ToLOVEる ~ 生まれ変わった意味を探して~   作:アイスが食べたいマン

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~想いとバレンタイン~

「ねえ?なにを作ってるの?」

「え?」

 

少年が修道服に身を包んだ、10代後半くらいの少女に声をかける。

 

「これはね?チョコレートだよ?」

「チョコレート?わざわざ溶かして作ってるの?」

「そうだよ、そろそろバレンタインだからね」

 

そういうと少女は少年にカレンダーを見せる。

 

「バレンタインは女の子にとって大切な日…大切な人に想いを伝える日なんだよ?」

「へー大変だね、⬛︎⬛︎さんは、好きな人いるの?」

「え?」

「だって大切な人って好きな人の事じゃないの?」

 

少年は少女を見てキョトンとする、そんな少年の顔を見た少女は笑顔になる。

 

「大切な人っていうのは、別に好きな人だけじゃないよ、家族とか、友達とか、愛してる人にあげるんだよ?」

「……愛してる人ってなに?好きな人とは違うの?」

「ッ!?そっか優斗は…」

 

少女一瞬悲しい顔をするがすぐに笑顔になり、優斗と呼んだ少年の頭を撫でる。

 

「いつか優斗もわかる日が来るよ?だから優斗も女の子からチョコを渡されたら、受け取るんだよ、それが例え美味しくなかったとしても、どれだけ量が多くても、優斗にあげるために頑張って作ってくれたものだから、しっかり食べてね?」

「わかった」

「まあ、甘いのが大好きな優斗なら大丈夫か」

「⬛︎⬛︎さん、ぼくの分はあるの?」

「もちろん、優斗の分もあるから、楽しみにしててね?」

「楽しみにしてればいいの?」

「そうだよ?とびっきりのをあげるからね!」

 

優斗は首を傾げた後、わかったと言って少女を見る。

 

「…なにか手伝うことある?」

「じゃあ、花の水やりと子猫たちにミルクをあげるのお願いしてもいい?」

「わかった」

 

少年はキッチンを出ていく。

 

「私があの子をちゃんと愛してあげないときっとあの子は……これからも愛するって感情を、誰かに恋をするという感情を知らずに育ってしまう」

 

少女は改めて決意したようにチョコレートを作り出す。

 

「人の暖かさをゆっくりでいいから、知って欲しいなぁ」

 

少年にとって彼女は初めての″希望″であり、″優斗″という名前をくれた″大切な人″だった。

 

 

 

 

2月14日はバレンタインデー、世の中の男子学生は色々期待するものがある。

 

「いよいよ来たぜ、バレンタインデー!!思えばチョコなんて美柑からしか、もらったことねェ…」

 

リトは呟くと何かを期待した様な目をして俺を見る。

 

「何?」

「今年はひょっとしたら、春菜ちゃんから貰えるかも、ってか欲しい!」

「…理由は?」

「高校生になって大分仲良くなったと思う!」

「俺が居なくても、一人で話せるようになったしな」

 

リトはララさんが来てからかなり成長した、今まで一人で話す事も難しかったのに話せるようになった。

それにリト、心配しなくても西連寺さんからチョコは絶対貰える、西連寺さんが渡すことを躊躇わなければね。

 

「でもやっぱ、考え甘いかな~」

「大丈夫だよ、きっと貰えるさ」

「他人事みたいに言いやがって、お前は良いよなぁ〜、毎年、色んな人からもらえるだろ?」

「……」

 

チョコを貰えるのは嬉しいが、それと同時に告白されることも多い、告白される度に俺は断りの返事をする為、申し訳なくて胸が痛い、それに貰えば貰うほど、美柑の目が怖くなる。

そんな事を考えていると横にいたリトが、西連寺さんと鉢合わせする。

 

「あ!!」

「結城くん…」

「お…おはよ、西連寺…」

「おはよう、結城くん、時雨くん」

「おはよう」

「め…めずらしいな朝会うなんて!!」

「…ララさんは?」

「あ、あぁ、あいつなら用があるから、先に行くってさ」

「そ…そうなんだ」

 

会った瞬間、二人とも気まずい顔をする、俺は西連寺さんの鞄を見る、いつもと違い、一部が丸く膨らんでいるため、おそらくチョコが入っている。

このまま、リト達と一緒にいれば、西連寺さんがチョコを渡しにくい、俺は邪魔だろう。

 

「悪い、リト、俺も学校に用事があるの忘れてた、先に行く」

「え?おい!優斗!?」

「じゃあまたあとで、西連寺さん」

 

俺はリトに気づかれないように西連寺さんの方を向いて、口パクで頑張れと伝える、西連寺さんはそれに気づいたのか、顔を赤くして頷く。

俺は走って先に学校へ向かう、西連寺さん、マジで頑張ってくれよ?

