ToLOVEる ~ 生まれ変わった意味を探して~   作:アイスが食べたいマン

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改めて誤字報告、本当にありがとうございます。


~寝ている間とアイドル~

里紗に襲われかけた数時間後。

 

「………」

 

俺は洗面台に置いてあった物を見て固まっていた。

 

「…里紗、とんでもない物を置いて行ったな」

 

俺の目の前にあったのは、里紗が着ていたワイシャツと黒いブラジャー&黒い紐のパンツ、絶対にわざと置いていっただろ。

 

「とりあえず、メールするか」

 

とりあえず、里紗にメールを送って置いていかれたワイシャツと下着は洗濯機に入れて、洗濯機を回すとすぐに携帯が鳴る。

 

「…いや、メール返ってくるの早すぎだろ」

 

ダーリンへ

今度は泊まりに行くから、それ置いといて♡

さっきの快楽が忘れられないなら使ってもいいよ♡

 

「…っ!」

 

メールの文を読み、数時間前に里紗にされた事を思い出し、身体がゾワッとする。

 

「誰が使うか」

 

あの後は本当に大変だった、美柑とヤミに問い詰められ、デートからされた事まで全てを吐く事になった。

許してもらうのに苦労した、夜ご飯の後、3人で一緒に風呂に入った事でとりあえずその場は許して貰えたが…

 

───優兄、籾岡さんと次にあんな事したらどうなるか…

───わかってますね、優斗?

 

次に里紗にあんな事をされたら…色々と終わる事が確定した。

 

「………」

 

三人で風呂に入った時にナナさんとモモさんがズルいって言っていたのが気になったが、もう何も考えないで、睡眠薬を飲んで寝よう。

 

 

~???side~

 

深夜、優斗さんが睡眠薬を飲み、眠りについた事をカメラで確認した私は部屋に入る。

 

「…酷いですよ、優斗さん」

 

私は眠っている優斗さんに近づいて身体を触る。

 

「美柑さんとヤミさんと一緒にお風呂に入った挙句、私が少し目を離した間に、籾岡さんとあんな事をしていたなんて…」

 

私はカメラの録画で見た映像を思い出す、籾岡さんに襲われかけて、全てを奪われそうになった優斗さんの姿…

耳や胸板を舐められ快楽に染まって行く優斗さんの顔…

 

「優斗さんが耳を攻められるのが弱い事、知りませんでしたよ?」

 

私は眠っている優斗さんの上に乗り服をたくし上げる。

 

「優斗さん″昨日の夜″の続きをしましょうか」

 

私は昨日、優斗さんが不在で勝手に部屋に入った時に、バレないようにカメラをしかけた。

そして優斗さんとザスティンさんが戦った日の夜、優斗さんが寝た後も、私は優斗さんの部屋に侵入していた。

 

「─ぅ──ぅ───っ」

 

優斗さんの身体を舐める度、身体がビクッと動く。

 

「昨日の夜は私に今日の夕方は籾岡さんにされた事もあって身体がすっごく敏感ですよ、優斗さん?」

 

身体を軽く指でなぞっただけで震えるように身体が動いた。

 

「籾岡さんがされていたように、今日は私も耳を攻めますね?」

「ぅ──ぁ─」

 

優斗さんの耳に近づき甘噛みをしただけでとてもいい反応をした。

 

「舐めますよ?優斗さん」

 

私は耳元で囁きながら、耳を舐める。

 

「─────────っ」

 

身体が反るようにビックリと跳ね上がり、私の気分もさらに高鳴る、普段の日常や戦う時の優斗さんはかっこいいのに、こういう事をされる時の優斗さんはとても可愛い。

 

「…誘っているようにしか見えませんよ?」

 

私は服を脱いで裸になる、優斗さんの腹部に私の胸を直に当て、再び優斗さんの胸板の突起を舐めた。

 

「固くなってきしたね、優斗さん」

 

固くてとても大きくなったそれをズボン越しに触る。

 

「ズボン越しでもこんなに大きいなんて…」

 

硬くなったそれを擦る度に熱が伝わってくる。

 

「苦しそうですね、それに少し湿ってきましたよ、優斗さん?」

 

