ToLOVEる ~ 生まれ変わった意味を探して~ 作:アイスが食べたいマン
次からこのようなことがないように努力してまいります。今後ともよろしくお願いします。
今回も少し長いです。
「いい加減に答えやがれ!!お前は誰だッ!!!」
俺の叫びを聞いた、輝は俺を見て驚いた顔をする。
「…そうだったねぇ~輝くんが機械音痴だったの忘れてたよ」
輝の姿をした男は右手に持っていた銃の銃口で頭を搔く。
「輝くんの姿をした私を見て、優斗くんがもう少し慌てふためくところを見たかったけど、バレてしまったら仕方ないよねぇ~」
男はニヤニヤと笑いながら、輝の仮面を剥がしていく。
「ッ!?お前は!!」
「久しぶりだね、雨宮優斗くん」
俺はその人物をよく知っている、桐生夏樹と一緒に研究所にいた男。
そして俺達、″特殊部隊の総司令官″だった男。
「総司令!月城秋良ッ!!」
月城秋良(つきしろあきら)が俺を見て不敵な笑みを浮かべていた。
◇
カレンちゃんの村が壊滅した報告を受けた俺は、総司令の部屋にいた。
「…なんで、カレンちゃんの村に来る予定だった舞台を撤退させた」
「あの村にいる人間を救ったところで、私たちに利益はないよ?」
「…利益だと?」
「あんなちっぽけな村なんて、守る価値もないよ~」
俺の言葉に総司令は映画を見ながら答える。
「…カレンちゃん達よりもたった一人のクズを救う任務が大切だと?」
俺達が別の任務──別の国で起きた日本人の人質を救う任務で助けた日本人は、助ける価値すらないクズだった。
その日本人が人質になった理由、それは違法薬物を海外で売り捌いていたが、その地域を取り締まっていたギャングに見つかり捕まった。
「彼は政治家の息子だよ?絶対に救わないと行けない人間だよ~」
「………」
「まあー上からの命令だから、そんな怒らないでくれないかな~優斗くん?」
総司令はそういうと俺を見た。
「そんなくだらないことよりも、優斗くん~君は武器人間という映画を知っているかな~?」
「…くだらないだと?」
総司令の言葉を聞いた俺は静かに呟く、俺は怒りをこらえるように拳を握りしめた。
「今、私が見ている映画なんだけどね~ナチス・ドイツを題材としたホラー映画で、死体の手足に様々な武器を取り付けた不死身の兵士が暴れる話なんだ」
「…それが何か」
俺が怒りは抑えながら総司令の話を聞く。
「これ、現実で出来ないのかな~って」
「は?」
コイツは何を言っているんだ?あの時の俺は本気でそう思っていた。
「素晴らしいって思わないかな~?これができれば世界全てを我がものにできるんだよ?」
「…何言って」
「それにこれを死体ではなく、生きた人間でできれば、人智を超えた強力な力を手に入れることができる」
あの時は冗談なのか、頭がイカれているのか分からなかったが、今思えば、コイツは本気で言っていたんだ。
「…すまないねぇ~余計な話をしてしまったね?優斗くん、君は訓練に戻りたまえ」
「………」
俺は無言で部屋を出た、あの時の総司令の黒く歪んだ目を俺は今でも忘れていない。
◇
「月城秋良か…久しぶり聞いたよ、その名前」
ヘラヘラとした態度で月城は言う。
「今はクラウンって名乗ってるから、そっちで呼んで欲しいなぁ?」
「コイツがクラウン!?」
「優斗さんを狙った黒幕!!」
月城の言葉に、ナナさんとモモさんが驚く。
「なんで生きている、あんたは俺が殺したはずだ!」
「防弾チョッキって便利だよね?心臓に撃たれても守ってくれるからさぁ~まあ、夏樹くんは死んでいたけどね?」
総司令───月城は俺を見る、桐生夏樹は死んだのか、でもこいつが本当のことを言うか?
