ToLOVEる ~ 生まれ変わった意味を探して~ 作:アイスが食べたいマン
「おはようございますお嬢様」
「………おはよう」
朝、わたくしはめざましの音と使用人の声で目を覚ます。
(あぁ…寝ても覚めてもわたくしは頭に浮かぶのは…一人の殿方の事ばかり)
最初はララにわたくしの偉大さを見せつける為に利用しようと考えていた、それなのに…
授業中、わたくしはまた考えてしまう、わたくしに何かあった時にいつも助けてくれる殿方の事を…
「時雨優斗…」
─────俺は目の前に助けられる人がいたら、助けるだけですよ、見捨てたり見て見ぬふりをしたら、死ぬほど後悔しますから
彩南祭ではわたくしを庇うように前に立っていた時の後ろ姿…
─────本当、無事でよかったですよ、じゃあ俺は帰ります
クリスマスパーティで屋敷が崩壊した時にわたくしを抱えて…
─────義理でも俺の為に作ってくれたんですよね?うれしいですよ、ありがとうございます
バレンタインの時はララのチョコを食べた校長から襲われそうになった時…
「えーではこの英文を…天条院くん訳してください」
「…貴方のせいですわ…」
「は?いや…そんな文じゃないぞ?」
時雨優斗…貴方のせいでわたくしは。
「わたくしは、こんなにときめいているのに…」
「え?」
「この胸の高鳴りは、どうしてくださるの?」
時雨優斗の笑顔が、あの後ろ姿が、結城リトにぶつかられて倒れた時に見た、美しい肉体と触れてしまった───
「あぁ、思い出してはダメですわ、触れてしまったのは事故で…あら、どうなさったの先生?」
「沙姫様…考えていたことが口に出ておられます」
「まあ!」
授業中に貴方のことを考えていたら声に出てしまいましたわ、次は気をつけませんと。
「沙姫様、時雨優斗について、幾つか報告があります」
昼休みになり、凛から報告を受ける、時雨優斗のどんな些細なことでもいいから、わたくしは知りたかった。
「時雨優斗、彼は複数の女性と仲が良い様です、1人目は同じクラスの籾岡里紗、2人目も同じクラスの新井紗弥香、3人目は時々、校内で見かけるヤミと言われる少女です」
わたくしは凛の報告を聞いて胸が痛くなった、もしかして恋人も…
「…仲が良い、恋人は?」
「居ないようです、それと他の女子からの告白なども断っているようです」
「…モテますのね」
彼は学校の中で人気らしい、時雨優斗、貴方は罪なお方ですわね。
「それと定期的に御門先生と朝早くから、保健室で何かを話しているようです、内容は分かりませんが、保健室から出てくきた時雨優斗の顔を見る限り、あまりいい話ではないかと」
保健室で朝から?一体なんの話をしているのかしら、それにいい話ではない?
「…最後にもう一つあります」
「えぇ、聞かせてちょうだい」
「時雨優斗は、あのタイムレインズカンパニー社長、時雨春馬の息子のようです…」
「…そう」
時雨という名前を聞いてまさかとは思いましたが、やはり、貴方はあの時雨ですのね。
「ですが、調べていたら幾つか不可解な点が見つかりました」
「不可解?」
「時雨春馬に婚姻歴がありません」
「なんですって?」
「それと天条院家の力を総動員させても時雨優斗が生まれた記録なども見つからなかったそうです」
凛からの報告にわたくしは唖然としていた、天条院の力を使っても見つからない?それはつまり…元から、時雨優斗という人間の記録が存在しない?
