君を武器にした日   作:なかりょた

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皆さん、おはようございます。アンケートまだまだ募集中です。あと2日ぐらいは。投票してくれた人は投票ありがとうございます。

ちなみに今日の午後にもう一話投稿する予定です。お楽しみに。


報復戦

静かだった。

 

さっきまで、そこにあったはずの音が、全部消えている。

 

呼吸の音だけが、やけに大きい。

 

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手の中。

 

刀。

 

赤い刃。

 

重くはない。

 

でも、軽くもない。

 

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「……夜卜」

 

声がする。

 

すぐ近くで。

 

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刀を強く握りしめる。

 

その瞬間。

 

空気が、歪む。

 

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「——来る」

 

緋色が言う。

 

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反射で、前を見る。

 

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いる。

 

あの呪霊。

 

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さっきと同じ場所。

 

同じ気配。

 

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消えていない。

 

終わっていない。

 

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「……は」

 

息が漏れる。

 

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さっき、何もできなかった相手。

 

緋色を殺した相手。

 

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「夜卜」

 

緋色の声。

 

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「逃げる?」

 

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問い。

 

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答えは、決まっている。

 

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「……逃げるわけねぇだろ」

 

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「そう」

 

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それだけで、十分だった。

 

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呪霊が動く。

 

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速い。

 

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来る。

 

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身体が動かない。

 

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理解が追いついていない。

 

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「——振って」

 

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その声で。

 

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動く。

 

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振るう。

 

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刃が、空気を切る。

 

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速い。

 

さっきより、明らかに。

 

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呪霊の腕を、弾く。

 

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「……っ」

 

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驚く。

 

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こんな動き、できないはずだった。

 

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「もう一回」

 

緋色の声。

 

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「……ああ」

 

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踏み込む。

 

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今度は、自分から。

 

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振るう。

 

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当たる。

 

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浅い。

 

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「硬い」

 

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「なら」

 

「変える」

 

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刃が、揺らぐ。

 

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水みたいに。

 

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形が変わる。

 

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伸びる。

 

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「……は?」

 

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「集中して」

 

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言われるままに、踏み込む。

 

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振るう。

 

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今度は、届く。

 

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深く。

 

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呪霊が、わずかに揺れる。

 

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効いている。

 

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「いける」

 

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その瞬間、呪霊が動く。

 

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速い。

 

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避ける。

 

ギリギリ。

 

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距離を取る。

 

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呼吸が乱れる。

 

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「……おい」

 

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「何」

 

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「これ」

 

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刀を見る。

 

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「お前、今、何した」

 

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「サポート」

 

即答。

 

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「サポートって……」

 

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「形、変えただけ」

 

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「簡単に言うなよ」

 

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「簡単じゃない」

 

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少し気まずそうに。

 

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「でも、できる」

 

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呪霊が再び動く。

 

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考える暇はない。

 

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「——来る」

 

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踏み込む。

 

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今度は、迷わない。

 

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振るう。

 

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連撃。

 

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刃が、変形する。

 

伸びる。

 

曲がる。

 

戻る。

 

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全部、勝手に最適化される。

 

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「……っ」

 

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ついていくので精一杯。

 

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でも。

 

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当たる。

 

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削れる。

 

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確実に。

 

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「あと少し」

 

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緋色が言う。

 

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「……ああ」

 

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最後の踏み込み。

 

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距離。

 

タイミング。

 

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全部が、噛み合う。

 

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振るう。

 

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深く。

 

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断つ。

 

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瞬間、黒い火花が散る。

 

 

呪霊が、崩れる。

 

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静かに。

 

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消える。

 

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音もなく。

 

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終わる。

 

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沈黙。

 

まるで最初からそこになかったみたいに。

 

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夜卜は、その場に立ったまま。

 

動かない。

 

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呼吸だけが、荒い。

 

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手の中。

 

刀。

 

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「……勝った」

 

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「うん」

 

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短い返事。

 

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「……なあ」

 

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「何」

 

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「俺、今」

 

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言葉が止まる。

 

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「お前、使った」

 

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声が震える。

 

沈黙。

 

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「そうだね」

 

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否定はない。

 

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「……」

 

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何も言えない。

 

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勝った。

 

ゾーンに入って、全能感に溢れているはずなのに。

 

でも。

 

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それでいいのか分からない。

 

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「夜卜」

 

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「……何」

 

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「さっき」

 

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「ちゃんと振れてた」

 

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それだけ言う。

 

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夜卜は、刀を見る。

 

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緋色を見る。

 

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「……慣れねえよ」

 

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「いいよ」

 

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即答。

 

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「私も慣れてない」

 

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ほんの少しだけ。

 

空気が緩む。

 

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「……そっか」

 

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「うん」

 

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風が吹く。

 

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さっきまでの戦いが、嘘みたいに。

 

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静かだった。

 

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夜卜は、刀を握る。

 

強くそれでいて優しく。

 

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離さない。

 

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離せない。

 

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その理由は、まだ分からなかった。

 




基本的に気分投稿ですが、できるだけ定期投稿します。朝方が多くなるかもしれません。評価、感想お待ちしております。

あと今思ったんですけど、高専前の修行編を入れないとなると夜卜と緋色は15歳ぐらいになるじゃないですか?(スカウト後すぐ高専編に入りたいので)15歳でこういう距離感の恋愛ってするんですかね?僕はこういう感じもありだなと思うんですけど。全然2年後に来てねみたいなスカウトでもいいんですけどね。

高専からスカウトに来るのはだれ?

  • 夜蛾
  • 五条
  • まだこない(修行期間突入)
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