ハンターの人理修復旅   作:浅漬けプリン

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リメイク版です


第一節

絶対絶命

 

普通に生きているなら、生涯を通しても経験する人はそれほどいないであろう事象。

この言葉を聞いて、人は何を思い浮かべるだろう?

 

地震や津波などの災害に直面した時?

何人もの人を殺した殺人鬼に遭遇してしまった時?

 

それも正しいだろう。

しかし、今この瞬間だけは、この男が最も当てはまる。

 

全身は血の色に染まり、出血していない場所を探す方が難しいほどだった。

 

左腕は雷撃に灼かれ、炭化した肉が剝がれ落ち、顔の左半面は極寒の凍結で白く硬直し、左目は既に視力を失っていた。全身の至る所の骨は砕け、臓器は内出血で重く腫れ上がり、息を吸うだけで激痛が脳を貫く。それでも男は、唯一無事な右腕で太刀を握り締め、眼前の絶望を睨みつけた。

 

 

『■■■■■■■■■ーーー!!!!!』

 

 

宙に浮かぶ巨体が咆哮を放つ。

 

黒曜石のように艶やかな黒鱗が逆立ち、あらゆる属性を帯びて禍々しく輝く。

神とさえ称される古龍――煌黒龍アルバトリオン。

 

その威圧は空気を重く歪め、ただ存在するだけで大地を震わせる。片方の角は根本から斬り落とされ、体表に無数の裂傷を負っているが、その生命力に陰りは微塵もない。昏く輝く双眸には、明確な殺意が宿っていた。

 

「嫌になるなぁ……!これだけやって……まだ余裕かよ……!」

 

 

息も絶え絶えに吐き捨てる声は掠れていた。

生物としての格が違いすぎる。属性の規模、存在の密度、すべてが人間のそれを遥かに凌駕している。

 

男は薄く笑う。

 

「まぁ、それが諦める理由にはならんがな……!!」

 

 

男――一条彩斗は構えた。

 

太刀を鞘に収め、柄を強く握り、右肩を前に出す。居合いの型。

右足の骨は既に折れ、激痛が身を貫く。

 

それでも彼は下手に突っ込むことを捨て、カウンターを狙う。後の先。龍が自ら間合いに入るのを待つ。

周囲の音が消えた。

視界から光が退け、存在するのは眼前の古龍のみ。

集中の極致。狩人の極意と、転生して10年で磨き上げた戦闘技術が、限界を超えた集中力を生み出していた。

蒼い雷が奔った。

左半身を擦り、既に焼け爛れた肉を更に抉る。

溶岩のように赤熱した炎弾が地面を溶かしながら飛来。刀身で軌道を逸らし、致命傷を紙一重で避けるが、右足の一部が炭化し崩れた。

空気中の水分を瞬時に凍結させる極大の氷柱が迫る。彼は左半身を盾に斬り伏せ、左腕が千切れ飛ぶ感覚があったが、既に痛みすら感じない。

眼前の獲物がもう動けぬと判断し、アルバトリオンが赫黒い稲妻を右脚に纏いながら急接近してくる。

 

この攻防が終われば、自分は死ぬ。

 

彩斗は直感した。

刹那、左から薙ぎ払いが襲う。

ここしかない――。

持てる全ての力を右足に注ぐ。筋肉が膨張し、血管が浮き出る。折れた骨が粉砕される様な激痛を無視して龍の頸を目がけ飛び込んだ。避けきれず薙ぎ払いは右脚を抉り取ったが、狙い通り首元まで跳躍。

 

転生して10.年。

培った技術、鍛え抜いた肉体、和多くの死線で育て上げた全てを、一点に収束させた一撃。

 

銀閃。

 

「オ、オオ、オオオオォォォォ!!!!!!」

 

太刀が龍の頸に深く食い込んだ。

感触は驚くほど軽く、しかし確かに骨と鱗を断つ手応えがあった。

気付けば、彩斗の体は地面に叩きつけられていた。

あまりの出血、あまりの激痛により、彩斗の意識は急速に失われて行く。

消えゆく視界の中で、彼は龍を探した。

 

いた。

 

アルバトリオンの頸は深く斬り裂かれ、断面から夥しい量の龍血が噴水のように溢れ出している。明らかに致命傷だった。未だ四足で立ってはいるが、巨体が大きく傾き、翼が痙攣する。

遅かれ早かれ確実に死ぬ、そう確信した彩斗の胸に薄く達成感が滲む。

 

(けど……これは……俺の方が先に死ぬな……)

 

死ぬ事はそれほど怖くない。

しかし、龍の死体を見る事が出来ない事に少しの不満を抱きながら、

一条彩斗は、静かに二度目の生を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が醒めると現代の日本に戻ってきた。

しかも魔術師の家系らしい。はて……?




アルバトリオン
自分に挑んで来る愚かな人間がいたから遊んであげてたらなんか急に強くなって喉切り裂かれて死んだ。

禁忌古龍は死んでも生き返ると言う設定を採用している為、次からの人類との戦いでは初っ端から全力を出す様になった。

具体的に言うと初手エスカトンジャッジメントする。
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