ToLOVEる ~ 生まれ変わった意味を探して~ 作:アイスが食べたいマン
お泊まり会も終わり月曜日、俺は朝早く学校へ行く、理由は御門先生の診察を受けに来た。
(…保健室が空いていない)
朝、何時もこの時間に空いているはずの保健室が空いていなかった、御門先生は今日は休みなのか?
「あら時雨くん、診察にきてくれたの?」
「…今日は何時もより遅かったですね」
俺が諦めて教室へ戻ろうとすると学校に来たばかりの御門先生に声をかけられた。
「実は私、どうも朝が弱くてね、今日は少し遅くなったのよ」
「意外ですね、そういう所はしっかりしてると思ってました」
知らなかった、この人、朝は弱いタイプなのか、そういえば、俺はこの人が宇宙人ってことしか知らない。
「えぇ、だからごめんなさい、これから色々やることもあるから、診察は昼休みでもいいかしら?」
「他の生徒が来ないなら大丈夫です」
俺は教室へ戻ろうとしたが、一つ気になることを質問してみることにした。
「一つ聞いてもいいですか?」
「なにかしら?」
「どうして地球に来たんですか?それだけの医療技術があるなら、引く手あまただったのでは?」
死人以外ならどんな患者だって治せるその技術は、人を救えることにも、悪用することにも使うことができる、御門先生を欲しがる人もいたはずだ。
「あなたがそんなこと聞くなんて意外ね、もしかして私のこと───」
「何を勘違いしてるか、知りませんが、俺はただ自分のことを一方的に知られてるのが嫌なだけです」
「あら、残念」
一方的に知られているというのは好きじゃない、それに絶対残念なんて思ってないだろ。
「風が吹いたから…かな…」
「風…ですか?」
「フフ…別に深い意味はないわ、気まぐれよ、気まぐれ」
御門先生は笑みを浮かべながら言う、気まぐれね…
「御門先生、あなたは、この───」
「あら、もうこんな時間!ごめんさい、時雨くん、話の続きは昼休みに話しましょう」
「…いえ、時間を取らせてしまってすみません」
俺は御門先生にそういって教室へ戻る、御門先生、あなたはきっと───
◇
それから時間が過ぎて昼休み。
俺はリト達に弁当を一緒に食べようと誘われたが断って、保健室へ向かっていた。
「きゃっ!」
階段を降りていると新井さんの悲鳴が聞こえてくる。
「大丈夫、新井さん!?」
「痛たぁ…あ、時雨くん!ちょっと階段から足を踏み外しちゃった…」
「少し見せて?」
新井さんは膝を抑えて痛そうにしている、抑えている所を見ると、血が出ていて痛そうだ。
「一緒に保健室に行こう」
「え、一緒に!でも…時雨くんに悪いよ」
「俺もちょうど保健室に用事があるから大丈夫、とりあえず、行くよ」
「時雨くん!?」
あまり時間がないのと、新井さんに歩かせるわけにも行かず、俺は新井さんを抱えて保健室まで走る、古手川さんに見られたら、廊下を走るなとかハレンチな!って言われるだろうな。
「と…時雨くん、こ…これ恥ずかしいよ…」
「歩いて悪化するよりマシだよ」
抱えている状況を御門先生に見られたら、面倒な事になると考えて、保健室の前に着いた俺は中に入る前に新井さんを下ろしてから、中へ入る。
「待ってたわよ時雨くん、あら?あなたは…」
「御門先生、新井さんが階段で足を踏み外して怪我をしたので、先に見て貰えませんか?」
「そういうことね、わかったわ」
御門先生は新井さんを椅子へ座らせて、怪我をしたところを見て治療する、手際がよくあっという間に処置が終わった。
「これでよし…大した怪我じゃないからすぐに治るわ、これからは階段を降りる時はもっと注意してね?」
「ありがとう、先生!」
新井さんは治療が終わると俺の方へ来る。
「時雨くんもありがとね」
「あぁ、大した怪我じゃなくて良かったよ」
足もしっかり動かせるみたいでよかった。
「ところで時雨くんの用事って?」
「時雨くんは前に怪我をした右腕の経過観察よ、治ってはいるけど、念の為ね」
「そうなんだ、少し時間もかかるから先に戻っていいよ?」
「わかった、そういうことなら、時雨くん先に戻ってるね」
新井さんは教室へ戻って行った、なんていうか考えていなかったから、御門先生がフォローしてくれて助かった。
「ありがとう、先生──…か」
「どうかしましたか?」
「なんでもないわ、さて、座って時雨くん、あなたの診察を始めましょう」