 

「おはようございます、優斗」

「あれ?おはよう、ヤミさん、朝からこんな場所でどうしたの?」

 

走っているとヤミさんに声をかけられた。

 

「あなたを探していました」

「え?」

「これどうぞ」

 

ヤミさんは手に持っていた袋からたい焼きを取り出して、俺にくれた。

 

「ありがとう」

「…今日は親しい友人にチョコあげる日だと聞きました」

「ってことはもしかして、このたい焼き、チョコ味なの?」

「はい、その…売っていたので、ともだちのあなたに…と思いまして…」

 

ヤミさんは言っていて恥ずかしくなったのか、顔を赤くしてそっぽを向いた、少しずつだけど、彼女の中の何かが変わっているのかもしれない。

 

「バレンタイン、不思議な文化ですね」

「そうだね、女の子にとっては特別な日だからね」

「特別ですか」

 

──────バレンタインは女の子にとって大切な日…大切な人に想いを伝える日なんだよ?

 

…懐かしい事を思い出した、あの頃の俺は何も知らない子供だった、短い間だったけど、大切な人と過した、目もくらむような大切な日々。

 

「…ヤミさんお返しは何がいい?」

「はい?」

「ホワイトデーと言って、バレンタインデーでチョコをもらった人にお返しをする日があるんだ」

「…お返しですか」

「俺にできることならなんでもやるよ」

 

ヤミさんは何かを考えている、欲しいものとかあるのかな?

 

「本を読める場所を探しています」

「本?好きの?」

「あなたが言ったんですよ?この星の事をもっとして欲しいと」

 

ヤミさんは知ろうとしてくれている、この星のことを。

 

「学校に図書室がある、そこなら期限付きだけど、たくさん本を借りることができるよ、ヤミさんが暇な時に借り方を教えるよ」

 

学校の関係者以外借りることができないなら、最悪、俺の名前を使えばいい。

 

「学校の図書室ですか、良いのですか?結城リトは私のターゲット、学校の図書館だと──」

「ヤミさんがリトを殺そうとしても俺が止めるし、俺はヤミさんがそんな事しないって信じてる」

「ッ!?あなたはなぜそんな恥ずかしいことが言えるのですか!」

「思ったこと言ってるだけだよ」

 

顔を赤く染め上げたヤミさんは俺に告げるが、俺は思ったこと言ってるだけだ。

 

「それで、いつ空いてる?」

「何故そんな平然としていられるのか、分かりませんが、私はいつでも大丈夫です」

「なら、ヤミさんが良ければだけど、明日の放課後にでも教えようか?」

「…わかりました、明日の放課後ですね、屋上で待っていてください」

「わかったよ」

 

ヤミさんはそれだけ言って飛び立っていく、え?屋上?まぁ普通に正門から入れば…目立つか。

俺はヤミさんから貰ったたい焼きを食べながら学校へ行く、たい焼きは買ったばっかりだったのか、暖かくて美味しかった。

 

俺は学校について、下駄箱を開けて立ち尽くす、開けたら、大量のチョコが入って雪崩のように落ちてきたからだ。

 

「よっ!時雨〜、朝からなに立ち尽くして…あんた、そのチョコどうしたのよ」

「おはよう、籾岡さん、下駄箱を開けたらこうなった」

 

立ち尽くしていた俺に籾岡さんは話しかけてくる、とりあえず拾うか。

 

「…ライバル多すぎでしょ」

「……」

「時雨、私も手伝ってやんよ」

「ありがとう」

 

俺は籾岡さんにも手伝ってもらってチョコを入れる、チョコの中には手紙もついてる物もあった。

拾い終わると籾岡さんは自分の鞄から何かを取り出して、渡してくる。

 

「…そんなにあったらいらないだろーけど、チョコレートあんたにやるよ」

「いらなくないよありがとう、すっごい嬉しいよ」

「ッ!?あんたは本当に!!今に始まったことじゃないか、ホワイトデー期待してるぜ?」

「わかってるよ」

 

籾岡さんは俺にチョコを渡すと一緒に教室へ向かう。

 

「…時雨、ちょっと良い?」

「なに?」

 

