ToLOVEる ~ 生まれ変わった意味を探して~ 作:アイスが食べたいマン
これは優斗の前世、5歳の頃の出来事。
「そのガキが俺の子だと?」
「そう!この子はあなたの子よ!私はあなたの息子を産んだのよ!!」
女は笑いながら、男に言う、隣にいる子供は傷だらけで所々痣があり、痩せ細っている。
「この事、奥さんや週刊誌にバレればあなたの立場が危うくなるわ?」
「…何が目的だ?」
「金よ?一生暮らして行けるほどの金ッ!それさえくれれば、この事は黙ってあげる」
男は既婚者で政治家だった、偶々行った店にいた女性を捕まえたことがきっかけで子供ができてしまった。
「…いいだろう、貴様の望む金額を払ってやる」
「さすが!話が早くて助かるわ!!」
女は歓喜し金額を伝えると男は怪訝な顔をする
「あなたなら、その金額払えるでしょ?じゃあ、私の口座に入れといてね~!ほら行くわよクソガキ」
女は強引に子供の腕をつかみその場を後にする、それを見ていた男はどこかへ電話をかける。
「俺だ、仕事の依頼をしたい、今から言う女とそのガキを殺せ… …殺し方をどうするかだと?好きにしろ、痛めつけるなりお前の好きなやり方でやれ」
男は電話を切る。
「顔にしか取り柄のない猿が、俺を舐めるなよ?」
数日後、女は金が振り込まれずにイライラしていた。
「なんで振り込まれないのよッ!アイツはなにをやっているの!」
「……」
「ムカつくわね!ホントに!もう!!」
女は子供を何度も殴る、子供は抵抗しない、抵抗すればもっと酷い目になるからだ。
「アンタを産んだのだって、あいつから金をむしり取るためなのにっ!」
「……」
「なによ、その目は、私になにか文句あるのッ!!?」
その後数分間、子供は殴られ続ける。
「チッ、もう一度口座を見に行って振り込まれてなかったら、記者にこの情報をばらまいてやる」
女は口座を見に出かける、子供はその間に食べれる物を探す為、部屋を探し回った。
「クソッ、クソッ、クソッ」
「?」
女は顔を手で抑えながら帰ってくる、右足は何かで刺されたのか出血していて女は痛がりながら、椅子に座る。
「あのクソ野郎、やりやがったわね!殺し屋を雇ったな!!私の綺麗な顔を傷つけやがって、クソがァ!」
刺されて自分の誇りであった顔を傷つけられて、正気を失っている。
「なによ、その目は」
女は子供を睨み、台所から何かを取りに行く。
「前からあんたのその目が気に入らなかったのよ、あのクソ野郎にそっくりな目がァ」
台所から戻ってきた女が右足を引きずりながら、子供に近付く。
「見てみなさいよ?あんたのせいで私の顔に傷がついたのよ?あんたを産んだからこうなったのわかる?」
「……」
「あんたを産んだのは大金を手に入れる為だったのに」
女の顔には斜めに斬られた傷ができていた。
「あんたのせいよ…あんたのせいで私は殺される…すべてあんたのせいでッ!!」
女は刃物を子供に振り下ろす、刺されそうになった子供は女の右足を思いっきり蹴り飛ばす。
「いたぁぁぁぁい!なにすんのよぉ、クソガキィ!!」
女は刃物を落として倒れ込む、子供は落ちた刃物を静かに拾った。
「……」
「なによ、待ちなさいよ!そんなの拾って何するつもりよ!!」
「…死ね」
子供は拾った刃物で女を刺した、何度も何度も刺し続けた、動かなくなった女を見て、子供は刃物を床へ捨てた。
ピンポーン
「⬛︎⬛︎さーん?いますよねー?殺しに来ちゃいました~」
「ッ!?」
「さっきは殺し損ねちゃいましたけどー、次は殺しますね~」
チャイムがなり、扉の向こうから男の声が聞こえた、子供は窓から逃げてた。
