ToLOVEる ~ 生まれ変わった意味を探して~ 作:アイスが食べたいマン
俺は前に見た、夢の続きを見ている。
「晴野駿っす!優斗先輩!輝先輩!これから、よろしくお願いしますッ!」
「優斗ッ!僕達にとって初めての後輩だよ!どんな歓迎会するかい!!やっぱりケーキはいるよね、あとは─────」
「…輝、落ちつけ」
今でも覚えている、初めてできた後輩、晴野駿(はれのしゅん)
「優斗先輩ッ!自分は先輩に憧れて、この部隊を希望しました!!色々教えてください!」
「は?」
「良かったじゃないか!優斗!君に憧れてきてくれたんだ!」
その言葉を聞いた時、俺は耳を疑った。
晴野駿と俺達が出会ってから1年、色々なことがあった。
とある任務では。
「優斗!弾切れになってしまった、ナイフを貸してくれないかい?」
「安心しろ、輝、さっき折れたので品切れだ」
「いや、優斗先輩!?今のどこに安心できる要素あったんすか!!」
たまにあった休暇では。
「さて、三人でどこに行こうか?海とか行くかい?」
「いいですね、輝先輩、可愛いお姉さんとか居ますかね!スイカ割りもいいっすね!あ、海の家でご飯も食べたいっす」
「「…いや、まず泳げよ」」
訓練の日では。
「優斗先輩、知ってますか?身近なものでも簡単に爆弾って作れるんですよっ!」
「身近な物か、どうやって作る」
「威力はありませんが、空き缶と灯油とかで上手く使えば作れます!」
「…アンホ爆弾か」
「へぇーもしかして駿、爆弾作ったことあるのかい?」
「はい!必要なものは化学室からパクって作りました!」
「いや、それダメだろ」
「爆発は芸術っすよ」
「僕も中々だけど、駿も相当クレイジーだよね?」
「キミ達、そろそろ訓練にして貰えるかな?」
「「「すみません、総司令」」」
また別の任務の時は
「ハッキングは任せてくださいっす!」
「駿、助かるよ、僕は機械は苦手なんだ!!」
「…自慢げに言うことじゃないぞ、輝」
そんな日々が続いたある日、任務も終わり、しばらく休暇が続いた日だった、俺達は飲みに店に行っていた。
「優斗先輩、輝先輩、じゃんじゃん飲みましょう!」
「駿、そんなに酒強くないんだから、やめておけ」
「そうだよ!僕と優斗は平気だけど、駿はそんなに強くないのだから…」
「大丈夫っすよ、なんなら証明します!自分が酒を強くなったことッ!」
あの日は普段飲まない分、三人でかなり飲んだ。
「優斗先輩!輝先輩!見てくださいよー!これ自分の彼女っす」
「駿、お前彼女いたのか?」
「いつも、可愛いお姉さんを探している君に、彼女がいるとは思わなかったよ」
酔っていた駿は彼女とツーショットの写真を見せてくる。
「へぇー可愛いじゃないか、同じ制服って事は、学生時代から付き合ってるのかい?」
「幼なじみで、学生時代から付き合ってるっす」
「…そうか」
制服デートってというものだろう、ツーショットの二人はとても楽しそうに笑っていた。
「彼女は桐生夏海(きりゅうなつみ)って名前なんです、可愛いですよね!先輩」
「桐生だと?」
「…駿、もしかして桐生ってあの政治家の?」
彼女がいた事にも驚きだが、俺は彼女の名前を聞いた時に耳を疑った。
「はい!そうっす、夏海のお父さんは政治家の桐生夏樹(きりゅうなつき)です」
「………」
「なっ!?」
輝が驚いた表情で俺を見た、あの時の俺はどんな顔をしていたか分からないが、酷い顔をしていただろうな。
「夏海は研究者なんですけど、かなり難しい研究をしてるっす」
「…どんな研究だ?」
「なんか、歪曲空間の応用で次元の裂け目を作るとか、なんとかで」
駿は手元にあったグラスに口をつけて飲み干す。
「ふぅー確か前に海外の海に落ちた、隕石に未知のエネルギーがあったらしいんっす、それを使って次元の裂け目を作って、別世界に繋ぐって言ってます!」
最初は駿が酔っていて、変なことを言ってるだけだと思ってた。
「なんだい?そのめちゃくちゃな計画」
「…出来るわけない」
「自分もそう思うっすよ!でも夏海は本気なんですよ、必ず完成させるって!あ!すみませーん!お酒おかわりください!!」
