ゴジラvsモゲラ   作:サイレント・レイ

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第8話 決着

――― ワシントン・日本大使館 ―――

 

 

「……では此処はこうやりましょう」

 

「はい、でしたら此処は少し変えて……?」

 

 此の時、防衛大臣はアメリカ国防長官との会談に備えて駐米大使と最終確認を行っていたが、ノック無しで入室した書記官で打ち切りとなった。

 

「…どうした?」

 

 防衛大臣の質問に顔面蒼白の書記官は何も答えず、代わりに日本本土からの通信文を手渡した。

 

「……っ!?」

 

「どうしました?

何が書いてあったのですか?」

 

 通信文を一目見た防衛大臣がそれ等を落としてしまい、唯一手に持っていた一枚を握り潰した為、大使が驚き戸惑っていた。

 

「……伊浜原発が複数の怪獣に襲われているそうだ。

しかもその内の一頭は半世紀前に現れたゴジラらしい」

 

 此の時、日本政府がゴジラの情報を意図的に記録から消した為、余程の者しか知らない存在であったが、流石に大使や大臣級には情報が知れ渡っていた。

 

「…それで被害は?」

 

「怪獣同士の戦いで多くの建物が破壊されているそうだが、原子炉建屋はまだ無事だそうで…」

 

「そんな事はいい!!

現場の者達はどうなっているんだ!?」

 

「……分かりません、戦いはまだ続いている上に情報が錯綜しています」

 

「……大勢…死傷したのか?」

 

「しかもかなりの人数が被爆しています…」

 

 原発より現場の者達の方を気にしている事に防衛大臣の人格が見えていたが、被害の多さを伝えられ顔を押さえていた。

 

「…政府やIS学園はどう対応をしている?」

 

「……それが…」

 

「まさか、何もしてないのか!?」

 

「………はい、アメリカ艦隊が来ていますが、増援等は全く…」

 

 怪獣達に何も行動を起こさない日本政府とIS学園に防衛大臣だけでなく大使までがギョッとした。

 

「一体、日本で何が起こっているんだ!?」

 

 思わず罪の無い書記官に防衛大臣が怒鳴ったが、当の書記官は一旦廊下に出て誰もいない事を確認した。

 

「…実は政府とIS学園に何らかの圧力が掛かり、工作が行われている模様です」

 

「圧力だと!!?

子供のIS乗り達だけで倒せると思い上がっているのか!?」

 

 此の報告に防衛大臣は何かを察した様だった。

 

「……まさか…」

 

「……首謀者は……篠乃之束の公算大だと思われます」

 

 束の存在を伝えられ、防衛大臣は立ち上がって自分が座っていた椅子を静かに持ち上げた。

 

「……世界はお前だけの玩具じゃないんだぞ!!

魔女ぉぉー!!!」

 

 束への呪詛を叫びながら椅子を床に打ち付けた防衛大臣……近い未来総理大臣として怪獣対応に追われる事となる神崎昴が、ゴジラの事より束とその彼女が生み出したISに怒りを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― 伊浜原発 ―――

 

 

「モーター室半壊!!!」

 

「織斑先生、あそこには更識さんが!!!」

 

 炉心融解を防ごうと楯無が進入したモーター室にガイラに押し倒されたゴジラが圧し掛かった光景に司令部の面々が悲鳴を上げていた。

 だが幸いなのは楯無(と簪)の行為が上手くいって原子炉の水位が上がり始めたとの報告が入って取り敢えず炉心融解の危機は回避されていた。

 

「…千冬!!」

 

「分かっている! 今ラウラ達を救助に向かわせた」

 

 当然ながら桜は直ぐ千冬に楯無の救助を頼んだが、その千冬は既に動いていた。

 

「…しかしどうする?

