ToLOVEる ~ 生まれ変わった意味を探して~   作:アイスが食べたいマン

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~闇の診療所と彼の事~

「今日からこの部隊にこいつが参加する、名前は優斗だ」

 

女性は少年を連れて仲間に紹介する。

 

「おい、こいつまだガキだろ?連れて行っても死ぬだけだぜ?」

「そうですよ、教官、こんな子供に何ができるんですか」

「この子、何歳ですか、いくらうちの部隊が年齢や過去を問わないとはいえ、これは…」

 

教官と呼ばれる女性は仲間たちの非難を聞くと口を開く。

 

「優斗は11歳で三年前に私が拾って戦い方を教えた、お前達が複数で相手してもこいつが勝つぞ?」

「…教官がそこまで言うなら、見せてもらおうじゃねえか」

 

その言葉を聞いた男はナイフを少年の方へ向かって投げつける。

 

「それ持って構えろガキ、お前の実力見せてみろや」

「…ルールは?」

「相手が降伏するまでだ」

「…わかった」

 

戦いが始まった、男は部隊の中でもトップに入るほどの実力者、周りにいた仲間は男が勝つと考えてるいたがその考えは間違いだとすぐに思い知らされた。

 

「クソ…がァ」

「…終わりか?」

「降参…だ」

 

少年が勝ってしまった、少年は無傷で男を完膚なきまでに叩き潰した。

 

「嘘だろ?」

「マジかよ」

 

周りは驚く、勝つはずないと思った少年が勝ってしまったことに。

 

「これでわかっただろ?これでもまだ、優斗が部隊に入ることを拒絶する者はいるか?」

 

周りは黙った、戦いを見て悟ったからだ、今いる中で少年を倒せるのは教官しかいないと。

 

「優斗、お前はこれからこの部隊でお前の望むようにたくさん人を救えばいい、だが、悪党は殺せ、そいつらが生きてる限り、この世界は腐ったままだ」

「わかってる」

「ならいい」

 

女性はそれだけ言うとその場を去る、少年はこの部隊で戦うことになる、地獄を見ても折れることなく、救い続けようと足掻き続ける。

 

少年にとって大切な人が願った最後の言葉は少年に呪いの言葉となり、転生した今でも彼を苦しめ続けている。

 

 

 

色々と大変だったバレンタインデーから次の日の放課後、俺は図書室にいる。

 

「ここが図書室ですか、確かにたくさん本がありますね」

「この図書室にある本なら、何でも借りることができるよ」

 

昨日約束した、ホワイトデーのお返しをするために図書室に来ている。

 

「下校時間までなら、図書委員の人に本を渡せば、借りることも返すこともできるよ」

「なるほど、期限付きというのは、何時までですか?」

「基本的に二週間くらいかな、それまでなら無くさない限り、何処に持っていっても大丈夫だよ」

俺はヤミさんに本の借り方と返し方を教えている。

ヤミさんは学校関係者ではなかった為、ヤミさんの名前で本を借りる事ができなかったので、俺の名前を貸した。

 

「良いのですか?あなたの名前を使っても」

「大丈夫だから、特に気にせずに使っていいよ」

 

図書館も考えたがヤミさんは地球の身分証など持っていない為、身分証が必要になった場合は、図書館カードが作れない。

 

「ありがとうございます」

「約束だからね、喜んで貰えたなら良かったよ」

「ちなみにどの本を借りるの?」

「日本昔話の本を借りようと思います」

「日本昔話ね、それならこっちにあるよ」

 

ヤミさんが探している本の場所まで案内していると、ヤミさんがふらついて俺の方へ倒れてくる。

 

「大丈夫?ヤミさん」

「…大した事…ありません」

「本当に?ちょっと触るよ?熱っつい!?ヤミさん、これの何処が大丈夫なんだっ!」

 

ヤミさんの額を触るととんでもなく熱かった。

全然気づけなかった、ヤミさんこんな状態で来たのか?それか、今急に悪くなったのか?