御門先生は言われて、俺は椅子に座る。
「さて、今日は何を聞きましょうか」
「……いつも言っていますが、話せることしか話しません」
「もちろん、わかってるわ」
御門先生は足を組み、瞳は俺を真っ直ぐ見つめる。
「近接戦闘術、CQCって知ってるかしら?」
「…………」
予想外の質問に俺は一瞬固まる、まさかCQCについて聞かれるとは思ってもいなかった。
「CQCは軍や警察で可能な限り、敵を取り押さえることが目的として使われている戦術よ、あなたはこれを使うことができるのよね」
「…ヤミさんから俺がCQCを使ったことを聞きましたね?」
俺がCQCを使ったのはヤミさんにだけ、それにヤミさんから聞かない限り、俺との会話でCQCなんて話題は絶対に出てこない
「ヤミちゃんを悪く思わないであげて?私が彼女に無理に聞いたのよ、それに、CQCを使っていたこと以外何も教えてくれなかったわ、これ以上はあなたへの裏切りになるって」
「…そうですか」
この前、ヤミさんが熱で倒れた時に、御門先生がヤミさんに俺を救いたいから教えて欲しい、的な事を言ったんだろう。
「教えて、どうしてあなたはCQCが使えるの?もしかしてあなたは───」
御門先生が俺に質問しようとした瞬間、ピッという音と共に空中に映像が映し出される、壁を見ると蜘蛛のような機械から、光が出ていた。
「なんだ?」
「!!」
『やぁ、お久しぶりですね…ドクター・ミカド』
映し出されたのは右目に大きな傷がある、サングラスの男。
「ケイズ…どうしてここが…」
『フフ…我々をみくびってもらっては困りますな』
御門先生の反応的に、こいつとはいい関係ではないことが分かる。
「…何か私に用かしら…」
『フッ、わかりきった事を…今日こそは貴方に来ていただきますよ、我らが組織″ソルゲム″は貴方の力を必要としているのですから…』
ゾルゲムね、どんな組織か分からないけど、ロクな組織じゃなさそうだな。
「お断りするわ、あなた達とは考え方が合わないの…何度もそう言ったはずよ?」
『…大切な生徒と引き替えになっても…ですか?』
「なんですって!?」
『貴方の地球での生活は調査済みなんですよ、御門″先生″、ごらんいただこう』
「!!!」
そこに映し出されたのは、俺もよく知る人物だった。
『何よ、ここ…』
『どこなの…』
籾岡さんと古手川さんが映し出される、こいつ、人質を…
「………」
御門先生の顔が歪む、人質を使われれば御門先生は下手な動きができない。
『ドクター・ミカドあなたが断ればどうなるか、よく見るといい』
ケイズが言った瞬間、映像に映し出された二人にスライムの様なものがまとわりつく。
『キャ───ッ』
『ちょ、何よコレ!!』
「………!!」
『ククク…どうします?御門先生』
…こいつらはクズだ、目的の為なら手段を選ばない。
『あのスライムは我々が作った合成生物でね、人質の自由を奪い、命令一つで彼女らを窒息させることもできるんですよ』
「…くっ」
『さあ…生徒達を見殺しにできますか?』
こんなクズと悪党はたくさん見てきた、こいつらの条件を飲んだとしても籾岡さんと古手川さんは解放されない。
「…わかったわ、あなた達の言う通りにする…」
御門先生の表情は見えない、おそらく、諦めている、二人の為ならと自分を犠牲にするつもりだ。
『よろしい、では今から一人で指定する場所に───』
「すみません、少しだけお時間を貰えませんか?」
『…なに?』
「時雨くん?」
俺は二人の話に割って入る。
『…誰だ?』
「自分は、ドクター・ミカドの助手をさせて頂いてます、時雨優斗です」
『助手?部下からそんな情報は…』
情報を確認される前に俺は話を続ける。
「御門先生がそちらの組織に行くとなると、色々と必要な物もあると思います、一度診療所に帰らせて準備させて貰えませんか?」
『…下手な動きをすれば、どうなるかわかっているのか?』
「自分は地球人です、あなた達に対してなにかできると思いますか?」
ケイズは悩むように黙り込む。
「あなた方の組織に行ってから、必要なものが診療所にあるとなって戻るのは二度手間です、″聡明″な貴方ならわかりますよね」
聡明という言葉を強調して言う、自分を賢いと思っているバカにこういうと猶予をくれる事が多いがこいつはどっちだ?