「駿、もうやめとけ」
その後も俺達の静止を無視して駿は飲み続けた。
「…駿は寝ているね」
「…そうだな」
輝は笑って俺を見るが、少しすると真剣な表情に変わる。
「優斗、政治家の桐生夏樹は確か、君の…」
「…父親だ」
「てことは、まさか、駿の彼女の夏海さんは…」
「…腹違いの妹になる」
その言葉を聞いた輝は頭を抑える。
「…優斗、どうするんだい?」
「駿には言わない、俺の過去を知ったら、駿は一人で動いてでも、真実を確かめようとする」
「…そうだね」
「そろそろ帰るか」
俺と輝は会計をする為に席を離れた、そして俺と輝は気づかなかった。
「………え?今の話」
駿は完全に寝ておらず、話を聞いていた事に…
この一週間後、事件が起きた、俺はいつも通り、輝に付き合わされていた。
「休暇も明日で最後だね、優斗!今日は何をしようか!」
「それより輝、3日前から駿から連絡がないが、お前の方に連絡はあったか?」
「僕にもない、実家に帰るって言ってたから、今頃、家族と休暇を楽しんでるんじゃないかい?」
3日前から、駿は「用事があるので、実家に帰ります!」と言って実家に行ってから、帰ってきていない。
「1日で帰ってくるとか言ってなかったか?」
「…確かにそんなことを言っていた気がするね」
俺達が駿が帰ってきていない事に疑問を浮かべていると、総司令から声がかけられた。
「優斗くん、輝くん、キミ達に話があるんだけど、いいかな?」
「総司令?どうかしましたか?」
「晴野駿くんは今日をもって退職が決まったよ」
「は?」
「…え?」
総司令から言われた言葉に俺と輝は何を言われたのか、理解ができなかった。
「待ってください、いくら何でも急過ぎませんか?」
「家庭の事情らしいよ、まあーそういう事だから、よろしくね」
「………」
総司令はどこかへ行ってしまう。
「輝、総司令は何か隠してる」
「…そうだね」
「駿の部屋に行くぞ」
「了解、行こうか」
俺と輝は二人で駿の部屋に向かった。
「…急に辞めることになったとしても、こんなに物を置いていくか?」
「いや、さすがにもう少し荷物を持って帰ると思うよ?」
中に入ると衣服や物が大量にあった、俺と輝が中を散策していると輝が日記を見つけた。
「…これ日記かな?勝手に読むのも───っ!?優斗!!」
「輝、どうした?」
俺は輝が開いていたページを一緒に読む。
【一週間前に先輩達と飲みに行った時に聞こえてしまった、優斗先輩の過去に、夏海のお父さんが関わってるかもしれない話】
「駿、あの時、起きていたのか!!」
「………」
【あの後、″あの人″に聞いた優斗先輩の過去の話が、本当なら自分は夏海のお父さんを許せない】
「あの人って誰かな?」
「分からない、俺の過去は冬華教官ですら、あまり知らないはずだ」
【それに夏海のお父さんは前から、怪しい研究に加担していたみたいだし、夏海も…自分がこれから、一度実家へ戻って夏海の家に真実を確かめに行く。】
「あのバカが!一人で行ったのか!!」
「ッ!?駿の実家へ行こう、優斗!」
俺と輝は駿の実家を調べてすぐに向かった、実家までは、少し時間がかかってしまい、着いた頃には、夜になっていた、輝がインターフォンを鳴らす。
「…誰も出ないな」
「出かけてるとかかな?って優斗!?」
俺はドアノブに手をかけて、引くと鍵が空いていた。
「鍵が空いてるな」
「勝手に開けたらダメでしょ!って入ったら不法侵入で───っえ?」
扉を開けて中に入るとそこには、大量の血の跡があった。
「優斗、これってまさか!?」
「リビングに行くぞ、輝」
俺達がリビングに行くと、そこは地獄絵図だった、駿の両親は既に亡くなっていた、死体には何度も銃で撃たれた跡があり、苦しみながら死んで行ったのが表情でわかる。
「…一体、何があったんだ」
「輝、とりあえず、駿の手がかりを探すぞ」
俺達が死体の周りを確認していると俺の携帯に電話がかかってくる、名前は非表示でおそらく公衆電話からだ。
[…もしもし?]
