ToLOVEる ~ 生まれ変わった意味を探して~   作:アイスが食べたいマン

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めっちゃ長いです。


~⬛︎⬛︎優斗VS過去の亡霊~

前世で俺はあの人を止められなかった。

 

「なんで裏切った!教官!!」

 

彼岸花が咲き誇る花畑で俺は冬華教官に向かって叫ぶ。

 

「これは私の復讐だ」

「復讐?一体何の事だよ、教官」

 

俺が任務を終えて帰ってきた時に総司令に聞かされた話、それは戦国冬華が上層部を皆殺しにして国家機密を持ち出したという事。

「もう手段は選んでられない、私は奴を殺す」

「奴?誰のことを言ってる」

「私の全てを奪った奴に制裁を与えるのさ」

 

冬華教官の目は復讐に飲まれていた、何を言っているのか、俺は教官がなんの話をしているのかさっぱりわからなかった。

 

「…あんたの全て?」

「優斗、邪魔をするならお前も殺す、例え、優華にとって大切な弟だった、お前でもだ!」

「優華さん?なんで優華さんと俺の関係を知って───ッ!?」

 

俺の言葉を遮り、冬華教官は刀を構えて突っ込んでくる、本気だった、あの時の教官は本気で俺を殺しに来ていた。

 

「…クソッ!!」

 

俺は冬華教官の突きをギリギリで躱す、躱した俺は理解した、本気で戦わないと俺も死ぬ、捕獲なんてできない。

 

「私を殺す気で来ないとお前が死ぬぞ、優斗!!」

「なんでだよ、なんでこうなるんだよ!教官!!」

 

俺の意思とは別に戦いの火蓋は切られた、俺は戦うしか無かった、国を守る為にはそれしか無かった。

 

「チェックメイトだ、教官」

「………」

 

30分ほど続いた戦いは、俺が冬華教官の刀を奪い、腹部を突きで貫いたことにより幕を閉じる。

 

「…私の…負けか…」

「…なんで、こんなことをした?それにどうして、俺と優華さんの関係を知っている?」

 

俺は冬華教官には優華さんのことは一切話していない。

俺達の関係は師弟関係ではあったが、お互いの過去についての詮索はしてこなかった、だから俺は知らなかった。

 

「優華は……私の…娘だ…」

「は?なに…いってんだ…?」

「私の本名は雨宮冬華、戦国は私の旧姓だ」

 

俺はこの真実を聞いた時、教官が何を言ってるのか、理解できずに頭が真っ白になった。

 

「私は…元々アメリカ軍に所属していた」

「それは知ってる、前にあんたが言ってただろ」

 

俺が唯一この人の事で知っているのはアメリカ人と日本人のハーフでアメリカ軍の特殊部隊にいた事だけ、それ以外は何も知らなかった。

 

「…昔、日本人の自衛官と任務で…組むことになった…任務で私は彼に…恋をした…その時にできた子供が…優華だ」

「………」

「私が…あの子を産んですぐに彼は任務で…死んだ」

「…日本にはなんで」

「私が仕事を辞めて…日本に移住する予定だったのさ」

 

俺は血を流し彼岸花畑に倒れた冬華教官が話を続ける。

 

「だが、彼は死んだ…そして…その任務は隠蔽された…私はそれを…知るために…日本の自衛隊に入ったのさ」

「…まさか優華さんを教会に預けたのは巻き込まない為か」

「そうだ…あそこに入れば…あの子は安全だと思っていた…全てが終わった時に…迎えに行くつもりだった…」

 

冬華教官は乾いた笑みを浮かべる。

 

「理由はわかったのか?」

「あぁ…調べれば調べるほど…埃が出てきたさ…当時の日本は…その国との外国関係が…あまり良くなくてな…自衛隊の上層部が任務に絡んでいると発覚すると…外交関係で問題が起きるからさ」

「だから…上層部を殺したのか?」

 

俺の質問に冬華教官はゆっくり答える。

 

「それもあるさ、だが…一番許せなかったのは…優華を殺したことだ」

「優華さんは俺のせいで───」

「そうだ…お前が…あの教会に…逃げ込まなければ…死ぬことはなかっただろうな」

「っ!!」

 

冬華教官は俺を見る、そうか俺もあんたに恨まれてたのか。

 

「ただ…もう1つ原因がある…自衛隊の中で…奴にお前の居場所を…あの殺し屋に流した奴がいたのさ…」

「何のために…」

「…お前の父親に近づくためにな」

「それが上層部だったと?」

「…あぁ、だが…奴らはただの操り人形だったよ───グっ」

 

冬華教官は話しながら血反吐を吐く、おそらくもう限界だ。

 

「もう喋らなくて───」

「虹崎輝と晴野駿の死んだ任務にも…奴は関わってるぞ…」

「…は?」

「お前に…これをやる…確認してみるといい」

 

渡されたのは冬華教官が盗み出した国家機密。

 

「パスワードは───だ…それに全ての真実が…入っている」

「冬華教官、奴って誰だ」

「──────だ」

「嘘だろ?」

 

教官がいった名前を聞いて俺は驚くことしか出来なかった。

 

「これで…今回のことは…全て話した…私を殺せ…」

「………」

 

俺は教官に銃を向ける。

 

「最後に聞かせてくれ、なんで…俺を拾った?恨んでいたなら何時でも殺せたはずだ、それに初めて出会ったあの時に、殺せばよかっただろ?」

 

冬華教官なら何時でもころせたはずだった、なのに俺はこうして生きている。

 

「…優華が…お前を愛していたからな…」

「え?」

「半年に一度…私はあの子を見に…教会へで行っていた…お前が来てから…あの子の笑顔は増えていた…だから…恨んでいても殺せなかった…それだけだ」

 

