――― 大阪 ―――
「…あらあら、こんな所で爆弾テロがあるなんてね?」
何の前触れも無く起こった燃料タンクの爆発に新次郎や警察官の誰もが茫然と見つめていたが、IS隊の女性隊長だけは笑みを浮かべていた。
此の為、警察の高官達はまさかと思いながら女性隊長に一斎に振り向いた。
「……お前、何をした?」
「さあ、私は知りませんよ」
明らかに白々しかったが、どう見ても彼女が爆発に関わりを持っていそうに見えた。
「…貴様、何をしたのか分かっているのか!?
このままだとゴジラが大阪に上陸するかもしれないのだぞ!」
当然ながら、高官の一人が女性隊長に飛び掛かろうとする者がいたが、周囲に取り抑えられたが、それを振り切るも不敵に笑った女性隊長がISの右腕を部分展開して喉元に突き付けた。
『…新兄、新兄!!
ゴジラがそっちに向かったぞ!
どうやっても誘導出来ないぞ!』
だが現状は序々に悪化している事を報せる様に、一夏から悲鳴じみた通信が響いた。
「…消火だ……直ぐ火を消すんだ!」
此の通信で茫然自失していた新次郎が我に帰って、光明を絶やさぬ様に急ぎ消火を指示しようとした。
だがそんな新次郎を嘲笑うかの様に、燃料タンクは次々に誘爆を起こし、更に此れ等の爆発に反応しながら歩み寄ってくるゴジラが興奮して思わず咆哮して港湾全域に轟いた。
「…っ!?」
そして止めの一撃として、ゴジラの咆哮に驚き怯えた一部が、ゴジラ目掛けて10cm榴砲を独断で撃ってしまった。
「馬鹿!! 誰が攻撃命令を出した!?」
当然、高官達は直ぐ止めようとしたが、恐怖の極みに達していた為に此の砲撃が切っ掛けに制止令を無視して次々に砲撃が開始されてしまった。
「……なんと言う事だ…」
最早、ゴジラの大阪上陸を阻止する手立てを失うだけでなく、大阪が灰塵と化すだろう未来を察した新次郎が崩れ落ちて座り込んでしまった。
「…全部隊に告ぐ、真宮司新次郎が指揮続投不可能の為、私が指揮を引き継ぐ。
全IS隊はただちに出撃、ゴジラを駆除するわよ!」
新次郎を励まそうと駆け寄っていた高官達に反して、女性隊長は新次郎から無線機を取り、指揮権を奪って攻撃命令を出した。
当然、勝手な事をした女性隊長に高官達はギョッとするも、直ぐ抗議をしようとする直前に女性隊長は彼等に不敵に笑いながらISを展開すると無線機を握り潰して飛び去ってしまった。
「…よくやってくれたわね。
でも何か爆発の規模が大き過ぎない?」
「はい、それにやった子達と連絡が取れないのです」
「……まぁ良いわ。
じゃあ、さっさとあの
やはりと言うべきか、新次郎を快く思わない彼女達は彼への嫌がらせに近い形でやったみたいだが、予定を遥かに超えて消火不可能になる程になった事に少し疑問を感じていた。
最も早くもゴジラが膝上まで近づいてきた事に気づいて、打ち止めとなってゴジラに掛かっていった。
「ああ…」
爆発が起こった事で既にそうだったが、ゴジラへの攻撃が開始された事に現場の出来事など知る訳がない一夏は、ゴジラへの砲撃が開始されてIS隊に続いてヘリも次々に飛び立ち始めている現状を呆然としていた。
勿論、一夏の真下の『こんごう』が驚き戸惑うかの様に右往左往している上、沖合いで待機している『そうりゅう』と『うんりゅう』から問い合わせの通信が多数出ていたが、その『そうりゅう』と『うんりゅう』の通信が突然途切れしまったが、ゴジラに注意がいっている一夏達は全く気にしていなかった。
「…っ! 何故止める!?」
だが明らかに遅いながらも続いていた砲撃が、突然にしかも一斉に止まってしまった。
「無理です!
IS部隊への誤射の危険性があります!」
此の報告通り、IS隊がわざと射界に入るように展開した為に全員が止めてしまったのだ。
只、ISには絶対防御がある為、あまり誤射に関しては気にしなくても良いと思われるが、やはり嫌な奴等と言えども誰だって誤って味方を射つ事に怯えがある為、高官達全員が「射て」と命じようとしなかった。
「…っ! 邪魔だ!」
「旧式どもは引っ込んでなさい!」
しかも重機関銃やロケットランチャーを使った攻撃をしていたヘリ部隊までが邪魔をされて、攻撃が時折止まっていた。
「ISどもは何をやっているんだ!
直ぐ止めさせろ!」
「駄目です!!