[優斗先輩……ですか?]
[駿!?お前今どこに───]
[今から言う場所に…来て欲しいっす]
駿は焦りながら、住所を伝える。
[先輩達の事ですから…今は自分の実家にいますよね?]
[あぁ、そうだ!]
[今行った住所はそこの…すぐ近くです]
それだけ言うと電話が切れてしまった。
「優斗!駿はなんだって!!」
「──────って住所の場所に来いと言われた」
「すぐそこだ!急ごう優斗!!」
俺達が駿に言われた場所に向かうと周りには、何もない廃病院だった、そして俺達は中に入り、駿を探していると見つけてしまった。
「なっ!?」
「ッ!?」
致命傷を受けて壁によりかかっていた駿を見つけた、腹部に何発も弾丸を撃たれた跡があり、もう助からない。
「お手数…お掛けして…すみません、先輩」
「バカ言ってる場合か!今病院に───」
「…時間がないっす…これをもって逃げてください」
駿は震えた手でメモリーカードを渡される。
「…パスワードは…分かりませんでした…ただ桐生夏樹が…プロジェクト…ダークネスって…言ってました」
「プロジェクトダークネス?それは一体?」
駿の言葉に輝が疑問の声をあげる。
「…優斗先輩覚えてますか?昔…自分を助けてくれたこと…」
駿はゆっくりと話していく。
「三年前…自分は学生でした…海外の…ボランティアに…行った時に…自分が人質になったことが…あるんです」
「三年前?ちょうど、僕と優斗が出会った頃か」
「あの時は…死んだ…って思ってました…そんな時に優斗先輩が…助けてくれたんです」
あの時、俺は輝と出会ったばっかで、輝を完全に信用してなかった為、単独で行動したときもあった。
「…人質だった自分達…全員守りながら…戦う姿をみて…自分の夢だった…″ヒーロー″を…見てる気分でした…だから…優斗先輩に…憧れたんです」
駿は俺に手を伸ばす。
「先輩みたいに…なりたかった…強くて…頼もしくて…かっこいい…先輩に」
俺は駿の手を掴んで伝えた。
「駿、お前はもう十分、かっこいいヒーローだ、だから───」
「おい!ここにもいないぞ!「 」
「いや、血の跡がある!上の階だ!」
俺の声を遮るように下の階から、複数人の声が聞こえてくる。
「…逃げてください…自分を置いて…」
「ふざけんな!置いていくわけないだろ!」
「そうだ!みんなで逃げよう!」
俺と輝が駿の肩を支えようとすると、駿は何かを取り出す。
「お前!それは!?」
「爆弾…です…C4くらいの…火力は出ると…思います」
「ダメだ、駿!自爆なんて!?」
「この傷じゃ…もう助からないこと…先輩たちなら…分かりますよね…?」
駿はそういうと俺と輝を見ながら言う。
「この1年間…楽しかったっす…先輩達と…一緒に生活出来て…」
「駿!!」
「最後くらい…カッコつけさせてくださいよ…」
その言葉を言った駿の顔は笑顔だった。
「…行くぞ、輝」
「優斗!?」
「駿の覚悟を無駄にするな」
