エンディング後の世界で只々毎日を生きているモブ転生者君の日常   作:曇らせは志向の味

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第四話 不死の軍勢と異端者

 

 最奥のボス……これはダンジョンが世界各地に生まれた瞬間に同時に生まれた存在であり、つい先日まで世界を滅ぼさんとしていた魔王の配下の中でも指折りの実力を保持している魔物である。

 

 そして今俺の目の前に佇んでいる最奥のボス、そして俺が今まであったことの無い存在であるリッチがご自慢の杖をこちらに向けながら殺気と魔力を駄々洩れにしながら睨みを掛けていた。

 

「……これはこれはアンデットの王とも言われるリッチじゃねえか……初めてだ」

 

 俺は目の前に居るリッチに対して返答は無いとは思うが適当な言葉を送っておく。

 

「矮小な種族が……何故我の前に存在しているのだ?」

 

 え‶何で喋れてるんですか

 

「お前……喋れたのか……」

 

 今のところ言語を理解している魔物は片手でしか見たことがないため、俺は言葉を失った。

 

 そんなことはどうでも良く、再度リッチに視線を向けるとこちらが自身の問いを無視したのが相当腹立ったのか杖で地面を殴っていた。

 

「質問に答えろ、何故貴様のような存在が此処に居るのだ?」

 

 リッチはもう一度こちらに質問を投げかけてきた。これを無視したらどうなるのかと考えたが初めてのリッチとの対面である、これを無下にするのは些か勿体ないということで俺はちゃんとリッチと対面しその質問の答えを出した。

 

「何故って……俺はこのダンジョンを攻略しに来たんだが……」

 

「何だと……?」

 

 俺が遠回しにお前たちを殺すために来たと言うとリッチはあからさまな殺意を更に濃くした。

 

「貴様に我を殺すことが出来ると思っているのか?」

 

「思うってか今まで幾つも攻略したからな……」

 

 俺のその言葉を聞くとリッチは再度杖を構え魔法陣を俺との間に顕現していく、俺は即座に背後に飛び何時でも魔力倉庫から武器を取り出せるように構える。

 

「貴様は我ら魔族にとって脅威足りえる存在だ……貴様を魔王様に献上すれば我の昇格は確実だろう」

 

 リッチはそう言うと魔法陣に魔力を加えどうやら召喚の魔法を唱えたのか多くのアンデット共が湧いて出てくる。こいつ魔王が死んだことを知らされていないのか?

 

死霊復活(ネクロ・リザレクション)……貴様の末路にはお似合いだ……」

 

 どうやらこの召喚魔法は死霊復活(ネクロ・リザレクション)と言うらしく、俺の聞いた話によるとリッチのみが保持する魔法であり噂によるとリッチ本人を倒すと死霊復活(ネクロ・リザレクション)のスクロールを落とすことがあるらしい。

 俺がリッチと会いたかったのはこれが理由でもある。

 

「……てめえみたいな奴にはお似合いだ……」

 

 俺は先程のリッチの発言に意趣返しするように同じ言い方で言い返す。俺の使用した魔法は魂の防波堤(ソウル・ヴェール)と言う対霊魔法であり俺が指定した場所に不可視の波のような物を作り出し、それに触れたアンデット共を消し飛ばすという結構使い勝手のいい便利な魔法である。

 

 俺が放った魔法はこちらに進行してくるゾンビ達を手前から奥へと勢い良く消し飛ばし、リッチの目の前までをがら空きにした。

 

「面倒な……しかし我の軍勢は無限に有るのだこの程度で負けるとでも?」

 

 ゾンビ達を消し飛ばしてもリッチは最初の殺意を抱いた瞳とは打って変わって余裕の持った物と変わっていた。各言う俺は魔力倉庫から大鎌を取り出し手でクルクルと回し魂の防波堤(ソウル・ヴェール)を展開する。これは王都襲撃事件の時にどさくさに紛れてねこばばした物である*1

 

 俺は大鎌を握りリッチの召喚した死体の兵隊へと駆け出した。

 

「お前の自慢の軍隊諸共消し飛ばしてやるよ!」

 

 リッチが出した魔法陣の数は合計で三つ、全ての魔法陣からは種類関係なしにアンデットが湧いて出て来ている。魔法陣は破壊したとしてもリッチがどうせ即座に復活させるため俺は本体を狙うことにした。

 

 俺はすぐ手前に居たゾンビの頭を使って飛び上がり魔法を発動する。

 

「全員弾け飛べ!魂の防波堤(ソウル・ヴェール)!」

 