全員、聞く耳を持っていません!」
当然、高官達はIS隊の味方の砲撃への妨害行為を止めさせようと命じていたが、驕り高ぶっている彼女達全員が言う事を聞く訳がなかった。
そして案の定と言うべきか、人間側の不協和音など知る訳がないゴジラは砲撃やIS隊の攻撃に鬱陶しそうに咆哮をしつつ、歩みを止めようとしていなかった。
「…っ! 自衛隊に出撃を要請する!
直ぐ政府や府知事に連絡しろ!」
「…駄目です!!
総理官邸と府庁共に連絡が通じません!」
とうとうゴジラが埠頭に上ったのを見た高官の一人が、明らかに遅すぎるも自衛隊への出動要請をしようとしたが、相手側に全く出ない事にギョッとした。
「……だ、だったら警察庁にだ!」
「それが先程から府警や警察庁に報告がてらに要請しているのですが、“自衛隊への要請は必要無い”“IS隊は何をやっているんだ”としか言わないのです!」
「……っ!?」
まさか自分達の上層部にまでISの盲信者達が巣くっていた事を察して高官達が硬直した。
「…もう何もやっても無駄だ!
こんな現状では奴を止める事など出来ん!」
高官の一人が怒鳴って帽子を地面に叩き付けている通り、今回の一件は人災によるモノが大だと誰もが察していた。
だがそれでも諦めていない者がおり、現にやけくそ気味に砲撃を再開した者達がそこそこいた上、更にヘリ部隊が攻撃を止めてゴジラに探照灯を照らして、沖に導こうとしていた。
「…っ! よせ!
早く探照灯を消せ!!」
だがヘリ部隊の行為にやっと我に帰った新次郎が危険性を察して高官がキョトンとしたのを余所に叫んだ。
だが新次郎の予測通り、ヘリ部隊の行為が感に触ったゴジラが唸り声を上げながら背鰭を青白く輝かせ始めた。
そしてヘリ部隊の最右翼の一機に狙いを付けると『放射熱線』を放って撃墜すると、そのまま首を振って回避を試みた僚機を次々に撃ち落としていった。
そしてなんとか回避出来たと思われた最後の一機が、ゴジラの『放射熱線』の第二射に被弾して火達磨となって墜ちて灯台に衝突して、灯台諸共爆発するのを見たゴジラが警察官達に振り向いて特大の咆哮を上げた。
「……う、うあぁぁぁー!!!」
「お、おい、逃げるな!!」
ヘリ部隊を一瞬に殲滅したゴジラが「次はお前達だ」と言わんばかりに咆哮した事から、怯えた警察官の一人が上司の制止を無視して逃亡すると他の者達も次々に逃げ始めた。
此の為、新次郎や高官達が防衛線の崩壊を察するだけでなく、大阪に向けて前進を再開したゴジラによって炎に包まれるだろうと予測したが、そのゴジラが突然立ち止まると沖へ振り向いた。
「…何だ?
ゴジラの奴、どうしたんだ?」
しかもゴジラが唸り声を上げていた為、新次郎達は首を傾げ、もしかしたらこのまま海に帰るのではと希望的観測が脳裏に過っていたが、何気無しにゴジラの視線の先を凝視していると、自分達に左舷を見せながら微速前進をしていた『こんごう』が何か奇妙な三角波に右舷から諸に当たって少し右に傾きながら押し流されたが、“く”の字に折れたと思ったらそのまま真っ二つに引き裂かれてしまった!
そしてその三角波の中から……蝉の様な顔に尻尾の先端の三本の鉤爪を数度開閉させる四足歩行の巨大生物が飛び出して埠頭に上り、ゴジラに向けて宣戦布告と取れる特大の咆哮を上げた。
次いでに何故か『そうりゅう』(と思われる)を喰わえていたが、自分の力を見せつけるかの様に『そうりゅう』を真っ二つに食い千切った。
「…アイツは、先月台湾を襲ったオオタチじゃないか!」
「馬鹿な!