冬華教官は内ポケットから写真を取り出す、それは優華が俺と笑っている写真だった。

 

「優華…一緒の所には行けないだろうが…私はお前をずっと愛してる」

「………」

「優斗…私を殺せ…」

 

俺は教官に向けた銃のトリガーを指にかける。

 

「地獄でまた会おう、優斗」

 

それがあの人、雨宮冬華の最後の言葉だった、そしてこの日は俺の誕生日でもあり、優華さんの命日でもあった。

 

 

 

 

「なんで…なんで!…なんで!!お前がここにいる!?戦国冬華ッ!!!」

 

俺の叫びを聞いた黒い迷彩服を着た過去の亡霊、戦国冬華は俺を見るとニヤリと笑いテキストが表示される。

 

【戦国冬華が現れた!】

 

「優斗!どうしたんだよ!」

「逃げろ、今すぐに!!」

 

この人と戦いながら俺はリト達を守れない、ならまずリト達を逃がして───

 

「優兄!逃げろってどうして───」

「よそ見か?優斗」

 

横を向いてリト達に逃げろと伝えた瞬間、背後から声がした、すぐに後ろに振り返ると冬華教官の蹴りが迫っていた。

 

「───グッ!?」

「優兄!!」

 

ガードが間に合わず、腹部に蹴りが入り、そのまま蹴り飛ばされる、蹴り飛ばされた俺はすぐに立ち上がる、まて、この世界はゲームなんだよな?なんでこんなに痛みが…

 

「これで終わると思うな」

「なっ!!」

 

立ち上がって戦闘体勢に入ろうとする俺に、冬華、教官は間髪入れずに両拳で連打を叩きこむ、ダメだ、抜け出せない。

 

「トランス!!」

 

俺に両拳で連打をしている冬華教官の後ろから、ヤミさんが髪を刃に変えて攻撃しようと向かってくる。

 

「フッ」

 

冬華教官は連打をやり終えると俺を殴り飛ばし、ヤミさんの攻撃を躱す。

 

「髪を刃に変えたのか、随分不思議なことをするな?」

「躱された!」

「甘かったな?金髪娘」

 

攻撃を躱しながら冬華教官はニヤリと笑う、そして刃に変えられていない部分の髪を掴む。

 

「なっ!?」

「刃に変えるなら、髪先だけじゃなくて髪の根元まで変えておけ」

「っ!?」

 

そのまま髪を引っ張りヤミさんを壁に叩きつける。

 

「お前では私には勝てない、潔く死ね」

「ヤミさん!!」

 

冬華教官は壁に叩きつけたヤミさんに銃を向ける、ダメだ、俺の距離だと間に合わない。

 

「ユウトとヤミちゃんにイジワルしないで!!」

 

ララさんは端末を操作して何かを取り出す。

 

「万能ツール!!」

 

万能ツールから刃が伸びる、あれはララさんがよく使う発明品か。

 

「無駄だ、お転婆娘」

「え?」

 

冬華教官はララさんの攻撃を身体を横に反らして躱し、そのまま拳をララさんの腹部に叩き込む。

 

「姉上!!」

「お姉様!!」

 

腹部に拳を叩き込まれたララさんはそのまま吹き飛ばされる、冬華教官はララさんが、吹き飛ばされた時落としたデダイヤルを踏みつけて破壊し、万能ツールを拾う。

 

「ほう…いい武器だな」

 

吹き飛ばされたララさんの元にナナさんとモモさんの二人が駆け寄っていく。

 

「オマエ、良くも姉上をっ!!」

「許しませんよ!!」

 

ナナさんとモモさんは端末を操作する。

 

「…させると思うか?」

 

冬華教官は銃をナナさんとモモさんに向けてトリガーを弾くと弾丸は二人の端末を貫き破壊する。

 

「なっ!デダイヤルが!?」

「的確にデダイヤルを撃ち抜いた!?それに…これは本物の───」

「今更気づいたか?その弾丸は本物だ、もちろん弾丸が、お前達の心臓を貫けば死ぬだろうな」

「「「!!?」」」

 

俺の予想が当たっていれば、弾丸だけじゃない、あの人の攻撃で、致命傷を受ければ死ぬ、ヤミさんとララさんも攻撃を受けて気づきかけているだろう。

 

「弾丸だけじゃない、私の攻撃でお前達が致命傷を負えば死ぬ」

「何を言っているのよ?これはゲームでしょ!」

「フハハっ!」

 

古手川さんの言葉を聞いた冬華教官は笑い出す。

 

「私が設定とやらを変えた、ここで死ねばお前達は死ぬ、元の世界に戻りたければ、私を殺すしかない」

「し…心配しなくても、だ…大丈夫…だよみんな」

 

ララさんは腹部を抑えながら立ち上がる。

 

「二人ともメインコントロール───」

「メインコントロールルームなら破壊したぞ、お転婆娘」

「…え?」

 

ララさんの言葉を遮り、冬華教官は告げる。

 

「お前達が出来損ないの魔王と茶番劇を繰り広げている間に破壊した」

「…嘘だろ?」

「そんな…」

 

冬華教官の言葉を聞いたナナさんとモモさんは驚愕する。

 

「みんなは関係ない!用があるのは俺だろ!!」

「あぁ確かに目的にはお前も含まれている、だが最終的にはここにいる全員を殺す」

 

俺の言葉を聞いた冬華教官は俺を見て言い放つ、

 

「俺がそれをさせると思うか?」

「今のお前には私は止められないさ」

 

俺は冬華教官に向かって突っ込むと冬華教官は万能ツールを振り下ろす。

 

「ッ!!」

「ほう、避けたか?」

 

当たる直前に身体を後ろへ逸らして躱す、銃を向けられる前に終わらせる。

 