「もしかして時雨優斗は…」
「沙姫様の考えていることは正しいかと、おそらくですが、時雨優斗は養子の可能性が高いです」
「凛、もしそうだとしたら、何故、時雨春馬は彼を?」
「そこはまだ分かりません、ですが時雨春馬が養子に迎えたということは、何か裏があると思います」
「彼について他に知っている可能性がある人間はいないのかしら?」
「…彼の幼なじみの結城リトなら何か知っているかもしれませんが…あの男はあまり…」
「危険です、沙姫様!!」
凛は言い淀み、綾は危険だと言う、わたくしとしてもあの男に聞くのは尺ですけれど、それ以外に手はありませんわね。
「結城リトの元に行きますわよ、凛、綾」
わたくしは結城リトの元に向かった。
~リトside~
昼休み、前の授業が移動教室だった為、俺はララと一緒に教室へ戻っていた、優斗は先生の手伝いを頼まれたようで一緒にはいない。
「なんか、やけにうれしそーだなララ」
「ふふ!昨日、新しい発明品のアイディアがひらめいたのー!」
「へ~…」
ララは嬉しそうに言う、今度は何を作るのやら…
「今度、おこづかいもらったら、すぐ作るから楽しみにしててね、リト」
「のわっ、い!いきなりだきつくな!」
いきなり腕に抱きついてきたララに焦って、無理やり逃げようとしてオレは床に転ぶ。
「あっ沙姫!」
「え?」
ララの言葉を聞いて顔を上げるとこちらを睨んでいる天条院先輩が居た。
「………」
オレは天条院先輩を下から見上げているワケで角度的にスカートの中が見えてしまう。
「ゴ…ゴメンなさ─」
ムギュ
天条院先輩に頭を思いっきり踏まれた、痛い。
「ララ、この変態を…結城リトを借りますわよ?」
「え?」
今オレ変態って言われなかったか?
「結城リト、貴方に話がありますわ、連れていきますわよ、凛、綾」
「「はい、沙姫様」」
「え?リトが行くなら私も行く!」
「着いてこないで、今回は貴方に用はなくてよ」
オレは九条先輩と藤崎先輩に縄で縛られて屋上まで連れて行かれた。
「ここなら誰もいませんわね」
「…あのとりあえず、この縄を解いて欲しいんですけど…」
「悪いが、こうでもしないとケダモノの君は何をしてくるか分からないからな」
「オレってそんな認識っ!」
九条先輩に言われた言葉にショックを受ける、オレ周りからそんなふうに思われてんのか?
「心配するな、我々の質問に答えてくれれば、すぐに解放する」
「質問?」
質問?天条院先輩たちがオレに?
「時雨春馬についてですわ」
時雨春馬って優斗の親父の名前、なんで天条院先輩が知ってるんだ?
「時雨春馬は時雨優斗を養子に迎えて何をするつもりですの?」
「え?」
「もし、時雨優斗が不幸な目に遭う様なことなら、わたくしが許さなくってよ?」
「は?何言って…」
優斗が養子?不幸な目に遭う?天条院先輩は何を言ってるんだ?
「優斗が養子って…何言ってんだよ」
「結城リト、貴方まさか何も知らないの?」
何も知らない?だって優斗は…
「優斗の母さんは優斗を産んですぐに亡くなったらしいけど、優斗には親父さんが…」
「……」
本当に父親なのか?
───生きてるなら、どうでもいいってそんなことで電話をかけてくるなって電話切られてた
普通、大怪我を負って意識を失っていた息子に親がそんなこと言うか?それに今まで優斗と優斗の親父さんの関係は、家族より必要だからそうしている様な関係に見えていた。
もし本当にそうだとしたら、優斗の本当の家族は?
「…何も知らない貴方に一つ教えてあげますわ、時雨春馬に婚姻歴はない、そして時雨優斗の生まれた記録はこの世に存在しませんでしたわ?」
「は?」
「彼は時雨春馬に何らかの目的があって養子に迎えられて、時雨優斗になったと考えた方が自然だ」
天条院先輩と九条先輩に言われた言葉に思考が追いつかない。
「…もう貴方に用はありませんわ、結城リト」
天条院先輩はその場を去ろうとして屋上の扉を開くとオレの方を見る。
「結城リト、あなたにとって時雨優斗はどういう存在ですの?」
「…優斗はオレの親友だ」
「なら、貴方はもっと知るべきですわ、時雨優斗から話すのを待つのではなくて、貴方が彼に聞きませんと、じゃないと何時か取り返しのつかない事になるかもしれませんわよ?」
天条院先輩はそういって屋上を後にする、オレは天条院先輩たちの背中を見ながら考え込む。
優斗が養子?もしかして、オレたちは優斗の事を何も知らねーのか?それにこの事を優斗に聞くべきなのか?
