――― 伊浜原発 ―――
「…時間は?」
セシリア達を力で従わせた桜は、目標の予測到達時刻を司令部に詰めて待っていた。
「……間も無く零時です」
「全部隊に戦闘態勢準備を通達」
各々時計を見つめている中、桜の指令に伝令が敬礼しながら了解して直ぐ通信機に取り付いた。
「…いよいよ時間か」
時間が迫る中、監視カメラやヘリからのモニター群を睨んでいる桜達に、一夏達に指令をしに行っていた千冬が摩耶を連れて再びやって来た。
「ああ、私達は準備出来た。
そっちは?」
「既に生徒達はISを纏わせて配置に着かせている。
専用機持ちは此所で待機しているぞ」
千冬に桜は満足そうに頷いた。
そして…
「…二佐、時間です!」
…福音とゲソラを撃破した者が現れる予測時間となった。
「各部状況を知らせろ!」
桜は直ぐに動いて、状況報告を求めた。
「…ヘリ部隊、全機異常ありません」
「各部隊、何も発見せず…」
「放射能、感知せず。
異常は一斉ありません」
警備警戒している全ての部隊から異常が無いとの報告が次々に届いていた。
「…警戒を怠るな」
取り敢えず安堵した桜だったが、気を引き締める様に指示した。
だが…
「……どう言う事だ?
何故何も起こらない?」
…一時間以上も経過したが、全く起きない事に流石に疑念と戸惑いが起き出し、原発沿岸の上空を照らしながら飛び回っているヘリ群の動きに焦りが感じられた。
「桜、警戒網を広げよう。
私達の方からも斥候を出すぞ」
「ああ、そうだな……?」
千冬の提案を桜が了承しようとしたその時、不意に何かが軋む音がした。
そして続けて大地震が起こり、地鳴りが鳴り響き…
「…ヘリより緊急報告!!
北の山岳が崩れて何かが出現しました!」
「後ろだとぉー!?」
…補給の為にたまたま原発上空にいたヘリからの報告に桜が驚いて怒鳴った直後、一番警備の薄い背後から何かの生物の巨大な咆哮が響き渡った。
そしてその後に「怪獣だ!!」と悲鳴に近い叫び声が多数聞こえてきた。
「…二佐!! 守備隊が攻撃の許可を求めています!」
桜と千冬は少し目線を合わせた後、同時に頷いた。
先ず桜が通信機を手に取った。
「…全部隊に通達!!
原発北部に怪獣が出現した!
各部隊は速かに此の怪獣を攻撃し駆逐せよ!!」
直ぐさま部下達が「了解!」と返事をし、現れた怪獣をヘリと守備隊が攻撃しているのだろう、背後から多数の銃声が聞こえ始めた。
「…山田先生、沿岸の生徒達を直ぐ呼び戻せ」
更に千冬が摩耶に生徒達を怪獣に向かわせようとした。
だが…
『…織斑先生、それは止めて下さい。
本命はソイツではありません』
…突然入った通信に止められた。
「更識!! 何故お前が此所にいる!?」
通信の相手がIS学園生徒会長の更識楯無であった為に楯無に怒鳴った。
勿論、楯無も生徒会長だからと言えど例外なく上級生であるから学園での待機命令が出ている筈だった。
『…そんな事より今はそれ処ではありません』
何か楯無に上手くはぐらかされた気がするが、同時に司令部に伝令が駆け込んだ。
「…二佐!! 米軍機から緊急通信です!」
「米軍!? 何で此所に米軍がいる!?」
各部隊への指示で修羅場状態の桜は思わず罪の無い伝令に怒鳴り散らした。
その為、桜を千冬が押さえた。
「…そ、それで内容は?」
「南方からコチラへ航行する巨大生物を発見、注意されたしとの事です!」
桜達が驚くと同時に海鳴りが響き出し…
『…コチラ監視塔! 物凄い勢いで潮が引いています!!
巨大な津波が来ます!!』
…津波到来を知らせる一報が入ると同時に、此の影響で原子炉の冷却機能に異常をきたした事と津波襲来を夫々知らせる二つの警報が鳴り出した。
「…更識、一体何が起こっている?」
『…生態系の王様か神様にあたる存在が来るのです』
――― 同・北部 ―――
「…っ! 何だ!?」
「後ろからだ!」
怪獣出現地点の近くにいた一夏達・専用機持ち達は山岳から地肌を崩しながら現れた怪獣へ他の生徒や自衛官達と共に走っていた。
そして探照灯に照らされた怪獣の姿を見て…
「…巨人?」
「デッカイ猿だ!」
…箒と鈴に続いて両腕を掲げながら何度も咆哮している怪獣が、人間に限り無く近い姿である事を確認した。
「……まさか…キングコング!?」
此の為、セシリアが第二次世界大戦前にアメリカに連れ込まれて駆逐された、世界で初めて怪獣と認知されたキングコングかと思っていた。
「…いや、アイツはキングコングじゃない!」
だがそれをラウラが何かを感じて否定した。
「じゃあ、アレは一体何なのですか?」
「分からん。 だが何処かで見た事があるんだが…」
ラウラが必死に思い出そうとしていたが、その前に三人の生徒が怪獣の気迫に怯えて、機関銃を撃ちながら怪獣に翔び掛かった。
「馬鹿!! 攻撃命令が出ていないんだぞ!」
此の為に自衛官の一人が法的束縛の多い自衛隊の悲しい性から怒鳴ったが、半ばパニクっていた生徒達三人は構わず怪獣を攻撃していた。
だが余り単調な動きだった上に不用意に近付いた一人をはたいて地面に叩き付け、もう一人を左手で掴み、その掴まれたのを助けようとした最後の一人を右手に掴んで不気味に唇を吊り上げると…
「…っ! 嫌ぁーー!!!」
…口の中に放り込んで嫌な音を上げながら噛み砕いて飲み込んだ!