何でオオタチまでが此所に現れるんだ!?」
巨大生物ことオオタチの出現に新次郎達が驚き戸惑っていたが、ゴジラもオオタチに特大の咆哮を返すと、そのまま二頭は前進して取っ組み合いを始めた。
「…どうしますか!?」
「……ゴジラもオオタチ諸共、吹き飛ばしてしまえ!!」
不幸中の幸いなのか、ゴジラとオオタチは埠頭での戦いに夢中の為、自分達の所に向かわないので砲撃再開令が問題無く実行されて、二頭どちらにも構わず砲撃の嵐に襲われた。
だが立ち上がってゴジラを投げ飛ばそうとしているオオタチも、そのオオタチの喉笛に噛み付こうとしているゴジラも砲撃を全く気にしておらず、寧ろお互い縺れ合いながら防衛線に近づいてきていた。
「逃げろぉー!!!」
「退避ぃぃー!!!」
当然、ゴジラとオオタチの進路上の警察官達は慌てて逃げ出していたが、オオタチに投げ飛ばされたゴジラが『放射熱線』を使おうとしていたのを気づいたオオタチがゴジラの首に尻尾の鉤爪で掴むと、ゴジラの頭を振らせて射線を無理矢理変えられた為、右翼が焼き払われてしまった。
「あぁ…」
此の『放射熱線』で人物問わずに焼失していたが、火達磨になって悲鳴を上げながら海に飛び込む者達や、無事であるも上司や同僚達の最後に絶叫する者達が阿鼻叫喚の地獄絵図に新次郎達は言葉を失っていた。
そんな新次郎達などお構い無しに、なんとか鉤爪を外したゴジラはオオタチに悔しそうに唸った後に前進しようとしたが、その直前にオオタチが顔を膨らませるとゴジラ目掛けて『消化液』を放った。
此の『消化液』にゴジラが悲鳴を上げながらもがいていたが、飛散した『消化液』が直撃した警察官の何人かも全身か五体の何れかが融かされて悲鳴が多数上がっていた。
だがゴジラは外見上は『消化液』があまり効いていなさそうだが、上半身の至る所から白煙を上げて怒りの咆哮を上げると、嘲笑うかの様な鳴き声をしていたオオタチに向かって前進を始め、オオタチも迎え撃った為に再び取っ組み合いをしながら市内に向かっていった。
「……あ、ああ…」
「…っ! 戻ってこーい!!!」
人間融解と言う衝撃過ぎる光景を見てしまった上、此のゴジラの咆哮からIS部隊が一人が逃げてしまうと、他の者達も次々に逃げてしまい、そんな彼女達に誰かが叫んでいた。
「……そうか、ゴジラを沖に誘きだそうとした光が、オオタチを呼び寄せてしまったのか…」
高官達共々、ゴジラとオオタチを呆然と見ていた新次郎は、自分の作戦が事態をより悪化させてしまった事を悟っていた。
「新兄、もう無理だ。
早く退避しよう」
そんな新次郎に一夏が降り立って退避を促していだが、新次郎の絶望を具現化したかの様に、ゴジラの『放射熱線』で益々悪化していた火災で大型燃料タンクが大爆発を起こしていた。
「……そうか、もう駄目か…」
「…っ!
新兄、何やってんだ!?」
燃料タンクの炎を呆然と見ていた一夏が、何気無く新次郎に退避を促そうとしていたが、その新次郎が拳銃を取り出して弾を込めると自分の頭に銃口を付けたのを見て、新次郎に慌てて飛び掛かった。
「離せ、一夏!!
僕に責任を取らせてくれ!」
「新兄、アンタに責任は無い!
死ぬ事なんて無い!」
「自害させてくれ!
お前に武士の情けは無いのか!?」
「おっさん達、新兄を止めてくれ!!」
一夏が叫ぶまでもなく、自殺を試みようとする新次郎を止めようと高官達が次々に彼に飛び掛かっていった。
だがその間にもオオタチを見失ったゴジラが辺りを見渡していたが、そのオオタチが自分の背後の変電所を破壊して近づこうとしていた事に気づいて、周囲の建物群を尻尾で凪ぎ払いながら素早く振り向いてオオタチに飛び掛かり……オオタチに押されながら大阪市内に向かっていた…
感…
飛龍
「蒼ぅぅー龍ぅぅー!!!」
天城
「雲龍姉ぇぇーさぁぁーん!!!」
葛城
「雲龍姉ぇぇー!!!」
霧島
「お、落ち着いて下さい、比叡姉様!!!」
榛名
「同名ですけど、沈んだのは金剛姉様ではありません!!!」
比叡
「二人共、離しなさい!!!
金剛お姉様の後継艦を沈めたあの怪獣を、此の私が、此の核榴弾を使って焼き殺してみせますわ!!!」
ちょっ、何暴れt(ブツン)
箒
「え~と、別スタジオから気を取り直して。
感想・御意見お待ちしています」
一夏
「最後のオオタチって“パシフィック・リム”のKAIJUだよな?」
箒
「ああ、何でもアンギラスの代わりのそこそこ強い怪獣がいなかったんで、ぶちこんだそうだ。
此の余波でパシフィック・リムの人物がゲスト出演するそうで、現時点ではロシア夫婦が内定したそうだ」
一夏
「でも“沈んだ方がよく覚えてくれるからじゃんじゃん護衛艦を沈めてほしい”と開き直ってるらしい海自は兎も角として、大阪はどうなるんだ?」
箒
「…確かにそれは気になるが……後書きハイジャック、何度目だ艦娘」