「…もしそうなら、なんで話してくれなかったんだよ、優斗…」
その言葉と同時に次の授業開始の予鈴がなった。
その後の授業は天条院先輩の言葉が頭から離れず、授業も終わり放課後になった。
───貴方はもっと知るべきですわ、時雨優斗から話すのを待つのではなくて、貴方が彼に聞きませんと、じゃないと何時か取り返しのつかない事になるかもしれませんわよ?
オレは昼休みに言われた天条院先輩の言葉を思い出す、あれから散々考えたけど、聞くことにした。
オレが優斗に話しかけに行こうとするとララに話しかけられる。
「リトー!」
「ララ、悪いけど後に…」
「昼休みに春菜をリトのお家に誘っちゃった!」
「え?」
え?春菜ちゃんがうちに来るの?え?マジで?
オレがララの言葉に固まっていると優斗から声をかけられる。
「リト悪いけど、少し用事ができたから先に帰ってくれ…って固まってるけど、どうした?」
「あ、いやなんでもねーよ、」
「そうか?じゃあ悪いけど、今日は先に帰ってくれ?」
「…あ、優斗話が───」
オレが固まっている間に優斗はそれだけ言って教室を出ていった。
「あれ?ユウトは?」
「…用事があるからって先に帰ってくれだって」
「そっか!じゃあ春菜も来たし行こ、リト!」
「ちょ!?ララ、腕を引っ張るな!」
オレは優斗に天条院先輩に言われた事を聞けないまま、ララと春菜ちゃんと家に向かった。
◇
~優斗side~
「思ったより時間がかかりそうだな」
俺は骨川先生から頼まれた言われた、花壇の手入れをしている。
「とりあえず、夏野菜の苗から植えて行くか、それが終わったら、花を植えて…」
雑草を抜いて畑を耕し、植える所を作ってから、ミニトマトの苗を植えていく。
「何をしているのですか、優斗」
声がかけられた方を向くとヤミさんがいた。
「やあ、ヤミさん、今は野菜の苗を植えてるんだよ」
「…こんな広い花壇を一人でやっているのですか?」
「まあね、本当は骨川先生がやる予定だったけど、腰が痛いみたいだから、俺が引き受けた」
「…苗を植えればいいんですか?」
「そうだね、植える場所とかあるけど…」
「手伝います」
ヤミさんはそういって、花の苗を持ってくる。
「この苗はどこに植えればいいですか?」
「あー鈴蘭はそこに植えて欲しいかな」
「…この花たちは優斗が選んだのですか?」
「そうだよ、骨川先生に選ばせて欲しいって頼んだ」
本当は種から育てたいが、育つのまで見届けることが出来ないかもしれない為、今回は苗にした。
「こちらの花達は何処に?」
「アルストロメリアそこの端に植えて欲しい、ムスカリはその隣に…」
本来一人でやるはずだった作業を二人でやるおかげで思ったより早く終わりそうだ。
「…なぜあなたは誰かを頼らないのですか?」
「頼ってるよ、今もヤミさんに───」
「あなたは自分から誰かに助けを求めない、一人で全てを抱え込んでいます」
「……」
「この花壇の手入れも私が手伝わなければ、一人でやるつもりだった、違いますか?」
ヤミさんは俺を見る、その目は俺を捉えて離れない。
「あなたとはその…と…友達なんですから、少しは私を頼ってください」
顔を赤くしたヤミさんは言う、出会った時と比べて確実にヤミさんは変わってきている。
「ヤミさん、ありがとう」
「わ…私はただ友達としてあなたに言っただけで───ッ!?」
「ヤミさん!?」
恥ずかしくなったのか弁明しながら歩くヤミさんは、足元を見ていなかったのかレンガに足を躓き、俺の方に向かって倒れてくる、俺は支えきれずそのまま一緒に倒れてヤミさんの下敷きになった、最近俺は誰かの下敷きになること多いな。
「大丈夫、ヤミさん?」
「すみません、大丈夫です」
「大丈夫なら良かった、あのさ、言いづらいんだけど、ヤミさんの手が服の下に入ってるからさ、抜いてくれると助かるかな?」
「……」
「え?ヤミさん!?」
ヤミさんは俺のワイシャツの下に入った腕を抜かずにそのままワイシャツをたくしあげる。
「いや、何してるのっ!?」
「……ペロ」
「ッ!!?」
舐められた?胸を?いや何して?
