ToLOVEる ~ 生まれ変わった意味を探して~ 作:アイスが食べたいマン
オキナワの件から数週間がたった、俺は睡魔を誤魔化すため、朝シャワー浴びて眠気を覚ます、睡眠薬は残り少ない、また御門先生の元に行かないといけない。
(これ以上、御門先生に俺の事を知られたくなかったが仕方がないか)
リビングへ入ると、机には二人分の朝食が並んでいた。
「おはよー優兄」
「また来たのか、美柑?」
美柑が合鍵を持ってから、俺が結城家に泊まらない日は俺の家に泊まりに来たり、こうやって朝食を作りに来たりする。
最近では歯ブラシや泊まりの着替えも置いていくようになった。
「いつから起きてたの?私が来た時にはシャワー浴びてたみたいだけど…まさか、寝てないとかじゃないよね?」
「一時間前に起きたばっかだよ」
「…本当に?」
「本当だよ」
美柑はジト目で俺を見る。
「あ、優兄今日、ウチですき焼きだから、ちゃんと来てね?」
「…昨日言ってたヤツね」
「そうだよ、来なかったら、優兄の家まで迎えに来るから」
「そんな事しなくても、ちゃんと行くよ」
俺は美柑にそういうと二人分のコップと飲み物を出して、机に置く。
「ほぼ毎日来てるけど、リトとララさんの朝食は?まさかララさんが?」
「リトとララさんの朝食はちゃんと作ってから来てるよ、優兄が泊まりに来てくれるか、ウチに住めばこんな苦労しないのになー」
「美柑、いつも朝食ありがとう、食べようか」
「あ、誤魔化した!」
俺達は席について朝食を食べていると美柑から声がかけられる。
「そーだ、優兄!今日のすき焼きにヤミさんも誘ってよ!」
「ヤミさんを?良いけど、仲良かったの?」
「優兄が大怪我して御門先生の所で入院してた時に仲良くなったんだ!」
なるほど、あの時か、たしかに二人とも、俺が眠っている時、傍を離れなかったって御門先生が言ってたな。
「わかった、誘ってくるよ」
「お願いね、優兄!」
俺と美柑はそのまま朝食を食べ終わり、リトとララさんを迎えに結城家に行ってから学校に向かった。
◇
学校に着いてから時間が経ち、現在は昼休み。
「スキヤキ…ですか?」
「そう、今日の夜、結城家でやるんだけど、来ない?」
俺は今図書室で、本を読んでいるヤミさんに話しかける。
「それは美味しそうですね、優斗も来るのですか?」
「もちろん行くよ」
この反応は来てくれそうかな?
「わかりました、私も行きます」
良かった、来てくれるみたいだ。
「結城家の場所はわかる?」
「分かりません」
「じゃあ、放課後で正門に集合でいい?」
「わかりました、放課後の正門ですね、待ってます」
約束の場所と時間を決め終わるとヤミさんは小さい声でスキヤキと言いながら指を加えていた、楽しんでもらえると良いな。
俺は授業の準備の為、教室に戻ると古手川さんの声が聞こえてくる。
「学校に必要のないものを持ってくるのは校則違反です!減点2点!減点が10点を超えたら、反省文を提出してもらいます」
「そんな~」
古手川さんは新井さんが読んでいた雑誌を取り上げている。
「ちょっと古手川さん、いいじゃんそのくらい~」
籾岡さんは古手川さんを説得しようとするが、古手川さんは籾岡さんの足を掴み、スカートの長さを測り始めた。
「へっ?」
「スカートの丈が1センチ短い!ネクタイもないので減点2です!」
「ちょ…1センチとか誤差の範囲でしょ~!?」
1センチくらい許してあげても良いと思うけど、ダメなのか?
「ねーリト、見て!新しい発明品!!これを使うとね~」
「怪しげなアイテムを学校で使うのも減点!!これは没収します!」
「あ~ん、返してよ唯~」
ララさんの発明品も没収してしまった、まさかクラス全員にこんな感じで取り締まってるのか?
