら相当強いんだろうな……」
ゴーレムは俺も一度対面したためその強さを身をもって実感した、あれは掘削魔法でもないと勝てない……
俺はゴーレムとの思い出*4に耽り終わるとその場から立ち上がり最奥へと歩き進めていった
「これで中ボスは撃破完了か……随分と短いな……」
先程討伐したゴーレムはゲームで言う中ボスでありこれで折り返しとなる、ゴーレムが中ボスの場合俺の今までの経験則的には最奥のボスは簡単なことが多い
ロード洞窟は今のところでは想像より簡単だったため今回の依頼は前回みたいに大けがをせずに済みそうだ
「可能性があるならばキメラか……?リッチの可能性もあるな……」
俺が未だに出会っていない最奥の魔物は数多くいるがその中でも結構有名なキメラとリッチは会いたいと思っている
奴らはどちらも大きく見るとアンデット系に割り振られる、アンデット系には未だに片手で数えるほどしか戦っていないため俺の保持している魔法の中でどれが有効かが理解できていないのである
「
俺は最奥へと向かうため歩行の速度を速めた
蒼穹の狩弓
かつて最も人間から逸脱した存在と恐れられた一人の最強の冒険者が使っていた神をも穿つ弓、そんな存在の死に様は最も人間らしくそして哀れなものだったと言う。弓は今もなお何処かにある、血を欲し持ち主を探し彷徨っている。
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