ToLOVEる ~ 生まれ変わった意味を探して~   作:アイスが食べたいマン

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〜お嬢様の誘惑~

カラオケが終わった次の日の朝、俺達は学校へ登校している。

 

「おはようーララちぃ!」

「おはよ!」

「ララちゃんおはよう今日もカワイイねー」

 

ララさんは二学期が始まってからも人気は変わらず、登校してるだけでたくさんの生徒に話しかけられる。

 

「相変わらず、すごい人気だな」

「…そーだな」

 

リトは昨日のカラオケでレンくんと事故でキスをしてから元気がない、オレのファーストキスがヤローに取られたとか嘆いていた。

 

「あぁララちゃん!衣替えをしてもやっぱりキミはステキだね!!」

「あ、おはよ~レンちゃん」

 

レンくんは何事もなかったかのように変わらずララさんに話しかける。

 

「うがー!!」

「ぐぅ」

 

レンくんがララさんと話しているとリトがキレてレンくんに飛びかかる。

 

「ゆ、結城!!いきなりなにするんだっ!」

「うるせー!!」

「わ───二人ともやっぱり仲いいねー」

「…他の生徒の邪魔になるからやめろ二人とも」

 

ララさん、これは別に仲良くないよ。

そんな俺達を少し離れた場所から見ている女子生徒達が居るが誰だ?

 

 

少し離れた場所で三人の女子生徒がララ達を見ていた。

 

「綾…あの髪の長い娘は?」

「はい、最近下級生の間で話題の生徒でございます」

「人気あるじゃない、凛…少しあの娘の事調べてみて」

「はい、沙姫さま」

「ナンバー1は一人だけ…わたくし以外に、美しい存在はいらなくてよ!フフフフ…」

 

沙姫の闘志に燃えた目はララを捉えていた。

 

(…あの男、一瞬私たちを見なかったか?まさか視線に気づいた?)

 

ララの近くにいた優斗が一瞬、彼女たちを捉えた事に凛は疑問を感じながら、ララを調べるために動きだす。

 

 

 

 

予鈴が鳴りHR(ホームルーム)が始まった、HRといってもいつもとは少し違う。

 

「さて!もうすぐ待望の彩南高校学園祭!!というわけで実行委員になった猿山だっ!!」

 

俺達は今は学年祭の出し物を話し合っている。

 

「この前のHRでみんなに出してもらった出し物案だが!!オバケやしきに演劇、わたがし屋、どれもフツーすぎてあまりにつまらない!!」

 

猿山はそういうと黒板に何かを書いている。

つまらないは言いすぎじゃないか?普通に面白いと思うが。

 

「そこで考えた結果!!我がクラスは″アニマル喫茶″で行こうと思う!!」

 

アニマル喫茶?聞いたことないな、猫カフェ的なやつか?

 

「アニマル喫茶ぁー?何ソレ、コスプレ喫茶みたいなモン?」

「えーやーだー」

「は!やらねーよそんなの!」

 

籾岡さんと沢田さんや他のクラスメイトからは非難轟々で猿山へのブーイングの嵐だ、こんな状況だけど、どうやって納得させる?

 

「絶っっ対にはやる!!いいか、時代はアニマル!!弱肉強食の時代!!!」

 

猿山はなんとしてでもアニマル喫茶をやりたいようで、どこからか大量箱を持ってきた。

 

「とにかくものは試しだ!!女子!今からオレが用意した衣装に着替えてみてくれっ!!」

 

猿山はクラスの女子達に箱を持たせ、更衣室に行かせる、最後までブーイングの嵐だったが、果たしてどうなるか。

 

「なあ優斗はどーおもう?」

「正直、楽しければ何でもいい」

「なんか無いのかよ、こーゆーのやりたいとかさ」

「俺はみんなにとって最高の思い出になって楽しく出来ればそれでいいよ」

「優斗はもう少し欲張ってもいいんじゃないか?」

「充分欲張ってるよ」

 

リトと話していると女子は着替えが終わったようで教室に入ってくる。

 

「「「お──────────っ!!!」」」

 

男子が一斉に歓喜し始めた、反応的に猿山の思惑通りになったみたいだな、問題は女子側だけど。

 

「う──ん、まぁ…やってもいいかな」

「そーだねー」

「やろ──やろー!」

 

露出が多い衣装だが、女子からの評価も悪くなかったらしい。

意外だなこういう衣装は嫌がる子が多い、女子側がやりたくないと言ったら止めるつもりだったが、いらない心配だったか?