「な…なぁ、古手川、そこまでしなくても…返してやってくれよ」
「結城くん、あなたも他人事じゃないのよ、今度ハレンチな行為を見かけたら即、減点10なんだから!!」
リトも撃沈した、周りを見ると古手川さんを睨んでいる人が多い、このままだと古手川さんがクラスで孤立してしまう。
「古手川さん、ちょっといいかな?」
「何かしら、時雨くん」
「確かに不要物を持ってきている人が悪いし、君は正しい、ただ厳しすぎると反感を買う」
教師が没収する分には生徒は諦める、けど同じ立場の生徒から没収されるのは、気に入らない人間も出てきてしまう。
「没収は教師の判断に任せて、注意くらいにしたら?注意すれば治す人もいる」
没収した物は返せば、周りも少しは納得するだろ、古手川さんに近付いて、手を差し出す。
「没収した物、今回だけでも返してあげない?」
「わ…わかったわよ!返すからそれ以上近付かないでっ!!」
古手川さんはララさんと新井さんに没収した物を返して顔を赤くしたながら、教室を出ていく。
「時雨、あんたマジで何人ライバル作ったら気が済むワケ?」
「時雨くん、古手川さんといつから仲良くなったの?」
籾岡さんと新井さんが俺に近付いてくる、逃げろと本能が言っている。
「…怒ってたから、仲良くなった訳じゃないと───」
「そーいえば、ララちぃから聞いたけど、この前の海で古手川さんと手を繋いで一緒に遊んでたんだっけ?」
「…一緒に海行ったんだ」
ララさん、なんでそんなこと話したんだ。
「時雨、ちょっと来て」
俺は籾岡さんと新井さんに手を引っ張られて屋上へ連れてこられる、とりあえず、隙を見て逃げるしか───
「紗弥香、屋上の鍵閉めて」
「わかった」
…読まれてた
「時雨、逃げようとか考えない方がいいぜ?」
二人は俺を逃がさないように屋上の壁へと追い込む。
「まて、一回話を───」
「「ヤダ」」
二人はそういうと俺の両腕を塞ぎ、籾岡さんは俺の耳に息をふきかける。
「ッ!?」
「やっぱりあんた、耳弱すぎでしょ」
「時雨くん、耳弱いの?」
息をふきかけられて床に倒れる、それを見た新井さんは追い打ちをかけるように耳を舐める。
「なっ!?何して…」
「うわ、紗弥香、大胆だね~私も負けてらんないわ」
籾岡さんは俺の服をたくしあげ、腹部から胸板までを舌でなぞる。
「!!?」
「へぇーこーゆーのも苦手?」
籾岡さんはニヤニヤしながら俺の身体を舐める続ける。
「ここなら、誰も来ないし、時雨くんを好き放題できるよ?」
やばい、本当にこのままだと…
キーンコーンカーンコーン
「これからって時にチャイムなっちゃった」
「…仕方ないか」
新井さんはそういうと急いで教室へ戻る。
助かった、そう思っていたら、籾岡さんが俺の首に顔を近付ける。
チュッ
「な…なにして」
「なにってマーキングに決まってんじゃん」
顔を離した籾岡さんはニヤリと笑って俺を見る。
「時雨~後がくっきりついたぜ?これ、他の人に…特に結城の妹に見られたら大変だね~」
「なっ!」
「しばらく一緒にお風呂に入るのはやめときな?」
籾岡さんはスケートの時に美柑が言ってた言葉をずっと覚えていたらしい。
「じゃ、私も戻るわ~」
籾岡さんはそういうと教室へ戻っていく、俺は携帯のカメラ機能を使って首を見ると籾岡さんのキスした後がしっかりと残っていた。