いや、考えてる暇は無い、今は病院に行かないとでもどこの病院へ行けば…いや一つだけある、宇宙人も見れる医者のいる場所が。

 

「ヤミさん、一人宇宙人を見ることができる医者を知ってる、今すぐ見てもらいに行こう」

「必要…ありません、大丈夫…です、優斗」

「ダメだ、行くよ」

 

俺はヤミさんを抱えて廊下を走る、行き先は保健室。

 

「…優斗、この運び方は…お姫───」

「ヤミさん!?」

 

ヤミさんは眠ってしまった、何が大丈夫だ、全然大丈夫じゃないだろ、保健室に着き中へ入る、そこには目的の人物はいなかった。

 

「クッソ、こんな時にどこにいるんだ、あの教師!」

「あれー?ユウト、ヤミちゃん、どうかしたの!?」

 

横からララさんに声をかけられる、御門先生が何処にいるか知っているかもしれない、聞いてみるか。

 

「ララさん!御門先生を見なかった?」

「御門先生は今日はお休みだよ?」

 

休みか、そうなると仕方がないから近くの病院に連れて…

 

────時雨くん、学校が休みの日はここへ来て?

 

前に渡されたメモに御門先生の診療所の住所が書いてあった、そこへ行くしかない。

 

「ララさん、教えてくれてありがとう」

「どういたしまして!ヤミちゃん大丈夫?」

「大丈夫、俺がヤミさんを御門先生の場所に連れていくから」

「わかったー!」

 

ララさんに背を向けて、俺は御門先生の家までヤミさんを抱えて走っていった。

 

 

 

 

「ここが御門先生の診療所か?」

 

辺りを見渡すと謎の植物などで薄気味悪い雰囲気が出ている、まるでお化け屋敷だな。

 

「とりあえず、入るしかないか」

 

俺は門を開けて敷地内にはいって扉のベルを鳴らす。

 

「はーい、あら?どうしたの?時雨くん…もしかして診察受けに来てくれた感じかしら?」

 

白衣の下に黒い下着を付けた御門先生が出てくる。

 

「…なんて格好してるんですか、いや今はそんなことより、ヤミさんを見て貰えますか」

「…!わかったわ、今すぐ中に入って」

 

御門先生に案内されて、俺はヤミさんを抱えて中に入る、俺は診察室にあったベットにヤミさんを寝かせて事情を話した。

 

「なるほどね…これは普通の風邪や病気じゃない、このコ特有の病状よ」

「ヤミさんは大丈夫ですか?」

「大丈夫よ、死人以外ならどんな患者だって治してみせるわ」

 

死人以外ならどんな患者も直せる?この人もしかしてかなりすごい人なのか?

 

「はい、じゃ早速脱がすわよ、時雨くん手伝って」

「…は?なぜ脱がす必要がある?」

「このコを治すにはヒーリング・カプセルに入れるのが手っ取り早いわ、それには衣服が邪魔なのよね~」

 

御門先生はニヤついて俺を見る、仕方ない、ヤミさんを助けるために手伝うか。

 

「わかりました」

「じゃあ、こっちを持って」

「……」

「あら、時雨くん、随分手際がいいわね?脱がせるの慣れてないかしら」

「無駄なこと言ってないで手を動かしてください」

 

御門先生と二人で服を脱がし終わる、ヤミさんに後で謝ろう。

 

「じゃ、運ぶのもお願いね」

「はい?俺がヤミさんを運ぶんですか?」

「もちろん、このコを運びながら、ヒーリング・カプセルを開けれないのよ」

「開けてから運べば良くないですか?」

「あーこのままじゃ、あなたの友達はどんどん体調が悪くなっちゃうわ~」

「…わかりました、運ぶので早く開けてください」

 

御門先生の思惑通りになっているのがムカつくが、仕方ない、俺はヤミさんを抱えてヒーリング・カプセルの場所へ向かう。

ヒーリング・カプセルは丸い卵のような形をしていて機械の上にはプラグのような物が刺さっていた。

俺は御門先生の指示通りにヤミさんをヒーリング・カプセルに入れる。

 

「これで大丈夫よ、後は私に任せなさい」

 

そういって御門先生は近くの機械を操作するとカプセル内に液体が流れ込む。

 

「…一応聞いておきます、この液体で窒息死はしないですよね?」

「大丈夫よ、説明は難しいけど、この液体は息ができるの、それに回復効果も絶大よ?」

 