 

(…さて出し物は無事決まりそうだが、さっきから俺達を見ているあの人は誰だ?)

 

俺は教室の端から、木の茂みに隠れて見ている女子生徒を見る、最初は御門先生かと思ったが見てみると朝、俺達を見ていた三人の女子生徒うちの一人だった、一体何が目的だ?

 

(目的が俺じゃなくても見られるのは好きじゃない)

 

俺はあえて彼女が見られていることに気づいて貰えるように彼女を直視する。

望遠鏡でこちら見ていた彼女も見られていることに気づいたようだ、これで彼女も元の教室へ戻るだろう。

 

「と~き~さ~めぇ~!どう?私の衣装、似合う?」

 

籾岡さんは俺の方にきてガオーとポーズをする、モチーフは狼か?

 

「良いね、似合ってる」

「…ならもう少し良い反応しなさいよー」

「してるよ」

 

正直、露出が多く、目のやり場に困る衣装だが、似合ってはいる。

俺は外を見て、こちらを見ていた女子生徒がいた場所を見るもいなくなっていた。

 

「…なんかムカつく、そーだいいこと考えた、時雨!」

 

籾岡さんが俺の事を呼びながら、後ろから飛びついてくる。

 

「おい、やめ──」

「へぇー結構いい体してんじゃん」

 

ワイシャツの下に手を入れ体を触られる、ここ教室だぞ。

 

「うっわ腹筋すご、見た目細いのにめっちゃ筋肉あるじゃん」

「その触り方なんか気持ち悪いからやめてくれ」

「えぇ〜ひどーい、こ~んな美少女に触られてるのにー」

 

何故か触られるとゾワッとするからやめて欲しい。

 

「じゃあ~ここはどうかな~?」

「籾岡さん、本当に…!??」

「もしかしてここ弱いの?」

「耳元で囁くな」

 

籾岡さんに胸板を円を描くように触られる、そして耳元で囁かれて変な感覚になる。

 

「へぇ~弱点はっけーん」

「意味わからないこと言ってないで離れろ、ここ教室だぞ、誰かに見られる」

「大丈夫だって、みんな騒いでるし、教室の端だし」

「里沙~時雨くんに飛びついてなにしてんのー?」

 

沢田さんに見られていた、籾岡さんは何事も無かったように即座に離れる。

 

「な、なんでもなーい」

「え?でも今」

「ほらほら~みんななんか話してるし向こういこー」

「もしかしてリサ、時雨のこと…」

「ほーら行くよ未央」

 

そのまま沢田さんの背中を押してみんなの場所へ戻って行った、周りを確認したが、さっきと変わらず騒がしくかった、どうやら沢田さんしか見てなかったようだ。

まだ胸板を触られてた感触と耳元で囁かれた感覚が残っている。

 

「…優斗」

 

リトが顔を赤くしてこちらへ向かってくる、まさか見られてたか?

 

「ア…アニマル喫茶……いいかも………!!」

「は?」

 

リトは西連寺さんの衣装を見て顔を真っ赤にしてるだけだった。

 

「よ──し我が1年Aの出し物はアニマル喫茶に決定─────!!」

 

クラスから拍手が飛び交う、みんなやる気のようだ、もし恥ずかしくて着たくないって子がいれば裏方になってもらえばいい。

 

「このクラスで料理得意なやついるかー?」

 

猿山が呼びかけている、どうやら次は料理人探しらしい。

 

「…とりあえず、料理は俺が作るか」

 

さっき籾岡さんにされた事を忘れようと考えながら、俺は顔を真っ赤にしてショートしているリトを置いて、猿山に料理が作れることを言いに向かう。

 

 

少し時間が経って2年クラスでは。

 

「調査によりますと一年A組のアニマル喫茶がすでに学校中の噂となり、今年の彩南祭の目玉になりつつあるようです」

「やはり人気はララとかいう小娘?まったく…美しいものはわたくしだけでいいのに!」

 

調査報告を聞いていた沙姫は明らかに不機嫌で面白くないといった顔をしている。

 

「沙姫さま、その事ですが、面白い情報を入手しました、これをご覧下さい」

 

凛は沙姫に一枚の写真を見せる、そこにはリトが写っていた。

 

「この男は一年A組の結城リト、どうやらララの婚約者であるようです」

「こ、婚約者!?こ、この美しいわたくしをさしおいて婚約者ですって!!なんて腹立たしい!!!」

 

婚約者という話を聞いた沙姫は怒りをあらわにする。

 

