ToLOVEる ~ 生まれ変わった意味を探して~ 作:アイスが食べたいマン
あれから俺は、一日検査入院をした、学校が終わった放課後にはみんながお見舞いに来てくれた。
「時雨!あんた大丈夫なの?」
「右腕しばらく使えないって聞いたよ?」
籾岡さんと新井さんが心配してきてくれた。
「新学期になったら、右腕治るから大丈夫だよ」
「学校はどーするのさ」
「明日から普通に行くよ」
「私、時雨くんの代わりにノート書いてあげるよ?」
「じゃあー私は、昼ごはん食べさせてやるよ、ダーリン?」
「新井さんありがとう、助かるよ、籾岡さんしばらくパンにするから大丈夫なのと、ダーリンはやめてくれ」
次の日の学校から、新井さんはノートを代わりに書いてくれた、俺は左利きだから、正直書こうと思えば書けないことはない、ノートを提出しないといけない場合、教師に読める字で書かないと行けない為、かなりありがたい
「ほらダーリン、口開けて」
「…籾岡さん、せめてダーリンだけはマジでやめて
くれ」
「えーいいじゃん〜ほら、あーん」
「リサだけずるいよ、時雨くん、私のあげるっ!」
昼休みになると籾岡さんがマジで食べさせてきた、それを見た新井さんも同じことしてくる。
「なんで、アイツばっかり良い思いしてんだ」
「トキサメコロス、トキサメコロスコロスコロス」
周りの男子の目がとても痛かった、そして猿山はバグったようにコロスを連呼していた。
「時雨優斗!大丈夫ですの!?」
「大丈夫です」
学校では天条院先輩と九条先輩が心配して声をかけてくれた。
「天条院さまは君のことをずっと心配していた」
「ちょっと凛!」
「すみません、ご心配おかけしました」
「わ…わたくしにして欲しいことがありましたら、何でもして差し上げますわッ!」
天条院先輩がそういうとリトが走ってこちらへ来る。
「ウガぁぁぁぁ」
「え?」
リトは天条院先輩と九条先輩にぶつかるが、そのまま口を抑えてどこかへ走っていく。
リトとぶつかった天条院先輩と九条先輩は俺に方へ倒れてくるが、右腕が使えない俺は下敷きになるしかなかった。
「…大丈夫ですか?」
俺は腹部外傷してるから、とても痛かったが、二人に怪我はなさそうだが、何故か固まっている。
よく見ると、二人の片手が俺の服をたくし上げていて、もう片手は俺の腰の方からズボンの中に───いやこれ以上はやめよう。
「…天条院先輩、九条先輩、出来れば手を抜いていただけると助かります」
「「なッ!」」
「す…すまない」
「結城リトぉぉぉぉあなたはなんでいつもわたくしの邪魔をぉぉぉ許しませんわ────ッ!!」
顔を赤く染め上げた天条院先輩はリトを追いかける。
「き…君は大丈夫か?」
「大丈夫ですよ」
「そ…そうかなら私も──」
「九条先輩、俺は先輩に謝らないといけないことがあります」
「謝らないといけないこと?」
俺があやまりたかったこと、それはデビルーク王との戦いで俺は九条先輩に借りた木刀を折ってしまったことだ。
「九条先輩から借りた木刀折ってしまいました、今度弁償させてもらいます」
「そのことか、大丈夫だ、君にはクリスマスパーティーやこの前のバレンタインで助けられたから気にしなくていい、すまないが私は結城リトを追わなきゃ行けない」
そういって九条先輩は走っていった、リト、ララさんに何を食べさせられたんだ?
