社畜の俺。メンヘラな口裂け女をビンタしたら同棲が始まった。 作:ジュウヨン
顔を洗い終わり、リビングに戻る。
キッチンでは、
口裂け女がちょうど食器を洗い終わっていた。
「ふう……ちょっと疲れちゃいました」
口裂け女が大きくあくびをする。
その目の下には、
うっすらと隈が浮かんでいた。
昨日の件で遅くまで起きていたことと、
朝早くから家事をしていたせいだろう。
いつもより、少し元気がない。
さっきは寝起きのせいで、気づかなかった。
……買い物は、明日にしよう。
そんなことを考えていると、
口裂け女がこちらに気づいた。
「あ、戻ってたんですね!」
元気よく、駆け寄ってくる。
「今日は……お休みですか?」
少し、へっぴり腰で聞いてくる。
思わず、笑ってしまう。
「うん。そうだよ」
「よかった……嬉しいです」
口裂け女が、胸を撫で下ろす。
……こんなことで喜んでくれるのか。
「……あと、明日も休みだよ」
口裂け女が固まる。
「え……?」
「いや、だから……明日も休みなんだって」
「……」
急に、無言になる。
……何か都合が悪かったのだろうか。
心配になり、恐る恐る彼女の顔を覗き込む。
……。
……え。
……わ、笑ってる。
そして。
物凄い勢いで部屋を走り回る。
「わーーーーい!!!!」
「やったーーーー!!!!」
「嬉しいよおおおおおおおお!!!!」
口裂け女の足音が、部屋中に響く。
俺は、慌てて止める。
「ちょ、やめて……」
だが、口裂け女には届かない。
「やったーーーー!!!!」
「いっぱい一緒にいれるよおおおおおおお!!!!」
……。
その言葉に、
思わず顔が綻んでしまう。
……今度からは、毎週土日は休みをとろう。
だが。
口裂け女を止めないわけにはいかない。
「ちょっと……口裂け女さん、ストップだって」
そこで、
ようやく彼女の動きが止まる。
「あ……ごめんなさい……」
「つい……」
申し訳なさそうにする口裂け女。
逆に、こっちが申し訳なくなる。
……だが、心を鬼にしなければ。
「……賃貸だから、ね?」
「……ごめんなさい……」
あまりの沈みように、
罪悪感に苛まれる。
彼女の悲しむ顔は、極力見たくなかった。
「気持ちは……めちゃくちゃ嬉しいよ」
「こんなに喜んでもらえて、
嬉しくない人はいないと思う」
すると。
口裂け女が、ゆっくりと顔を上げる。
「あなたは……嬉しいですか?」
潤んだ瞳で、こちらを見つめる。
そんなこと、聞かないでほしい。
言うまでもない。
「……嬉しくないわけないだろ」
「……じゃあ、よかったです」
口裂け女が、にっこりと笑う。
こんなの、反則だ。
……俺は、口裂け女に負け続きだった。
でも、その方がいい。
……いずれ、大きい家に引っ越したい。
そうすれば、
こんなことを言わなくて済む。
「今日は、何をする予定なんですか?」
「家でゆっくりする予定だよ」
「じゃあ、おうちデートですね……」
自分で言ったくせに、
直後、口裂け女の顔が真っ赤になる。
多分、俺も真っ赤なんだろうけど。
それを境に、彼女の顔を見るのが
突然小っ恥ずかしくなった。
昨日の夜のことを、
また思い出してしまったから。
つい、目を逸らしてしまう。
「……明日は、買い物に行くから」
口裂け女が、キョトンとする。
「……買い物ですか? 珍しいですね」
「昨日、埋め合わせするって言ってたじゃん」
口裂け女の顔が、ハッとする。
「あぁ〜!