「…もう一枚あります、こちらも見てください」

 

凛は写真をもう一枚出す、その写真には優斗が写っている。

 

「この男は結城リトの幼なじみです」

「それがどうかしたの?」

「そしてこの男は朝、私たちがララを見ていたのに気づいただけでなく、調査をしていた私にも気づきました」

「調査していた凛に気づいたですって?」

「…名前は時雨優斗」

「聞き間違いかしら?今、時雨って言ったの凛?」

「はい」

 

沙姫は時雨と聞いた瞬間、驚愕する。

 

「あの″時雨″?」

「そこまでは分かりません、ただこの男、教師だけでなく学年問わず、たくさんの生徒を助けているようで教師からは信頼も厚く、女子生徒からは絶大な人気があります」

 

沙姫は少し考えたあと、何かを思いついたように言う。

 

「……はっ、そうだわ!この二人を私の美貌で落としてしまえば、あの娘があわてふためく事間違いナシ!そうよ!これだわ!!フフフ、見てらっしゃい、ララ」

「沙姫さま、もし時雨優斗があの″時雨″だとしたら…」

「凛、これは天条院家にとってもチャンスなのよ?わたくしたちが知っている″時雨″ならお父様にとっても大きな利益になるわ!」

 

沙姫の高笑いは教室に響き渡る、こうして沙姫の誘惑作戦が決行されることとなった。

 

 

 

 

あれから数日経って彩南祭まであとわずかとなった、クラスのみんなは各自与えられた準備に取り掛かっている。

そして俺は料理に使う材料の買い出しに向かっている。

 

「…買うものが結構あるな」

「ちょっとそこのアナタ!」

「?」

「二年B組天条院沙姫!!このわたくしがあなたと付き合ってあげてもよろしくてよ!!」

 

この前、俺達を見ていた三人組の女子生徒のうちの一人か、天条院沙姫ね、後ろにも二人いるな、正直構ってる暇はないのだが、狙いはなんだ?

 

「先輩も出し物の準備で忙しいと思うので、お気持ちだけ受け取っておきます」

 

それだけ言って俺は天条院先輩を置いて先に行く、今は構ってる暇はないのと恐らく、構ったら時間がかかる予感がした為、俺は先を急ぐことにした。

 

「優斗!」

「リト?お前も買い出しに来たのか?」

 

買い出しの帰り道、コンビニの前でリトに合う、どうやらビニールテープを買いに来たらしい。

 

「お前すげぇー量だな」

「いや、とりあえず頼まれた物と当日すぐに作れないデザート系の材料を買ってきた」

「デザートって何作る気だよ」

「ガトーショコラとかモンブランとか?」

「いや、ガチすぎるだろ」

 

せっかくの彩南祭だしお客さんにとっていい思い出になって欲しい、それに料理を提供するからには美味しい物を食べてもらいたい。

 

「ガトーショコラとモンブランって普通作れねーよ…とか話してる場合じゃねえ、悪い優斗、俺先に戻る!」

 

リトは走って戻ろうとすると天条院先輩が現れる。

 

「いや~~んイジワルな風〜見えては行けないモノが見えてしまうわ~」

「……」

 

この人は何やってるんだ?

ちなみにリトは天条院先輩をスルーして先に戻った、西連寺さんのことでも考えて走っていて、気づかなかったな?

 

「何がしたいか分かりませんが、あまり女性がそういうのやらない方がいいと思いますよ?」

 

俺は天条院先輩にそれだけ言って横を通り過ぎ教室へ向かう、なんとなくだが、天条院先輩は自分のプライドの為、俺とリトに接触してこんな事をしてるのだと思う、理由は天条院先輩からは好意というより闘志を感じたからだ。

 

 

俺は買い出しから戻って試作品のデザートを作る、前々から準備していた為、試食品はすぐに完成した。

誰かに試食してもらう為、教室へ向かっていると教室の中から声が聞こえてくる。

 

「なんだが…熱っぽくて苦しいの…」

 

天条院先輩がリトにそう告げるとわざと下着が見えるように倒れ込む、なぜ俺やリトの為にそこまでする?

 

「あなたの…あなたのせいなのよ…」

「へ?オ…オレ」

「そう…ホラ、ムネもこんなにドキドキしてる…」

「な……な…な」

 

こんな状況でも天条院先輩からリトに対する好意は感じない、好意がない相手に何故そこまでできる?