その日は雪が降っていて、外は寒かった、それでも子供は裸足で走り続けた、生きるために、やがて寒さで意識が朦朧としてきた少年は壁に倒れ込む。
「え?嘘、子供が倒れてる!君、大丈夫しっかりして!?」
「……」
子供が倒れた所は教会だった、倒れた子供はそこに住んでいた少女に発見された。
「神父様!子供が倒れて───」
子供は少女に抱えられて、中へと連れてかれる。
この少女との出会いで彼の人生は大きく変わる。
◇
「いらっしゃーい!私のラボへよーこそっ!!」
「「「おお~っ!!」」」
俺達は今、結城家のララさんの部屋へ遊びに来ている。
「ここがララさんの部屋…すごい」
「庭のお化け植物にも驚いたけど…あ…ありえないわ、クローゼットの中にこんな広大な空間があるなんて」
西連寺さんも古手川さんも驚いている、まあ、クローゼットの中にこんな空間あったら、誰でも驚くか。
「ほぇ───」
「さすがララちゃん!最新の設備がそろっているね!!」
この設備最新なのか、周りを見渡しても映画で出てきそうな機械しかない。
「おい猿山!お前の企画で海に行く事になったのはいいけど…なんで古手川とかレンまでいるんだ?」
この企画に本来居るはずのない人物がいる事にリトは疑問を持ち、猿山へ耳打ちする。
「悪ィ、西連寺さんを誘った時、古手川とレンにも聞かれちまってさ」
それを聞いた古手川さんは監視目的で、レンくんはララさん目的で来ることになった。
まあ、大声で西連寺さん誘ってたから、周りには丸聞こえだった。
「…まぁ、人数が多いぶんにはいいけど…」
俺は行く予定はなかったが、リトから優斗がいると助かるのと聞きたい事もあるから来て欲しいと誘われた。
最近リトは俺に何かを聞こうとしては、辞めるたり、ララさんから話しかけられたりで聞くことができてないみたいだが、一体何の話だ?
「リサとミオは予定が合わなかったみたい」
「そっかー残念だね」
今回美柑も不参加だが、籾岡さんが来ていたら、美柑もきっと来ただろうな。
「言っておくけど、私はあなた達が風紀を乱さないように監視に来ただけよ」
「唯」
「その割には古手川さん、浮き輪持ってきてるけど、もしかして意外と楽しみにしてた?」
「う…うるさいわね!!そういう時雨くんだって浮き輪持ってきてるじゃない!」
「あぁ、これか?これは、誰かが溺れた時の救助用かな」
「怖えーこと言うなよ、優斗」
備えあれば憂いなしという言葉もある、海を舐めてはいけない、何があるか分からないからね。
「ところでララちゃん、海へはどうやって行くの」
「ふふ──それはねーぴょんぴょんワープくんDX───!!」
「「「お───っ!」」」
この機械は確かリトが裸になって飛ばされたって言ってたヤツじゃないよな?
「さ、みんなこの上に乗って!」
「お…おい、ララ」
リトがララさんに耳打ちをする、リトの反応的にこれの前のヤツが裸になって飛ばされたヤツらしいな、大丈夫か?
「じゃ、行くよーリトも早く!」
「ホントだろーな…」
なんだろういきなり不安になってきた、そう思っていたら、機械が起動して、一瞬で俺達は飛ばされた。
「「「う…海だ───!!」」」
みんな服も来ている、どうやら問題なく着いたらしい。
「すげーホントに一瞬で着いた!!」
「キレイな海ね~」
「そそ…そんなさっきまで部屋の中にいたのに…」
「さすがララちゃん」
「…広いな、こんな綺麗な場所に誰もいないなんてことあるか?」
周りには誰もいない貸し切り状態、この時期に貸切で海を泳げるような場所あるか?