「優斗、怪我の具合はどうですか?」
「大丈夫だよ、痛みも引いてきた」
放課後は図書室でヤミさんと一緒に本借りて帰っていると、ヤミさんから声をかけられた。
「それならよかったです、次は一人であの様な無茶をしないでください」
「善処します」
「もし、無茶をしたら、あなたの耳に攻撃します」
「なぜ耳?」
「ドクターミカドが言ってました、あなたは耳が弱いと」
「あの教師、余計なことを、てか攻撃って何するの?」
「……斬る?」
「…ヤミさんそれ間違ってるからね?」
そして俺は結城家にしばらく住むことになった。
理由は右腕を動かせないこと、肋など蹴られた箇所の骨も折れていた為、一人で生活は厳しいと御門先生に言われて、リト達に強引に住まわされているわけだが。
「風呂くらい一人で入れるから─────」
「もう諦めなって、はい、背中終わったから前向いて?」
「あの美柑、前は自分でやるから大丈夫です」
毎日、おれと美柑は一緒にお風呂に入っている、俺はタオルを腰に巻いて、美柑はタオルを前に持って入っているけど、できるだけ美柑を見ないようにしてる。
「…美柑、浴槽狭いんだから、そんなくっついて入らなくてもいいんじゃない?」
「…いいじゃん、別に、もしかして優兄、意識してる?」
顔を赤くした美柑が俺に寄っかかると美柑の背中が俺の身体にくっつく。
「……するわけないだろ」
「優兄ィ?今の間なに?」
「……」
小悪魔のようにニヤニヤする美柑、キスされた時もそんな顔してたな。
食事の時も、隣にいる美柑から、食べさせられる、まるで介護されている気分だった。
「なぁ優斗」
「リト、どうした?」
みんなとリビングで過ごしていた時にリトから声がかけられた。
「…このまま、優斗もウチに住まねーか?」
時間が止まったように、みんなの動きが止まる。
「どうした急に」
「ずっと言うか悩んでた、ララが住み始めて、優斗だってまた泊まることも増えたしさ」
「住むって、俺には、帰る家が…」
「帰る家、誰もいねーのに?」
「………」
「優斗の親父さん、俺が優斗出会ってすぐに海外に行ったきり一度でも帰ってきたか?」
「………」
「家に帰る意味ないだろ?」
確かに春馬さんは一度も帰ってきたことがない、リトと美柑はそれを知っている。
「この前、お前が怪我しちまった時、親父が優斗の親父さんに電話してくれたんだよ」
「!?」
「生きてるなら、どうでもいいってそんなことで電話をかけてくるなって電話切られたらしい」
「…そうか」
春馬さんならそういうだろうな、死ねば、俺を使えなくなって春馬さんは困る、重症であっても生きてさえ入れば、春馬さんの計画は進む。
「いる意味ねぇだろ、あんな家」
「…ごもっともだな」
「なら!」
「リト、父さんは会わなくても生活費を払って、学費を出してくれている、世の中それすらしない親だっている、あの人はまだマシな方だよ」
「でも────」
「俺と父さんはこれで良いんだよ」
あの人は俺の願いを叶えてくれた、一度で良いから学校に行ってみたいという願いを、あの人は悪い人ではない、ただ俺という存在が嫌いだけど、どうしても俺を利用しないといけないから引き取っただけ。
「リト、ありがとう気持ちは嬉しい。はい、この話は終わり。明日から新学期だもう寝よう」
俺は話を強引に終わらせる、リトは納得いってないような顔をしていたが今はこれしか言えない。
◇
朝、結城家で目が覚める、睡眠薬を使って眠っている為、朝までしっかり眠れた。
「ん……にぃ……すきぃ」
…隣にはいつも通り美柑が俺に抱きついて寝ている、また潜り込んできたか、どんな夢を見てるんだか。
「……ふわぁ、おはよ……優兄」
「おはよう、また潜り込んだね?」
「…もういい加減慣れたでしょ?」
俺が美柑に言うと、美柑は開き直ってくる、慣れる慣れないの問題じゃない。
「着替えて花の水やりしてくるから、離してくれない?」
「もう少しこのままがいいなぁー」
「…一緒に朝ごはん作るんだろ?それにリトとララさんを早めに起こさないと新学期早々遅刻するよ?」
「わかったよ」
今日からある程度右腕も使える、朝食くらい作れるはず、俺と美柑は一緒に起きて準備を始める。
俺はベランダに出てジョウロを持ち、花に水やりをする。
「ゲゲー!!」
「お前にもあげるから待ってくれ、順番だ」
ララさんがリトにあげた花は、リトと俺で管理はしているが、水だけで他に必要な物がないのか、未だに分からない。
(それにしても、少し増やしすぎたか?)