その後ワイシャツの第1ボタンを留めて、授業に参加するため、力の入らない体を無理に動かして教室へ向かったが普通に遅刻して、古手川さんに怒られた。
◇
授業も終わり放課後、あの後、授業中に新井さんは俺をチラチラと見ていて、俺が第1ボタンまで留めてるのを見た籾岡さんは満足そうな顔をしていた。
(ヤミさんとの待ち合わせもあるから、急いで消さないとな)
俺はキスマークを消すため、トイレで試行錯誤していた。
キスマークは内出血の為、出来るだけ早く冷やせばあとは消えるが、ついてから時間が経っている為、濡らしたハンカチくらいじゃ、中々消えない。
(…消えない、仕方ないか、それに今日はすき焼きを食べるだけだ、平気だろ)
俺はヤミさんをこれ以上待たせる訳にもいかない為、荷物を取りに教室へ戻る。
「…古手川さん?」
「時雨くん…まだ校内にいたの…」
教室へ戻ると古手川さんがいた。
「用もないのにいつまでも校内にいるのは、減点よ」
「荷物を取りに来ただけだから、すぐに帰るよ」
古手川さんの手元を見ると大量の紙に名前と数字が書いてあった。
「それ、全部取り締まった人のリスト?」
「まぁね、…あっ」
風でリスト表が床に落ちる。
「拾うの手伝うよ」
拾いながらリストを見ると、2年生だけじゃなく、全学年の生徒の名前がぎっしり書いてあった、こんな違反した人いるのか、てか校長も書いてある。
「古手川さん、昼休みにも言ったけど、君の言ってることは正しいよ、ただ少し肩の力を抜いた方がいい」
「な…何よいきなり…」
「風紀を守ろうとすることは良いことだよ、でもその正しいって気持ちを少し抑えないといけないね」
「なんで正しい事をしてるのに、抑えないといけないのよ?」
「見てきたから、誰かを助けたいって気持ちや自分の正しさを貫こうとする気持ちがどんどんエスカレートして行くところを」
悩んでいた、伝えるかどうかずっと、今日の古手川さんを見て伝えると決めた。
「正義のためなら、人はどこまで残酷になれるんだ」
「…でも───」
「古手川さんがそうなるとは思ってないよ、ただ俺は見てきたから、正しさを貫こうとして堕ちてしまった人を」
俺がそうだった、正しいことだと思って悪党を殺してきた、けどそれは間違いだった、そして俺はあの人が堕ちるのを止めれなかった。
「俺は古手川さんにそうなって欲しくないから伝えたんだ、後悔してからだと遅いから…」
「…わかったわよ、あなたの言う通り、少し抑えることにするわ」
プリントを拾っていると古手川さんの手に触れてしまう。
「あなたといると調子が狂うわ」
「え?」
古手川さんは触れた俺の手の平を恋人繋ぎのように重ねる。
「なんでこうやって、あなたに触れると落ち着くのよ」
「…それは──」
「なにをしているのですか?優斗」
声をした方を向くとそこにはヤミさんがいた。
「中々来なかったので、迎えに来てみましたが、他の女子とイチャイチャしているとは思いませんでした」
ヤミさんのトランスした髪が俺を掴む。
「ヤミさん!?これはイチャイチャしていた訳じゃない」
「この期に及んで言い訳ですか?」
やばい、めっちゃ怒ってる。
「…スキヤキまで時間がないので言い訳は後で聞きます」
ヤミさんは俺を掴んだまま教室を出ようとする。
「古手川さん!最後まで手伝えなくてごめん!」
古手川さんは俺とヤミさんを見て唖然としていた。
「あとそこ右に曲がったら、リトの家に着くから、もう離して」
「…仕方ないですね」