「海水浴場とか混雑するから、人が少なそうな島にしたよ~!」
「すげーっ貸し切りだー!!」
島?まさか無人島とか?まあ、帰れればどこでもいいか、
俺達は男女別れて水着に着替えて海に入る。
ララさんと西連寺さんはお互い着替え終わったのか先に入り水をかけあって遊んでいる。
「……やっぱ海に来てよかったぜ」
「………」
「馬鹿なこと考えてないで早く海に入ってこい」
ララさんと西連寺さんを見ていた二人の背中を押して海に入れる、押された馬鹿二人はなにすんだよー!と文句を言いながら泳いで行った、さて問題は…
「……」
「古手川さん、大丈夫?」
古手川さんは浮き輪持って、そっと海に近付くも波にビビって入ろうとしない。
「…この海…波が少し高すぎない!?」
「古手川さん、もしかして泳げない?」
「!!」
これは図星か。
「う…うるさいわね、放っといてよ!!大体人間が浮くなんて──────」
「じゃあ一緒に行く?」
「え?」
俺は古手川さんに手を差し出すと不思議そうな顔してこちらを見る。
「手を繋いで一緒に入れば怖くないよ、浮き輪もあるし、仮に溺れそうになったら、俺が絶対助ける」
「ちょっ!?時雨くん!!?」
俺は古手川さんの手を繋いでゆっくり海に入る。
「まだ怖いかな?」
「……」
顔を赤くして無言になる古手川さん、強引すぎたか?
「…もう大丈夫、時雨くん、あ…ありがとう」
「本当に大丈夫?」
俺が手を離すとその場で立ち止まる、このままだと古手川さんが楽しめないか。
「……」
バサッ!
「なっ!時雨くんなにすんのよ!」
「水かけ?」
ララさん達がやってたから、女子はこういうのが楽しいのかと思ったけど、違うのか?
「ごめん、女子はこういうのが楽しいのかと思った」
「そんなの人によるわよ、楽しませようとしてくれたのはありがたいけど、余計なお世話よ」
「やっぱりまだ怖い?」
「…少し」
「また手を繋ぐ?」
「もういいわよっ!」
怒られてしまった、俺達がそんなやり取りをしているとララさんがこちらへ向かってくる。
「そんなに不安なら、いいもの貸してあげるよ!」
「え!?」
「すいすいイルカくん!!」
ララさんは浅瀬にイルカの機械を出す、紫色のイルカで水上バイクの様な見た目をしている。
「去年、海であったイルカさんをモデルに作ったの!」
「こ…これに乗るの?」
「…古手川さん、辞めておいた方が───」
[さァ!早く乗りな!!]
「「しゃ…しゃべった!!」」
古手川さんは喋るイルカに急かされるてイルカの背中に座る、俺は浅瀬で揺れているイルカの機械を正面から抑えて、古手川さんが座りやすいようにしていた。
「ホ…ホントに大丈夫なんでしょうね…」
[任せとけィ!]
「俺も乗ろうか?」
「これくらい一人で平気よっ!」
[行くぜ!!!]
「え?いや俺、まだ、正面に───グハッ…」
「キャ────ッ」
イルカは正面で抑えていた俺にぶつかりそのまま進む。
ぶつかられた俺はイルカの背中に乗っていた古手川さんと抱き合う体勢になってしまった。
「ッ!?時雨くん!この体勢っ!!」
「言いたいことは分かるけど、今はそれどころじゃないかなッ!!」
イルカは俺達にお構い無しに進んでいく、せめて俺がハンドルを握れれば…
[よっしゃーノッてきた!!さらに加速するぜ───]
「古手川さん!ハンドル変わってッ!」
「こんな抱き合った状態でどうやって変わるのよッ!!」
「俺が古手川さんの後ろに回るっ!」
「ちょっと!!」
俺は古手川さんの脇の下から後ろに回り込み、後ろから古手川さんを抱きしめるような体勢になり、ハンドルを握っている古手川さんの手を上から支える。
「時雨くんの体が当たってッ!!?」
「古手川さん、体を斜めに逸らすよ!」
俺は海岸の方へ体を逸らしイルカをUターンさせてそのまま海岸にもどる。
[オレを乗りこなすなんてやるなァ、兄ちゃん!]