「銃で撃たれる前に殴ればいいと思ったな?」

 

俺は冬華教官に殴りかかるが躱される、そしてそのまま銃のグリップで頭部を殴られて地面に倒れる。

 

「惜しかったな」

「ぐあぁぁぁぁあ」

 

冬華教官は倒れた俺の左足に向けて銃を撃つ。

 

「優兄!!」

「「優斗ッ!」」

「時雨くん!」

 

冬華教官は負傷した俺の左足をエグるように踏む。

 

「ぐぁぁぁあぁぁぁっ!!」

「…随分弱くなったな?平和な日常で牙を抜かれたか?」

「お前!優斗になんの恨みがあるんだよっ!」

 

リトが冬華教官に叫ぶと、冬華教官は顔だけリトの方へ向けて言い放つ。

 

「優斗のせいで娘が死んだ、コイツには地獄を見てもらう」

 

冬華教官はそういった瞬間、俺の目の前に子供が現れる。

 

「カ…カレンちゃん?」

「あの子、二つ目の村にいた!」

 

俺の目の前にカレンちゃんが現れる、そしてカレンちゃんは俺に話しかけてくる。

 

「…どうして?…どうして助けてくれなかったの?おにいさん?約束したのに…」

 

カレンちゃんの後ろには銃と爆弾で地獄と化した村が映し出される。

 

「お前の判断ミスでこの子は死んだ、よく見ておくと良い」

「…何をするつもりだ、教官!やめろ!やめてくれ!」

「辞めるわけないだろ?」

 

冬華教官は抵抗しようと動く俺の頭を抑えると、何発も弾丸がカレンちゃんを後ろから貫いていく。

 

「あぁああぁああぁ─────────っ!」

「しっかりその目で焼き付けろ、お前のせいで死んだ人間の末路を」

 

俺の目前でカレンちゃんは銃弾によって、蜂の巣にされて倒れてしまう、俺が…俺のせいで…なんで普通の幸せを願ったカレンちゃんが死んで、俺は生き返ったんだ。

 

 

~美柑side~

 

私達の目の前で優兄が悲鳴をあげて泣いている。

 

「こんなの酷すぎる」

「やめてよ、優兄をこれ以上苦しませないで!!」

 

私は優兄の元へ走り出そうとする、このままだと優兄が壊れちゃう。

 

「今いいところだ、邪魔するな」

 

女の人がそういうと私達を囲うように檻が出てくる。

 

「何も出来ない弱者は、そこで優斗が壊れていくのを見ていろ」

 

女性は私を見て笑みを浮かべる。

 

「ちょっとなによ、これ!」

「クッソ、なんだよこの檻!!」

「結城くん!どいて!」

 

西連寺さんが持っていた剣で檻を斬ろうとするが、斬るどころか剣が折れてしまった。

 

「…え?」

「剣が折れた!?」

「…ウソでしょ」

 

私も魔法を試そうと魔導書を開いて魔法を唱えるが、魔法は発動しない。

 

「どうして…なんで魔法も使えないの?」

「お前達に構ってる暇は無い、こっちは異星人も相手にしないといけないのでな」

「トランスっ!」

 

女の人の後ろから、ヤミさんが腕を刃に変えて攻撃するが躱されてしまう。

 

「まだ分からないか?金髪娘、お前では私を倒せ───」

「こっちにもいるよ!」

女の人の背後に回っていたララさんが拳で殴ろうとする。

 

「なっ!?」

「うそっ!?」

 

ララさんの拳が当たる寸前で、女の人は、そのまま横に飛んで躱して、ララさんの攻撃はヤミさんに当たってしまう。

 

「ヤミちゃん、大丈夫!?」

「大丈夫です、それよりも優斗を───っ!!」

「悠長に会話をしている暇があるのか?」

 

女の人は万能ツールで二人の首に向かって斬りかかるが、二人は間一髪のところで回避する、今の避けれなかったら二人は…

 

「優斗!」

 

女の人が動いたことによって開放された優兄をヤミさんがトランス能力で掴んで引き寄せる。

 

「大丈夫ですか!優斗!?」

「…うあぁぁっ」

 

ヤミさんは優兄の肩を掴んで揺らすも、優兄の目はヤミさんを見ていない、優兄お願いだから戻ってきて、壊れないで。

 

「もう絶対に許さない!!」

 

ララさんはそう言って女の人に右手で殴り掛かるけど、横に躱されて腕を捕まれる。

 

[ララ様!腕を捕まれました!!]

「まだだよ!」

 

ララさんは掴まれてない方の左手で殴りかかるも避けられて掴まれてしまう。

 

「拳圧で壁を壊すか、さすが異星人だな、だが身体能力が上でも、戦闘技術はこちらの方が上の様だな」

 

そういうと女の人はララさんの両腕をがんじがらめにして、腕を持ち上げてララさんを地面に倒す。

 

「あれは!CQC!!なぜあなたがそれを!」

「ほう、CQCをよく知ってたな?金髪娘」

 

女の人は倒れたララさんを踏みつける。

 

「姉上を離せっ!」

「お姉様!!」

 

ララさんの妹のナナさんとモモさんはララさんに当たらないように、女の人に向かって二人の合わせた尻尾からビームを出す。

 

「小娘共まだ分からないのか?どれだけ強力な力を持っていようが、当たらなければ意味がない!」

 

女の人はビームを躱して万能ツールでを構えた。

 

「っ!?逃げてください!あれは危険で─────優─ッ!?」

「チェックメイトだ!小娘ども!」

 

女の人がナナさんとモモさん目掛けて目にも止まらぬ速さで向かっていく、万能ツールの刃が二人に刺さる直前に誰かが二人の前に飛び出してきた。

 