俺は輝の腕を掴んで走り出す、輝は俺の名前を呼び、抵抗する。
「優斗、ダメだ!!駿も!?」
「お前だってわかってるだろ!もう駿は助からない…」
「っ!?」
「ここから逃げるぞ」
「…わかった」
俺達は廃病院から脱出して遠く離れると爆発音と共に廃病院が倒壊する、俺と輝は離れた所でそれを見守ることしか出来なかった。
「…優斗」
「…なんだ?」
「僕が致命傷を負った時は、君が僕を撃ってくれ」
「何言って───」
「悔いが残らないように、お互いに笑顔で終わろう」
桐生夏樹の闇を暴こうとして、駿の家族は権力に殺され、晴野駿は爆死した。
◇
優斗達はゲームをクリアして現実世界へ戻ったが、戻された場所はゲーム世界に転送される前の場所。
「………」
優斗は転送される前、椅子に座って授業の準備をしていた。
「時雨くん、体調悪いの?大丈夫?」
紗弥香は体調が悪い座って俯いている優斗に声をかけて、優斗の肩を触った。
「っ!?時雨くん!!」
肩を触った瞬間、優斗は力なく床に倒れる。
「ちょっ!?なんで優斗が倒れてんの!!」
ゲーム世界から戻って教室にいた里紗も優斗が倒れたのを見て、急いで駆け寄る。
2人は知らなかった、里紗はカジノにいて戦いを見ておらず、紗弥香はそもそもゲームに参加していなかった。
「なんだ?」
「時雨が倒れたぞ!」
周りにいたクラスメイトも倒れた優斗を見に周りに人集りができてしまう。
「優斗っ!!」
教室に入ってきたリトは優斗の名前を叫ぶと優斗の席の周りに人だかりができているのを見つけた。
「あ、リト!今、時雨が倒れてよ───」
「ッ!?猿山!そこをどいてくれ!!」
猿山から優斗が倒れたと聞いた、リトは猿山を押し退けて優斗の元へ駆け寄った。
「今すぐ御門先生の所につれていかねーと!!」
「結城!あの後、あんたらに何があったのさ!」
「籾岡!新井!後で事情は話すから、今は手伝ってくれ!優斗を御門先生の所に連れていく!!」
紗弥香は野次馬を退かしてリトと里紗は優斗の肩を二人で支えて保健室へ駆け出す。
~リトside~
「御門先生!」
「あら?あなた達どうか───っ!時雨くん!?」
オレの声を聞いて、こっちを見た御門先生が優斗に気づいて近寄ってくる。
「あなた達!時雨くんに一体何が───」
「話は後でしますので今は優斗の治療をお願いします、ドクターミカド!」
「ヤミ!!」
保健室の窓からヤミが入ってくる。
「ドクターミカド、優斗は胸と腹部を確認してください」
「…胸部と腹部?それは何故かしら、ヤミちゃん」
「…優斗は少し前に胸部を刺されて、拳銃で腹部を撃たれています」
「なんですって!?」
ヤミの話を聞いた御門先生は優斗の服を脱がして容態を確認するが、胸と腹に傷はなかった。
胸の傷がない、ララの万能ツールがあんなに深く刺さってたのに、三発も拳銃で撃たれていたのに…聖女の願いって魔法のおかげか?