「優斗くんに撃たれた後、次元接続装置が起動して私と死んだ夏樹くんは飛ばされたんだよ、この世界にね?」
俺が死んだ後、次元接続装置は起動したのか、だからこいつはこの世界に…
「で?なんで~優斗くんは生きてるのかな?」
「…え?何を…言って…」
月城の言葉にモモさんは疑問の声を上げた。
「私はこの世界に飛ばされて来た、でも優斗くん…君は腹違いの妹──桐生夏海に殺されたじゃないかぁ~」
「「「ッ!?」」」
みんなが驚いた表情を浮かべて俺を見る。
「そこにいる村雨静、彼女はこの世界で死んだ人間だ、地縛霊として生きている事はまだ理解できるんだよね~」
「………」
「でも優斗くんは違う、この世界で死んだわけじゃない、私と違って次元接続装置で飛ばされたわけでもない、ならどうして君はこの世界に転生したのかな?」
…コイツの言った通りだ、俺は別の世界で死んだ、なのになぜこの世界で生きている?
「………」
「その感じは、自分でもなんで転生したか分からない感じかなぁ」
月城はメンドーだなぁ~と言いながら俺を見る。
「しかもよりによって″時雨桜の息子″として転生しちゃうんだもんな~困っちゃうよぉ~」
「時雨桜?誰のことだよ」
「おや?君たちまさか知らないのかな~優斗くんの今世の事?」
リトの言葉を聞いた月城はニヤリと笑う。
「ダメだよ~しっかり話してあげないと~仕方がないなぁ、駿くんの時みたいに私が真実を教えてあげようか!優斗くんはね──────」
「いい加減その口を閉じろよ、クズ野郎」
月山の目がリト達に向いた瞬間、俺は銃を構えてトリガーを弾く。
「アハハハっ!焦ってるねぇ、でも話してる途中に銃を撃つなんて非常識だよ?優斗くん」
「オレもいるのを忘れていないか?クラウン!」
月城は弾丸を避けながら笑っていると、後ろに回ったクロがクラウンを蹴ろうとする。
「あ~君がいたね?クロくん」
「ッ!!」
「でもダメじゃないかぁ、君はこの前の爆発の怪我、まだ完治してないだろ~」
クロの蹴りを片手で止めて、壁に向かって投げ飛ばす、コイツ身体能力が前世よりも高い!
「トランス」
「金色の闇───いや、イヴちゃん~今の君には用はないんだ!少し引っ込んでてくれないかな?」
ヤミが髪をトランスで刃に変えて攻撃するが、その攻撃も全て躱される。
「なんで私の名前を!!」
「忘れちゃったか~私は悲しいよ?″創造者″のことを忘れちゃうなんて~」
「ッ!!あなたはまさか!」
月城の言葉にヤミが固まる、やっぱりヤミは…
「ティアーユくんと共に君を作った、研究員だよぉ~」
「!!」
「ありえない、あの組織はオレが潰したはずだ!」
「クロくん、君は優斗くんと違って爪が甘いからねぇ?私にたどり着く前に逃げたのさ~」
月山はクロの言葉にニヤニヤと笑みを浮かべる、壁に叩きつけられたクロは銃を構えて、月城に向かってトリガーを弾く。
「…話してる途中に銃弾撃つの流行ってるのかな?」
「研究と遺伝子情報は俺が前世で全部破壊したはずだ!どうやって───」
「確かに研究成果は全て優斗くんに破壊されたよ?でも遺伝子情報の一部と戦闘データは残っていたんだ~」
クロが撃った弾丸を躱しながら、月城は話す、コイツ、本当に人間か?