「え、うそでしょ?」

 

その人は私にとって一番大切な人で、大好きな人。

 

「優兄?嘘でしょ?い…嫌だ…嫌だよ!イヤァ────────っ!!?」

 

優兄の胸に万能ツールが突き刺さっていた。

 

 

~優斗side~

 

離れた所で美柑の悲鳴が聞こえてくる。

 

「大丈夫?二人とも…」

 

俺が現実に戻ってきた時、ナナさんとモモさんに向かって突きの構えをしていた冬華教官が見えた為、ヤミさんを引き剥がし、撃ち抜かれた足に鞭を打って、全力で走った。

 

「お前!血が!」

 

二人に刺さる寸前に前へ出た為、二人には怪我は無さそうだったが、ナナさんが俺の右胸を見て固まる、誰が見てもわかるくらいの致命傷だった。

 

「よく戻ってこれたな?優斗」

「もう…目の前で…誰かが死ぬのは…懲り懲りなんだよ」

「…そうか」

 

冬華教官は右胸に刺さった万能ツールを引き抜き、俺は倒れる。

 

「優斗、誰かを守って死ぬなら本望か?」

「………」

「もう少し絶望させてから殺すつもりだったが、まあいいだろう」

 

冬華教官は俺の後ろに居たナナさんとモモさんに向けて、銃を構える。

 

「だがお前の死は無駄だ、ここにいる全員私が殺す」

「ナナ、モモ逃げて!!」

 

倒れてこちらに向かってくるララさんが見えた、でも、その距離では間に合わない、冬華教官は銃のトリガーを弾いた。

 

「え?」

 

誰かのそんな声が聞こえる。

 

「足掻くな、死に損ないが」

「…悪いな教官」

 

トリガーが引かれる直前で俺は教官に飛びかかり、銃口を握り二人から起動を逸らす。

その結果、ナナさんとモモさんに怪我はなかったが、二発の弾丸がゼロ距離で俺の腹部を貫いた。

 

「…哀れだな、最終的にここにいる奴らは全員死ぬんだ、そんなことまでして助けた所で、数分の延命に過ぎないだろ」

「それでも…目の前で…助けられる人が…いるなら……俺は助けたい…それで…俺が…死んだと…しても…」

「なら死ね」

 

冬華教官はそのまま俺の腹部に向かって、銃のトリガーを引いた。

 

「ユウト!?」

「優斗!?許しません!あなただけは!!」

「どうした?金髪娘、怒ってるのか?」

 

ララさんとヤミさんが透かさず攻撃をするが、冬華教官は二人の攻撃を躱す。

 

「おい!オマエ!なんで!なんでここまでして!」

「どうして、こんなになるまで私達を庇ってくださったのですか?」

「そーだよ!なんで!私達のせいでみんなが危険な目にあってるのに!?」

「いや…それは…違うよ…俺の……せい…だから… …二人は…悪くない…よ」

「でも!」

「私達が!」

 

二人のせいじゃない、俺がみんなを巻き込んだ、その結果この場にいる全員が危険な目にあっている。

 

「…よかった…今度は…間に合った…」

 

出血は止まらない、ここまでか…

 

「───死ぬな!」

「そうです!───ダメです!!」

 

意識が遠のいていく、二人の声も聞こえなくなって…

 

 

 

 

 

 

───お─て?─斗

 

 

優──お─て!

 

 

 

懐かしい声が俺を呼んでいる気がする。

 

 

 

──優斗、起きて!

 

俺が目を開けると、ここにいるはずのない人に膝枕をされていて、俺を覗き込むように見ていた。

 

「優斗、起きた?」

「優華さん…なんで…?」

 

辺りを見渡すとそこには、たくさんの小動物と花畑が広がっていた、

ここはどこだ?またいつもの幻覚か?なんで優華さんがここにいるはずがない。

 

「今までよく頑張ったね」

「そっか…俺は死んだのか」

 

優華さんに頭を撫でられる、ナナさんとモモさんを助けられた、最後に俺は間に合ったんだ。

 

「ごめんね、優斗」

「…え?」

「辛かったよね?一人でずっと抱えて、寂しかったよね?一人でずっと戦ってきて…」

「………」

 

優華さんはそういって俺に謝ってくる、違う、優華さんは何も悪くない。

 

「優華さんが居たから今の俺がいるんだ、むしろ謝るのは俺の方だよ」

「…どうして?」

「優華さんは俺のせいで死んだ、俺がいなければきっと…幸せになっていた」

 

冬華教官が復讐をすることもなく、全て終わらせて優華さんと幸せに暮らしていたかもしれない。

 

「それに俺は、たくさんの人を救う所か、たくさんの人を殺した」

 

俺は救えなかった、むしろたくさんの人をこの手で殺した。

 

「俺が生まれて来なければ、みんな死ぬこともなかったかもしれない」

 

母親に利用される為に生まれた

 

姉のようなに思ってた大切な人は俺のせいで死んだ

 

約束を果たすことができずに、少女を助けることができなかった

 

師には憎まれて、最終的にはこの手で殺した

 

親友は殺す以外で救う方法がなく

 

後輩は───

 

俺が生まれて来なければ、全員生きていたかもしれない。

 

「優斗と出会ってからの三年間は本当に幸せだったよ」

 

俺の言葉を聞いた優華さんは笑顔で言う。

 

「私ね、家族がいなくてずっと寂しかった」

「…優華さん」

「でも、優斗と一緒に過ごすようになって毎日がすっごく楽しくなったの!」

 

優華さんは懐かしむように俺の頭を撫でながら言う。

 

「私を孤独から救ってくれて、幸せにしてくれたのは優斗なんだよ」

「ッ!!」

 

なんで…なんで…ぼくのせいで優華さんは死んだのに…

 

大切な人はみんな、俺より先に死んで行った、寂しかった

 

「私が最後に言った言葉、覚えてる?