───身体は優華さんが治してくれた、この姿も期限付きだが昔の俺だ、俺はもう負けない
優華って人が治してくれたって優斗も確かに言ってたな。
「大丈夫よ、時雨くんは精神的疲労で気絶してるだけ」
「…胸と腹部の傷が塞がっている」
「結城!時雨くんが胸を刺されたって────」
「ユウト!?」
新井の質問を遮るように廊下からララが入ってきた、ララの後ろにはララの妹──ナナとモモも居た。
「なあ!コイツは大丈夫なのか!」
「彼にお怪我などは!」
保健室に入ってきた、ナナとモモは気絶している優斗に近づく。
「あなた達、事情を説明してくれるかしら、時雨くんに一体何があったの?」
オレ達は優斗に何があったか、その場にいなかった三人に説明する、ゲーム世界に行った事、優斗がゲーム世界でずっと何かに苦しんでいた事、戦国冬華という外国人に優斗が一度殺された事、そして″元の姿″が変わったこと…
「…どうゆうこと?時雨くんが殺されたって、何言って…」
「…生き返って姿が元の姿に変わったってのも、わけわかんないっしょ」
「………」
籾岡と新井は困惑していた、御門先生は優斗を見て無言になる。
「優斗が元の世界に戻ったら説明するって言ってたけど…」
「…そう、話す覚悟を決めたのね、時雨くん」
「覚悟?」
もしかして、御門先生は優斗について何か知ってるのか?
「御門先生!もしかして優斗の事、何か知ってるんですか?」
「それは時雨くんが目を覚ませば、話してくれるわよ、それよりもあなた達は放課後、今回の件に関わった子達を連れて、私の診療所に来なさい」
「え?」
「ここだと、色々騒ぎになるわ」
御門先生に廊下を指さす、廊下は騒がしく、「時雨が急に倒れたらしいぜ」「おい!今めっちゃ可愛い子が保健室に入ってたぞ」などと言っている野次馬がたくさんいた。
「時雨くんが安心して話せる場所の方がいいでしょ?それに授業もそろそろ始まるわよ」
御門先生の言葉に時計を見ると、後5分ほどで授業が時間だった。
「時雨くんはただ気を失ってるだけで、時期に目を覚ますわ」
「でも!」
「大丈夫よ、時雨くんに何かあっても、私が必ず助けるわ」
御門先生は優斗を見て決意したように言う。
「ヤミちゃんとララさんの妹さんは、彼を私の診療所まで運んだりするの手伝ってくれる?」
「わかりました」
「私はなんだってするぞ!」
「私もナナと同じように、できることならなんだってします!」
三人は御門先生の手伝いをする為、保健室にのこる。
オレ達は一度教室に戻り、放課後に御門先生の診療所に行く事になった。
きっと美柑も心配してるだろうな、優斗の事、メールで伝えておこう。
◇
授業も終わって放課後になってすぐに、オレ達はみんなで御門先生の診療所へ向かった。
「…リト」
「美柑!優斗の様子は!」
「…まだ、起きてないよ」
診療所に着くと先に小学校が終わった美柑とナナとモモは眠っている優斗のそばに居た。
「これで全員揃ったのかしら?」
「…御門先生」
「はい、ゲームの世界に行った人は全員います」
御門先生の言葉に古手川が反応する、この場にいるメンバーはゲームの世界で優斗の戦いを見ていた人と、教室で倒れた優斗を一緒に運んだ、籾岡と新井がいる。
「結城、姿が変わった優斗のことをどこまで知ってんの?」
「…何も知らない」
オレや美柑は迷彩服を着て武装していた優斗の事を何も知らない。
「戦国冬華は元の姿に戻ったと言っていました」
「…それに、雨宮優斗として戦うって言っていたわ」
ヤミの言葉に古手川が反応する、雨宮優斗として戦うって意味は分からねーけど、あの格好はまるで…
「…あの姿はまるで軍人だ」
「凛?どういう意味ですの?」
「…沙姫様、あの女性も時雨優斗も軍人の様な格好でした」
九条先輩が言ったように、優斗の格好は軍人の人がしてる様な姿だった、優斗、お前は一体何者なんだ?