前世で大切な人が動物と花が好きで育てるのを俺もよく手伝っていた。
────優斗、覚えておいて?動物や花は人間と同じで生きてるの、愛情を込めて育ててあげれば、人間みたいにみんな立派に成長するんだよ。
愛情、結局分からなかったな、俺はこの花に愛情があるのか、それとも俺は義務感から育てているだけなのか?
「おはよ、優斗」
「起きたかリト、さっき悲鳴が聞こえたが、またララさんが裸で隣に寝てたか?」
「優斗だって、最近ずっと美柑が隣で寝てるだろ、ララがその真似をするんだよ」
「ララさんみたいにこっちは裸では寝てない」
口が裂けても本人たちの前では言わないが、リトお互い大変だな。
「優斗、昨日の話、オレ本気だからな?」
「…昨日は言わなかったけどな、栽培さんにも前に似たような事、言われたよ」
「親父が?」
「リト、ありがとうな、俺はみんなと出会えて良かったよ」
「なんだよ、その別れみたいな言い方…」
「…想いは伝えられる時に伝えとかないとな」
想いを伝えられず、終わってしまう、そんな後悔はもうしたくないからな、花の水やりも終わり、美柑と料理を作る、左利きでも包丁を使うのはダメだと言われて、目玉焼きやウインナーなど簡単な物を任された。
「よし、できたね優兄!」
「リトとララさんを呼ぶか」
俺がリトとララさんを呼びに行くと、廊下で悲鳴が聞こえる、またやってるのか?
「ラ…ララ!!風呂の後に廊下にうろつくのやめろって!」
「え?だってペケがいないんだもん」
「二人ともなんでもいいけど、早く食べないと遅刻するぞ」
「はーいユウト、今行くねー!ペケ起きるの遅いよ、じゃ、制服モードね」
[ハイ!]
ララさんが裸でうろついて、それを見たリトが悲鳴をあげる、この家では当たり前な光景、二人がリビングへやってきた。
「なにやってんの?二人とも、優兄も言ってたけど、早く食べないと遅刻するよー」
「はーい!美柑も今日から6年生だね!」
俺はそんな会話を他所に朝食を食べる、俺が生まれ変わってから、もう16年も経ったのか、リト達と居れる時間が後どれだけあるか分からないけど、それまではみんなと…
俺はリトとララより先に学校へ向かった、待っていても良かったが、このままだとマジで遅刻する。
学校へ着いて下駄箱を開けて靴を取り替えているといつの間にか、全裸のリトが、西連寺さんのスカートに顔を突っ込んでいた。
(ララさんの発明品だと思うけど、何してるのマジで)
◇
俺達は3人揃って二年A組だった、一人くらい離れるかと思っていたけど、こんな奇跡あるんだな。
(隣の子何処かで見た気がするけど、どこで見た?)
そんな事を考えていると、隣の女子から声をかけられる。
「時雨くん、彼らには気をつけた方がいいわ」
「え?」
「あの二人は彩南高校の風紀を乱す結城リトとララ、今日も朝からぜ…全裸で登校していたわッ!」
俺を知ってる?話した事あるのか?でもどこで?
「まあ、あなたは心配いらないと思うけど、風紀を乱さないようにね?」
「あ、はい」
前に貼られた座席表を見る、古手川唯…
─────それと助けてくれて、ノート運んでくれてあ…ありがとう
─────1年B組の古手川唯よ
あの時の子か、まさかお隣さんになるとは思わなかった。
─────覚えておくって言っておいてやっぱり忘れてるじゃん
俺は聞こえてきた声を無視して授業の準備をする。
「クラス替えもしたから、新しい友達もできそうだね」
「そーだな」
「ララさんならすぐできそうだけど」
「そんなことないよ~」
掃除の時間、俺はリトとララさんと話しながら、掃除をしていたら声がかけられる。
「ちょっとあなたたち話が…時雨くん、まさかこの二人と知り合いなの?」
「二人とは友達だよ」
「…まさかあなたも?そんな人じゃないと思っていたのに」
リトとララさんに対して、少し誤解があるみたいだけど、まあ風紀を乱していることに関しては否定はしない、普通なら全裸で昇降口にいる時点でアウトだ。
「あ!同じクラスの人だよね、初めまして~」
「古手川唯、元1-Bのクラス委員よ」
古手川さんはララさん達を睨んで、宣戦布告のように告げる。
「1年の時はA組のクラスの西連寺さんが甘かったせいで、あなたたちも好き勝手やっていたようだけど、私が同じクラスになった以上、そうはいかないわ」
もしかして古手川さんは正義感が強いタイプの人か?