ズボンにシミができてくる、そろそろ限界なのかもしれない。

 

「───ッ」

「あっ!」

 

優斗さんの身体がビクッと跳ね上がり、ズボンが濡れる。

 

「あら、出ちゃいましたか」

 

ズボンからする匂いを嗅いで確信する。

 

「…本当はこのまま最後までしたいですけど…それは優斗さんが起きている時にしますね?」

 

満足した私は服を着てきる。

 

「ユウトさん、もうすぐ完成しますので、それまで待っていてくださいね?」

 

私は眠っている優斗さんの頬へ口づけをして、屋根裏へ向かう。

 

~優斗side~

 

「…マジか」

 

朝起きて下半身を見た俺は驚愕する。

 

「昨日里紗にあんなことされたから、身体がバグったのか?」

 

いくら思春期の生理現象とはいえ、この精神年齢でこれはキツイものがある。

 

「…急いで洗濯するか」

 

洗濯機から里紗のワイシャツ等を取り出してから、汚れた物全てを洗濯機に入れて、洗濯機を回した俺は、全てを見なかったことにして学校へ向かった。

 

 

 

放課後、学校が終わり、家に向かっていると声が聞こえてくる。

 

「キョーコちゃんー!代役ならわしがやるよー!!だから!わしのカラダにサインして───!!」

「キャッ!」

 

パンツ一丁になった校長がキョーコちゃんと言われていた子の方を掴んでいた。

 

「変態がいい加減にしろ」

「グフぇっ──────」

 

校長の顔面に思いっきり回し蹴りをする、校長はそのまま軽く吹き飛んだ後地面に倒れた。

 

「マジで警察仕事してくれよ」

 

悪態をつきながら、蹴り飛ばした校長に近づき気絶したことを確認する。

 

「君、大丈夫?何もされてない?」

「………」

「…大丈夫?」

 

彼女は俺の問いかけに何も反応せず、ただ固まっている。

 

「ぁ…は!見つけた!!」

「?」

「あ…ありがとう、助けてくれて…」

 

固まっていた彼女は現実に戻ってきたのか、俺に気づいてお礼を言ってくる。

 

「大丈夫?何もされてない?」

「う…うん、肩を掴まれただけで、他には何も…」

「間に合って良かった、あの変態この辺によくいるから気をつけて?それじゃあ」

怪我がないことを確認した俺はそのまま、家に向かって帰ろうとすると腕を捕まれる。

 

「ちょっと待って!もう一個お願いがあるの!!」

「…お願い?」

 

そういうと彼女は俺の手を掴み歩き出す。

 

「どこに行くの?」

「撮影現場だよ、役者が一人来れなくなって、代役を探してたの!」

「…代役?」

 

撮影現場に代役ってなんだ?ってよく見たら、この人どこかで…

 

───え~なになに~?かもしれないとか、わからないとか!キョーコ、煮え切らない男、嫌いなんですよね───

 

───…なんかムカつく、もーいいや!みんなゲームオーバーになっちゃってくださ───い!

 

ララさんが見ていた特撮番組と、とらぶるクエストに出てきたマジカルキョーコにそっくりだな、確か校長からもキョーコちゃんって呼ばれていたような。

 

「ついたよ、ここが撮影現場!」

「…すごいな」

「監督!代役連れてきました!」

 

撮影現場に着くと、そこには大量のカメラとかなりでかいセットが置いてあった。

 

「恭子ちゃん、見つけてきてくれたの?」

「はい、適任だと思います!」

「確認するわ」

セットの奥から女性が出てきて俺を見る、この人が監督?

 

「顔はいいわね、あなた身長は?」

「…180cmくらいです」

「へぇ?ちょっと失礼するわ」

 

女性は俺の腹部や腕を触る、何してるんだこれ。

 

「細いのにしっかり鍛えられているわ!合格よ!!」

 

代役として合格したみたいだけど、何するんだ?

 

「霧崎恭子ってしってるかしら?」

「………」

 

いきなり知らない名前が出てきた、もしかしてマジカルキョーコを演じてる人の名前かな?