あのゴジラの頭が入っている現状ではどうする事も出来んぞ!」

 

「ああ、その心配はなさそうだぞ。

見ろ…」

 

 危惧している桜に千冬が指し示したら、ガイラが親切な事にゴジラの尻尾を掴んで引き摺り出そうとしていた。

 勿論、ゴジラもそれを阻止しようと地面にしがみ付こうとしていたが、どうも上手く出来なかったらしく、未練がましく地面を引っ掻くだけに終わっていた。

 そしてある程度ゴジラを引き摺ったガイラは一呼吸置いて下半身に力を入れると……何と左回りにゴジラを振り回してジャイアントスイングを始めた!

 此れには桜達が呆然とするだけでなく、振り回されて宙に浮いているゴジラも驚き戸惑っているかの様な声を上げていた。

 そして一定の勢いに達するまでゴジラを振り回したガイラは岸壁目掛けてゴジラを投げ飛ばし、その岸壁に受身も取れずに頭から叩き付けられたゴジラは岸壁を破壊しつつ一瞬突き刺さった後、そのまま直ぐに崩れ落ちて岸壁の残骸に尻尾と左足を残して埋もれてしまった。

 

「……すげぇ~…今ホールドしたら3カウントKO出来るぞ…」

 

 上空にいる一夏が冗談みたいな事を言っていたが、実際ゴジラがピクリとも動かないのに反して、ガイラが勝利を確信したかの様に両腕を上げながら咆哮していた。

 

「なあ、コイツはガイラが勝っちまうんじゃないか?」

 

「うん、アタシもそう思う」

 

 息を乱しているガイラが動かないゴジラに止めを刺そうと前進した事もあって、一夏と鈴がガイラが勝者になるのではと予測していた。

 

「…嫌、そうは思えん」

 

「箒、どうして?」

 

「嫌、理由まではその…」

 

「何なのよ…」

 

 箒の予感に近い形ではあったがそれを鈴に突っ込まれていたが、それは桜や千冬等の実力者達も感じているものであった。

 

(…妙だな? 怪獣王と呼ばれる存在なのに此の程度なのか?)

 

 特に桜と千冬は鬼岩島の頭部が半分焼失していたゲソラの遺体がを思い浮かべて、何故そうなって出来たのかが頭から離れずにいたが、その理由は直ぐに判明出来た。

 何故ならゴジラの尻尾が突然垂直に振り上がって落下した後、瓦礫から白煙が上がったと思ったら、瓦礫を派手に吹き飛ばしてゴジラが立ち上がった。

 此れにガイラが立ち止まって驚き戸惑っていたが、背鰭を空気を揺らめく程の熱を発しながら青白く光輝せているゴジラが唸り声を上げて口を少し開け……それが自分を倒せると思い上がっているガイラを嘲笑っているかの様に見えていた。

 そして誰もが、ゴジラが何をしようとしているかを分からずにいる中、ゴジラの胸が一瞬膨らんだ直後に口から『放射熱線』が放たれてガイラを焼きながら後ろに吹き飛ばした!

 

「…っ! アレは何だ!?」

 

「分からない、だけど凄い!」

 

 楯無と簪を救出していたラウラが先ずガイラの悲鳴からゴジラの行為に気づいたが、それが何なのかまで分からずシャルロット共々驚き戸惑っていた。

 だがその間にゴジラは上半身の至る所から白煙を上げているガイラに『放射熱線』の第二射を叩き付けて…今度はガイラの全身が爆炎に包まれた。

 

「アレがゴジラの切り札か!!」

 

「はい、構造までは分かりませんがゴジラは自身の核エネルギーをあんな風にして口から吐く事が出来るんです」

 

 桜の独り言に山根が反応して説明したが、どうであれゴジラがゲソラを倒した手段が分かった。

 そしてその破壊力は悲鳴を上げて悶えているガイラの上半身の殆どが焼け爛れている現状から察する事が出来た。

 此のガイラの凄まじい姿にゴジラは嬉しそうに咆哮を上げて嬉しそうにしていたが、かなりの数の生徒が悲鳴を上げていた。

 更にゴジラはガイラに急接近して炭化していたガイラの右腕を肩の根元から右手の爪打で切り捨てた所為で生徒の中で吐いてる者達がいた。

 