結局俺はヤミさんにトランスした髪に掴まれたまま、結城家をまで案内し、着いたら何とか離してくれた。
「お邪魔します」
「いらっしゃい、ヤミさん、優兄もおかえり」
「…お邪魔します」
「なんか疲れてる?」
「…気のせいだ」
結城家に入ってリビングに行くとリトとララさんと西連寺さんの三人がいた、西連寺さんのこと誘えてよかったな、リト。
「遅かったな、優斗」
「…色々あった」
「時雨くん、制服できたんだね?」
「…着替える時間なくてね」
「そーいえば、今日はなんで第1ボタンまで留めてるんだ?」
「…特に意味は無いよ」
俺達はすき焼きの準備をする、リトとララさんとヤミさんの三人には食器を並べてもらった、すき焼きの準備も終わり、全員で机を囲み食べる準備をする。
「「「いただきまーす」」」
みんな一斉に鍋から具を取り食べ始める。
「春菜が買ってきてくれたお肉!おいしー」
「うちの近所のお肉屋さんで買ったの」
ララさんは西連寺さんと話しながら食べて、リトは西連寺さんを見て幸せそうな顔をする。
「……」
「ヤミさん、ちょっと貸して?」
美柑がヤミさんのお皿を借りて、鍋から具を取って渡す、ヤミさんはお皿を受け取り、箸で肉を取って食べた。
「地球の料理はおいしいですね…」
「ヤミさんっていつも、どんなもの食べるの?」
「たいやき…」
「え?」
まさか、今まで主食たいやきだったのか?
「食べ物に特にこだわりはないので…」
「いや…もう少しこだわった方がいいよ」
ヤミさんの為に、今度なにか作ってあげるべきか?
「そーだ、ヤミさん、あとでトランス能力っての見せてくれない!?スケートの時は少ししか見られなかったから、ちゃんと見てみたかったんだ」
「そんな大したものではないですよ、人を傷つける事にしか使い道のない、呪われた力ですから…」
そういうとヤミさんの顔が暗くなる、ヤミさん、やっぱり君は俺と似てる、ヤミさんを俺みたいにしたくない。
「ヤミさん、人を傷つける力は使い方次第で、人を救う力にもなる」
「…使い方次第ですか?」
「そうだよ、だから、今度はその力で誰かを救ってあげるんだ、ヤミさんにしか救えない人が必ずいるから」
俺にヤミさんの様な力があれば、救えたのかな。
「ヤミさんなら、きっと出来るよ」
「ッ!?」
ヤミさんは顔を赤く染めて下を向く、俺には出来なかったけど、ヤミさんならたくさんの人を救えるだろうな。
「…優兄がそーゆーこと言うから、ライバルが増えるんだよ」
その後、みんなですき焼きを完食して、ゆっくりしているといつの間にか20時を過ぎていた。
「もうこんな時間!そろそろおいとましなきゃ」
「そうだね、帰ろうか」
西連寺さんの言葉に俺は乗っかり帰ろうと準備に動く、このまま首を見られないようにして帰ろう。
「えーもう帰っちゃうの?明日学校休みだし、三人とも泊まって行けばいいのに!」
「え?」
「そーだよ、着替えなら私やララさんのがあるし」
この流れはマズイかもしれない。
「俺も服がないからな、やっぱり帰───」
「優兄のパジャマと下着なら、ちゃんと持ってきたよ」
「持ってきたの?」
「学校から帰ってきた時に優兄の服を家から取ってきた」
「時雨くんの家にどうやって入ったの、美柑ちゃん?」
「優兄の家の鍵、私が持ってるので」
美柑はみんなに見せつけるように俺の家の合鍵を見せる、なんかキーホルダーまでついてるんだが?