「ヤミさん、離れ…」
「ハムッ」
ヤミさん、そこを口で咥えたら色々とマズイ。
「結城リトが良く女性にえっちぃことをしていますが、同じことをすると男性にも効くのですか?」
「いや、そんなの…どうでも…舐めたり咥えたりする…なぁ」
「いい反応しますね、誘っているのですか?」
「…誰かに…見られる…」
「見られていなければいいのですか、優斗?」
胸板を円を描くように撫でながら、舐めたり咥えたりするヤミさん、ダメだ頭が回らなくなる。
「抵抗しても無駄ですよ?もう少しこのままです」
「本当に…辞め…」
俺がヤミに好き放題やられていると足音が聞こえてくる。
「ヤミさん!誰かくる!」
「…仕方ないですね」
ヤミさんから解放された俺は息を切らしながら膝を着く、ヤバかった、頭が真っ白になっておかしくなるかと思った。
「時雨くん、終わりまちたか…どうかちましちた?」
「なん…でもない…です」
ヤミさんは何事も無かった様に作業をしていた。
「おや?彼女は?」
「…手伝って…くれてる…友達です」
「そうですか、終わったら、道具は倉庫に片付けておいてくだちさいね」
「…わかりました」
骨川先生はそれだけ言って戻って行った。
「優斗」
「ッ!?」
ヤミさんが近付いてきて思わず距離を取る。
「…怯えなくても今日はもうやりませんよ」
「…今日は?っていうか、えっちぃことは嫌いなんじゃなかった?」
「嫌いですよ?」
「じゃあなんで…」
「あなただからですよ?」
「は?」
いや、まさかヤミさんまで俺のことが?
「籾岡里紗が良くあなたの身体を舐めたり、触っていると言っていたので…それを聞いたら腹が立ちました」
「だからやったと?」
「優斗、友達は公平に扱うべきです」
籾岡さん、マジで変な事をヤミさんに吹き込むな、てか籾岡さんは身体を触ってはいても、舐めてはないだろ。
俺は心の中で籾岡さんに文句を言う。
「キスもしたんですよね?」
「…しないからね?」
この後ヤミさんは作業をしながら、俺の唇を狙っていた。
「…疲れた」
花壇の手入れも終わり、自宅へ向かう、ヤミさんは次は逃がしませんよ?と言ってどこかへ飛んで行ってしまった。
「……」
自宅に着き、鍵を開けようとすると家の鍵が既に空いている。
(春馬さんは帰ってきてないはずだ、誰だ?)