「ただ優斗くんがアタッシュケースを破壊して研究成果を破壊してくれたおかげで、研究は一からやり直しで最悪だったよ~」
「…研究?一体なんの…」
「あれぇ?もしかして優斗くんから聞いてない?死体を使って武器人間を作る研究」
「「「ッ!?」」」
「まあ、実験しまくった結果、人間の身体ではナノマシンを耐えれないから~一から作ることにしたんだけどね?」
総司令は時間がかかったよ~と言いながらケラケラと笑う。
「…イカれてるわ、そんなの倫理に反してる」
月城の言葉に古手川さんが言う。
「そうかなぁ~死体を使ったリサイクルと思えば───」
「クラウン、お喋りはいいが、躱しただけでオレの弾丸を避けられたと思うか?」
「…おや?」
クロが撃った弾丸は軌道を変えて再び月城に向かっていく、あの銃、まさか追尾性能があるのか?
「あー!ホーミングブリットか!忘れていたよ~」
「死ね、クラウン!」
「…君の出番だ、来るといい」
「………」
「ッ!何!!」
月城が何かを言った瞬間、フードを被った人物が弾丸を斬る。
「なに、あれ!?」
「う…腕に武器がついてる!?」
紗弥香と里紗は驚く、フードを被った人物の腕には前世で見た死体兵器のような刃が付いていた。
「彼はね?イヴちゃんを作る前に作ったトランス兵器なんだぁ~」
月城はフードを被った人物の肩を触りながら告げる。
「遺伝子情報から意志を持ったクローンの生成には成功したけど、コアが破壊されたら肉体が消滅する失敗作」
「…ジ……ジ」
「そしてご覧の通り、ナノマシンに耐えらなくて、意志は無くなるし、トランスしたら腕が戻らなくなってしまってね?」
月山はダメダメなんだよぉと言いながら頭を搔く。
「ただ、実戦では試したことがなかったからね?いい機会だから試してみようかなってね?」
「…私たちで実験するということですか」
「それもあるけど、一番は優斗くんの戦意喪失かなぁ~」
「あ?」
「残念だけど、優斗くんは春馬くんの計画に必須だから殺せなくてね、それにイヴちゃんも殺せないからさ?」
戦意喪失だと?今の俺はお前を潰す事で頭が───
「けど優斗くんには、苦しんでもらいたいんだ、そして計画を邪魔できないくらい精神が壊れていて欲しい、だから君を───って名前は…確か…あぁ~いけないねぇ?どうも名前が出てこない」
月城はみんなを方に指さす、まて…まさか!こいつが指してるのは!?
俺は指を指されていた人物に向かって走り出す。
「あぁ、思い出した、結城美柑ちゃんだ!」
「…え?」
「君は優斗くんにとって心の支えみたいだからさぁ?彼で美柑ちゃんを殺す事にしたんだぁ~」
月城はニヤニヤと笑う。
「彼で殺すからこそ意味がある、そして彼の最後はあの時と同じような終幕を迎えてもらう」
「…ジ……ジ」
「──、結城美柑を殺せ」
月城が言った瞬間、フードを被った人物は動き出して美柑に向かって刃を振り下ろす。
「美柑っ!!」
美柑を抱えた俺は、そのまま横へ飛んで回避すると美柑が床は壊れ、下の階が見えていた。
「さすがだねぇ、相変わらず判断が早い」
「みんな、逃げてくれ!」
「ッ!でも…」
「コイツの狙いは美柑だ、でも下手すればここにいる全員を殺すかもしれない!だからできるだけ遠くに逃げてくれ!!」
俺はララさん達の近くで美柑を下ろす。
「私も残るよ!ユウト!!」
「ララさんはみんなと逃げて、みんなを守って欲しい」
「でも、優斗さんだけじゃ!!」
「…私も残ります、私と優斗は狙われていませんから」
モモさんの言葉にヤミさんが答える。
「…優兄!ヤミさん!ダメだよ!!