イルカは俺達を下ろすと満足そうにしている、普通に人身事故あったけど、そのことに関してはスルーか?このイルカ。
「もう、サイアク!!何てモノに乗せるのよ───っ!!」
古手川さんはララさんに文句を言って俺に向かってくる。
「時雨くん!さっきの事は忘れなさい!」
「わかってるよ」
「なら…いいわよ」
「ごめん、嫌だったでしょ?事故とはいえ抱き合ったの」
「…別に…嫌じゃなかったわよ」
「え?」
「とにかく!さっきの事は早く忘れてよね!!」
古手川さんは顔を赤くしてララさんと西連寺さんの方へ行ってしまった。
「なんで時雨ばっかいい思いしてんだ!羨ましいぞクソがァ、裏切り者がァァァ」
「猿山、うるさい」
その後、レンくんがくしゃみをしてルンさんになるというトラブルもあったが、リト達はたくさん遊んで帰る時間になった。
「さてと、そろそろ帰ろっか!」
「もうずいぶん遊んだしねー」
みんなでそう話しているとララさんが、あ!と言って困った顔をする。
「どうかしたの?ララさん」
「まさかワープくんが故障したとか!?ハハハ」
「もう猿山くんったら、やめてよー」
「…ていうか…ワープくんは据え置き型で部屋に残ったままだった…つまり~えーと…帰る方法がないや」
「「「マジ…?」」」
この島から帰れなくなりました、さて問題はこの島がどこで、人の助けが来れる場所かどうかだけど…
「か…帰れないって…どーするのよ一体」
「いや…そう言われても…」
[ララ様、ここはどこの何という島なのですか?]
「えーと、確かオキナワって所のどこかの島だったと思うんだけど…」
「沖縄?」
「それなら探せば、もしかしたら───」
「それは絶対にない」
俺は猿山の言葉を遮って言う。
「優斗、どうしたんだ?」
「ここは俺達の知ってる沖縄じゃない」
断言出来る、ここは絶対に沖縄じゃない。
「とりあえず、着替えて民家がないか、探してみようよ」
「…危険だ、始めてくる場所を軽装備で迂闊に移動しない方がいい、安全地帯を確保してからの移動が───」
「優斗、マジでどうしたんだよ?」
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ、時雨くん、何とかなるよね?ルンちゃん」
「え?う…うん、そーね!」
西連寺さんはそういうと荷物を置いた場所へ向かう、移動は正直、安全な場所を確保してからの方が良かったが…
「あれ?」
「どうしたの?」
「ここに置いておいた荷物がないよ」
俺達の荷物が消えていた、まさか取られたか?
「あ──っあれ!!」
「!?」
猿山が指を指した方を見ると二匹の猿が俺達の荷物を持っている。
「何だあれ…サル!?」
「私たちの荷物が!?」
猿は俺たちを挑発した後、そのまま森の奥へと逃げていく。
「ま…待てーっ!!」
「…クソッ、出来ればここがどこかわかるまで、森の中には行きたくなかったが仕方ないか」
みんなの後を追って俺も猿を追いかける、猿の走る速度は時速30キロ、木を使っての移動もあると普通の人間では勝てるはずがない。
「はえ~!!猿山、サルなんだから何とかしろっ!!」
「バカ、名前は関係ねーだろッ」
「ペケ!反重力ウイングっ!!」
[はい、ララ様!]
「私が追いかけるよ、みんなはここにいて!」
ララさんは背中に翼を生やして、猿を追っていく。
「しっかしこの森…ホ…ホントに日本の景色なのか…?もしかして優斗の言った通り、沖縄じゃないんじゃ」
「まったく…あなたたちが男女で不謹慎な行動をとろうとするから、こんな事になるのよ」
「自分だって、優斗と一緒に遊んで楽しそうだったじゃねーか…」
「あ…遊んでないわよ!あれはただ───」
「落ち着いて、二人とも言い合っても現状は変わらない」
リトと古手川さんの言い合いを止める、できる限り森の中へ居たくはないが、ララさんとはぐれるのも不味い、どうするか。
「しっかし、ハラへってきたなァ、どっかその辺にうまい木の実でも落ちてねーかな………?」
『ガァァアァァァ』
「うわ───ッ!」
猿山の後ろに恐竜らしき生物がいた、その生物は俺達を餌だと認知して、雄叫びをあげて追ってくる。
「な…何でこんな所に恐竜がいるのよっ」
「知るかーっ!!!」
「結城くん男でしょ、何とかしなさい!!」
「そ…そんなムチャなっ」
まずいな、このままだとみんなこいつの餌だ、どうすればいい。
俺は逃げながら考えていると目の前に巨大な木が見える。
「みんな!あの木に登れ!」
「高いからやりすごせるかも」
「みんな、このツタを使って登れっ!!」
「うわわわ来た───っ!!」
猿山が1番手にツタを使って登っていくが、このままだと間に合わない。
「…リト、先に登れ!」
「は?お前何言って…」
「時間を稼ぐから早く!」
俺は西連寺さんが登っていくのを見たあと、リトにツタを渡す、俺は恐竜目掛けて石を投げ、俺にヘイトを向かせる。
「こっちだ、恐竜モドキ!」
「優斗!危険だッ!」
「ダメよ、時雨くん!」
リトと古手川さんの静止を無視して俺は走り出す、恐竜モドキは雄叫びをあげながら、俺に向かってくる。
(とりあえず、木の間を走ってリト達から距離を───)
ゴンッ!