「ヤミさんも泊まっていってよ!私、ヤミさんともっと話したいし」
「西連寺、い…いいぜ?俺も別に!部屋も余ってるしな」
「じゃあお言葉に甘えちゃおうかな」
結局全員泊まることになった、パジャマで首を誤魔化せない為、どうするか悩んでいると美柑から話しかけられる。
「優兄ーお風呂空いたよ?」
「…わかった」
何とかするしかないか。
「…何か隠していますね」
「だよね、絶対に何か隠してる」
この時、気づけばよかった、背後で二人が俺を怪しんでいたことに。
シャワーを浴びながら鏡を見ると首にはしっかりとキスマークが残っていた。
(ダメだ、しっかり残ってる、こんなの見られたらどうなるか…)
「優斗、私達も入ります」
「!?」
ヤミさんの声と共に、風呂場の扉が開く、美柑とヤミさんがまえをタオルで隠して入ってくる。
「なんで二人共入ってくる!」
「…入ってはダメですか?」
「いや、普通ダメだろ」
「いいじゃん、優兄、いつも入ってるんだし」
「いつも一緒に入ってるのですね」
「ヤミさん、体洗うね?
「一人で洗うから、いいです、″美柑″」
「今、美柑っていったのか、ヤミさん?」
ヤミさんが美柑のことを名前呼びしたのに驚いていた、いつもフルネームで呼ぶヤミさんが美柑に心を開いたのか。
「スキンシップってやつだよ!」
「…なら優斗のも洗いましょう」
「いや俺は良いから…」
「スキンシップですよ」
俺は逃げるように湯船に行こうと立ち上がるとトランスで肩を抑えられて座らされる。
「じゃあ、優兄のこと、二人で一緒に洗う?」
「それはいい考えですね、美柑」
「…いや、何も良くない」
二人は両サイドから身体を洗い出す。
「ッ!?」
「…優斗、あなたの身体はよく鍛えられていますね」
ヤミさんは後ろから俺の腹筋を触る、なんか触り方がいやらしいのだが、気のせいか?
「優兄、次交代してね?」
「…席は交代しても身体は洗わないからな?」
「洗ってくれないのですか?」
「二人で洗ってくれ」
二人は俺の背中と腕を洗うが、首には気づいていないらしい、助かったな。
「はい、背中終わったよ、こっち向いて、優兄」
「前は自分で洗います」
俺は速やかに前を洗って湯船に入る。
「いいじゃん、洗わせてくれたって…」
「ダメに決まってるだろ?」
ただでさえ一緒に入るのも問題な年齢なのに…そんなことを考えていると二人はお互いを洗いっこする。
「優斗、私達も入るので空けてください」
「いや、俺上がるよ?この浴槽に三人は無理だろ?」
「狭いかもだけど、大丈夫だよ」
「何も大丈夫じゃないよ?」
そのまま俺は風呂を上がろうとしたが、二人に捕まり三人で浴槽に浸かる。
「なあ、なんで二人共俺に寄っかかるの?もう少しあったよね?入り方…」
「これが一番いい入り方ですよ」
「いや向こう少し空いてる──」
「一番いい入り方ですよ?」
「…はい」
俺の前に二人が入り、二人は俺に身体を預けてくる、二人の背中が俺の身体に当たっている為、意識しないように扉の方を向いた。
「…優兄、首のそれ、虫刺されじゃないよね?」
「そうですね、誰につけられましたか?」
「………」
美柑が俺の首を手でなぞる。
「…答えないつもりですか?」
「…優兄?誰につけられたか教えて?」
「………」
「美柑、優斗の耳を───」
「籾岡さんです」
今この状況で攻められたら俺は死ぬ、ならあとが怖いが答えた方がいい。
「籾岡さんと仲良いんだね、キスマークつけられるくらい」
「いや、無理やり…」
「今日優斗は、教室でコケ川という女子と恋人繋ぎしてましたけど、あれはなんですか?」
「…また、新しい女の人…」
「あれは俺も分からない、急にされたから…」
これは嘘じゃない、急にされたし、理由もわからない。
「籾岡さんには他に何されたの?」
「それは──────」