『よろしい、一度戻って準備することを許可しましょう、時間は2時間後、指定した場所ドクター・ミカド一人で来てもらいましょう、ただし妙な動きをした瞬間、彼女らの命はありませんよ?』
「わかっています、お時間を頂き感謝します、ケイズ様」
通信が切れる、蜘蛛の機械はどこか癖へ消えてしまった、思ったより時間が貰えたな、これならなんとかなる。
「あなたは、何を考えているの?」
「とりあえず、診療所へ行きましょう」
俺の読みが正しければ、ケイズは仲間を使ってこちらを監視して来るはず。
「おそらく、俺達が診療所に向かえば、監視している仲間が着いてくると思います」
「あなた、まさか…」
「そいつらを生け捕りにして場所を吐かせます」
「いくらなんでも危険すぎるわ、彼らは───」
「無駄話してる時間は無いので行きますよ」
御門先生と一緒に学校を出て、診療所まで向かっていると、後ろから後をつけてくる二人が居る。
「…来ましたね」
「正気なの?彼らは殺人の請け負いから武器の密輸・製造…あらゆる悪事を───」
「そんな悪党は何万と殺してきましたよ」
「…え?あなた何を言って…」
「いいから走りますよ」
俺は御門先生の手を引いて走り出す、道の角を曲がり路地裏へ行くと後をつけてきた二人も急いでこちらへ向かってくる。
「ここで捕らえます」
「本当にでやるつもり?失敗したら…」
「仮にあなたがあいつらの元へ行っても人質になった二人は帰ってきませんよ」
「え?」
「ああいうクズは、絶対に約束を守らない」
俺は近くに落ちていた鉄パイプを拾って壁に背をつけ構える。
「おい、待っ───グガっ!」
路地裏へ入ってきたケイズの部下の一人を鉄パイプで頭を殴り気絶させる。
「なっ!貴様───」
後から来たもう一人の部下は仲間が倒れたのを見て、懐から銃らしき物を取り出そうとした、俺はもう一人の銃らしき物を回し蹴りで蹴り飛ばして、顔面を殴る。
「地球人っ!こんなことをして──ぐっぁあァァ」
顔面を殴られ、うつ伏せ倒れたケイズの部下に跨り、チョークスリーパーで首を絞める。
「…今から俺の言う質問に答えたら殺さないでやる、仲間の数と人質はどこにいるか教えろ」
「だ…誰が答えるか、貴様はケイズ様が───ぐっぁあぁぁ」
「…別にお前が死んでも、そこで寝ている仲間を叩き起して聞くだけだ」
俺は首を絞める力を強くする。
「がぁ…わか…った…答え…る…」
「早く答えろ」
「工場…だ、立ち入り禁止の───」
ケイズの部下は死への恐怖で顔を歪ませ話し始める、俺は首を絞める力を強くする。
「嘘だったら…わかるよな?」
「…う…そ……じゃ…ない……助け…」
「時雨くん、それ以上は───」
「言われなくても、わかってますよ」
こいつは全て吐いて仲間の数と人質の場所はわかった、こいつにはもう用はない。
俺はケイズの部下の頭を持ちそのまま地面へ叩きつける、頭を叩き付けられたケイズの部下は気絶した。
「…今の一瞬で二人を無力化して、情報を聞き出した…やっぱりあなたは…」
「今その質問に答えている暇はありません」
俺は二人のケイズの部下から通信機と思われる物と武器を回収する。
あとはこいつらの服を使って縛り上げれば、仮に目を覚ましてもしばらくは動けない
「御門先生、これの使い方は普通の銃と変わりないですか?」
「えぇ、変わらないわ、ただ威力が地球にあるものと違うわね」
「装弾数と撃った時の反動はどれくらいですか?」
「まさか、あなたそれを使うつもりなの?」