 俺は床一面を覆いつくすような数のアンデットの全てに当たるように魔力の波を展開し圧し潰すような勢いで発射した。

 下に居たアンデット達は身体が元々存在していなかったかのような形へと削り取られ、アンデットは悲鳴を上げる暇もなく立ち位置的に頭から消えていく。

 

「……随分と綺麗になったな」

 

 俺は空中から地面に降り立ち先程までのアンデットの軍勢の訳7割が消し飛び奥まで見渡せるようになった最奥の間を見渡した。

 

 リッチは最初からあったのかは覚えていないが金で模られた豪勢な椅子に足を組みながら座っていた。俺はそれに近づくように鎌を手で回し俺に近づこうとしているアンデットを切りながら近づいていく。

 

「どうだ?リッチお前の最強の軍勢はこうやって簡単に消し飛んだわけだが?」

 

 俺はリッチを煽るように言葉を紡ぐ、リッチはどうとでも無いかのようにクツクツと無いはずの喉を鳴らしながらこちらの煽りに答える。

 

「ああ…確かに我の軍勢は容易く消えた……しかし我にその魔術が効くとでも?」

 

「……お前は耐性があるのか……案外簡単に終わると思っていたんだが」

 

 どうやらリッチには魂の防波堤(ソウル・ヴェール)に対して耐性があるようだ。俺はその話を聞いた瞬間に魂の防波堤(ソウル・ヴェール)をリッチに対して放ったが本人の傍にいたアンデット達は弾け飛んだがリッチ本人はピンピンしていた。*2

 

 どうやら奴は俺が傍に寄るまでは直接手を出さないようで杖は持っているが未だにアンデットを魔法陣から出し続けていた……こいつ何がしたいんだ?

 

「……お前は何がしたいんだ?」

 

 俺が投げかけた質問に答えが返ってくることは無くゾンビ達が呻き声を答えとして持ってきていた。

 

 お前達には聞いていないんだが……まあいい。俺は再度アンデットの大群に向けて魂の防波堤(ソウル・ヴェール)を発動する。

 目の前にいたのは上位種も含まれていたが、全てもれなく俺が放った方角に向かって一直線に道が出来上がっていた。

 

 流石に一方的に魔法を撃っているだけでは味気ないので今持っている大鎌を代わりに使うことにし、俺は即座にアンデットにより埋まった道に向かって走り出した。

 

 俺の目の前には腐敗した汚臭を放つ肉体の軍勢がおり、俺はゾンビ達の腹部を薙ぎ払うようにして大鎌を振り俺が先程まで行っていた魔法による破壊とは違い、あからさまに不健康の塊である血液が俺の真っ黒なローブに飛び散り藍色に輝く大鎌は緑色に変化していた。

 

「おいおい!随分と脆いもんだなァ!」

 

 俺は天井に向かって大声を上げると、目の前に又もや表れたゾンビの頭を踏みリッチの方向へと走り飛んだ。

 

「そろそろ腐った奴らを切り続けるのは飽きたんだよォ!」

 

 流石にこのまま大鎌で切り続けていては埒が明かない為、俺は霊素火花(エーテル・スパーク)を発動しながらリッチの首を大鎌で狙い澄まし。

 

 首に届く距離にまで来ると叩き切るように薙ぎ払った。

 

バキャァ!!

 

 俺が振った大鎌は綺麗にリッチの首を撥ね飛ばし、支えが無くなった体は俺の方向へと倒れこんでくる。飛んで行った頭はアンデットの居ない場所へと飛んでいき無様にも地面と衝突するとともに弾け飛んだ。

 

「……弱くね?」

 

 あれ?確か噂に聞くとリッチはアンデットの軍勢を倒してからが本番でリッチが使う魔法が厄介だと聞いたんだが……こっちが叩き切ろうとした時は魔法すら使う素振りが無かったぞ?

 

「運が良かったって考えればいいか、この後も仕事あるかもだしな……」

 

 俺はリッチの召喚したアンデットが居なくなったことを確認するとリッチが座っていた豪華な椅子に視線を飛ばす。

 

「スクロールは無し……今日の俺は本当に運が悪いな」

 

 超有用なスクロールを出せなかったのは本当に悲しい……あれがあれば格上の相手にも物量でのごり押しが出来るかもしれないのに……

 

 しかしそんなことをうだうだと言ってしまってはこのストーリーが進まない*3俺はリッチの椅子に一礼をしてから虚空跳躍の首飾りを発動しギルド場の裏手側へ移動する。

 

 

 

 


 

 

 

 

 暗く湿気を多く含んだ空気が裏路地に漂っていた、俺が現在いるのはギルド場の裏側でここは現在は使われていない小さな訓練場が一個と錆び落ちた屋根付きの休憩所が設置されていた。

 

「帰ってきたな……今は正午か、今回は早く終わったな」

 

 俺は先程の休憩所にある椅子に腰かけ魔力倉庫に大鎌を仕舞い、何も考えずに誰もいない薄暗い訓練場を眺める。俺はこの世界に来てから段々日が経つにつれてこうした時間が長くなってきているような気がする。何故なんだろうか?