「…いくつか抜けてるけど、覚えてる」

 

─── 優…斗、たく…さんの人を、すくってあ…げて?そして、⬛︎⬛︎⬛︎より⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎に…なっ…て…ね…

 

優華さんの言葉を思い出す、いくつか抜けている言葉を。

 

「あの時の優斗は動揺してたもんね」

「…ごめん」

 

俺は優華さんに謝ると″大丈夫だよ″と笑顔で言う。

 

「優斗、あの時の言葉をもう一回言うね」

「…うん」

「優斗、たくさんの人を救ってあげて?そして、その人より幸せになってね」

 

その言葉を聞いた時、抜けていた言葉がピースのように当てはまった。

 

─── 優…斗、たく…さんの人を、すくってあ…げて?そして、その人よりしあわせに…なっ…て…ね…

 

「私はね、優斗に救った人以上に幸せになって欲しかった、苦しんで欲しくなかった」

 

優華さんは俺を見て泣きそうな顔になる。

 

「私の言葉は優斗にとって呪いだったよね、だから前世でも今でもあなたを苦しめてる」

「………」

「私は優斗に生きて欲しかった、笑っていて欲しかった…本当はそれだけで良かった…」

 

優華さんの言葉を聞いて思い出す、前世の時の事を。

 

「優華さんそれは違うよ」

「…え?」

「その言葉があったから俺は生きることができた、諦めず最後まで足掻き続けたんだ」

 

きっとその言葉がなければ、俺は輝達に出会うこともなかった、それに今回は間に合ったんだ。

 

「俺はこれで満足だよ、優華さん」

「…本当に満足なの?」

「え?」

 

満足だ、だって今回は間に合った─────

 

───…哀れだな、最終的にここにいる奴らは全員死ぬんだ、そんなことまでして助けた所で、数分の延命に過ぎないだろ

 

本当に満足なのか?このまま俺が死ねば、みんな…

 

「お母さんを止められるのは、優斗だけだよ?」

 

優華さんは俺に追い討ちをかけるようにそういってくる。

 

「いやダメだ、まだ死ねない」

 

今死ねば、みんな死んでしまう、それに…

 

─────あぁ確かに目的にはお前も含まれている、だが最終的にはここにいる全員を殺す

 

冬華教官は誰かに良いように利用されている。

 

「優斗、お母さんを止めて…これ以上お母さんが苦しまないように助けてあげて」

「必ず止めるよ、優華さん」

 

俺は立ち上がる、どうやったら戻れるかは分からないけど、やるしかない。

 

「目を閉じて、優斗」

「え?でも」

「私があなたを元の場所まで送り届ける」

 

優華さんは歩き出そうとした俺の手を掴む。

 

「それともう1つ、優斗に早めの誕生日プレゼント、期限付きだけどね?」

 

優華さんは俺の顔を優しく触りお互いの額をくっつける。

 

「────────────────」

 

優華さんは何かを呟いた。

 

「優華さん、一つお願いがある」

「なに?」

「戦ってくるから、俺の事を見てて欲しい」

「うん、わかった」

 

俺は優華さんに連れられて、もう一度あの人と戦う為にみんなの元まで戻っていく。

 

 

 

 

 

「…脈がない」

「モモ、嘘だよな」

 

優斗はナナとモモの前で目を閉じて息を引きとった。

 

「優兄…嘘だよね?起きてよ…起きてよ優兄!!」

 

美柑は絶望して泣き崩れる。

 

「クッソ、なんで!なんで!!ララの親父の時も今回も!オレは見てることしか出来ねーんだよ!!」

 

リトは自分の無力さを呪い。

 

「時雨くんが死ぬなんて、ありえないわよ、何かの間違いだわ…だってさっきまで一緒に…」

 

唯は現実を受け入れることが出来なかった。

 

「時雨くん…ダメだよ…時雨くんが…死んじゃったら…里紗が泣いちゃうよ…結城くんだって…」

 

春菜は口に手を抑えて絶望する。

 

そしてララとヤミは戦国冬華と戦っていた。

 

「なぜ!優斗を殺したのですかっ!」

「金髪娘、さっき言ったはずだが?優斗はせいで娘が死んだと、殺すのに理由は十分のはずだ」

「優斗の突きをあなたも使っていました、私の予想ですが、あの突きは元はあなたの技、優斗とあなたは師弟関係だったのではないですか!」

「………」

 

ヤミの言葉に戦国冬華は黙る。

 

「…そうだな、確かにそんな時もあった」

「何故、優斗にあなたの技を教えたのですか、戦場で生き残って欲しいからではないのですか!」

 

ヤミはトランスで腕を刃に変えて、戦国冬華に連続で斬りかかるが何事も無かったように受け流す。

ヤミは薄々気づいていた、優斗が軍人もしくはそれに関する人間だったのではないかと。

 

「優斗は利用する為に育てた、それだけだ!」

「っ!?ふざけないでください!優斗は!!」

「お前にあいつの何がわかる?過去も知らない奴が口を出すな」

 

戦国冬華はヤミの刃になった腕を万能ツールで弾き心臓に向け、銃を構えてトリガーを弾く

 

「ヤミちゃん、危ない!!」

 

ララは咄嗟にヤミを押す。

 

「っ!」

[ララ様!!]