「心配しなくても殺しませんよ」
「…玉は9発よ、反動は地球の拳銃とあまり変わらないわ」
俺は御門先生に武器の使い方などの確認をする。
「使えそうですね、俺は籾岡さんと古手川さんを助けに行きます」
「あなた、一人で行くつもり?」
「えぇ、俺一人の方が動きやすいので」
「危険すぎる、死ぬかもしれないのよ」
───…危険だ、本部とも連絡が取れてない、俺達二人で行動した方が────
───危険かもしれないよ?でも僕達は⬛︎⬛︎⬛︎だから、みんなを助ける、君だって約束したんだろ?
「…じゃあ御門先生のことも人質にされた籾岡さんや古手川さんも見殺しにしろと?」
俺は御門先生の目を見てはっきりと言う、俺はあの人と約束した、たくさんの人を救うと、前世では果たせなかった、でも今度こそ俺はその約束を果たす、約束を果たせないくらいなら俺は…
「誰かを見殺しにするくらないなら、俺は死んだ方がマシだ」
「!!」
それに、もう身近な人には誰にも死んで欲しくない。
「御門先生は安全な所で───」
「私も連れて行って」
俺の言葉を御門先生は遮って言う、正直安全な所にいてくれた方がやりやすいんだが…
「私は教師よ、私のせいで生徒を一人で危険なところに行かせるくらいなら、私も死んだ方がマシよ」
御門先生は俺の目を見て言う、覚悟をしている目だ。
「それに二人を助けに行っても、ケイズに言われた時間まで、まだ余裕もあるわ」
「…わかりました、ただし、俺から離れないでください」
俺は銃を持って、御門先生と一緒にケイズの仲間から聞き出した工場へと向かった。
工場について中を見ると、捕まっている二人の姿が見えた。
「籾岡さんと古手川さんの近くにケイズの部下が二人いるわね」
「さっきの奴が吐いた情報と一緒ですね」
あいつが言った情報は嘘ではなかった。
「時雨くん、ここからどうするつもり?」
「俺が動いて二人を無力化します、御門先生は二人の救出をお願いします」
俺は工場に入り、気配を消して、二人のケイズの部下に近づく。
「ふひひひ、いい眺めだなァ」
部下の一人はそういってゲスな笑みを浮かべる。
「この娘達、本当にミカドを説得できたら解放するのか?…うッ」
後ろから、気配を消して片方の部下に近づき、手で口を塞ぎ、首を絞めながら後方へ下がる、首を絞たケイズの部下は何もできずにそのまま気絶する。
「まさか!どっちも上玉だ、いくらでも商品価値はあるだろ」
「そうか、やはり解放するつもりはなかったんだな?」
「そりゃそうに決まって───ッ!?」
俺は上機嫌に話している一人の部下の頭に銃を突きつける。
「時雨!?」
「時雨…くん?」
二人が俺の顔を見る、正直見られたくなかったが仕方がない、首を絞めて気絶させた所を見られなかっただけ良かったと思うか。
「もう一人のお仲間が助けてくれると思うなよ?そいつはお前が喋ってる間に眠ってもらったからな」
俺は後ろで気絶した奴を一瞥しながら言うと、もう部下は焦ったように手を挙げる。
「今すぐ二人を解放しろ」
「わかった!わかったから、銃を…」
「二人を解放したら下ろしてやる」
籾岡さんと古手川さんはスライムから解放される。
「二人とも大丈夫、怪我はないかしら!?」
「「御門先生!?」」
「ゴメンなさい、あなた達を危ない目に合わせて」
御門先生は籾岡さんと古手川さんに近付き怪我などないか確認する。
「か…解放したから…銃を…」
「あぁ、約束通り銃は下ろしてやる、銃はな?」
「な…なにを───」
「お前も寝てろ」