「軍人ってありえないよ、だって時雨くんは高校生で…」
「でも、優斗は元の姿に戻ったって言ってたんでしょ?」
新井の言葉に籾岡が反応する、元の姿がどーゆー意味かわからねぇ。
「ナナ、モモ、どうしてとらぶるクエストにあの女性が出てきたのかわかった?」
「姉上、それが分からないんだ」
「私の端末に入っていた、とらぶるクエストのプログラムは全て何者かに消されていました」
ララの言葉にナナとモモが答える。
「…だろうな、俺の事を知ってる奴はなら、計画が失敗した時点で証拠は残さなず、消すはずだ」
「起きたの!優兄!?」
優斗が目を覚まして起き上がる、それを見たみんなは優斗の名前を呼んで近くへ寄る。
「みんな、色々聞きたいことがあると思う」
「そんなのたくさんあるに決まってんだろ!!」
オレは優斗に叫ぶと優斗は覚悟を決めたような顔をしてオレ達を見た。
「悪いけど、まずは俺の過去の話を聞いて欲しい」
「…時雨くんの過去」
優斗の言葉に古手川が小さく呟く。
「聞いた上で判断してくれ、これからも俺と関わるのか」
「あんた何を言って───」
「みんなが話を聞いて、どんな判断をしても、俺はそれを受け入れる」
籾岡の言葉を遮り優斗は淡々とみんなに告げる、その顔は今までにないほど真剣な顔をしていた。
「俺は…この世界の人間じゃない」
「…え?」
優斗の言った言葉にみんなが固まった、この世界の人間じゃないってどーゆー意味だ。
~優斗side~
「俺は…この世界の人間じゃない」
「…え?」
俺が言った言葉にみんなは固まる、普通はそういう反応になるだろうな。
「理由は分からないが、俺はこの世界に生まれ変わった」
「あの女の人にも似たような事を行ってたけど、どーゆー意味だよ!!」
「リト、簡単に言うと俺には前世があるんだよ」
リトは俺の言葉に困惑した様子だ。
「まず、生まれから話そうか、俺は政治家の男とその不倫相手の女から生まれた」
「…え?」
「母親が俺を産んだ目的はたった一つ、俺を利用して政治家だった父親から大金を手に入れること」
「…なっ!?」
俺の過去をみんなに話す、自身の生まれた理由を。
「物心着いた時から既に、母親から殴られたり、食事を貰えなかったりしていたよ、酷い時には、1日押し入れに閉じ込められたかな?」
「そんな!!」
「虐待じゃない!」
みんなは俺の話を聞いて驚いている、でも昔の俺にとってはこの生活が普通だった。
「5歳の時に、母親が父親に元へ行って、脅したんだ、一生暮らして行ける程の金を寄越せってね」
「………」
俺は淡々と話していく。
「殺し屋から逃げて、行き倒れた先は教会だった、そこで俺を拾って、弟のように育ててくれたの人が雨宮優華さん、俺に優斗って名前をくれた、大切な人」
「優兄の大切な人」
「料理も優華さんが教えてくれたんだ、あの時は本当に幸せだった」
優華さんとのたくさんの思い出。
「俺を守ろうとした優華さんは、目の前で殺された、優華さんは俺のせいで死んだんだ」
「なっ!酷すぎますわ!」
「…君はそれでも…」
「優華さんが死ぬ前に言った言葉が俺の生きる理由になった」
俺が初めて絶望した時に冬華教官と出会った話。
「冬華教官との訓練は地獄だったよ、手足が折れても訓練し続けた、片手片足を縛って教官と戦ったりもした、倒れても、何度も立ち上がった」
「…オマエが強いのには、そんな理由があったのか」
「…そんな訓練、辛すぎますよ」
「俺にはそれ以外道がなかったからね」
冬華教官との訓練の話。