「…ララさん?」
「大丈夫!?」
俺が恐竜モドキを引き付けて逃げようとした瞬間、ララさんが恐竜モドキの頭を拳で殴った、殴られた恐竜モドキは倒れて気絶する。
あれを一撃で倒すのか、さすがララさん。
「優斗、おま───」
「時雨くんっ!!!」
リトが俺に何かを言う瞬間に古手川さんがそれを遮り、俺に近づいてくる。
バチンッ!
「!?」
…古手川さんにビンタされたのか?
「あんな無茶して、何考えてるのよ!あのまま食べられると思って心配したじゃない!」
古手川さんは俺の肩を掴んで怒り出す。
「旧校舎の時もそうだけど、あなたは無茶をしすぎ!」
「古手川の言う通りだ、死んだらどうすんだよ!」
「…ごめん」
俺は二人の言葉を聞いて、謝ることしか出来ない。
「あなたが私たちを助けてくれようとした事はわかってるわよ、でもあなたに何かあったら悲しむ人もいるのっ!」
「……」
「わ…私も…あなたが…やっぱりなんでもないわ!」
古手川さんはそういうとララさん達の元へ戻っていく。
デビルーク王との戦いの後で、悲しんでくれる人がいることには気付かされた、でも、助けられるのに助けないなんて選択肢は俺にはない、例えそれで、俺が死んだとしても。
「とりあえず、説教は終わりだ、ほら戻ろうぜ?優斗」
「…わかった」
俺達はあのまま森にいるのは危険な為、一度浜辺に戻り話しをする。
「「「別の星!?」」」
[ハイ、空にうかぶ二つの衛生、そして原始生物…私のデータによるとここは、地球から200万光年離れた無人の原始惑星″オキナワ″だと思います」
「ごめんね~ワープくんが勘違いしちゃったみたいなの」
沖縄とオキナワを間違えたのか、しかも地球から200万光年離れてると、状況はかなりまずいな。
「ど…どーすんだよ、結局、荷物も見つからなかったんだろ?そーだ!ララのケータイメカで助けを呼んだら!?」
「デダイヤルには、惑星感で通信できるような強力な通信機能はないの」
[こうなってはザスティン殿がララ様の不在に気付いてくれるのを待つしかありませんね]
「ホントごめんね~みんな…」
ザスティンは気づくか分からないが、おそらく美柑が俺と連絡が取れないことに気づいて、助けを呼んでくれると信じよう。
「みんなとりあえず、助けが来るまで生き残るぞ、まずは日が暮れる前に拠点の確保だ」
「時雨!拠点ってどんなだよ!」
「雨風をしのげる場所だ、洞窟でもいい、体温低下で起きる低体温症を防ぎたい、あとは水だ、食料がなくても水があれば、2、3週間は生きられる」
「優斗、いつも言ってるけど、そんな事なんで詳しいんだよ」
前世で習ったなんて言えない、各自、拠点探しや飲水などを探す為、動き出す。
「ザスティン気付いてくれるかな~」
[きっと今頃、こっちへ向かってますよ]
あれから数時間後、外もそろそろ日が暮れそうになってきた。
「でも良かったなぁ~っ、雨風防げそうな洞窟が見つかって!!」
「近くに小川もあるし、ここなら、飲水の心配もないな」
「てか時雨、なんであんなに指示が的確なんだ?」
「……」
「しかも火まで起こして、この洞窟もお前が見つけたし、いくらなんでも慣れすぎじゃね?」
「…テレビで見た」
「それだけでこんなできるかよっ!」
「まあ、火は結局ララさんの発明品で起こせることがわかったから、時間の無駄だったけどな」
「火起こしできるだけすげーだろ」