 

「マジカルキョーコを演じている人ですか?」

「そう、そして今あなたを連れてきた子よ」

「自己紹介が遅くなってごめんね?私は霧崎恭子です」

「俺は時雨優斗です」

 

お互いに軽い自己紹介をする。

 

「優斗くん!早速でごめんね、さっきも言ったけど、お願いがあるの!彼氏役として写真撮影に協力して欲しいんだ!」

「…写真?」

「実は彼氏役のモデルが遅刻してて、代役が必要なの!」

 

話を聞くと本来来るはずだったモデルが、寝坊して、写真集の撮影ができないらしい。

撮影も二時間遅れで撮影スタッフや霧崎さんにも、このあと他の予定もあるのと、セットを借りる時間も無くなってしまう為、代役が必要だったらしい。

 

「…わかりました、撮影なんてしたことないので、どうすればいいか分かりませんが…それでも良ければ」

「ホント!?優斗くんありがとう!」

 

俺が承諾すると、霧崎さんからお礼を言われる。

 

「皆!今すぐ撮影の準備をして!カメラそこから2cm横にずれて!」

俺の承諾を聞いた監督は、周りのスタッフに指示を出す。

 

「時雨くん、あなたはこれに着替えて?」

「…わかりました」

 

俺は渡された服を持って、着替えに試着室へ向かう、彼氏役って言ってたけど、テーマは何なんだ?

 

「優斗くん、すっごい似合ってるよ!」

「…ありがとう、ちなみにこれってなんてテーマなの?」

「美男美女カップルによる、イチャイチャデートよ」

 

服を着て外に出る、俺は霧崎さんにテーマを聞いたら、監督が答えた、だから、デパートでやってるのか。

 

「さあ、全員準備が出来たわ、始めましょう!」

 

霧崎さんとの撮影が始まった。

 

「時雨くん!もっと笑顔で笑って!!」

「………」

「恭子ちゃん、時雨くんの腕に抱きついてこっちを見る!」

「わかりました、監督」

「恭子ちゃん!そのまま背伸びして、時雨くんの顔に近づけて!」

 

最初はデートに来ていくような服を着て撮影をする、そして監督の指示で抱きついてくる霧崎さん、顔もかなり近い。

 

「時雨くん、恭子ちゃんに顎クイをして、見て色っぽく笑う!」

「………(ニコ)」

「ッ!?」

「…時雨くん、あなた才能あるわよ!!」

 

次はお互いに制服を着て撮影する、俺が指示通り笑うと霧崎さんの顔は赤くなる、監督、俺こんな才能いらない…

 

「次は恭子ちゃんに壁ドン!」

「…はい」

「そのまま、″俺だけを見ろよ、お前は俺のものだ!″かっこよく言いなさい!」

「…俺だけを見ろよ、お前は俺のものだ…」

「ッ!これヤバいかも…」

 

今度はお互いに会社員のようなスーツを着て撮影する、写真撮るだけなのに、セリフいるのか?

 

「…素材が良すぎて想像以上にいい写真が取れるわね」

 

監督はご満足の様子で写真を撮りまくる。

 

「次!そのソファーに2人で肩を寄せあって座って!」

 

その後、二時間ほど撮影が続いた。

 

「お疲れ様でした、こちら飲んでください」

「…ありがとうございます」

 

休憩が入り、俺はスタッフからコーヒーを受け取る。

 

「優斗くん、すごいね、ホントに初めて?」

「…初めてだよ」

 

撮影は始めただが、前世で潜入調査で色んな役を演じることもあったから、こういうのは慣れている。

 

「霧崎さんって、アイドルなんだよね?」

「そーだよ?」

「…カップル撮影っていいの?」

 

アイドルは恋愛禁止などよく聞くが、この撮影はありなんだろうか?