俺は銃のグリップでケイズの部下の頭を殴り気絶させる。
「籾岡さんと古手川さんは学校に戻りなさい、今ならまだ6限の授業には間に合うわ」
「え?御門先生と時雨くんは戻らないの?」
「俺達はまだやることが残ってる」
俺は気絶したケイズの部下から銃とナイフを取り上げ、服で縛りあげながら、籾岡さんと古手川さんに話す、こいつ、ナイフを持っていたのか。
「それと今見た事は誰にも言わないでくれ、また無茶をしたってリトに怒られる」
「それはいーけど、ララちぃ呼んだ方が───」
「平気だよ、御門先生は強いから」
俺が戦ってる所をララさんに見られたら、絶対にリトや美柑に言うからな、俺はケイズの部下が持っていたナイフを二人に見られないようにポケットへしまう。
(場所は河川敷の高架下で相手は三人、さてどう潰すか)
籾岡さんと古手川さんを救出できた時点で、ケイズに指定された場所に行く必要はないが、行かなければまた別の誰かを人質にして同じことをするだろう。
「時雨くん、私が囮になるわ、その間にケイズ達を───
「御門先生、待ってください、まさか着いてくるつもりですか?」
「これは私の問題よ、関係のないあなたがここまで助けてくれたのに、私は安全な所で見ているなんてできないわ」
説得するだけ時間の無駄だな。
「…わかりました、ただし、危険なことはしないでください」
俺と御門先生は二人でケイズがいる河川敷へ向かう。
◇
河川敷の高架下には三人の部下がいたが、ケイズは一人は前に出ていて、二人の部下は後ろにいる。
「会話で時間を稼げばいいです、もし危険だと思ったら逃げてください」
「…絶対に逃げないわ、だって私が逃げてもあなたは一人で戦うでしょ?」
「御門先生、戦闘になったら───」
「もし、仮に戦闘になってもあなたが守ってくれるでしょ?」
「そうなったら、死んでも俺が御門先生を守り抜きますよ」
俺は御門先生の目を見てそういうと御門先生の顔が明るくなった。
「時雨くん、ありがとう」
御門先生はそういうとケイズの元へ向かって歩き出す、俺は後ろの二人の部下に気づかれないように背後の柱へまわる。
「ようこそ、待っていましたよドクター・ミカド、予定よりも早かったですね?」
「生徒たちは無事なんでしょうね?」
「もちろん」
御門先生とケイズは話し始める、俺はその間に高架下の所に置いてある車へ身を隠す。
「あなたが我が組織、ソルガムに忠誠を誓ってくださるなら、すぐにでも解放しますよ」
「…そんなに私の医学が欲しいの?」
「えぇ、欲しいですねェ、あなたの医療技術を持ってすれば──────」
こちらからケイズの表情は見えないが声をトーン的に興奮しているのがわかる、攻撃するタイミングは話すことに夢中になっている、今しかない。
俺はケイズの背後にいる二人の部下に近づき、ナイフを持ってCQCを仕掛ける。
「…ッ!?」
片方の部下の足を蹴り体制を崩してから、首を絞めて床に倒す。
「なっ!?」
もう一人の部下がこちらに気づく、俺はすぐにもう一人の部下に近づき、腕を掴み、足を引っ掛け地面へと倒す。
「なんだ!?」
「気づくのが遅かったな」
「貴様は…助手とか言っていた地球人!」
ケイズはこちら気づいて、銃を構えようとするが、腕を掴み、腹部に膝蹴りをさて、そのままケイズを地面へ投げ飛ばす。
「ぐわッ、貴様、良くも…」
「まだ終わってないぞ」
気絶せず、何とか立ち上がったケイズに向かって俺は両拳で連打をする。
「ガハッ、地球人ごときに…っ!」