「11歳の時に特殊部隊に入った、教官がいた部隊は過去や年齢を問わない実力主義の部隊だった」
「…特殊部隊ですか」
「そこで俺はたくさんの悪党を殺したよ、誰かを救う為には、それが正義だと信じて、殺し尽くした」
「…時雨くん」
「古手川さんに言った言葉、覚えてる?」
「え?」
「誰かを助けたいって気持ちや自分の正しさを貫こうとする気持ちがどんどんエスカレートして行ったってやつ、あれは俺の過去の事なんだ」
特殊部隊でたくさん人を殺した事。
「そんな時に出会った、俺を変えてくれた、たった一人の親友に…」
「…親友」
「あいつは俺にたくさんの世界を見せてくれた、スポーツ全般あいつから教わったようなもんだよ」
親友、虹崎輝との思い出。
「とある救出任務で俺とあいつは別行動をした、けど、それが間違いだった」
「…え?」
「別行動をしたあいつを見つけた時には、既に致命傷だった」
「…嘘」
「約束してたんだ、あいつが致命傷を受けたら、最後は俺があいつを撃ってね」
「…まさか!!」
「銃を渡されて、俺はあいつを撃った」
虹崎輝の最後。
「俺達に初めて後輩ができたんだ、あいつはこんな俺なんかに憧れて入ってきた」
「後輩か」
「一年だけだったけど、とても楽しかった」
後輩、晴野駿との思い出
「一年ってまさか、その後輩は!」
「…俺の過去を調査したせいで、権力によって両親は殺され、あいつも爆弾で自爆した」
「ッ!?」
晴野駿の最後。
「とある任務で村に行ったんだが、その村で出会ったのが、カレンちゃんだった」
「ゲームの世界にいた子だよね」
「別れる時に日本の料理を教えるって約束をした、でも応援部隊はこなかった」
カレンちゃんとの果たせなかった約束。
「冬華教官は復讐をするため、上層部を殺し尽くしたよ」
「…は?」
「そして俺達は互いを殺し合った、最後は冬華教官の刀を奪って突きで刺した」
「……」
「死ぬ前に冬華教官が教えてくれたんだ、優華さんが本当の娘だってことを」
冬華教官の最後。
「これが″今″俺が話せる全てだ」
俺が話終わるとその場にいた全員が、喋らなくなる。
「今回のゲーム世界の件、あれは全部、俺のせいだ」
「違う!それは私たちが悪いだろ!」
「そうです!皆さんを巻き込まなければ───」
「違う、俺がみんなを巻き込んだ」
俺はみんなを見て冬華教官から聞いた話を言う。
「冬華教官が言っていた、ララさんとヤミさんの戦闘データと俺の正体を暴いて殺せという命令を受けたってね」
「なっ!?」
黒幕の目的は俺を殺すこと。
「そして黒幕は俺を殺すついでに、デビルーク種族の異星人を、殺せたら良いって思ってたらしい」
「え?」
「ナナさんとモモさんが死ななくて、本当に良かったよ」
俺のせいでララさん達は巻き込まれただけだった。
「黒幕は俺の過去を知っている、そして俺を苦しませながら、殺したいらしい」
俺を苦しませて殺したいなら、きっといつか…
「俺を苦しませる為に、誘き出す為に、いつか必ずみんなが危険な目に合う」
「…優斗」
「この話を聞いても、みんなは俺と一緒に居たいって思うか?」
「ふざけんな!」
俺がそういった瞬間、リトに胸ぐらを掴まれて殴られる。
「リト!?何やってんの!!」
「…美柑、止めないでくれ」
俺がリトに殴られたのを見て止めようとする美柑を静止する、殴らる覚悟くらいできてる、軽蔑される覚悟もだから───
「ふざけんな!一緒に居たいに決まってんだろ!オレにとって優斗は親友なんだよ!!家族みてーなもんなんだよ!」
「…は?」
予想とは違う言葉に俺は驚く、俺のせいでみんな死にかけたんだぞ?