俺は天条院先輩が何をしようとしてるのか、なんとなくわかった為、止める目に近づく。

「……ちょ!?」

「!!」

 

リトと西連寺さんも気づいたらしい。

天条院先輩はリトを逃がさないように頬を触りそのままキスをしようとする。

 

パクリ

 

「!??」

「お味はいかがですか、天条院先輩?」

 

俺はキスをしようとした天条院先輩の口にモンブランを入れた。

 

「あ、あなた、わたくしの口に一体何を入れて─────」

「モンブランです、味には自信があるのですが、いかがですか?」

「そういう問題じゃありま───」

 

天条院先輩は何かを言う前に黙ってしまう。

 

「お、美味しい」

「それは良かったです」

「そうじゃありませんの、あなたよくもわたくしの邪魔をしましたわね?」

「邪魔をしたことは謝りますが、自分のプライドの為に好きでもない男にキスをするべきじゃないと思いましたので止めさせてもらいました」

 

俺は天条院先輩に正直に伝える、この人は俺やリトを堕としたかったんだと思う

 

「キスって言うのは事故でもない限り、好きになった人にするべきものです、好きでもない人と無理にキスをするのはお互いにいい結果にはならないかと」

「……」

「なにがあなたをそうさせたのか、俺には分かりませんが、そんな事しなくてもあなたは十分素敵な人ですよ」

「!?」

 

天条院先輩は驚いた顔をして俺を見る。

 

「レンちゃん待ってー!ちょっとこれ来てみなよー」

「や…やめてくれ───僕は男なんだー!!!」

 

廊下からララさんとレンくんのこちらに向かってくる、このままだと二人が天条院先輩にぶつかる。

 

「沙姫さま!」

 

あの人はHRで俺達を木の茂みから見てた人か、助けようとこちらに向かってるが、その距離だとどう足掻いても間に合わない。

 

俺は天条院先輩の手を引っ張りこちらへ引き寄せ、庇うように背中へ手を回す、傍から見たら抱き寄せてる感じに見えるだろうな。

 

「な、な!」

「抱き寄せる感じになってすみません、怪我はありませんか?」

 

俺は抱き寄せる感じになってしまった天条院先輩からすぐに離れて様子を見る、よかった怪我はなさそうだ。

 

「沙姫さま!お怪我はありませんか?」

「沙姫さま!あーもし沙姫さまにお怪我があったら私は…」

「…凛、綾大丈夫よ、怪我はないわ」

 

天条院先輩は二人にそういうと今度は俺を見てくる。

 

「時雨優斗!助けてくれたこと感謝しますわ、それとあなたが言った言葉、ありがたく受け取らせてもらいますわ」

 

それだけ言って天条院先輩は凛と綾と呼ばれた生徒と一緒に教室を出ようとするが、何かを思い出したようにこちらを向く。

 

「伝え忘れてましたわ、あなたの作ったモンブラン、とても美味しかったわ、この天条院沙姫がまた機会があれば食べてあげてもよろしくってよ」

 

最後に、ララに伝えなさい?明日の彩南祭では負けませんわと言い残し天条院先輩達は教室を後にする、リトはなんだったんだ?といってぽかんとしていた。

 

「…時雨、見せつけてくれるじゃん」

 

後ろを向くとこちらを睨んでいる籾岡さんがいた、別に誰にも見せつけてないのですが?

 

「抱き寄せてるように見えたけど?」

「気のせいだ」

「へぇー」

「脇つねるのやめてくれ、痛い」

 

誤解を解いたあとも籾岡さんは納得のいかない顔をしていたが試食のモンブランとガトーショコラを渡して誤魔化した。

ちなみにみんなから好評だったので数量限定でメニューに加えられました。

 

 

 

 

迎えた彩南祭当日。

 

「いらっしゃいませ──────!!アニマル喫茶へようこそー!」

 

アニマル喫茶は列ができるほど大盛況だった、意外なことに男子生徒だけじゃなく、女子生徒も結構来店していた。

 

「ははは──大人気!!やっぱオレのアイデアは天才的だったぜ」

 

厨房で猿山は嬉しそうに言う、ホールを見てないで手伝え猿山。

 

「嬉しい誤算は時雨が作る料理がめちゃくちゃ美味いって噂になって女子生徒も沢山来てることだなぁ」

「猿山なんでもいいから見てないで手伝え、これじゃあ間に合わない」

「オレ料理できねーから任せたぜ時雨!」

 

逃げたか、てかなんで俺一人で厨房回してるんだ?他に料理できる男子いないのか?