 

「今回の依頼でリッチを討伐か……次はキメラとでも会うのか?」

 

「キメラは流石のアンタでも厳しいんじゃないの……」

 

「やっぱそうか……え?」

 

 え?俺は一体誰と話しているんだ?

 

 俺が横に視線を向けると、最後に会ったのは確か三日前である赤い髪に出るところは出てて引き締まるところは引き締まっている美人としか言いようのない人物である副ギルド長が座っていた。

 

「……お前、仕事はどうした?」

 

「生憎とアタシの仕事はもう終わらせているわよ……残ったのはギルド長しか出来ないやつだから……」

 

「まーたあの人は仕事サボってたのか?」

 

「今回は真面目な件だったらしいわよ?まあ仕事せずに逃げようとしていたから首根っこ捕まえたからいいけど……」

 

「……」

 

 この人自分の上の立場の人にも容赦ないな……この人なんで副ギルド長なんだ?

 

「……それで何でお前は此処に来たんだ?直近で俺何か悪さした覚えは無いんだが……」

 

 俺は一度気持ちを切り替えて思った疑問を目の前の煙草を吸っている奴に問いかけた。

 

「ああ、そうだったわね……アンタそろそろ昇格試験受けない?絶対に受かる気がするんだけど……」

 

「……またそれか、前回も言っただろ?お前は俺を買い被り過ぎなんだよ。俺の限界はここでこれ以上は不可能だってことをさ」

 

「まあアンタがそれだったら私からとやかく言う道理はないけど……小言を言われるのは私なんだからね?」

 

「それは感謝しているよ、お前が居なかったら俺は今頃ここまで来れていないからな……」

 

 俺が感謝の言葉を伝えると彼女は煙草を銜えたままそっぽを向いた、感謝をするとは言っても俺が買った高価な酒をしれっと全部飲んだのは許していないからな?あれ結構買うのにも時間掛けたんだからな?

 

「……さてと俺はそろそろクエストを終わらせたことを伝えようか……」

 

「アンタまだ伝えてなかったの……もうちょっと待ってくれない?」

 

 俺が受付に行こうと席を立つと彼女は俺のローブの裾を引っ張り再度座らせた。

 

 何故……とは言えず彼女のこの行動は結構あり大体は仕事に疲れて可笑しくなったか何もないかである。

 

「はぁ……はいはい別に急ぎのことでも無いからな……」

 

 俺は力を抜かし先程まで辺りに張り巡らしていた薄い魔力を全て消し空を見上げる。

 

 

 ……何も無く誰も喋らない静かな時間が流れる、これは俺達との間では結構あることでのんびりとしているこの時間が俺は結構好きだ。

 

ピリッ

 

「…ん?」

 

「?どしたの?」

 

 俺は一瞬肌にチクリと魔力による変化を肌で感じる、これは次第に大きくなっていき徐々に恐怖へと変化していく。

 

 俺が横に視線を向けるとどうやら彼女はこの魔力の変化を気づいていないのか、未だに平然とした表情で座っていた。

 

「……何かが来る!」

 

 俺の目の前に突如として轟音を立てて謎の投射物が飛来した。俺達が見ていた方向である錆びれた訓練場は砂埃と罅割れで全く持って見えない程になっていた。

 

「なんじゃありゃ!?」

 

「聞いてた話と違うんだけど!?」

 

 何やら横から不穏な言葉が聞こえたのだが、それは気にせずに俺はよく見ようと視線を凝らす。

 

「おい勇者!こんなバカな真似をする者がいるか!?」

 

 すると俺の背後から若い女性の声がこの場に響き渡る、俺がそこに視線を向けると黄金に輝く髪を持ったダイナマイトボディのムチムチと聞こえるような紫色のしたローブをきた女性が走って来ていた。

 

「……おい今勇者って……」

 

 俺がそこまで声を上げると背後から冷たい声が俺の耳を貫いた。

 

「そこから動かないで異端者(イレギュラー)

 

 

*1
はい前科一つ

*2
礼儀ー100点

*3
メタいから帰ってくれ





冥府の大鎌
 かつて存在した連盟の勇者殺しと言われていた長の愛用していたとされる大鎌、その身一つで異界より出たる38代目勇者を殺害した存在は、40代目勇者によって相打ちと言う結果を持ってその歩みを止めた。かの武器は何時かの事件によって失われ主を探しているという。

遅れてすみません!中々時間を作れず……

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