玄関に入ると見た事のない、女性用のヒールが置いてある、ゆっくり中に入ってリビングの扉を開けるとそこには見知った人物がいた。
「あら、やっと帰ってきた、おかえりィ優斗くん?」
リトと美柑のおかあさん──結城林檎さんがそこにいた。
「…なにしてるんですか?」
「なにって娘の未来の旦那さんに会いに来ただけよ?」
何言ってるんだこの人は。
「用事があって帰りが遅くなるってリトが言ってたけど、未来の奥さんを家に残して…まさか浮気?」
「そんなこと言ってると美柑が怒りますよ?」
「親公認なら美柑も喜ぶと思うけど?」
「それが出来ないの、わかってますよね?」
「…まさか美柑の気持ちを踏みにじるの?」
マジでその言い方やめてくれ、俺にはどうにもできないんだから。
「本当は気づいてるでしょ?美柑の気持ち、一人の男として優斗くんの事が大好きな事」
「……」
「前よりもずっとあなたに対する想いは強くなってる、どれだけあなたが離れようとしてもね?」
言われなくてもわかってる、俺はどうすればいいか、分からない。
「春馬さんの件を断れば、美柑の気持ちにも答えられるでしょ?もしくは私達が養子縁組で引き取って───」
「そんな事をすれば、春馬さんがあなた達に何をするか、分かりますよね?」
「やっぱり、春馬さんに脅されてるの?」
「……」
この人といると調子が狂う、御門先生とは違うタイプで厄介な人。
「春馬さんに言われたんでしょ、結城家に引き取られたり、誰かと付き合ったりすれば、誰であろうと潰すって、違う?」
「……」
「だから、パパが言った養子縁組の話も断った」
栽培さんは話したのか?林檎さんにあの事を……
「春馬さんはいい人よ?でも目的の為なら手段を選ばない、邪魔してくるのが親友だろうが、潰して前に進む、違う?」
「…そうですね、今の春馬さんは、栽培さんに邪魔されれば、結城家も潰すと思います」
「春馬さんの何が目的は何かは知らないけれど、貴方を利用してとある女性と結婚させようとしているみたいね、けど、あの女と結婚すればあなたは確実に不幸になる」
「……」
「一回お仕事であったことあるけど、最低な人よ?黒い噂も多くある、それに、美柑がこのことを知ったらどうなると思う?」
……泣くだろうな。
「きっと寝込みを襲って既成事実を作ろうとするわね!」
「いや、怖いわッ!流石にそこまでは行かない……はず」
───そっか、じゃあこれで籾岡さんとのキスはなかったことにしてあげる
美柑からキスされた時のことを思い出す、いや、美柑も泣くかもしれないが…流石にそこまでしないはず。
「私もあの人もあなたの事が大切なの、もう一人の息子みたいに思ってる、だから、不幸になって欲しくないのよ」
「…林檎さん、ありがとうございます、でも俺…」
「だから、美柑にこの合鍵渡しておくわね?」
「いや、待て、そういえばなんで合鍵持って──」
「優斗くん!リトにも言ったけど、女のコを泣かせる男は最低だからね?女のコの気持ちに答えてあげられるのは、男のコの優しさなんだから、それだけは忘れないよーに」
「…肝に銘じておきます」
俺はこの前大怪我を追って美柑を泣かせてしまった、美柑の想いにもいつか答えないと行けない日が……
「避妊、忘れずにね?」
「何言って───」
「じゃあ私はリトと美柑が待ってるから戻るわねー」
林檎さんはそれだけ言って帰っていく、あの人、爆弾発言して帰りやがった、てかなんで林檎さんは俺の家の合鍵もってるんだ。
奪い返しに行こうかと思ったが、そんなことしたら、あの人は仕返しだと言って、あることないことを美柑に言うだろうな。
はぁ、今日はなんかすっごい疲れた、やる事やってすぐ寝るか。
おまけ
林檎さんが帰った数日後の放課後、俺は家に帰ると鍵が空いていた。
「…まさか」
中に入って下を見ると見知った靴が置いてある。
「おかえりィ、優兄」
「…美柑、なんでいるんだ?」
「お母さんがコレくれたんだァ〜」
美柑は小悪魔の様な笑みを浮かべてこちらに合鍵を見せてくる、あの人、マジで渡したな。
「…返して欲しいなって言ったら返してくれる?」
「返さないよ?」
「だよね」
「優兄、今日泊まってくね?」
「いや、リト達の夜ご飯は───」
「ララさんが作るってさ、張り切ってたよ?
「美柑、布団がないんだ」
「え?優兄の部屋にベットで二人で寝ればいーじゃん」
「……」
結局この日、美柑は泊まって行った。
次の日学校へリトと向かっていると死にそうな顔をしていて、何があったか聞くと、夜ご飯にダークマターを食べたらしい。