俺の肩を掴み、耳元で囁く。

 

「あのチョコ義理じゃないから、いつかあんたを絶対に堕とすから覚悟してなよ?フゥー」

「ッ!?」

「ぷっ、くくく…アハハハ、その反応、前から思ってたけど、あんた耳弱すぎかよ───っ!」

「うるさい」

「はぁーおもしろかった、じゃあ私、先に教室行くわ」

 

籾岡さんはそれだけ言って教室へ行く、息吹きかけられたら、誰でもこうなるだろ。

 

「あなた耳弱いのね?」

「…最悪だ」

 

一番知られたくないことなかった人、御門先生がいる。

 

「いきなり酷いわ、最悪なんて…」

「今日は診察に行くつもりはないですよ」

「あら?診察以外で話しかけたらダメなのかしら?」

 

正直、この人と話していると調子が狂う、何故か話す必要のない、過去の話をしてしまう、出来れば診察以外で話したくないが…

 

「あなたモテるのね?鞄の中に入ってる物もそうだけど、籾岡さんからも貰うなんて、罪な男ね?」

「……要件はなんですか?」

「せっかちな男は嫌われるわよ?」

「用がないなら、俺はこれで失礼します」

「これを渡しに来たのよ」

 

御門先生が胸元から箱を出してくる、いや、ちょっと待て、どんな所に入れてるんだ。

 

「なんですか、これは?」

「チョコレートよ?」

「義理でも、教師が生徒にチョコをあげるのは問題では?」

「あら?義理なんて一言も言ってないけれど?」

「は?」

 

この教師は何を言っているんだ?教師が生徒に手を出すのはアウトだろ?

 

「…冗談よ?びっくりしたかしら?」

「今のは流石にびっくりしましたよ」

「そのチョコ、私初めて作ったのよ?だから…」

「そうですか、すみませんが時間ないので失礼します」

 

俺は話を終わせて教室へ行こうとする。

 

「この前の″金色の闇″との戦いお見事だったわ?」

 

その言葉を聞いた俺は足を止める、本題はこれか、だが一体どこで見ていた?見事だった?まさか最後まで見られたのか?

 

「ストーカーは犯罪ですよ?御門先生」

「たまたま見ていただけよ、今度の診察の時に教えて貰いたいわ?なぜあなたはそんなに強いのか」

 

それだけ言うと御門先生は満足したように保健室へ戻ろうとする。

 

「今は金色の闇じゃないですよ?俺の友達の″ヤミさん″です」

「え?」

 

御門先生は驚いた顔をして俺を見る、御門先生もそんな顔するのか。

 

「あなた何を言って────」

「チョコレートありがとうございました、失礼します」

 

俺はそれだけ言って教室へ向かう。

 

教室に入るとララさんから声をかけられる。

 

「ユウト!おはよー!」

「おはよう、ララさん」

「ユウトもチョコあげるから食べてー!」

「ララさんありがとう、もしかして手作り?」

「そーだよ!!」

 

ララさんはカゴにいっぱいチョコを差し出してくれる。

 

「もしかしてみんなに配ってるの?」

「うん!だって今日はバレンタインデーっていう、みんなにチョコを配る日でしょ!?」

 

ララさんは少しだけ勘違いしているみたいだが、本人は楽しそうだし良いか。

 

「ララさん、これ美味しいよ」

「ホント!?よかったぁ!私他の人にもあげてくるッ!!」

 

 

ララさんは新井さんにチョコを渡しに行ったタイミングでリトと猿山が教室へ入って来る、リトは俺を見つけると近づいてきた。

 

「お前、置いていきやがったな?」

「いや、気を利かせて二人にしたんだけど…え?チョコ貰えなかったの?」

「…貰えなかった」

 

渡せなかったのか西連寺さん、次の渡すタイミングを上手く作ってあげた方がいいか?それとも余計な事をせず、見守った方がいいか?この時の俺は気づかなかった、考え事をしていた俺の背後に誰かが近づいていたことを。

 

「ッ!?籾岡さん!!」

「時雨、私もう、あんたを見ると抑えられない」

「なに言ってるのか分からないけど、離れてくれ」

「時雨くん、リサばっかりずるいよ」

「新井さん!?」

 

後ろからは籾岡さんに抱きつかれて、前からは新井に抱きつかれて身動きが取れなくなる、どうなってるんだこれ。

 

ハムッ

 

