夕方の校庭。
人がいない。
静か。
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夜卜は立っている。
その前に——
五条悟。
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「で」
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軽い声。
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「緋色を使わない戦い方を教えて、だって?」
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視線だけで示す。
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緋色。
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少し離れて、立っている。
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夜卜は答えない。
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沈黙。
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「まぁいいけど」
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五条は肩をすくめる。
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「じゃあ代わり、教えるよ」
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一歩、近づく。
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「君の術式」
「“何かを素材に武器を作る”」
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「人じゃなくてもいい」
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足元を軽く蹴る。
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転がる。
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小石。
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「まずはそれで」
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夜卜は拾う。
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軽い。
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何の意味もない。
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「イメージしろ」
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「形を与える」
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「役割を決める」
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「“武器だ”って」
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呪力が流れる。
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小石が歪む。
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伸びる。
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固まる。
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形になる。
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刃。
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不格好。
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夜卜は振る。
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軽い。
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空気だけを切る。
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「……弱いな」
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五条が笑う。
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「そりゃそうだ」
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「ただの物だし」
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「魂も、縁もない」
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その言葉だけが、残る。
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五条が続ける。
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「じゃあ次」
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少しだけ視線を落とす。
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「自分の使ってみな」
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夜卜の手が止まる。
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ほんの一瞬。
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迷う。
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でも。
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何も言わず——
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呪力で強化して。
手のひらを裂く。
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血が、流れる。
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止まらない。
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一滴じゃない。
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溜まる。
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掌に広がる。
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そのまま、握る。
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呪力が流れる。
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血が集まる。
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絡む。
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固まる。
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形になる。
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刃。
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さっきとは違う。
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重い。
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“ある”。
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夜卜は振る。
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空気を裂く。
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確かな手応え。
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一歩、踏み込む。
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もう一振り。
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深く、切れる。
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でも——
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刃が、揺れる。
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ひび。
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軋む。
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血は、まだ流れている。
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止まらない。
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そのまま。
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三度目を振ろうとした瞬間——
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砕ける。
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崩れる。
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血に戻る。
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落ちる。
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その分だけ。
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体が、軽く削れる。
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呼吸が、少し浅くなる。
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「……コスパ悪いな」
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小さく。
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五条が笑う。
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「それくらい必要だよ」
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軽く。
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「君のはね」
「しかも使い切り」
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あっさり。
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「脆い」
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夜卜は何も言わない。
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ただ、手を見る。
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まだ滲む血。
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止まっていない。
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五条が続ける。
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「あと当然」
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少しだけ、目を細める。
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「使えば使うほど減る」
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その意味は、分かる。
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夜卜は息を吐く。
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もう一度。
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今度は少なめに血を使う。
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作る。
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短い刃。
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振る。
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保つ。
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でも。
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浅い。
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軽い。
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決定打には、ならない。
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消える。
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静かに。
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「……これでやるしかないか」
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誰に言ったのか。
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分からない。
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五条が肩をすくめる。
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「まぁ、しばらくはね」
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「それでも無理なら——」
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少しだけ笑う。
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「その時考えればいい」
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軽い言い方。
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でも。
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選択は残る。
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夜卜は何も言わない。
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そのとき。
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横から、声。
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「……でも」
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緋色。
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「ちゃんと、戦えてました」
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小さく。
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はっきり。
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夜卜は見ない。
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でも。
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拳を、わずかに握る。
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血が、にじむ。
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止める。
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それ以上は、使わない。
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緋色は何も言わない。
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ただ。
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隣にいる。
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近すぎず。
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遠すぎず。
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その距離だけが——
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まだ、保たれている。
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文字数を増やしたい今日この頃。皆さん、自分の小説の書き方(雰囲気など)変えてほしいですか?
書き方変えてほしいですか?
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はい
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いいえ
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どちらでもいい