そういえばメッセージで言ってましたねー」
「うん……なんか、買ってあげようと思ってさ」
口裂け女の表情が、少し暗くなる。
「……大丈夫です。私、何もいらないです」
「俺がそうしたいから……
悪いけど、付き合ってもらっていい?」
少し、悩んでいる様子だった。
でも。
「……わかりました。
じゃあ、楽しみにしてますね」
口裂け女が、笑顔でそう答える。
……だが。
その表情には、
どこか影があった。
「……あと、パンケーキもまた食べに行こうよ」
「それは本当に楽しみです!!」
即答する。
満面の笑みになる口裂け女。
……コイツの情緒がわからない。
……
ゆっくりと、ソファーに腰をおとす。
口裂け女も、当たり前のように隣に座ってくる。
距離が近い。
再び、
昨日のことを思い出してしまう。
少しだけ、距離を空けた。
「これから、何しますか?」
口裂け女が聞いてくる。
「うーん、久しぶりに
サブスクで映画でも観ようかなぁ」
「さぶすく? なんですかそれ」
「映画とかがいっぱい観れるサービスのことだよ」
「あんまりよくわかんないですね……」
あまりピンときていない様子の口裂け女。
俺は、黙々と登録画面を進めていく。
前は契約していたのだが、
別れてから見る機会が一切なくなってしまい、
解約していた。
少し、苦い記憶を思い出す。
「まあ……アレだよ。Y●uTubeみたいな感じ」
「なるほど!なんとなくわかりました!」
なんとなく理解してくれた様子だった。
ふと思う。
……考えたら、コイツずっと家にいるんだから、
もっと早めに登録してあげたらよかったな。
今度から、
思いついたことはできるだけやってあげよう。
……そうこう考えている間に、
登録を終える。
画面を開いた時の、
独特の音が部屋に響く。
懐かしい。
もう、随分昔に感じる。
そこで。
ふと、
また元カノのことを思い出してしまった。
……。
……アイツ、今何してるのかな。
仕事にずっと打ち込んでしまって、
アイツのための時間を作ってやれなかった。
……ダメだ。
今は考えるな。
アイツは過去だ。
今、隣にいるこの子のことを考えよう。
……
サブスクの画面を、
もの珍しそうに見る口裂け女。
「なんか映画がいっぱいありますね〜」
「そう。これからは一人でいる時は、
これ観てていいからね」
その言葉に、
口裂け女の表情がパァっと明るくなる。
「え、いいんですか!?」
「うん。そのために登録したからね。
むしろ、いっぱい観てよ」
口裂け女の目がキラキラする。
「わー……楽しみです……」
……相当、一人で退屈してたんだな。
本当に、申し訳ない。
「……試しに観たいの選びなよ」
テレビのリモコンを、
口裂け女に手渡す。
「えー、何にしましょうかねー」
口裂け女が、
ワクワクした様子で映画を選び始める。
「うーん……」
「いっぱいありすぎて、選ぶの難しいですねぇ……」
口裂け女が目を細めて言う。
「感覚でいいよ。
例えば、前に好きだったのとかないの?」
少し、間が空く。
「ごめんなさい……。
私、人間だった頃の記憶があまりないので……」
あ……。
しまった。
地雷を踏んでしまった。
すぐに、頭を下げる。
「……ごめん」
口裂け女が、首を振る。
「あなたは悪くないです……。
だから、謝らないでください……」
口裂け女も、申し訳なさそうにする。
途端に、空気が重くなる。
「……じゃあ、感覚でいきますよ!!」
口裂け女が、
物凄い勢いで画面を進め出す。
……気を遣わせてしまった。
だが。
そこで、
口裂け女の手が、ある映画の画面で止まる。
「……」
どこか、懐かしそうな顔で
画面をボーッと見つめている。
「この映画……知ってるの?」
昔に流行った、アニメ映画だった。
俺も、子供の頃に観たことがある。
口裂け女が、首を横に振る。
「……わからないです。でも……」
「なんか……懐かしい気がします」
何かを噛み締めるかのように、
ゆっくりと微笑む。
「じゃあ、これ観ようよ。
何か思い出すかもしれないし」
「……そうですね。私も、観てみたいです」
そう言って、映画を再生する。
……だが、少し俺も引っ掛かっていた。
俺も、
ここ最近でどこかでこれを見た気がする。
だが、映画じゃない。
ここ数年、観る暇はなかったはずだ。
……じゃあ、一体どこで……?