「え?好き勝手って…何?」
「とぼけないで!私見たんだから、いきなり下駄箱でその…裸になったり…」
「あ…」
見られてたという顔をするリト、逆に古手川さんにしか見られてないの奇跡だぞ?
「と…とにかく!これからは、あんな非常識は許しません!!大体何?そのシッポ!学校にそんな玩具持ってきていいと思ってるの?」
「古手川さん、それ本物だよ」
「時雨の言う通り!」
「だってララちぃは宇宙人なんだもん!」
「リサ、ミオ!」
籾岡さんと沢田さんがララさんに後ろから抱きつく。
「え?宇宙人?」
「まあ、その反応が普通だよね」
西連寺さん達が少し特殊なだけで、普通は古手川さんの様な反応になるだろう。
「そ!そして尻尾は──弱点なのよねーっ!」
「あぁっやっ…やめてぇ~っ」
「なっ…何、変な声出してるのっ!!」
籾岡さんと沢田さんは悪ふざけでララさんの尻尾を弄り回す。
「二人ともその辺にして…」
「結城──────!!何でボクだけ違うクラスなんだ──っ」
「うわ!レン!?」
俺が二人を止めようとすると、リトを呼ぶ声が聞こえる、声の方を見るとレンくんがこちらへ向かって鬼の形相で走ってきていた。
「何か裏工作したな!そうに決まってる!!」
「バカ!んなワケねーだろ!!!」
「ちょっ…と」
リトとレンくんは揉み合いを始める、またこいつらは、止めるこっちも疲れるからやめて欲しい。
「ケ…ケンカはやめなさい!!」
リトとレンくんの間に入り仲裁をする古手川さん、レンくんはまずいと言いながらくしゃみをする。
「へっきし!!」
ボンッ
「きゃ!」
「古手川さんッ!」
くしゃみと同時に辺りに煙が広がる、俺は倒れてくる古手川さんを支えて、レンくんの方を見る、何が起きた?
「な、何…?」
「リトくん!」
「うわっルン!?」
レンくんが女の子になった?宇宙人なのは知ってたけど、くしゃみしたら、女の子になるのか?
「……」
「…は?」
「ど…どーゆー事?」
「レンレンが女のコになった…」
知らなかった人達は困惑している、正直俺も理解できない。
「あ、実はレンちゃんも宇宙人なんだ」
「え!?」
「ララさん、それは分かってたけど、なぜ女の子に?」
「レンちゃんはくしゃみをすると性別が変わって女のコのルンちゃんになるんだよ」
この世界はなんでもありだな、その後、ルンさんから逃げようとしたリトがララさんにぶつかり、ララさんからペケが取れてしまう。
リトは全裸になったララさんに抱きついている体制になった。
「…な、なんてハレンチな─────っ!!」
「キャーララちぃ服は?なんで消えたの!?」
混乱してる古手川さんの悲鳴が廊下に響くが、そろそろ俺が支えている古手川さんには立ってもらいたい、少し右腕が痛くなってきた。
「ごめん、古手川さん、そろそろ立てるかな?」
「え?はっ!こ…この体制、前とっ!」
「前と一緒の体制だけど、助けたつもりなんだ、出来ればビンタはやめて欲しいかな」
「ご…ごめんなさい、私、また──」
顔を赤くした古手川さんが、何かを言うタイミングで予鈴が鳴る。
「とりあえず、授業が始まるから戻ろう」
「あ…」
俺は古手川さんを立たせて教室へ戻ろうとする。
「…時雨、あんたはまだライバル増やそうとしてんの?何人増やせば、気が済むワケ?」
「……」
これ、俺が悪いのか?