美柑の質問に俺がどう答えるか悩んでいると風呂場の扉が空いた。
「逃げてきちまった、なりゆきとはいえま…まさか春菜ちゃんが───へっ?」
今回ばかりはナイスタイミングだ、リト。
「な…なんでお前ら一緒に入ってんだよっ!」
「いいから早く出ていけバカ──────っ!!」
「殺しますよ?結城リト」
二人は立ち上がり、美柑は近くにあった風呂おけをリトに投げヤミさんがトランスで拳を作りリトの顔面を殴る、俺はその間に風呂を出ていく。
「結城リト、あなたのせいで優斗に逃げられました、覚悟はできてますね?」
「リト、あんたなんでいつも邪魔するの?」
「いや、わざとじゃ───」
俺はすぐに着替えてリビングへ逃げると、美柑とヤミさんにボコボコにされたリトがリビングに戻ってきた。
「ひでぇー目にあった…」
「殺されずに済んでよかったな」
その後、ララさんと西連寺さんも風呂に入り終わり、時間を見るともう23時過ぎだった。
「それじゃあ、そろそろ寝よっかー春菜は私と一緒ね!」
「ヤミさんと優兄は私の部屋で寝ようね?」
「わかりました、美柑」
「え?俺、美柑の部屋で寝るの?」
「いつも優兄が寝てる場所はララさん達が寝るからね、それにまだ聞かないといけないこともあるし」
「俺はリトの部屋で…」
「優斗、行きますよ」
俺はヤミさんにトランスした髪に捕まり連れていかれる、美柑の部屋に着くとヤミさんは俺をベットの上で解放して、その両脇に二人が寝っ転がる、ただ腕だけは何故かトランスで縛られていた。
「籾岡里紗にマーキングをされた他に何をされましたか?」
尋問が始まった、ヤミは俺の首に指を当て、キスマークを指でなぞる。
「………」
「優兄、答えないんだ」
「美柑、答えない時はこうやると効率的です」
ヤミさんは俺の服をたくしあげ、胸板を円を描くようになぞりながら耳を甘噛みする。
「うっ!?」
「…詳しいね、ヤミさん」
「優斗の弱点です、籾岡里紗が言っていました」
「ふーん?」
美柑もヤミの真似をして同じことをする、頭がおかしくなる。
「何をされましたか?」
「…舐め…られた…」
「どこを?」
「…身体」
「他には?」
「…耳を…攻められた」
耳を攻めたのは新井さんだけど、聞かれてない為言わない、ここまで来たら、聞かれたことに関してはもう洗いざらい白状した方がもう楽になれる。
「もう…いいだろ?」
「「………」」
二人は黙り込む、ダメか?正直、耳はもうやめて欲しい。
「籾岡さんがしたことと同じしていい?」
「…何するかによる」
「マーキングします」
二人はそういうと首に顔を近付ける、抵抗するだけ無駄だと判断した俺は、何もせず、終わるのを待つ。
「…………んっ」
「………チュッ」
(……籾岡さんの時より長い)
少し立つと二人は首から離れる。
「これで上書きできたね、ヤミさん」
「そうですね」
二人は満足そうにお互いを見る、俺が眠っていた間にここまで仲良くなっていたとはな。
(もう、ヤミさんにも俺は必要無いかもしれないな)
俺が居なくても美柑がいてくれる、俺が居なくなっても美柑が色々なことを教えてくれるだろう。
「じゃあ、もう寝よっか」
「そうしましょう」
二人はそのまま、俺の両サイドに寝っ転がっる。
「おやすみ、優兄」
「おやすみなさい、優斗」
「あぁ、おやすみ」
二人が眠るのを俺は寝たフリをして見届ける、睡眠薬は自宅にある為、寝てしまえばまた、悪夢を見る、そうなればまた美柑やヤミに心配をかけるだろう。
───覚えておけ、お前の平和な日常とやらはそう長くは続かないぞ?
聞こえてくる声を無視して、俺は朝まで寝たフリをした。
おまけ
朝、鏡を見ると籾岡さんが付けた、キスマークよりくっきりとあとが残っていた。
「時雨くん、それどうしたの?」
「西連寺さん、聞かないでくれ」
学校までに消えるといいけど。