そうこう考えているうちに、
映画が始まっていく。
……
当たり前だが、
昔に見たまんまの内容だった。
口裂け女は物珍しいらしく、気に入ったシーンがあるたびに、
こちらへ体を寄せて顔を覗き込んでくる。
「今の、可愛いですね!」
「……うん、そうだね」
だが。
俺はというと。
未だに、
まともに目を合わせられていなかった。
……
「この映画、本当に面白いです!」
口裂け女が、満面の笑みで言ってくる。
「そ、そう……? よかったね……」
なんとか答えるが、
やっぱり目を合わせられない。
口裂け女が、ちらっとこちらを見る。
「……」
また映画を見る。
しばらくして、
もう一度こちらを見る。
「……」
「……あの」
「ん?」
「さっきから……」
少し間を置く。
「なんで目を合わせてくれないんですか?」
「……私、何かしました……?」
口裂け女が静かになる。
「な、何もしてないよ……俺の問題だから、大丈夫」
少し、距離を取ってしまう。
これ以上くっついていたら、
心臓が張り裂けそうだ。
「嘘です……」
「きっと、私が何かしたんですよね……」
しょんぼりする口裂け女。
流石に、昨日のことが原因で
顔を見れないなんて言えない……。
記憶が全くないって言ってる手前、
どうしたらいいんだ……。
よし。
こうなったら、もう……仕方ない。
「じ、実は……」
俺は恐る恐る切り出す。
「今日……夢を見たんだけど……」
もちろん、嘘だ。
今日は、夢なんて見ていない。
実際は、二日酔いでうなされていて
それどころじゃなかった。
「へ……? 夢ですか?」
「うん……なんか、お前と……その……」
つい、モジモジしてしまう。
「……?」
口裂け女が、
よくわからなさそうな顔をする。
「これさ、言わなきゃダメ……?」
「……言ってください」
小さく頷く口裂け女。
逃げ場がなくなる。
「……夢の内容、なんだけど」
「はい……」
「お、お前と……」
言葉が出ない。
「……?」
「……き、キスする夢……」
何とか言葉を振り絞る。
俺の顔は真っ赤だ。
絶対に。
「……」
口裂け女が黙る。
「ごめん……」
「それで、意識しちゃって……」
頭を下げる。
……こういう時に。
素直に昨日のことがあったからと言えない
自分の不甲斐なさに腹が立った。
けど、それはできない。
まだ……その時じゃない。
しかし……。
我ながら、変な嘘を選んでしまった。
少し、後悔してしまう。
「……ふ、不純です……」
顔を真っ赤にして、
ボソリと呟く口裂け女。
映画からは、
子供達の無邪気な笑い声が聞こえてくる。
「へ、変な勘違いさせて……ごめん」
改めて詫びる。
「……」
すると。
口裂け女が、何かを考え込んだ。
「?」
何を考えているんだろう。
……そして。
口裂け女が
ゆっくりと口を開く。
……。
「じゃ、じゃあ……」
口裂け女が、モジモジする。
「……?」
「もう……いっそのこと……」
深呼吸する。
そして——
マスクを、少し触り
俺の耳元で、そっと囁く。
「ちゅ、チュウ……」
「しちゃいますか……?」
映画の音が、急に遠くなったように感じた。
さっきまで聞こえていた台詞も、
もう耳に入ってこない。
……。
……ん?
……へ?
な、何を言っているんだ、コイツ……。
顔、あり得ないくらい真っ赤だし。
昨日お酒を一気に飲んだ時の俺より、
さらに真っ赤だ。
……今、俺の顔はどうなってるんだろう。
つい、
余計なことばかりを思い浮かべてしまう。
「え……あ……いや……」
「……嫌、ですか?」
口裂け女の目が潤んでいる。
「……いや、」
言葉が詰まる。
……本当は、
めちゃくちゃしたい。
でも……、
俺はどうするかを決めていた。
「……いい」
「……やめとく……」
勇気が出なかったわけじゃない。
でも……今じゃないから。
「……」
口裂け女は、少し俯いた。
「……そうですよね」
無理に笑おうとする。
でも、うまく笑えていなかった。
「私……妖怪ですし……」
口裂け女が、
乾いた笑いをこぼす。
「普通の人は……嫌ですよね……」
……嫌じゃない。
そんなわけないだろ。
「口も……これですし」
マスクに、少し触れる。
「……怖いですよね」
怖くない。
愛おしくて……仕方ない。
「私なんか……」
彼女の視線が、床に落ちる。
……。
……。
……違う。
そんなことない。
こいつは、
根本的に間違っている。
……。
……そして。
気がつけば、
視界から口裂け女の悲しげな顔が消えていた。
……。
……俺が、口裂け女を
——抱きしめていたからだ。
ふんわりと、洗剤の匂いが鼻を抜けてくる。
口裂け女の耳元で、呟く。
「俺の、大事な人のことを……」
「悪く……言わないで」
腕の中の彼女が、小さく息を呑んだ。
口裂け女の声が、耳元で震えている。
何か、言いたげなようだった。
でも、俺は続ける。
「正直さ……」
「いずれ、したいって思ってる……」
……言ってしまった。
喉の奥が、カラカラに乾いている。
「でも……今、勢いでしたくないんだ……」
静かにしてくれ、俺の心臓。
本当に、今だけでいいから。
「だから……ごめん……」
静寂。
画面からは、
少女の泣き叫ぶ声が虚しく響いていた。
……。
「……ふふ」
口裂け女が、小さく微笑む。
「あれ……真に受けちゃいました……?」
「……え?」
「……冗談、です」
「あ……、そうだったんだ」
少し、間を空ける。
「……多分、そうです」
そう言って、
口裂け女が耳元で囁く。
「本当に……」
「やっぱり、あなたは“不純”です……」
俺の情緒が、持つ気がしない。
こいつの前では、
全てが丸裸にされる。
もう、抑えるので精一杯だ。
「お、お前が言ったんだろ……」
本当に、心臓に悪い。
俺、心臓止まっても
いいとまで思っちゃったのに……。
「ありがとうございました……」
「え……?」
……何に対してのお礼だ?