「なぁッ!!?も…籾岡さん!?耳は…やめ…ろ」

「時雨くんのせいで私の胸、こんなにドキドキしてるんだよ?」

「そこ…は触ったら、ダメ…なところ…だろ!」

 

籾岡さんに耳を甘噛みされて、新井さんは俺の手を取り、胸を触らせてくる。

 

「すっごい、時雨くんの胸、すっごいドキドキしてるね…」

「あんた、マジで…いい身体してるわ…」

「その…触り方やめろ、…脱がせるな!」

 

制服の下に手を入れてくる二人、新井さんは我慢できなくなったのか、ブレザーを脱がして、ワイシャツに手をかける。

このままだとやばい、色々とまずい。

 

「…二人共、悪い」

 

俺は強引に二人を振りほどく、耳を甘噛みされた感触と身体を触られた感触が残りゾワゾワする。

 

「時雨くん、待ってッ!」

「私、あんたがいないと…」

 

どうしてこうなった?何が原因だ?俺は周りを見渡すとみんな顔を赤く染めて抱きしめあっている。

共通点はなんだ?

 

─────ユウトもチョコあげるから食べてー!

 

─────うん!だって今日はバレンタインデーっていう、みんなにチョコを配る日でしょ!?

 

まさか、あの時ララさんが配っていたチョコが原因か?

確かに新井さんはあのチョコを食べていた、でもそうなるとなぜ俺はみんなみたいにならないんだ?

それにリトと西連寺さんもいない、逃げたのか?それとも追われてるのか?

 

「時雨くん、私のチョコ食べて?」

「時雨────好き───!!」

「新井さんが正気に戻ったら、チョコは貰うよ」

 

新井さんが渡しに来てるチョコがちゃんと俺に渡す予定のやつなら貰うよ、別の人の為に作ったなら申し訳ないからね。

 

(今はとりあえず、ララさんを探して見つけ次第、話を聞こう)

 

俺は教室から出て廊下を走っていると目の前に見覚えのある人達が見えてきた。

 

「天条院くん─────好き好き───!!!」

「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

裸の校長に今にも襲われそうな天条院先輩とそれを見て呆然としてる、九条先輩と藤崎先輩が見える。

校長、マジで捕まってくれ、てか警察働けッ!!

 

「天条院先輩、伏せてください」

「え?」

「ごっぶッ」

 

俺は裸で襲いかかろうとする校長の顔に向かって飛び膝蹴りをする、顔に飛び膝蹴りを食らった校長はそのまま地面に倒れて気絶する。

 

(…綺麗に入ったな、流石にやりすぎたか?いや今はそれより)

 

「大丈夫ですか?天条院先輩」

「と…時雨優斗!!」

 

俺が声をかけると驚いた顔をする天条院先輩、校長に襲われる前に助けたから怪我は無いはずだが。

 

「大丈夫なら、俺は────」

「あ…あなたを探していましたわッ!!!」

「…探していた?」

 

天条院先輩は顔を赤くして、豪華なラッピングがされている何かを渡してくる。

 

「これは?」

「チ…チョコですわ、わ…私が腕によりをかけて作りましたの…」

「頂いていいんですか?」

「沙姫さまは君の為だけに作ったんだ、受け取って欲しい」

「凛ッ!?」

 

天条院先輩は顔を赤く染め上げ、九条先輩の言葉に反応する、まさか天条院先輩も…いやそんなわけないよな?

 

「勘違いですわ!?これはあくまで義理ですってよ!!わたくしが本命を─────」

「義理でも俺の為に作ってくれたんですよね?うれしいですよ、ありがとうございます」

「なッ!?そ…そう、それなら良かったですわ!」

天条院先輩はそれだけ言って走ってどこかへ行ってしまう、藤崎先輩は沙姫さまー!と言ってついて行った。

 

「君にはまた助けられたな、ありがとう」

「ただ助けたいから、助けただけです、気にしないでください」

「わたしも君に渡したい物があってな、君には色々迷惑をかけたからな」

「ありがとうございます、うれしいです」

 

九条先輩からチョコを渡された。

 

「君は急いでいたようだが、何かあったのか?」

「今みんながおかしくなっているのは、ララの配っているチョコが原因かもしれなくて、ララさんを探しています」

「そういうことか、彼女なら上で見た」

「上ですね、ありがとうございます、事が収まるまで天条院先輩達と隠れていた方がいいですよ」

「そうした方が良さそうだ、私は沙姫さまたちと合流して隠れるよ」

 

九条先輩は天条院先輩を追いかけていく、俺もララさんを探さないとな。

俺は階段で上に登り、ララさんを探しているとリトと西連寺さんを見つけた。

 

「おいしい?ねぇおいしい?」

「ほいひいでふ…」(おいしいです)

「………」

 

君らは何してるんだ?リトはなぜ西連寺さんに箱を口にねじ込まれている?