抵抗しようとこちらへ手が向かってくるが全て弾いて連打する。
「グッハ…ぬ…抜け出せ…ないッ」
「さっきまでの威勢はどうした?もっと楽しめよ?」
気絶しない程度に連打を叩き込み、最後に回し蹴りをケイズの顔面に叩き込む。
「ふごっ───は…鼻が…」
「あらあら、ケガしちゃったの?ならとっておきの塗り薬があるわよ、″死ぬ程″染みるけどね」
「え…うぎゃあぁぁぁ」
御門先生はケイズの鼻に塗り薬を塗ると悲鳴を上げて気絶する、なんだあの塗り薬、ヤバすぎるだろ。
「ユウト───っ!御門先生──────っ!」
ケイズが気絶してすぐに聞きた覚えのある声が聞こえる。
「御門先生!大丈夫!?」
「ララさん、どうして?」
「リサと唯がユウトと御門先生が危ないって言ってて、助けに…あれ?」
「ちょうど、御門先生が全部片付けたよ」
籾岡さんと古手川さんがララさんに話したようだ、それで心配して俺達を探したらしい。
「そうですよね、御門先生?」
「御門先生って強いんだね!」
「え…えぇ、ちょうど全て終わったわよ、心配かけてゴメンなさい」
ララさんに事情を話すとケイズ達はザスティンに引き渡す事になった、ソルゲムは元々デビルークと敵対関係であった組織らしい、その割には弱かった気がするが…
「じゃあ私は御門先生が倒した、路地裏と倉庫で気絶してる人も運んでくるね──っ!」
「ありがとう、ララさん」
ララさんはそういうと発明品で飛んでいってしまった、御門先生の顔を見ると悲しい顔をしていた。
「時雨くん、まだあなたにアレを渡してなかったわね、学校に戻りましょうか」
「…わかりました」
俺は御門先生と学校へ戻った。
~御門side~
ケイズ達をララさんに引き渡してから私と時雨くんは、学校の保健室へ戻ってきた。
生徒を危険な目に合わせてしまったわ、私は教師失格ね、これ以上、この惑星にいるべきじゃないのかもしれないわね。
「御門先生、まさか教師を辞めて地球から出ていくつもりじゃないですよね?」
「!?」
私の心を読むように時雨くんは言う、どうして、私はあなた達を…
「もしそうするつもりなら、俺が全力で止めますよ」
「…どうして?私のせいで籾岡さんや古手川さんが危険な目にあったのよ、それにあなたにまで迷惑を…」
「あなたが学校を辞めて地球を去ったら、悲しむ人も困る人もたくさん居ますよ、それに…」
時雨くんは少し間を開けて私の目を見てはっきりと言う。
「あなたは今の生活が最高に楽しいんじゃないですか?」
「…それは」
この惑星に来てからはあっという間に時間が過ぎていて、私にとってとてもステキな3年間だった。
「これは俺の経験談ですが、俺にもありました、目も眩むような、楽しかった生活が…」
彼は懐かしむような顔をしながら続ける。
「…けど俺は失った、俺は過去をやり直したいって、何度も数え切れないほど後悔しました、御門先生、一度失えば、もうその生活は戻ってきませんよ?」
「……時雨くん」
彼は悲しい顔を浮かべてながら言う、時雨くん、あなたはやっぱり…
「それにあなたがいなくなれば、俺も困ります」
少し照れくさそうに言う彼を見て不思議な気持ちになる、何なのかしら、この気持ちは…
「時雨くん、あなたは何者なの?」
私は昼休みに聞こうとした質問をする、私の予想では彼は───
「あなたはこの世界の人間じゃない、違うかしら」
彼がCQCを使ったのを見て確信した、あれは見様見真似で出来るようなものじゃない。
彼の戦い方は完成されている、普通の高校生ができるような代物ではなかった。