宇宙の医療とは不思議だな、もしこれが前世のあの場にあれば、致命傷を受けていた輝やあの人を救えたかもしれない。

 

「さて時間もある事だし、時雨くん、次はあなたの番よ?」

「…診察ですか?」

「そうよ、せっかく来たんだから、診察受けていきなさい」

 

御門先生の真剣な顔をして俺を見る、診察の時間になると御門先生は一切ふざけない。

俺と御門先生は診察室に戻り診察を始めた。

 

「バレンタインデーの日に言ったけど、金色の闇…ヤミちゃんとの戦いお見事だったわ」

「…どこまで見てましたか?」

「″全て″よ?あなたが逃げて戦っているところまで」

 

全て見ていたね。

 

「俺はヤミさんとどこで戦っていましたか?」

「え?」

 

バレンタインデーの日、と今御門先生はこう言った。

 

──────この前の″金色の闇″との戦いお見事だったわ?

 

お見事ね、少なくとも全て見ていたなら、勝てたことについて言及されるはず、お見事なんて曖昧な表現はしない、ヤミさんのことを知っているなら尚更。

 

「………」

「答えられないですか?」

 

御門先生は黙り込む、全てを見ていたなら分からないはずない、″神社″で戦ったんだ、印象にも残るはず。

 

「御門先生は、俺がヤミさんから逃げている所をたまたま見たんじゃないですか?」

「っ!」

「やっぱりそうなんですね?」

「そうね、逃げている所しか見ていないわ」

 

あの神社には俺とヤミさんが戦っている時、他の誰の気配もしなかった、いつもなら御門先生気配は分からないが、あの時の俺は本気を出していた、他に人がいた場合、絶対にわかる。

 

「強い理由を聞かせて欲しいって言いましたよね、あれは佐清先生の時、俺が西連寺さんを宇宙人から助けたから、強いかもしれないって思ったんじゃないですか?」

「…えぇ、そうよ」

 

御門先生にヤミさんに勝った所を見られていない、ならこの話はしなくてもいい。

 

「それでもあなたは一度宇宙人を倒しているわ、普通の人より強いはずよ?戦い方は誰から教わったの?」

「独学ですよ、テレビで見たものを真似ただけです」

 

御門先生にも本当の話すつもりはない、前に輝の事は少し話したが、この話をすれば御門先生はきっと辿り着いてしまう、俺が生まれ変わっていることに。

 

俺はその後も御門先生の質問に当たり障りのない回答をして逃げ切った。

 

 

 

 

~御門side~

 

時雨くんの診察が終わり、私は金色の闇…ヤミちゃんが入っているヒーリング・カプセルの前にいる。

 

「………?ドクターミカド…?」

「お久しぶりね、金色の闇、今は″ヤミちゃん″ …と呼ぶべきかしら?」

「ここは…」

「私の地球での診療所よ、ここ最近、考えなしにトランス能力を使いまくっていたでしょう、身体能力がかなり低下していたわよ」

「………」

 

ヤミちゃんは思い当たる節があるのか黙り込んでしまう。

私の予想ではヤミちゃんは時雨くんと戦っている、逃げている時と戦った時にトランス能力をかなり使って消耗したはず…

 

「何でそんなに使いまくったのかしら?」

「……」

「話すつもりは無さそうね」

 

時雨くんに口止めされたのかしら?前みたいに忘れている?

 

「ま、時雨くんに感謝する事ね」

「!?」

「彼があなたを抱えてここまで運んでくれたのよ、汗だくになってね」

 

私はヒーリング・カプセルの機能を停止させるとヤミちゃんがカプセルから外へ出てくる。

 

「もう、大丈夫かしら?」

「はい…理解できません、優斗はなぜここまでしてくれるのか」

 

──────俺の友達の″ヤミさん″です

 

友達と言った彼の顔は今まで見た中でとても綺麗で純粋な笑顔だった。

 

「彼、あなたの事を友達と言っていたわ、きっとあなたの事が大切なのよ」

「…ともだち」

ヤミちゃんは顔を赤くして呟く、ヤミちゃん、あなたもしかして…

 

「ヤミちゃんは時雨くんの事、どう思ってるのかしら?」

「優斗は不思議な人間です、優しいくて、強くて、私を変えようとしてくる、優斗といると胸がポカポカします」

 

恥ずかしそうに言うヤミちゃん、強い、やっぱりヤミちゃんと時雨くんは戦ったの?