 

「リト───────────!!」

 

俺が二人を見て唖然としていると探していたララさんが来た。

 

「リトー、ユウトー、みんな変になっちゃったよ~」

「変ってお前のせいだろ──────っ!」

「ララさんらチョコになにか入れた?」

「えー?私はただ…御門先生に教えてもらった通りに作ったんだけどなァ」

「御門先生!?」

 

…あの人は一体なにを教えた?ただ普通のチョコじゃないことだけはわかった。

 

「あらあら、なんだか大変な事になってるみたいね?」

 

御門先生が話しかけてきた、しかも何故か面白そうな物を見つけた子供の顔をしている。

 

「先生、どーゆー事なんですかっ」

「ん?実は昨日ララさんにチョコの作り方を聞かれてね、催淫効果のあるホレ星の薬草を入れるように教えちゃった」

 

御門先生が黒幕だった、あなたのおかげで今大惨事なんですけど、悪戯心で教えたらしく、リトだけが食べると思っていたらしい。

 

「大丈夫!ホレ草の効き目はすぐに消えるから」

「そーゆー問題じゃねー」

 

俺達が話しているとみんな元通りに戻っていた、俺は今の話を聞いて一つ気になったことがある。

 

「御門先生、まさか俺に渡したチョコにもなにか入れてます?」

「あら?バレちゃった?」

「何を入れたんですか?」

「それはね?私の愛情よ」

「………」

「冗談よ」

 

突っ込むのも面倒くさくなった俺は御門先生を無視して教室へ戻る。

 

「時雨くん!」

「新井さん?」

「これ!チョコレート、この前のお礼!」

「ありがとう、新井さん」

 

新井さんからチョコを渡される、いや本当に俺宛だったのね。

 

「その…時雨くんはどんな子がタイプとかある?」

「いきなりだね?うーんこれといってないかな?」

「じゃあ好きな人はいる?」

「いない」

 

俺の言葉を聞いた新井さんはよっしと言いながら小さくガッツポーズをする、丸見えだよ?新井さん。

何事も無かったように話しているけど、さっきの記憶はみんなの中から消えているのだろうか?

周りを見るとみんないつもどうりでさっきのことは何も覚えていなさそうだった。

 

「時雨くん!今もドキドキしてる?」

「…はい?」

「ドキドキしてたら嬉しいな…」

 

嘘だろ?新井さんさっきのこと覚えてるのか?いやまさかな?

 

 

 

 

学校が終わり、下校時間になった、俺はチョコレートについていたラブレターの返事をしていた為、帰るのが遅くなってしまった。

自宅へ向かって歩いていると家の前に両手を後ろに隠した美柑が立っていた、

 

「優兄、遅かったね?」

「ちょっと色々あってね?」

「…告白されたんでしょ?」

 

美柑にはバレてるよな。

 

「返事はなんて言ったの?」

「ラブレターを渡してくれた子は全員断った」

「ふーん、そうなんだ」

 

美柑は隠していた両手を前に出す、可愛く綺麗に包装された箱を渡される。

 

「はい、私からのチョコ」

「美柑、ありがとう、大切に食べるよ」

「優兄、ホワイトデーのお返し先に貰ってもいい?」

 

珍しいな、美柑が先にホワイトデーのお返しが欲しいなんて今まで言われたこと無かったけど。

 

「いいよ、何が欲しい?」

「少し屈んで欲しいかな」

「屈む?わかった」

 

俺が少し屈むと美柑が俺の頬を両手で抑える。

 

チュっ

 

「ッ!!?」

「……」

 

美柑にキスされる、それも一瞬じゃない数秒間のキス、俺は何をされたかわからずに固まっていた。

 

「…っぷは、この前、籾岡さんと事故でキスしたって言ってたけど、その時より長かった?」

「…長い」

「そっか、じゃあこれで籾岡さんとのキスはなかったことにしてあげる」

 

美柑は小悪魔のような笑顔を浮かべて唇を舐める。

 

「次は優兄からしてほしいな?」

 

そういうと顔を赤くした美柑は家に戻って行った。

俺は美柑が家に入っていくのをただ見ることしか出来なかった。

 

 

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