 

「撮影だからセーフだよ、ダメだったら恋愛ドラマとか出られないじゃん」

「…そうなのか」

 

前世でもアイドルなどはテレビなどで見ることはなかったから、アイドルの定義はよく分からない。

 

「優斗、ありがとうね」

「…え?」

「あの変態から助けてもらったのもそうだけど、撮影の代役までやって貰っちゃったからさ」

 

霧崎さんは申し訳なさそうな顔をしながら俺を見る。

 

「それで誰かを助けられるなら、俺はなんだってやるよ」

 

撮影に関しては霧崎さんだけじゃない、監督やスタッフなど、みんな困ってたから手伝っただけ…

 

「優斗くんは優しいんだね」

「優しくないよ、俺はただ後悔したくないだけだ」

 

優しいか、古手川さんにも前に言われたな、でも俺は優しくなんてない。

 

「やっぱり優しいよ、優斗くんは…」

「え?」

「自分が後悔したくないって理由でも、優斗くんに助けられた人はたくさんいるんじゃないかな?」

「………」

「どんな理由であっても、それで誰かを助けてるなら、その人は優しい人だよ」

 

霧崎さんは真っ直ぐ俺を見る、その目は、まるで俺の心を見られているような、そんな目だった。

 

「…ありがとう、霧崎さん」

「助けられたの私なのに、優斗くんに感謝されちゃった」

 

俺がお礼を言うと霧崎さんは照れくさそうに笑う。

 

「遅れやした〜ってあれ?もしかして終わってるの?あ、恭子ちゃんみっけ」

「っ!?」

 

俺と霧崎さんが話していると男が入ってきて、霧崎さんを見つけたと同時に、こちらに向かって歩いてくる、そして男を見た霧崎さんは怯えたように縮こまる。

 

「…大丈夫?」

「大丈夫、平気だよ」

 

霧崎さんは俺を見て笑うが完全に無理をしている。

 

「恭子ちゃん、撮影終わったんなら、一緒にディナーでも行かない?」

「…いや、さ…撮影はまだ終わってないです」

 

男は怯える霧崎さんに距離を詰めていく。

 

「じゃあ、こんな撮影さっさと終わらせてディナーにこっか?」

「…私は行きたくないです」

「は?なんでだよ、わかってんだろ?オレに逆らえば─────」

「その辺にしとけよ」

 

霧崎さんに詰め寄っていく男を引き離し、俺は霧崎さんの前に出る。

 

「は?誰、お前?良いとこなんだから邪魔すんなよ」

「周りにほかの人もいる、これ以上変なことをすればお前のモデルだかアイドルだかの人生も終わることになるぞ?」

「…ブッハハハハハ」

 

俺の言葉を聞いた男は笑い出す。

 

「お前さ?オレが誰かわかってる?オレは…」

「見た事もないし、知らないな」

「…は?」

「仮に見たことあっても、お前に興味がないからすぐに忘れる」

「お前!?ふざけんじゃねえぞ!!」

「っ!優斗くん危ない!!」

 

男は俺に向かって殴りかかってくる、霧崎さんは男が殴りかかるのを見て声をあげる。

 

「なっ!?」

「………」

「ァ──────っ!!?」

 

男の攻撃を躱してた俺は、男に向かってボディブローをする、男は腹部を抑えてうずくまる、周りの目もある為、あまり暴力沙汰にしたくなかったが…

 

「ゴホッゴホッっ!?てっめぇよくも!」

「そこまでよ?」

「あぁ?邪魔すんじゃ───」

「今のやり取り全て録画したわよ?」

 

監督は録画した画面を男に見せる

 

「なっ!?てめぇ!」

「仕事を舐めるなよ?」

「クッソっ!!」

 

男は走ってどこかへ行ってしまった、近くにいたマネージャーも男の後を追って走っていく。

 

「優斗くん、ありがとう!」

「…お礼なら監督さんに言って、解決したのは監督さんだから」

 

実際、あのまま続いていたら警察沙汰も有り得た。

 

「え?でも優斗くんが…」

「二人とも怪我は無いかしら?」

 

監督が俺達に話しかけてくる。

 

「俺は大丈夫です、霧崎さんは?」

「私も優斗くんが助けてくれたから大丈夫だよ」

「…あの男は?」

「以前から素行が悪かったからね、これで彼は事務所もクビになるでしょう」

 

一つの過ちで今まで積み上げてきた物、全てが簡単に無くなる、あの男はそれにまだ気づいていない。

 

「少し安心したなぁ」

「…さっきあの人を見て怯えてたけど、何かされたの?」

「あの人にここ最近付き纏われててさ、かなり有名なアイドルで、誘いを断ったら芸能活動が、二度できないようにするって脅されてたから…」

 