俺達がそんな話をしていると、ララさん達の方から声が聞こえてくる。
「誰のせいでこんな事になったと思ってるのよっ」
「ごめん」
「あ…いえ…」
揉めたか、助けが来るか分からない状況だ、しょうがない。
「ララさん!」
「春菜」
「そこでフルーツがなってる木を見つけたの!」
「お───!!そーいやもう腹ぺこだった!」
西連寺さんがフルーツを持ってくる、毒がなくて食べれるヤツだといいが。
[どれ、私がスキャンして毒性が無いか調べてみます……大丈夫ですね、むしろ栄養素が豊富なようです]
ペケによるスキャンが終わり、食べれる事がわかるとみんなで食べることになった。
「「「いただきます」」」
「うん、うまい!!」
「おいし~」
「まだ向こうの方にもたくさんなってたよ」
味は普通に食べれておいしい、これが毎日となるといつか飽きるかもだが。
「よかった!これで食べる物は何とかなるね」
「…気にしないでいいからねララさん」
「え?」
「協力し合えば、生活なんて何とでもなるよ、これだけ友達がいるんだもの、だからみんな、助けが来るまでがんばろう!
「春菜…ありがとう!」
「じゃあ早速手分けして、住む環境整えようぜ!!」
「私もがんばるよ、リトくん!」
リトが西連寺さんに惚れた理由もわかる気がする、こんな風に周りを励ます力は俺にはない、けど一人くらいなら…
「じゃあ、古手川さんは俺とフルーツ取りに行かない?」
「え?」
「頼むよ」
「…わかったわよ」
リトと猿山は拠点の整備、ララさんと西連寺さんとルンさんは寝床の確保、俺と古手川さんは食料集めをすることになった。
「あった、これかな?」
「………」
「…ララさんに言ったこと気にしてる?」
「…少し言いすぎたわ、それにあなたにも…」
「あれは無茶をした俺が悪い、だから気にしなくていいよ」
ビンタされて、怒られた件は俺が悪い。
「それにララさんに言った事だけど、誰でも死ぬかもしれないってなったら、あれくらい言うよ」
「西連寺さん達は私が言ったようなことは何も言わなかったわよ」
「西連寺さん達が特殊なんだよ、普通なら、もっと混乱して怒ると思うよ」
古手川さんもあの一言で終わっている、ここにいるみんなは全員優しすぎるんだ。
「まあ、古手川さんの言葉でララさんが傷ついたかもしれないけど、しっかり謝ればいい、友達はそれだけで許してくれるものだよ」
「……」
「よし、これだけ集まれば大丈夫かな、古手川さん、みんなの所に戻ろうか」
俺は古手川さんに声をかけて戻ろうとするも、古手川さんは立ち止まって動かない。
「時雨くん、あなたはどうしてそんなに優しいの、なんでいつも助けてくれるの?」
「…俺は優しくなんかないよ、全然。優しい人なら、西連寺さんの様に周りを明るくできるだろうしね、ただ…助けられるのに助けなかったら、死ぬほど後悔する、だから、俺は手を差し伸べてるだけ」
「助けられなかった?」
「…昔の話だよ」
───いたいよ、たすけて、たすけてよ、どうしてたすけてくれないの?おにいさん?やくそくしたのに
あの時、救えなかった少女の声が頭に響く、未だに消えない少女の嘆き、ただ普通に生きたいと願った少女すら、俺は救えなかった。
「戻ろう、もう夜になる」
「…私、ララさんに謝るわ」
「それがいいと思うよ」
俺達二人はそのままみんなの元へ戻っていく。