「リト、お前らは俺のせいで死にかけたんだぞ?」
「でも生きてる!!みんな、お前のおかげで生きてんだろーが!!」
「そうだよ、優兄のおかげでみんな元の世界に帰れたんだよ、それにどんな過去があっても優兄は優兄だよ」
そういって前から美柑を抱きついてくる。
「優斗!あんたがいなかったら、私はその…寂しいでしょうが!!」
「わたくしは、助けられてばかりではなくてよ?言ったはずですわ、あなたに何かあった時、わたくしはあなたを必ず助けると」
美柑に続いて、里紗と沙姫さんは俺に向かって言う。
「…あんなに優しくされて、時雨くんの事を嫌いになれるわけないじゃん」
「優斗、次にあなたが危険な目にあったら、今度は私が守ります」
「前世とか、非常識すぎてついていけないけど、時雨くん!あ…あなたに何があっても、私のと…友達よ!」
「沙姫様の事で君にはたくさん世話になった、それに私も君に助けられたんだ、沙姫様の言ったように君に何かあったら、今度は私が君を助ける番だ」
新井さんとヤミさんと古手川さんと九条先輩も俺に近づいて、そう言ってくる。
「時雨くん言っとくけど、私は狙った獲物は逃がさないわよ?」
「…御門先生?」
「言ったじゃない?絶対にあなたを手に入れるって」
御門先生は俺を後ろから抱きついて、囁くように言ってくる。
「ユウトがナナとモモの事も助けてくれたんだよ?」
「ユウトが居たから助かったんだぞ!!だからその…ありがとな」
「優斗さん、次は私たちがあなたを助ける番ですよ」
ララさんもナナさんもモモさんもみんなそう言ってくれた。
「優斗!今度見てるだけじゃなくて、オレがお前を必ず助けるからな!!」
最後にリトは俺を見て宣言するように言う。
「みんな、ありがとう」
ここにいる誰も俺を拒絶して離れる事はなかった、今度こそ必ず、みんなを守り抜くと俺は改めて誓った。
◇
俺の過去の話が長くなり、時間もかなり過ぎてしまった為、今日はみんな解散となった。
「私たちは一度、デビルークに戻ります」
「ちょっと調べたいこともあるからな!」
ナナさんとモモさんはデビルーク星に戻ることになってララさんとリトと美柑の4人で見送る為に宇宙船の前にいる、一度って事はまた来るのかな?
「優斗さん、少し近づいてもらってもいいですか?」
「いいけど、どう───っ!?」
「なっ!!モモ!?」
「はっ?」
俺がモモさんに近づくと頬を掴まれてキスをされる。
「っ!!?」
「なにやってんだ!!」
ナナさんが俺とモモさんの間に入って、モモさんを引き剥がす。
「ありがとう、ナナさん」
「…こっち向け、ユウト」
「え?───むぅっ!」
ナナさんの方を向くと勢い良くキスされる。
「ナナ!!」
「先にしたのはモモなんだから、別にいいだろ!!」
ナナさんとモモさんの言い合いが始まる、君たち、帰る気あるの?
「二人ともケンカしちゃダメ!」
ララさんが二人の喧嘩の仲裁に入ると、二人は渋々と言った感じで喧嘩を辞める
「ユウト!勘違いすんなよ!今のキスはその、お礼なんだからな!!」
「優斗さん、次はキスよりも先のことをしましょうね?」
ナナさんとモモさんは俺にそういうって宇宙船の中に入って、デビルーク星へ帰っていった、さて怒っている美柑をどうするか。
「………」
「リト、早速で悪いんだけど、俺の事を助けてくれない?」
「ゆ…優斗が…キ…キスして」
隣のリトを見るが、キスを見ただけでショートしていた、ダメだ、使えねぇ。
「優兄、少し話そっか?」
「……はい」
その日は、美柑を家に泊めて、一緒に寝ることで一応許して貰えた。
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