更に泣き叫んでいる左手のも食べようとしたが、その直前にラウラが放った大口径レールカノンが右目に直撃して悲鳴を上げながら後ろにのけ反った。
「…っ!!」
更に怪獣は気を失った生徒を落としたが、その隙を突いた一夏が
勿論、怪獣は生徒を逃げる一夏共々掴まえようとしたが…
「攻撃許可が下りた!
撃て撃て!!」
…自衛官達に加えてセシリア達の一斉砲火で阻まれて悶えていた。
更にシャルロットと自衛官達のロケットランチャーと、鈴音の『龍砲』に被弾して悲鳴を上げながら後ろに倒れた。
「一夏、大丈夫か!?」
「俺より此の子を見てくれ!」
安全地帯に退き戻った一夏に箒が無事を確認しに近付いたが、当の一夏は助けた生徒を優先して近くの自衛官に引き渡していた。
更に此の間に墜落した生徒を自衛官達が救出していた後、怪獣は悔しそうに唸りながら立ち上がった。
しかも右目のを初めとした傷が見る見る内に再生していたが、此を見たラウラが何かに気づいた。
「…そうか、思い出した!!
アイツは
「フランケンシュタインって、第二次世界大戦でナチスが作ったアレ!?」
「ですが、アレは大戦末期に殺されている筈じゃないですか!?」
ラウラの言葉にシャルロットとセシリアしか反応しなかったが、その間に一夏達を敵と認知した怪獣は攻撃しようと近づいたが、自衛官達の一斉砲火と次々に駆け付けたヘリ群の機関砲に阻まれていた。
一夏達を除いた生徒達は同級生が殺られた衝撃的な光景から当初困惑していたが、次々に発砲し始めた。
「何なんだよ、フランケンシュタインって?」
当然ながら、フランケンシュタインを全く知らない一夏がラウラに説明を求めた。
「第二次世界大戦時にナチスがアメリカの超人兵計画に対抗して生み出した人造人間だ!
実際に完成して前線に投入されたフランケンシュタインは連合国軍に大打撃を与えたんだが、キャプテンアメリカに討たれたんだ」
因みに機密事項で余り分かっていないが、フランケンシュタインはラウラ達・軍用人造人間製作に影響を与えていたかもしれないと一部から言われている。
「じゃあ、なんでその死んだ筈のフランケンシュタインが今此所にいるんだよ!?」
「…聞いた処、ナチスはフランケンシュタインの
現に一号フランケンシュタイン・サンダはイタリアに贈られたが、当のイタリアが降伏した所為でアメリカに奪われて、その後トリニティ実験(世界初の核実験核実験)で焼死している」
「…っ! イタリアに贈られたって事は日本にも贈られたのか!?」
箒の指摘にラウラは頷いた。
「恐らくコイツは日本への輸送中に輸送Uボートが撃沈した所為で、行方不明になっていた二号フランケンシュタインのガイラだ!