「御門先生の言った通り、俺はこの世界の人間じゃないです」
時雨くんは意を決したように言う、やっぱりそうなのね。
「何故か分かりませんが、俺はこの世界に生まれ変わりました」
「…そう、あなたの前世は」
「俺は自衛隊の特殊部隊に所属していました」
「だから、あなたは強かったのね」
自衛隊の特殊部隊、どうして彼が自衛隊になったか分からないけど、どうしても私は彼を知りたい。
「俺は前世でたくさん後悔した、死にたくなるくらい、だから御門先生には後悔して欲しくないんですよ」
彼の目が私を捉えて離さない、その目を見ていると引き込まれそうになる。
───誰かを見殺しにするくらないなら、俺は死んだ方がマシだ
───そうなったら、死んでも俺が御門先生を守り抜きますよ
時雨くんに目を見て言われた言葉を思い出す。
「時雨くん、ありがとう」
そっか、私は彼を好きになってしまった、惚れてしまったんだわ。
私は彼への想いを自覚してしまった、後悔して欲しくないね。
「時雨くん、お礼がまだだったわね」
「…?さっき、ありがとうと言われましたが?」
「違うわ?まだ渡してないでしょ?」
時雨くんは、あぁと言って私が渡すのを待っている、きっと睡眠薬を渡すと思っているのだろう。
「…あの、なんか近くないですか?」
「近くないと渡せないでしょ?」
「一体何を───んッ!!?」
私は時雨くんの肩を掴んでキスをする、彼は驚いて後ろへ下がろうとするけど、肩を掴んでいるから下がれない。
「───ッ!!」
私は時雨にキスをしながら、口に舌をねじ込んで彼の舌に触れて絡みつく。
「ぅ──ゥ─っ」
「───んっ」
抵抗してくる時雨くんの腕を掴んで、そのまま後ろにあったベッドへ押し倒す。
「───っ、はぁはぁ、息が…」
私と時雨くんの口から一本の銀の糸が伝う。
「いきなりなにをして」
「あら、足りなかったかしら?」
「何言って───」
「じゃあ、もう少しだけ…」
「やめっ───んっ!?」
私はもう一度、時雨くんにキスをした、さっきと同じように彼の口に舌を入れたディープキス、抵抗する彼を抑えて1分ほど経過した後口を離す。
「私のお礼はどうだった?」
「はぁ…はぁ…はぁ…生徒に…手を出すのは…教師として…どうなんですか?」
「あなたは特別でしょ?」
時雨くんを狙う子は多い、私も彼を好きになってしまった。
「時雨くん、あなたが欲しくなっちゃったわ」
「本当に自分が何を言ってるのかわかって───」
「他の子に負けないわ、絶対にあなたを手に入れるから覚悟してなさいね?」
満足した私は彼から離れて、いつもの睡眠薬を机に置いた。
「いつものお薬、そこに置いておくわ、そのままだと、私があなたを襲っちゃうわよ?」
その言葉を聞いた時雨くんはすぐに起き上がり、薬を取る。
「…薬、ありがとうございます」
「またいつでも待ってるわ、あなたの為なら夜遅くても───」
「失礼しました」
私の話を遮って時雨くんは帰ってしまった。
籾岡さん、前に耳が弱いって話していたわね、フフ…次は耳でも攻めてみようかしら。
その頃、ソルゲムの拠点では。
「時雨優斗ね」
椅子に座って頬杖を着く男は映像を見ながら言う。
「顔も私の知ってる彼に似てるなぁ~戦い方も彼女そっくりだ」
男は興味深そうに言う。
「まさか、本物の⬛︎⬛︎優斗くんだったりして~いや…それはないな」
「ボス、そろそろ時間です」
「あぁ~すまないね~すぐに行くよ」
そういうと男は映像を消した。