 

「ヤミちゃん、時雨くんと戦ったみたいね?彼、強かった?」

「…すみません、ドクターミカドでも話すことはできません」

「彼に口止めされたのね?」

「………」

「お願い、少しでいいのよ、戦った時の事を教えて」

「なぜ、そこまで優斗の事を聞きたがるのですか?」

「それは…」

「優斗に何かあるんですか?」

 

私が時雨くんと初めて会った時、彼の目はこの世の全てに絶望しているような、目を離したら何処かで自殺してしまうかもしれない、そんな目をしていた、けど結城くんたちといる彼は一切そんな目も雰囲気も出さない。

彼が一人でいる時、ずっとなにかに苦しめられている、そんな時雨くんを、見過ごせなかった、だから私は────

 

「ヤミちゃん、時雨くんはきっとなにかに苦しめられてる、私は医者として彼を救いたい」

「……」

「些細なことでもいいの、彼の事を教えて、きっとあなたに口止めをした中にヒントがある」

 

ヤミちゃんは考える、約束を守るか、私に話すか。

 

「…ドクターミカド、あなたはCQCをご存知ですか?」

 

CQC、近接戦闘術、確か軍や警察で使われている戦術なはず。

 

「優斗はCQCを使っていました、それもかなりの腕前です」

「なんですって?」

 

─────独学ですよ、テレビで見たものを真似ただけです

 

(ありえない、そんな技術を独学で学べるワケがないわ)

 

「ドクターミカド、すみませんこれ以上話すと優斗への裏切りになってしまいます」

「えぇ、ありがとう、治療代は地球通貨でいただけると嬉しいわ」

「了解です」

 

ヤミちゃんは着替えながら返事をする、時雨くん、あなたは一体何者なの?

 

「優斗にお礼を言わないとですね」

 

ヤミちゃんがまた顔を赤くして嬉しそうに言う、少し悪戯心しちゃおうかしら。

 

「服を脱がしてもらったお礼も伝えなさいね?」

「は?」

「時雨くん、服を脱がして、裸のあなたをヒーリング・カプセルまでお姫様抱っこで運んでくれたのよ」

「ッ!?」

 

ヤミちゃんの顔は茹でダコのように真っ赤になる。

 

「服を脱がす時、とても手際が良かったわね、もしかしてそーゆーエッチな経験もあるのかしら?」

「………」

「まあ、彼かなりモテるみたいだし、有り得るわね~」

 

私がそういうとヤミちゃんの機嫌が悪くなる、これは確定ね?

 

「優斗は今どこに?」

「あなたの為にたい焼きを買いに行ったわ、そろそろ帰ってくると思うわよ?」

「御門先生、戻りました、ヤミさんの体調はどうで───」

 

ヤミちゃんが着替え終わったタイミングで、時雨くんが帰ってくる、入ってきた彼を見たヤミちゃんはトランス能力で彼を掴む。

 

「優斗、あなたにはそんな経験があるんですか?見損ないましたよ?」

「…なんの話し?ヤミさんの服を脱がせた件はごめん、それしか無かったから─────」

「そんな話はどうでもいいです」

「…いや、良くは無いよね?てか、苦しい」

 

フフフ…覚えておきなさい時雨くん、女の嫉妬は怖いわよ?

 

「ドクターミカド、ありがとうございました、私は優斗と話があるのでこれで」

「えぇ、また何かあったらいらっしゃいね?」

「御門先生…あんた…何を言った」

「…なんですか、優斗、ドクターミカドの方が私より良いんですか?」

「ちょ…マジで苦しい」

 

ヤミちゃんは時雨くんを連れて出ていく、時雨くんは私を睨んでいたがヤミちゃんが強引に顔を自分の方へ向かせていた。

時雨くん、あなたがいなくなったら悲しむ人はたくさんいる、だから、しっかり生きなさいね?

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