「美柑、あなた死ねば、優斗も私も壊れてしまう、だから生き延びてくだ───ッ!!」
フードを被った人物はまた美柑のいる方に近づき刃を振り下ろすが、ヤミが腕をトランスで刃に変えて、何とか防ぐ。
「話してる暇はない!早く逃げろ!!」
「ユウト!これ使って!!」
ララさんは俺に万能ツールを渡してくる、俺は万能ツールを受け取り、ナイフをしまって持ち替える。
「ユウト!ヤミちゃん!死んだらダメだからね!!」
「姉上!あたしは残る!!」
「私も優斗さんと!」
「ダメ!二人も狙われるかもしれないから!一緒にみんなを守るよ!!」
ララさんはそういうとみんなを連れて部屋を出る、
「ありがとう…ララさん!」
「おや?逃がすと思って───ッ!」
「お前の相手はオレだ!クラウン!!」
クロはクラウンを掴んで窓の外へと出ていった、ララさん、みんなを頼む。
「優斗!どうしますか?」
「俺達で倒すしかない!」
ヤミは防いでいた刃を弾き、フードを被った人物に銃のトリガーを弾く。
「…ジ…ジ…」
「クソっ!斬られたか!!」
俺が撃った弾丸は斬られてフードを被った人物は美柑達を追うため、扉へ向かおうとする。
「ッ!行かせません!トランス!!」
ヤミは複数の髪を刃に変えて斬りかかる。
「………」
「くっ!!」
フードを被った人物はヤミの攻撃を全て防ぐ。あれ全部防ぎきるのかよ!!
「ッ!?」
「………」
防いでいたヤミの刃を弾き、部屋の外へと出ていく。
「行かせるかよ!!」
フードを被った人物を追って部屋の外へ出た俺は、万能ツールを刃に変えて突きの体勢に入り、フードの人物へと向かっていく。
「ジ…セ…イ……ジ…」
フードを被った人物は躱そうと身体を横に逸らすが、躱しきれずに肩へと突き刺さる。
「…ヨ…ジ……テ…ジ…サ…ジジ…ス…ジジジジ…パ…イ…ジジジジ…HAAAAAAAA!!」
「優斗!!」
フードを被った人物は壊れたように悲鳴をあげ、刃を俺に振り下ろす。
「ッ!!」
万能ツールを抜いて、振り下ろされた刃を間一髪で避けた…いや、今一瞬振り下ろすのを躊躇ったのか?
「HAAAAAAAAAAAAAAAAッ!!!!」
「…なんだ?」
「今なら!」
両手の刃で頭を抱え悲鳴をあげる、ヤミはその隙に拳にガントレットをつけて、フードを被った人物を殴り飛ばす。
「手応えはありました、今ので…」
「…ジ…ジジ…」
フードを被った人物はエントランスまで吹き飛び、壁に叩きつけた、ジジジと音を立てながら闇の中から姿を表す。
「…まだ終わってないか!」
「やるしかありません、いきますよ!優斗!!」
俺とヤミでフードを被った人物に両サイドから斬りかかる。
「………」
フードを被った人物は、両手の刃で俺とヤミの攻撃を防ぎで弾き飛ばす。
「なっ!?」
「……HAAAAAAAA!!」
「ぐっ!!」
フードを被った人物は、攻撃を弾いてすぐヤミの後ろに回り込み、″回し蹴り″をする、あの回し蹴り、俺の蹴りに似て…
「…イ…ダ…ン……イッsuuuuuuuuu」
「ッ!!」
フードを被った人物はヤミを蹴り飛ばした後、すぐに俺に向かって突き進み、刃を振り下ろす、こいつ?何かを伝えようとしてるのか…
「一撃が重すぎんだよっ!!」
刃を万能ツールで受け止めた俺は、受け止めた刃を弾き、フードを被った人物を斬ろうとした瞬間。
「ギィィィィィィンッ」
フードを被った人物は俺の目の前で両手の刃をぶつけて金属音を立てる。
「………っ!?」
「ッ!あれはねこだましっ!?」
完全な不意打ちで食らった″ねこだまし″、俺はその場で両膝を地面について動けなくなる、なんで、こいつ、こんな技を使えるんだ。
「HAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!!!!」
「優斗ッ!!間に合わない!!!」
フードを被った人物は俺に向かって刃を振り下ろす。
「…攻撃が外れた!?」
「いや、今のは───」
「…ジジ…ジジ………」
いや、外れたとは言うより、これはわざと″外した″?俺を殺さない為か?