拠点に戻ると西連寺さんが枯葉を集めていた。
「大分枯れ葉が集まってきたね」
「おサルさんに取られちゃった手さげ袋があれば効率がいいんだけど…」
「こんなに集めてどーするの?春菜さん」
「ベット代わりにいいかと思って」
「わーふかふか!結構気持ちいいよこれ!!」
なるほど、枯れ葉でベットを作ったのか、西連寺さんもよく考えたな。
「ララさん、私…」
「あ、ユウト、唯おかえりー、今から唯の分の葉っぱも集めるねー!」
「え?あ…うん」
古手川さんはララさんに謝るタイミングを逃して言葉をつまらせる、ここから先は古手川さんがどう謝るかだ、古手川さんの成長の為にも、俺はこれ以上干渉しない。
「よし!できた───!!」
みんなで頑張って枯れ葉を集め終えて、寝床もできた。
「お───い!!」
「リト!」
「洞窟の向こう側、探索してたらいいもの見つけたぜ」
リトと猿山がさっきから居ないと思ったが洞窟の奥にいたのか。
「お…温泉!?」
「あぁ!どうやらこの島、火山帯らしいんだ」
「こ…こんな場所があるなんて…」
「天然の露天風呂だね!!」
汗を流したかったから、温泉に入れるのはありがたい。
「オレ達は後で入るから、女子先に入っていいぜ」
「ホント!?」
猿山がそういうと女子達は嬉しそうに温泉に向かった、顔がニヤけてる、ロクなこと考えてないな。
「おい、やっぱマズいって、ノゾキなんて!」
「バカ!去年、臨海学校で時雨に止められて出来なかったのを忘れたのか!!今度こそリベンジを──────」
「おい、バカ二人、今すぐ戻れ」
俺は二人の前に立って言う。
「猿山、ノゾキは軽犯罪法違反に該当するって前に言ったはずだが?」
「うるせぇ、時雨!この島に法律なんてねぇ」
こいつ、ついに開き直りやがった。
「モテる、てめぇには分からねえだろうなぁ!バレンタインでチョコを1つしか貰えなかったやつの気持ちが!!」
「1つ貰えてるだろ」
「ララちゃんがみんなに配ってたやつだから、ノーカンなんだよ、チクショー!?」
猿山はもうやけくそになっている。
「ノゾキなんてするからモテないんだろーが」
リトの言葉が猿山にクリーンヒットする。
「お前らはいいよなぁ!オレなんて…お前らなんてもう仲間じゃねぇ!」
猿山はそういうと叫びながら、走って戻っていく。
「なんだったんだアイツ」
「…疲れてるだけだろ、俺たちも戻ろう」
俺も洞窟に戻ろうと歩き出すと、リトに止められる。
「優斗!二人で話があるんだ」
「前に言ってた、聞きたいことがあるってやつか?」
リトは覚悟を決めたように口を開く。
「優斗が養子で引き取られたって本当か?」
「…誰から聞いた?」
栽培さんか林檎さんが話したのか?
「天条院先輩が言ってたんだ!優斗が親父さんに不幸な目に遭わされるかもしれねぇって!」
「……」
「優斗、話してくれ、親父さんとは本当の家族じゃないのか?」
天条院先輩が家の力を使って調べたが、俺について何も出てこなかったから、リトが俺について何か知ってると思って近づいたけど、知らなかったって感じか。
「…そうだ、俺と春馬さんは親子じゃない」
「!!?」
「リトと出会った日に俺は春馬さんに引き取られた」
「…美柑はこの事、知ってるのか?」
「知らない」
「…不幸な目に遭うってなんだよ」
「………」
天条院先輩はどこまで話した、どこまで気づいた?