 

「ユウトー!オムライスとガトーショコラが3つずつだってー」

「時雨ー!チャーハンとモンブラン2つ注文入ったー!」

「時雨くん忙しいところごめんね?カレーライスと─────」

 

ララさん、籾岡さん、西連寺さんさらほぼ同時に注文が入る、ここまで来たらやるしかない。

そこから二時間、俺は厨房を一人で回しきった。

 

「…休憩入る」

「お前まじか、よく一人で回せたな?」

「ここからは任せたぞ、猿山」

「え、俺料理できないぜ?」

「できないじゃない、死ぬ気でやれ、それに少し飲み物買ってくるだけだ」

 

俺はエプロンを猿山に押し付けて教室を出て、自販機で飲み物を買って飲みながら、教室へ戻っていると天条院先輩の声が聞こえてくる。

 

「ララー!!覚えてなさ───い!!!」

 

こっちに向かって天条院先輩は胸を隠しながら校長から逃げている、なんだその変態が喜びそうな格好は。

 

「天条院先輩、俺の後ろに来てください」

「時雨優斗!?」

「うっひょ────グブォ」

 

俺は天条院先輩を追いかけてきた校長の顔面にラリアットを食らわせる、校長は廊下に倒れ込み気絶した、やりすぎたかな?

 

「大丈夫ですか?とりあえず、これ渡すので今すぐ着て下さい」

「これはあなたの────」

「いいから早く着て下さい」

 

俺は着ていたブレザーを渡すと天条院先輩は俺に背を向けブレザーを着た。

 

「「沙姫さまっ!」」

 

どうやらあの二人も天条院先輩を追ってきたようだ。

「とりあえず、二人と合流したら、制服を持ってきて貰いましょう」

「なぜ?」

「はい?」

「なぜ、わたくしのことをあなたは助けてくれるの?」

「俺は目の前に助けられる人がいたら、助けるだけですよ、見捨てたり見て見ぬふりをしたら、死ぬほど後悔しますから」

 

天条院先輩はそれ以上何も言わずに下を向く。

 

「沙姫さまこれは、一体なにが」

「校長が倒れて…」

「お二人ともすみません、天条院先輩の制服持ってきてもらってもいいですか?」

「私が沙姫さまの制服を撮ってまいります」

 

綾と呼ばれていた先輩は天条院先輩の制服を取りに教室へ向かう。

 

「君は時雨優斗」

「あなたは俺達をずっと調べてた人ですよね?」

「そうだ、私は九条凛、さっきのは藤崎綾だ、これは君が?」

「はい、天条院先輩が襲われそうだったので」

「助かった、ありがとう」

「気にしないでください、九条先輩、あとはお任せしてもいいですか?」

「ああ、迷惑をかけたな」

「お待ちなさい!」

 

俺が帰ろうとすると天条院先輩に止められる。

 

「まだお礼を言ってなかったわ、ありがとう」

 

やっぱりこの人は悪い人じゃないな、根は真面目で良い人なんだろう。

 

その後、教室へ戻ると厨房がダークマターが量産されていた為、猿山に理由を聞いたら俺の代わりにララさんが料理をしてこうなったらしい。

ララさん一体何を入れたんだ?

 

 

優斗が居なくなった廊下で沙姫は考えていた。

 

「…時雨優斗」

「沙姫さま?どうなさいましたか?」

「凛、徹底的に彼を調べて」

 

沙姫は何故か知りたくなってしまった、どんな些細な事でもいい、時雨優斗という人間を。

 

「かしこまりました、沙姫さま」

 

────俺は目の前に助けられる人がいたら、助けるだけですよ、見捨てたり見て見ぬふりをしたら、死ぬほど後悔しますから

 

沙姫は先程、優斗が言った言葉と顔を思い出す。

 

「…かっこよかったですわね」

 

借りたブレザーをギュッと掴み、沙姫はしばらく胸の高鳴りは止まらず、顔を赤くしたままだった。

 

 

 

おまけ

 

彩南祭前日の夜、美柑に誘われ、結城家にいた。

 

「最近優兄から女の人の匂いがする」

「…気のせいだよ」

「絶対嘘だ」

 

俺のことを好いてくれてる事は嬉しいけど、美柑の目が怖い。

 

「優兄、今日泊まって行ってね?」

「わかった」

「あと今日は私の部屋で一緒に寝よ?」

「…さすがにそれは美柑ももう五年生──」

「寝るよね?優兄ィ?」

「せめて美柑部屋じゃなくて────」

「優兄?」

 

今度から美柑に合う前はあんまり女子と話さないようにしよう。

 

 

 

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