よく見たら、コイツの体の殆どに海藻が生えているしな」
偶然ではあったが、ラウラの推測に「正解だ!」と言わんばかりに怪獣ことガイラは大きく咆哮した。
「じゃあラウラ、コイツはどうすれば殺せるか知っているか!?」
「そこまでは知らん!」
「だったらキングコングと同様に蜂の巣にしてやれば良いのよ!!」
無責任なラウラの変身に箒がムッとしたが、鈴音の意見に全員が了解した。
現に自衛官と生徒達がガイラへの攻撃が続いていた。
只、当のガイラは自衛官と生徒を時折薙払い、何人かを捕食していたが、何故か進路上の原発施設は破壊はしていたが、原子炉建屋を無視して海へ向っていた。
だがガイラが人害獣にある事には変わりはなく、一夏達もガイラへの攻撃に加わろうとしたが…
「……?」
…最後尾のシャルロットが南の遥か沖合で何かが青く光ったのに気づいた。
「どうしたシャル?」
「いや、沖合で雷が落ちたかなって……!?」
「上!?」
一夏がシャルロットに尋ねた直後、此の場の全てのISが上方から危険が迫っている事を報せる警報がなり響いた。
その為、一夏達IS持ちに続いて自衛官達、更にガイラまでが唸り声を上げながら動きを止めて上を見上げると……
「「「……っ!?」」」
「「「……蛸!?」」」
…大蛸が落下して、運が悪い事(?)にガイラに激突して共に後ろに倒れた。
「…アレって蛸だよな?」
「ああ、しかもかなりデカい」
「しかも火傷を負っている……何で?」
「「さあ?」」
しかも大蛸が焼死寸前の状態でいる事に、一夏と箒に鈴音のアジア組が首を傾げ、大蛸からの香ばしい匂いから一夏が腹を鳴かせたので箒に怒られていたが、セシリアとシャルロットにラウラの欧州組が顔を引きつらせていた。
まぁ、どうであれ、此れに怒ったガイラが既に瀕死の大蛸を退かしながら立ち上がって触手を二本掴み、更にもう一本に噛み付くと大蛸をズタズタに引き裂き始めた。
だが沖合で奇妙な光がまた起こると…
「「「「「「……蟹!?」」」」」」
…今度はガイラと大蛸とは離れた場所に巨大蟹ことガニメが落下して何度かバウンドして岩壁に衝突した。
「…どうします?
あの蟹も攻撃しますか?」
「……待て!
あの蟹、何か様子がおかしい!?」
セシリアがガニメへの攻撃をするかどうかを全員に尋ねたが、箒がガニメの違和感を感じた。
実際、ガニメが岩壁を上手く使ってなんとか立ち上がったが、軽傷とは言え、大蛸と同様に火傷を負っていた上、右目が潰れて左の鋏が失われていた。
勿論、後者二つは落下のもので出来たものではなかった。
そして何より…
「…怯えている。
何かから逃げようとしているのか!?」
…ガニメはガイラや大蛸処か、自分を攻撃してくる自衛官や生徒達までもを無視して全速力で海へ逃げようとしていた。
――― 沿岸部 ―――
所変わって、伊浜原発から離れた海辺の山岳部で生徒達が、茂みに潜みながら海を監視していたが、原発から銃声が聞こえてきたのでそちらに向き、ガイラを初めとした怪獣達と守備隊が戦っているのを見て驚き戸惑っていた。
その為、各自で此所から離れて原発に戻るかで話し合いが行われていたが…
「…かんちゃん?」
「……何、アレ?」
…同級生でもある付き人・布仏本音を無視して更識簪は遠くからアメリカのヘリ群が照らしている……海を切り裂く様に進む三つの刃物みたいなのをISの望遠モニター越しに見付けた。
しかもアメリカのヘリの一機に姉の楯無が並列して翔んでいるのも見付けて顔を引き吊らせた。
「…っ!! 何アレ!?
こっちに向って来ているわ!」
更に誰かが叫びながらの指摘した方に全員が振り向くと、原発から離脱したガニメに全員が騒ぎ出した。
「…アレは、ガニメだ………あれ?」
簪もガニメを見たが、気になって直ぐ海側に向き直ったら先程の海のモノが潜ったのか、消えていた。
此の為、楯無とヘリ群が辺りを必死に捜索していたが、代わりに巨大な津波が自分達の脇を過ぎてガニメと原発へと向っていた。
そしてガニメは兎も角、原発は対津波防護壁が展開してなんとか耐えていたが、周囲の街を飲み込んでいった。
幸いな事に既に住民は避難させていた上、守備隊も原発の防護壁内に逃げ延びて人的被害は皆無ではあったが、破滅的光景に生徒達が悲鳴を次々に上げた。
だが突然ISのレーダーが何か巨大なのを映しながら警報を鳴らし、ガニメが硬直した。
只、気配は感じられたが、暗い為に唸り声を上げる何かが全く見えないので、生徒の何人かが、ほぼ同時に照明弾を上空に放った。
そして照明弾が赤く発光しながら頂点に達して落下し始めると…
「「…っ!?」」
…程よい筋肉質の胸部から伸びる、細いが力強い両腕……海水を撒き散らす黒くゴツゴツした表皮の胴体……そして巨体を前進させる為に持ち上がった腕とは逆で極太の左腿を照らした。
感想・御意見お待ちしています。
二度目の正直!
次回ゴジラが本格登場!!
桜
「ガイラって、お前とんでもない奴を出しやがったな!
アイツ一番出したらいけない未対戦怪獣じゃないか!」
いやぁ~…原作設定を極力守りながら出すのはほぼ不可能と思っていたフランケンシュタイン一族を出せて自分もびっくりしているよ。
しかもゴジラと戦うだなんて…
後、南海三大怪獣の最後の一角であるカメーバは出す予定はありません。
だってアイツGMMで出てんじゃん。