「プリンセスっ!!」

 

ララの肩に弾丸が貫き、ララは肩を抑える。

 

「大丈夫だよー!このくらいへっちゃら!」

 

ララは心配をかけないように言うが、優斗が死んだこともあり、内心ではかなり焦っていた。

 

「…もう十分なようだからな、加減に終わらせよう」

「…十分?何を言って──」

「金髪娘、お前らには関係ない」

 

戦国冬華は突きの体制に構える。

 

「これでチェック───」

「な…なんだ!?」

「優斗さんの遺体が!!」

 

戦国冬華が突きを使用とした時、後ろから声がきこえる。

 

「…なに?」

 

戦国冬華は後ろを見ると優斗の死体が中に浮いていた。

 

「なにが起きてるのよ!」

「これって夢?」

 

唯と春菜は起きている状況を理解できずにいると中に浮いた優斗の死体を人型の光が、優斗の身体を後ろから抱きしめるように光を纏う。

 

「優…兄…?」

「なんだ!?何が起きてんだ!!」

 

檻に閉じ込められていたリト達は、死んだはずの優斗が中に浮いて光り出すのを見て困惑することしていると、歌が聞こえてくる。

 

「…これは歌ですか?」

「なんで急に歌が聞こえるの?」

 

ララとヤミも動きを止めて歌声がする方を見る。

 

「これは聖歌か?それに今の姿にこの歌声はまさか!優華!!」

 

【聖女の願いが発動した!】

 

「あれって、文字化けしてたスキル!」

「え?肩の怪我が治ってる」

「私の傷もです、プリンセス」

 

テキストが現れると、その場にいた全員の傷が治っていく。

 

「チェックメイトにはまだ早いぞ、冬華教官」

 

その言葉と共に光から姿を表した優斗は死体ではなく生きているが、身体は成長していて、服装も神父から迷彩服と腰に剣と銃を装備した姿になっていた。

 

【雨宮優斗:傭兵】

 

「優兄、生きてるの?」

「優斗!!その姿は…」

「ユウト!?あれ、なんか成長した?」

「生きていたのですね、優斗」

「時雨くん生きてたのね、でもなんで雨宮なのよ?」

「時雨くん、その格好…まるで…」

 

テキストが表示されて、その場にいた全員が驚きの声をあげる。

「ナナさん、モモさん、下がってて」

「でもオマエ!怪我して…ない?なんでだ?」

「…これは一体?」

 

優斗はナナとモモを通り過ぎ、戦場へ向かう。

 

「…優華、お前は最後まで優斗の味方をするんだな」

 

戦国冬華は歌声が聞こえる方向を見て呟く。

 

「冬華教官!これがあんたと俺の最後の戦場だ!」

 

優斗の声がその場に響くと共に世界にヒビが入り、教会から彼岸花畑へと空間が変わる、リト達を閉じ込めていた檻も消える。

 

「空間を変えられた、まさか権限が奪われたのか?それにここは…」

「懐かしいだろ?冬華教官」

 

優斗は戦国冬華に向かって言った言葉は、空間が教会に変わった時に戦国冬華が優斗に言った言葉。

 

「知ってるか?彼岸花には再会と転生って花言葉がある、今の俺達にピッタリな言葉だろ?」

「………」

「俺が転生した理由もその意味も分からない、だけど、これだけは言える」

 

優斗は戦国冬華を見て宣言する。

 

「あんたをこの世界にねじ込んで、ララさん達を殺させようとしたクズ野郎は俺が潰す!!」

「…気づいたか、優斗」

 

優斗の言葉を聞いた戦国冬華は小さな声で呟いたあと、優斗へ向かって言う。

 

「…やっと元の姿に戻ったか?優斗」

「あぁそうだ、今から俺は時雨優斗じゃない、雨宮優斗としてあんたと戦う」

 

雨宮優斗の言葉に戦国冬華は一度目を閉じる。

 

「…元の姿に戻れた所でどうなる、今のお前では私には勝てない事など、一度死んで理解できたはずだ」

「身体は優華さんが治してくれた、この姿も期限付きだが昔の俺だ、俺はもう負けない」

 

雨宮優斗は戦国冬華に刀を向ける。

 

「その刀ッ!?」

 

戦国冬華は雨宮優斗が持つ刀に見覚えがあった、その刀は生前、戦国冬華が使っていた刀でそして自身を殺した刀だった。

 

「あんたから貰ったこの技術と力で!俺はあんたを打ち負かす!!」

「やれるものならやってみろ!!優斗!!!」

雨宮優斗と戦国冬華の戦いの火蓋は切られた。

戦国冬華は万能ツールを刃に変え、雨宮優斗は刀を持って互いの刃がぶつかり合う。

 

「うぉおおおおおおおおおおお───ッ!!」

「はぁあああああああああああ───ッ!!」

 

鍔迫り合いで押し合う二人、技量は互角だが、武器の性能では完全に雨宮優斗は負けていた、先程までの時雨優斗なら間違いなく押し負けていた、だが今は彼は───

 

「ぉおおおおおおおおおおおお───ッ!!」

「ッ!!?」

 

雨宮優斗が吠える、同時に戦国冬華の持っていたは弾き飛ばされる。

 

「まだだっ!!」

「なっ!?」

 

万能ツールを弾き飛ばされた戦国冬華は雨宮優斗の腕に向かって回し蹴りをして、雨宮優斗の刀を蹴り飛ばす。

 

「さすがだよッ!教官!!」

「お前にはまだ負けん!!」

刀を弾き飛ばされた雨宮優斗は拳で戦国冬華に殴りかかるが、戦国冬華は体を横に反らして躱し腕を掴む。

 

「優斗!この程度で私を勝てると思ったか!!」

 

戦国冬華はそのまま、雨宮優斗に腹部に向かって肘打ちをするが、雨宮優斗はそれを受け止める。

 

「俺も今のあんたにだけには、負けるわけにはいかない!!」

 