予鈴がなり授業が始まる、新学期が始まったばっかな為、授業というより、どちらかと言うと係決めの時間だ。
「このクラスのクラス委員を決めたいと思いまふ、誰か立候補者はいまふか?」
「はい!」
古手川さんが手を挙げ、立候補する。
「はーい!!私っ!立候補しまーす!!」
ララさんも手を挙げて立候補した。
「お…おい、ララ正気か!?」
「うん!なんかおもしろそーだし!」
ララさんがクラス委員になったら、どうなるのだろうか?いや、ダメだな、すごい嫌な予感がする。
休み時間になると、二人の演説が始まった。
「私は皆さんが、より良い高校生活をすごすために、健全なクラスを作りたいのです」
古手川さんは真面目で議員選挙の様な演説をして。
「みんな聞いてー!えっと、私がクラス委員になったら…休みの日を増やしまーす!」
「ララさん!それはできないかと…」
ララさんは実現不可能な事を言って、西連寺さんに突っ込まれる。
ララさんは西連寺さんのアドバイスを聞いて、みんなの意見を聞いて、制服を改造しようと発明品を使うなど色々あった。
「え~ではぁ、クラス委員の投票結果を発表しまふ、ちなみに男子の委員は立候補が一人だけだったのでぇ、元1-A委員の的目あげるくんに決定しました」
「よろしくお願いします」
どちらがクラス委員になるのか、結果が発表される。
「で…女子の方でふがぁ…ララくんが2票…で古手川くんも2票と…西連寺くん30票、というワケでクラス委員は西連寺くんにお願いしまふ」
まさかの立候補していない、西連寺さんに決まった、しかもララさんは西連寺さんに投票するしていたらしい、やっぱり春菜が一番だよ、と言っていた。
(古手川さんは認めてないみたいだけど…)
係決めも全て終わり、放課後になるとリトとララさんが話しかけてくる。
「優斗、帰ろうぜ」
「ユウトー帰ってみんなでゲームしよっ!」
「悪い、用事ができたんだ、今日は二人で帰ってくれ」
「うーん、わかった!先帰ってるから後で来てねー!
行こ、リト!と言ってララさんはリトを連れて教室から出ていった。
「古手川さん、俺と少し話さない?」
「…なんであなたと」
「古手川さん、クラス委員の結果に納得いってないでしょ?」
「何が言いたいの?」
古手川さんは俺を睨む、敵認定されたかな?
「古手川さんはなんで負けたと思う?」
「分からないわ、なんで負けたか」
「学生の本分は勉強だから、皆が望んでいるのは規律ある生活だって思ってない?」
「そう思ってるわ」
やっぱり古手川さんは正義感が強くて、真面目すぎるタイプだ。
「君の思ってることは正しいよ、だけど真面目すぎるんだ」
「それの何がいけないの」
「いけなくない」
「じゃあ…」
「学生で居られるのは人生でたったの1度だけなんだ」
前世で輝が教えてくれた、学校がどんなものか、どれだけ楽しい場所か、だから、俺は学校に行ってみたかった。
「学校は学ぶ場所だけど、それ以外にも青春や恋愛、体育祭や文化祭でたくさんの思い出を作ったり、友達とバカをして怒られたりする楽しい場所なんだ」
ここに来なかったら出会えなかった友達もたくさんいる、学校に通えたから、知らなかったこともたくさん知ることができた。
「みんなは真面目すぎる生活になって、楽しく生活できなくなる事を怖がった」
「ララさんには2票しかなかったわ、楽しく生活したいだけなら──」
「ララさんがクラス委員になったら、学校に来る日が減ったり、勉強時間が減る、それはみんな嫌なんだよ、だって将来があるからね」
「じゃあどうしたらよかったの?」
「いつも通り授業して、休み時間は話したり、馬鹿やったりして、放課後は部活をする、そんな普通の日常がみんなは良かったんだよ」
「理解できないわ」
「古手川さんも少しは肩の力を抜いて、みんなと遊んでみるといいよ、今言ったことがわかると思うから」
俺は帰る準備を始める、伝えるべきことは伝えた、あとは古手川さん次第だ。
「俺、帰るね、長話してごめんね」
「まって、時雨くん」
「なに?」
「今日はその…た…助けてくれてありがとう」
「どういたしまして、怪我がなくてよかったよ」
俺は荷物を持って教室を後にした。