「再生しない!」

 

「焼かれた所為で再生能力が失われたんだ!」

 

 ガイラが右腕を再生出来ない事を千冬と桜が分析していたが、それよりも欠損箇所を抑えて悲鳴を上げるガイラが後ろに下がった事から、『放射熱線』でガイラの心が破壊された事が分かり、戦局がどちらに流れたかが誰にでも分かった。

 それを知ってか知らずか、ゴジラはガイラに頭突きに続いて掌打を多数叩き付けた後、左肩に噛みついて左右に振り回すとそのまま投げ飛ばした。

 更に俯せに倒れてなんとかゴジラから逃げようとしていたガイラだったが、そのゴジラがまた近付いて咆哮すると左足を掴むとガイラを真上に振り上げると直ぐ真下に叩き付け…『ゴジラプレス』と呼ばれる行為を何度も続けた。

 そしてゴジラは先程のお返しと言わんばかりに、ガイラにジャイアントスイングを始めて…岸壁にガイラを投げ付けた。

 既に満身創痍で呻き声を上げるしか出来ないガイラに、ゴジラが接近して見下ろしているとガイラの腹部を何度も踏みつけて踏みにじると、今度は背を向けると尻尾で叩き続けた。

 しかも悲鳴を上げるガイラに反して、ゴジラは手を叩きながら嬉しそうにしていた。

 そしてガイラが悲鳴すら上げられなくなったのに気付いたゴジラは尻尾での攻撃を止めて再びガイラに振り向いた。

 ゴジラは前屈みで唸り声を上げながら睨んでいたが、ガイラは自分が誰と戦い勝とうとしていたのか…そして怪獣王ゴジラの恐ろしさを理解して硬直していた。

 そして突然ゴジラがガイラの目の前で大きく咆哮するとガイラの胸に右手で貫いた。

 ガイラもゴジラの腕を掴んで抵抗していたが、それは誰から見ても悪足掻きにしか見えなかった。

 

「アイツ、何をする気だ?」

 

「…ゴジラめ、ガイラの弱点に気付いたな」

 

「……どう言う事です?」

 

 桜達がゴジラの行為を分からずにいたが、山根だけはそれが分かって桜がその答えを求めた。

 だが山根が何かを言おうとした直前、絶叫を上げたガイラの心臓をゴジラが引き摺り出した!

 ガイラの心臓を少し見つめたゴジラは咆哮しながら心臓を…ガイラの再生能力の源であるそれを握り潰して、更に足元に落として踏みにじった。

 心臓を失って生物としては当たり前だが、ガイラは力尽きて全身が炭化を始めた。

 ほっといてもガイラは消失するにも関わらず、ゴジラは大きく咆哮すると渾身の力で『放射熱線』をガイラに叩き付け……ガイラが昼間並の眩さの大爆発を起こした!

 

「………原爆?」

 

 此の光と爆音が東京都でも確認されたガイラの爆発の光景に一夏が思わず原爆を思い浮かべた。

 

「……ガイラが…いない…」

 

 更に爆発が煙に変わり、その煙が晴れると伊浜の至る所でガイラであった焼け焦げた肉片が降っているが、鈴音のぼやき通り、肝心のガイラは完全に焼失していた。

 来れに誰もが硬直して時間が停止しているかの様な状態だったが、ガイラがいた場所見つめていたゴジラが体を大きく揺らしながら勝利の雄叫びを何度も吠えて、それが静かに響いていた。




 感想・ご意見御待ちしています。

 頭に出た神崎昴はサクラ大戦シリーズの神崎すみれと九条昴を混ぜて作りました。


「アイツの性別は?」

 さあ? 昴が性別不明キャラですので現時点ではまだ決めていません。

 では皆さん、いよいよ次回で伊浜原発は終わり、その後は取り敢えず回想を行いながら二年後に移ります。


「て事はやっとモゲラが出せるんだな?」

 多分が着くけどね…
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