雨宮優斗は受け止めた腕を掴み、上に持ち上げて戦国冬華の足を引っ掛けて地面へ倒す。

 

「くっ…やるようになったな、だがこれはどうする!」

 

倒れた戦国冬華はすぐに立ち上がり、立て直し距離をとって銃を構える。

 

「なっ!?」

 

戦国冬華が構えた銃は弾丸によって弾き飛ばされる。

戦国冬華は弾丸が飛んできた方向を見ると、雨宮優斗が銃を構えていた。

 

「あんたならそうするだろうって思ったよ!!」

 

雨宮優斗は戦国冬華に距離を詰める。

 

「さっきのお返しだ!」

「ッ!!」

 

雨宮優斗は戦国冬華に両拳で連打をする、抵抗して殴ろうとする手を弾き、抜け出すことができないように叩き込む。

 

「はぁあああああ!!」

「…まさか!」

 

連打をやり終えると戦国冬華に頭部に向かって回し蹴りをして蹴り飛ばす。

 

「…成長したな、優斗」

 

戦国冬華は立ち上がり、雨宮優斗に聞こえないような声で呟く、その表情は笑っていた。

 

「まだ…終わりじゃないぞ!」

 

戦国冬華は先程弾き飛ばされた万能ツールに向かって走り出す、それを見た雨宮優斗は銃を構えるがすぐに下ろし、蹴り飛ばされた刀に向かって走り出す。

 

「優斗、なぜ撃たなかった」

「それで勝っても俺にとって意味が無い、あんたと正面からぶつかって打ち負かすことに意味があるんだよ!」

 

雨宮優斗にとってこの戦いは、戦国冬華を止めて、リト達を救う以外にも意味があった。

 

「俺は戦国冬華の弟子として、師である貴女を超える、その為には、フェアな状況で戦わないと意味がない!」

 

その表情は笑顔だった、今この瞬間、雨宮優斗はこの世界に来て初めて心の底から笑っている。

 

「なら、その力で私に証明して見せろ!」

「すぐに証明してやるよ!」

 

再び二人の刃がぶつかった。

 

 

 

 

「何が…起きてるの?」

「そんなの分からないわよ」

 

その二人の戦いを見た者たちは驚きを隠せずにいる

 

「このまま見てるだけじゃダメだ!優斗を助けねーと」

「あなたが助けに行ったところで足手まといになるだけです、結城リト」

 

雨宮優斗を助けに行こうとするリトをヤミが止める。

 

「指をくわえて見てるだけなんて───」

「まだ分からないのですか?この場で戦国冬華に勝てる人は優斗だけです、私が助けに向かっても足手まといになる」

「え?」

 

リトの言葉にヤミは拳を握り締めながら言う。

 

「プリンセス、あなたは優斗達の戦いについていけますか?」

「二人の戦闘技術が高すぎて、ちょっと難しいかも…」

「え?ララさんやヤミちゃんでも難しいの?」

 

春菜は驚きの声をあげる。

 

「何が起こってますの!」

「…これは一体?」

「沙姫様、危険です!」

 

魔王城に敵としていた、沙姫達は彼岸花畑に入ってきて困惑している。

 

「結城リト、これはどうなってますの!!」

「え?いやこれは…」

 

困惑した沙姫はリトに詰め寄る、リトはなんて説明すればいいか分からずに困惑していた。

 

「あれは時雨優斗か?」

 

 

凛は雨宮優斗と戦国冬華の戦い見る。

 

「…あれほどの剣技見たことがない」

「凛?」

「早くて鋭いだけじゃない、とても綺麗な剣技だ」

 

目に映る二人の剣技に凛は一人呟く。

 

 

 

 

雨宮優斗と戦国冬華の攻防は続いた、二人は休むこと無く、お互いを斬りかかる。

 

「この一撃で決着をつけよう、冬華教官」

 

雨宮優斗は長く続いた戦いに決着をつける為に、左手に刀を持ち、突きの姿勢にして構える。

 

「いいだろう、その勝負に乗ってやる」

 

戦国冬華も雨宮優斗と同じように万能ツールを右手に持ち構えた。

 

「「この一撃に全てベットする」」

 

言葉と共に雨宮優斗と戦国冬華は互いに向かって足を踏み込み突きをする。

互いの刃が交差して胸に向かって突き進む。

 

「チェックメイト」

 

彼岸花畑に声が響く、その言葉はこの戦いに終わりを告げた。

 

「…グハッ」

 

雨宮優斗の刀が戦国冬華の胸を勢いよく貫いた、戦国冬華の突きは雨宮優斗より一歩遅かった。

 

「…私の負けか」

 

雨宮優斗に貫かれた刀を引き抜かれると戦国冬華はその場に倒れる。

 

「良い突きだった、成長したな、優斗」

「…冬華教官、初めて褒めてくれたな」

 

戦国冬華の言葉に雨宮優斗は驚く。

 

「…その刀、私のだな?」

「あなたを殺した後に俺が受け継いだ、あなたの形見として、あなたの意志を俺に刻むために…」

「…フッ、お前らしい」

 

戦国冬華は満足そうに笑うとポケットからタバコとZIPPOを取り出し、タバコに火をつける。

 

「優斗、一服付き合え」

 

戦国冬華は雨宮優斗に向かってタバコを差し出す。

 

「…タバコは好きじゃない」

「それくらい付き合え」

 

雨宮優斗はタバコとライターを受け取る。

 

「冬華教官をあなたをプログラムした奴は誰だ?」

「さあな?私はただ、ララとヤミという異星人の戦闘データとお前の正体を暴いて殺せという命令を受けただけだ」

 

戦国冬華はタバコを吸いながら言う。

 