「大事な人……とか」
「いずれ……とか」
少し沈黙。
そして、小さく笑う。
「本当だったら」
「嬉しいですけど……」
そう言って、
俺から徐々に体を離そうとする。
……こいつは、何を言ってるんだろう。
俺は、嘘なんか一つもついていない。
やっぱり……こいつは間違ってる。
——だから。
もう一度、しっかり抱き寄せた。
今度は、
簡単に離れられないように。
強く。
「……本当、だから」
「ちょっとだけ、待っててよ……」
「俺、情けないけど」
「ちゃんと、覚悟決めたら……」
「逃げないから」
静寂。
口裂け女の息が耳にかかって、
少しこそばゆい。
そして。
笑い声が、
静かに聞こえた。
「……ふふ、そうなんですか?」
「……だめかな」
「……ううん、だめじゃないです」
「よかった……」
「じゃあ、待ってていいですか?」
「うん……待ってて」
静かな部屋には、
映画の音がやけに大きく響いていた。
困難を乗り越えた少女たちと
けむくじゃらの獣の笑い声が画面から響く。
でも。
二人の鼓動の音が、
はっきりと聞こえていた。
お互いに。
多分、気のせいじゃない。
「……じゃあ」
「仕方ないから、待っててあげます……」
そう言って、
口裂け女が俺の胸に顔を埋める。
どうやら、目元を拭っているようだった。
まるで……何かを誤魔化すかのように。
……。
……。
——気がつけば。
映画のスタッフロールが流れていることに気づく。
……少しして。
口裂け女が、小さくもがき出した。
「うぅ……、これちょっと苦しいかもです」
「……あ、ごめん」
俺は、慌てて腕を緩め離れようとする。
……だが、気がつけば
口裂け女も俺の体に腕を回していた。
だから、
離れようにも離れられなかった。
俺たちの小さな笑い声が、
映画のエンディングと重なる。
……そういえば、
なんの映画観てたんだったっけ。
……ダメだ。
頭が働かない。
まあ、いいか。
今は、こいつのこと以外……どうでもいい。
……。
気がついた時には、
画面からはもう何の音もしなくなっていた。
……
……
夜ご飯を食べ終え、風呂に入り。
電気を消し、
いつものように二人でベッドに潜り込む。
先に口を開いたのは、
口裂け女だった。
「映画、また観ましょうね……」
「うん……また観よう」
果たして、
あれは観たと呼べるのか。
どこか、馬鹿馬鹿しいことを考えてしまう。
口裂け女が続けた。
「明日は……お買い物なんですよね?」
「うん……」
「何買うんですか……?」
「お前の……服」
「……へ?」
「いつも……同じの着てるし……」
「……」
「埋め合わせするって……約束したから」
「……」
「遅くなって、ごめん」
「……」
口裂け女の返事はなかった。
もう寝たのだろうか。
部屋が暗くて、何も見えない。
——その時。
口裂け女が、
突然、手を繋いできた。
彼女の手は、とても冷たかった。
だが、手を繋いでいるうちに、
ゆっくり俺の体温に染まっていく。
それが、どこかむず痒い。
「……気持ちだけで、嬉しいです」
「私は……何もいりません。」
少し、間が空く。
沈黙。
その声は、
どこか遠くにいるみたいだった。
……嫌だ。
こいつには……
俺の隣で、ずっと笑っていてほしい。
「可愛いの……選んでやるから……」
「……」
「明日……楽しみにしててよ」
「……ふふ、わかりました」
口裂け女は、少し笑っていた。
でも。
この時の俺は、
まだ何も気づいていなかった。
彼女の肩が、
小さく震えていたことにも。
自分が、それを
無意識に見ないようにしていたことにも。
今思えば、
全部、俺の独りよがりだったのかもしれない。
……でも。
もし、もう一度やり直せたとしても。
俺は、同じ道を選ぶだろう。
何度でも。
何度でも。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ジュウヨンです。
今回は、おうちデート回になりました。
同棲までしているのに「おうちデート?」と思われるかもしれませんが、
口裂け女がそう言ったら、それはもうおうちデートなのです。
最初は勢いで始めた物語ですが、きちんとストーリーも進めていく予定なので、
今後も少しずつ展開していきます。
次回は、口裂け女とのお買い物回になります。
ある程度プロットはできているので、わりと早めに投稿できると思います。
お買い物回も、できるだけ甘酸っぱく進めていくつもりなので、
楽しみにしていただけると嬉しいです。
なんなら今回同様、少し甘々になるかもしれませんね。
ちなみに、プロット作りが家だと進まないので、今日は一日外で書いていました。
やっぱり気分を変えるのは大事ですね。
感想や評価、お気に入り登録をいただけると、とても励みになります。
そして余談ですが、お気に入り登録が100を超えました。
とても嬉しいです。皆様のおかげです。
本当にありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。