俺が聞くと霧崎さんは話し出す、…前世もそうだが、立場や権力が全てな所はどこも一緒だな。

 

「そんなことがあったのね、恭子ちゃん、もう大丈夫よ、社長に行って正式に対応してもらいましょう」

「ありがとうございます」

 

さっきの動画もあるのと社長が正式に対応してくれるなら、霧崎さんも大丈夫だろう。

 

「じゃあ撮影を再開しましょうか」

 

監督の言葉で撮影が再開された。

 

 

 

~恭子side~

 

今日は雑誌の撮影日、正直かなり憂鬱でやりたくなかった。

学校を休んで撮影に行ったのに、撮影に来るはずだったアイドルの遅刻が原因で、二時間も遅れてるし、最悪な気分。

 

「優斗くん!もう少し恭子ちゃんの近くに寄って!」

「…はい」

 

私達はみんなで別れて、代役になれそうな子を探していたら、私はサングラスをかけた変態に襲われそうになった。

その時に助けてくれたのが、隣で一緒に撮影をしてくれている時雨優斗くん、助けてもらった時に少しドキッとした。

 

「いいわね、次そっちの階段に二人で座って!」

「わかりました」

 

顔はかっこよくてスタイルも良い、この人なら代役を頼めるって思って、優斗に頼んでここまで連れてきた。

本当に初めてなのか不思議なくらい、表情を作るのが上手で、監督の要求にも難なく応えている。

壁ドンと顎クイをされた時は、目を見るのが恥ずかしかったけど。

 

「次よ!恭子ちゃん!優斗くんに抱きついて!」

「はい!」

 

遅れてきて、私を脅していたアイドルからも優斗くんは助けてくれた、優斗くんは俺は優しくないって言うけど、とても優しい人。

 

「さあ!優斗くん!恭子ちゃんを後ろから包み込むように抱きしめる!」

「…了解です」

「そのまま恭子ちゃんの肩に顎を乗っけて!」

「………」

「ッ!!」

 

優斗くんに後ろから抱きしめられて、ドキドキが止まらない、学校でもモテるだろうな…

「はい!撮影は終わりよ!お疲れ様!!久々にとてもいい物が出来そう!!」

「それは良かったです」

「あ…」

 

監督の言葉を聞いた優斗くんは、後ろから抱きしめていた私を解放する、できればもう少しだけこのままが良かったな…

 

「撮影が終わりなら、俺はこれで帰りますね」

「え?もう帰っちゃうの!?」

 

制服に着替えた優斗は帰ろうとする、私は思わず、優斗くんの手を掴んでしまった、私はなんで優斗くんの手を掴んだの?

 

「もしかして、まだ何かある?それなら残るけど…」

「お…お礼、まだ何もお礼ができてないよ!バイト代とか出るはずだから!」

 

優斗くんはお礼と聞くと難しい顔をしてしまう、大丈夫かな?私、変なこといってないよね?

 

「…お金は貰えない、何の契約もしていない一般人に報酬を支払えば、事務所的にも色々とアウトなはずだよ」

「え?そうなの?」

「そうね、申し訳ないけど、優斗くんの言った通りお金は渡せないわ」

 

監督さんは申し訳なさそうに優斗くんに言う、優斗くんは知っていたんだ、お金が貰えないことも、それなのに、ここまで文句一つ言わずに手伝ってくれていた。

 

「でも、個人的な″お礼″なら大丈夫よ」

「…個人的なお礼ですか?」

 

その言葉を聞いた優斗くんはなにか考えているような顔をする、考えてる姿もかっこいいな。

 

「一つお願いがあるんだけど良いかな?」

「いいよ!私にできることなら、何でも!!」

「霧崎さんのサインくれない?」

「え?」

 

優斗くんはアイドルとか興味無さそうだったから、予想外なお願いだった。

 

「友達にマジカルキョーコのファンがいてさ、サインを貰ったら、きっと喜ぶから」

「っ!?」

 

優斗くんは私を見て笑顔になる、その顔を長く見ることができなかった私は顔を逸らしてしまう。

 