「私を作った奴はお前のついでにデビルークとやらの三姉妹を、殺せたら良いと思っていたようだな」

「なら、なんでヤミさんを殺そうとした?」

「私を作った奴の最終目的は、恐らくあの金髪娘だ」

 

戦国冬華は雨宮優斗を見る。

 

「私を作った奴にあの娘を渡したら、危険だと判断した、それだけだ」

「自分を作った奴に刃向かうって、本当にプログラムなんだよな?」

「奴は私を再現しすぎたのさ、今の私は生前の戦国冬華とほぼ変わりないだろうな」

 

そういうと戦国冬華は笑う。

 

「優斗、わかっていると思うが、金髪娘には気をつけろ、あの力が暴走すれば地球はなくなるぞ」

「何かあるのは分かってる、暴走したら俺が必ずヤミさんを止める」

「フッ、そうか」

 

雨宮優斗の言葉を聞いて戦国冬華は再び、満足そうに笑う。

 

「優斗、私を殺してこのゲームを終わらせろ」

 

戦国冬華の言葉に雨宮優斗は銃を構える。

 

「冬華教官、最後にあなたに伝えたいことがある」

「なんだ?」

 

雨宮優斗は一度目を閉じてまた開く

 

「あなたから受け継いだこの力と技術で、誰かを殺す為じゃなく、俺は今度こそ人を救う」

「………」

「だから、天国で優華さんと一緒に見ていてくれ」

「っ!?」

 

雨宮優斗の言葉に戦国冬華は驚く、戦国冬華にとってこの力と技術は悪党を殺す為の物で誰かを救う為ではなかった。

 

「なら、私も最後に伝えるとしよう」

「…伝える?」

「戦国冬華のデータを受け継いだ、私には分かる」

 

戦国冬華は雨宮優斗を見て笑顔で言う。

 

「優斗、私はお前を愛していたよ」

「え?」

「お前を憎んでいない、優華から笑顔を取り戻してくれたお前を、優華と同じように家族のように愛してた」

 

戦国冬華は不器用ながらに雨宮優斗を愛していた。

 

「…今更ずるいだろ」

「悪いな、優斗」

 

雨宮優斗は″雨宮冬華″の言葉を聞いて俯く。

 

「お前は自分の信じた道を行け…その道が間違いだったとしても、私と優華はお前を愛してる」

 

雨宮冬華は笑ってた、娘を産んだ時にしか見せなかった綺麗な笑顔で。

 

「優斗、お前の手でこのゲームを終わらせてくれ」

「…わかった」

 

雨宮優斗は銃のトリガーに指をかける。

 

「愛してくれてありがとう″母さん″」

 

雨宮優斗はトリガーを弾いた、撃たれた雨宮冬華の身体は光の粒子となって消えていく。

 

【ゲームクリア!!】

 

雨宮冬華の身体が消えるとテキストが表示された。

 

「…不味い」

 

雨宮優斗は雨宮冬華から貰ったタバコに火をつけて吸う。

 

「優斗!大丈夫か!!」

「優兄!!」

 

戦いが終わった優斗に向かってリト達が近づいてくる。

 

「なっ!あなたはなんでタバコを吸ってるの!!」

「古手川さん、この身体は二十歳超えてるから問題ないよ」

 

唯の言葉に優斗はそう返えすと、テキストが表示される。

 

【30秒後に元の世界へ転送します】

 

「美柑、みんな、元の世界に戻ったら話せる所は話す、だから今は少し休ませてくれ…」

 

優斗はそういうと元の姿に戻り、気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり雨宮優斗くんだったか~」

 

ソルゲムの拠点でトラブルクエストの映像を見ながら、男が呟く。

 

「厄介だな~下手に動いたら、優斗くんは私の正体にたどり着くだろうしな~あのまま、戦国冬華が殺してくれたら良かったのにー」

 

映像を見終えた、男は頬杖を着きながら言う。

 

「それにデータの分際で私の計画に気づいた挙句、金色の闇を殺そうとするとはね~バケモンかよ、戦国冬華」

 

男は舌打ちをする、ただのデータに計画所かそれを潰されそうになった事に心底腹を立てている様だ。

 

「でも~なんで、雨宮優華が出てきたのかな?」

「ボスっ!大変です!!」

 

男が考えていると、部屋に部下が入ってくる。

 

「なにかな?いま考え事を───」

「クロが!殺し屋クロが潜入してきました!!」

「マジィ~」

 

部下の言葉にヘラヘラと男は答える。

 

「思ったより、早かったな~目立った行動しすぎたかな?それによりによってクロくんか~″エデン″ではお世話になったなぁ~」

 

男はUSBを取りだし、データを抜き出す。

 

「私の計画を潰してくれた二人目がキミだったよ、殺し屋クロ」

 

男は部下に聞こえない声で呟く。

 

「ボスどうしましょう!このままでは!」

「え?あーそうだったね?」

 

指示を待つ部下に男は銃を取り出し部下に向ける。

 

「キミ達はもう用済みだがら」

「一体何を───」

 

男は銃のトリガーを弾き部下を撃ち殺した。

 

「証拠はちゃんと消さないとね?」

 

男はパソコンをいじるとそのままその場所を去っていく。

 

「ここが親玉の部屋か」

 

黒いコートを着た黒髪の男が部屋に入るとそこには先程、殺された部下の死体があった。

 

「これは、一体何があった?」

 

黒髪の男はボスを探すため部屋を散策するとパソコンが開いたままになっているのを発見する。

 

「っ!?これは!!」

 

そこに映し出されていたのは、1つのメッセージとカウントダウンされていく数字だった。

 

【私のプレゼント受け取ってね!クロくん!!】

 

「クソっ!!」

 

黒髪の男は全力で走りだす、数秒後、ソルゲムの拠点は大爆発を起こし崩壊した。

 

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