「…なんで何も教えてくれねーんだよ、そんなにオレ達は頼りねーか?」
「頼りなくない」
「ならなんで今まで黙ってたんだよッ!?」
リトは俺の肩をつかみ、俺を睨む、その目には教えてくれなかった怒りと悲しみの両方が混ざっていた。
「優斗、答えろ!親父さんの目的はなんだ!!」
「悪いが答えられない」
「なんでだよ!」
「………」
それを答えたら、きっとリトは俺を助けようとする、だから答える訳には行かない。
「もし、お前が親父さんのせいで不幸な目に遭うなら、オレは親父さんを殴ってでもお前を助ける!」
「やめろ、お前じゃ勝てない」
「それでも───」
「美柑が普通の生活が出来なくなるぞ?」
「は?」
「栽培さんや林檎さんは職を失って、結城家が路頭に迷うことになるぞ」
「何言ってんだよ、そんなの」
「できるんだよ、春馬さんにはそれが…」
今の春馬さんは目的の為なら、きっとなんだってする、親友の栽培さんだろうが容赦なく潰す。
「春馬さんはタイムレインズカンパニーの社長だ、権力だけで邪魔なものは簡単に消せる」
「タイムレインズってあの…」
「想像してるやつであってる」
タイムレインズカンパニー、日本を始め、海外にもあり、服、日用品、飲食店等、言い始めたらキリが無いほど、幅広く経営している。
「リト、この件にこれ以上関わるな」
「…優斗、俺は──」
「諦めてくれ」
見たくないんだよ、これ以上身近な人が不幸になっていくのが、俺にはもう耐えられない。
「…この事は美柑には絶対に話すなよ」
俺はリトを置いて洞窟に戻ろうとする。
「絶対に諦めねぇ、もし優斗がオレ達の前から消えたらオレは絶対優斗の親父さんを殴りに行く、ララの力を借りてでもお前を連れ戻す」
俺は知っている、リトみたいな優しい人が誰かを助けて一番最初に殺される、生き残るのは金持ちか、権力者だけ、そんな世界を散々見てきた。
その後、女子達が温泉から上がり、俺達も温泉に入り終わってみんなが寝静まった頃。
(正直、リト達の前で睡眠薬なしで寝たくない、これ以上、知られるわけにはいかない)
睡眠薬がない為、寝る訳には行かず、岩を背に海を見ていた。
「眠れないの?時雨くん」
「古手川さん?」
洞窟から古手川さんが出てきて俺の隣に座る、てっきり寝ているものだと思ったが。
「あなたが出ていくのが見えたから、着いてきたのよ」
「そっか」
「ララさんに謝ることができたわ」
「許してくれたでしょ?」
「えぇ、許してくれたわ」
「良かったね」
「…あなたのおかげよ、あ…ありがとう」
俺が古手川さんを見ると顔を赤くしてそっぽを向く。
「何見てるのよ!ハレンチな」
「今ハレンチ関係なくない?」
イルカの時の方がハレンチだったろ。
「最初は不安だったけど、こーゆー生活も案外悪くないかも…」
「へぇー意外な回答」
「だって、あなたがいるもの…」
「はい?」
「な…なんでもないわよっ!あなたも早く寝なさい!」
「いや、ちょ、手を引っ張らないで───」
俺達はそのまま2日間無人島で過ごした、偶々薬草採りに来ていた御門先生に助けられて無事に地球に帰ることができた。
~唯side~
無事に地球に帰れた私は部屋のベットに寝っ転がっていた。
(どうして、頭から時雨くんの顔が離れないのよ!)
頭の中で彼の姿が言葉が鮮明に思い出される。
───手を繋いで一緒に入れば怖くないよ、浮き輪もあるし、仮に溺れそうになったら、俺が絶対助ける
海に入るのが怖くて入れずにいた時に繋いだ手の感触、助けると言われたあの言葉、イルカの機械に乗った時に事故で抱き合った時の事も頭によぎる。
「ッ!?私は何を思い出し──」
───だって、あなたがいるもの…
「あの時の私なんであんなこと言ったのっ!?」
「唯?さっきから大きな声出してどうした?」
「お兄ちゃん、勝手に入ってこないで!」
お兄ちゃんを追い出した後もずっと時雨くんの事が頭から離れなかった。
私どうしちゃったんだろ───もう、全部、時雨くんのせいよ、あなたが変な事言うから。
その日一日私は時雨くんのことが頭から離れなかった。