「…ホントにそんなことでいいの?」

「そんなことが良いんだよ」

「わかった、良いよ」

 

優斗くんは近くにいたスタッフさんから色紙とペンを貰って、私に差し出してくる、優斗は友達の為にサインを貰うんだね、やっぱり優しいよ。

 

「霧崎さんありがとう、きっと喜んでくれる」

「それなら良かったよ」

「恭子ちゃん、ちょっといい」

監督が私の耳元まで近づいてくる。

 

「優斗くんの事、送っていきなさい?」

「え?でも…」

「大丈夫よ、マネージャーに言って行き帰りの車もすぐに用意させたから」

 

監督にニヤニヤしながら私に小さい声で囁いてくる。

 

「それと事務所的に恋愛はNGなんだから、バレないように上手くやりなさいよ?」

「なっ!?わ…私は別に──────」

「早く行かないと優斗くん一人で帰っちゃうわよ」

「あっ!」

 

監督は全てを言い終わると私の背中を押す。

 

「…大丈夫?」

「ッ!?」

 

優斗くんに支えて貰ってまた胸がドキドキしてしまう。

 

「だ…大丈夫、それより送っていくよ!」

「いや、さすがに悪いよ、それにアイドルがそんな事したのバレたら───」

「せっかく監督が車を用意してくれたんだよ、大丈夫だから!ほら行こ!!」

 

私は優斗くんの手を引いて、監督が用意してくれた車に乗り込む、優斗くんの住所を聞いたマネージャーは車を動かし始めた。

 

「優斗くんって学校でモテるでしょ?」

「……まあ、それなりに…」

 

私の問いかけに答えた優斗くんは、遠い目をしていた、もしかして色々苦労してる?

 

「じゃあさ。彼女とかいないの?」

 

私はなんでこんなこと聞いてるの?

 

「…いないよ」

「え!?」

「そんな驚く?」

 

意外だった、優斗くんなら彼女がいると思っていたから。

 

「なんでいないの!?」

「…色々あるんだよ」

 

優斗くんは窓の外を見ながら言う、いないんだ…ってなんでちょっと嬉しくなって…

 

「霧崎さんってすごいね」

「…え?」

「霧崎さんを脅していたアイドルの誘い断ろうとしたでしょ?」

 

私を見ながら優斗くんがそういってくる、私は全然すごくない、だって優斗君がいなかったら…

 

「凄くないよ、優斗くんに助けて貰っちゃったし」

「いやすごいよ、少し前の俺なら、抵抗する勇気もなかった」

「え?」

 

優斗くんの目は何にかを決意しているような、少し危ないことをして消えてしまうような、そんな目をしていた。

 

「霧崎さんなら、これからどんな事があっても大丈夫」

「どうして?」

「理不尽に抗う意思を持ってる、それがあればどんな事も乗り越えられるよ」

「それって───」

「時雨さん、着きましたよ」

 

車が優斗くんの家らしき所で止まる、これが優斗くんの家なんだ。

 

「すみません、わざわざ送って下さりありがとうございます」

「いえ、これくらいなら全然」

「霧崎さんもありがとう、送ってくれて」

「うん…」

 

会話が終わると優斗くんは車から降りてしまう、もう少し話したかったな。

 

「じゃあまたね」

 

優斗くんがそういうと車が出発する。

 

「また優斗くんに会えるといいなぁ」

 

私は車の窓から夕焼けが綺麗な空を見ながら呟いた。

 

 

 

おまけ

 

 

霧崎さんに家まで送ってもらった俺は一度、結城家に寄っていた。

 

「ララさん、これプレゼント」

「え、もしかしてこれマジカルキョーコのサイン色紙!!ユウトこれくれるの!?」

 

俺が霧崎さんのサイン色紙をララさんに渡すと、ララさんは飛び跳ねて喜ぶ。

 

「ユウト!ありがとうー!!」

「お…お姉様!?」

「なっ!姉上!!優斗に抱きつかなくたっていいだろ!」

「ちょっとララさん!優兄から離れて!!」

「……苦しい」

 

ララさんに抱きつかれほかの三人に揉みくちゃにされて、サイン色紙を渡しに行っただけなのにすごく疲れた。

 




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