「ブ…ジ…デ…ヨ……カッ…タ……ス……」
「は?何を言って…」
「セ……ン……パ……イ…」
「トランスっ!!」
今、こいつはなんて言った?センパイだと?あの蹴りとねこだまし…あれは俺の技だ、それに″先輩″なんて呼ぶ奴は、一人しかないない、まさか…
「…まさか、お前なのか?」
「………」
「優斗から離れてください!」
俺がフードを被った人物にそう言った瞬間、ヤミが髪を拳に変えてフードを被った人物を殴り飛ばす。
「優斗!大丈夫ですか!?」
「…大丈夫…だ」
「どうかしたのですか?」
俺の様子がおかしい事にヤミは心配する、そしてフードを被った人物が、立ち上がり俺を見る。
「…は?嘘だろ?」
「優斗?」
立ち上がった時にフードが取れて姿が露わになった。
「″駿″なんで、おまえが…」
俺の目の前にはたった一人の後輩だった、晴野駿が立っていた。
「駿……まさかっ!?」
「…俺の…後輩だ」
「ッ!?」
~ヤミside~
目の前にいる晴野駿を見て、私はクラウンが言っていた言葉を思い出す。
────彼で美柑ちゃんを殺す事にしたんだぁ~
────彼で殺すからこそ意味がある
クラウンが自分で手を下さなかった理由、晴野駿を使って美柑を殺させる事で優斗を戦意喪失させて───絶望させる、クラウンにとって最も最高なシナリオで、優斗にとって最も最悪な結末。
(優斗、私はあなたにこれ以上、悲しみを背負わせたくない)
私を作ったあの男の話を聞いて理解した、前世の優斗は最後まで″たった一人″で戦った。
───こんな平和な星に住んでいるあなたには分からないでしょうね、たった一人でこの宇宙を生きる孤独など…
───わかるよ、一人は寂しいよな
───あなたになにが─────
───君は大切な人を自分の手で殺した事はある?
───…一体何を
───俺はあるよ、最悪な気分だった、時間が経った今も尚、俺はその夢を見る
優斗との出会い、私を変えてくれた人が、とても辛そうな顔をして私を見ていた。
───一度は希望を見つけて幸せに過ごしていたのに、その希望が消えて絶望した
───俺も絶望した時の辛さを、一人になった寂しいさを知ってる
スケートの時、なぜ友だちになりたいのかと聞いた時の言葉を思い出す。
(晴野駿、あなたは私が止めます)
これ以上、優斗が一人で苦しまないように、背負わせないために…
「…優斗、あなたはみんなの元へ行ってください」
「え?」
「私が彼を止めます」
(優斗に大切な人を殺させないために!!)
私はトランスで背中に翼と髪で手を作り、晴野駿を掴み外へと飛び出す。
「ヤミッ!!」
私は優斗の無視して晴野駿をビーチへ投げ飛ばす。
「……ジジ…ジジ…」
「………」
周りには雨の音だけが鳴り響く中、私は手をトランスで刃に変えて、晴野駿は刃を私に向け、お互いに武器を構える。
「ッ!!」
「……HAAAAAAAA!!」
私と晴野駿は同時に走り出し、刃が交わる。
「…晴野駿、あなたと虹崎輝が少し羨ましいです」
お互いの刃がぶつかって押し合いになる中、私は彼に声をかけた。
「あなた達は、優斗の中で生き続けている、優斗に信頼されて…」
優斗は、虹崎輝に化けていたクラウンを一瞬で見破り、トランス兵器になった晴野駿に気づいた、そして何より。
「優斗はあなた達の事を思い出して、笑いました」
───フフッ…とあるバカの言葉だよ
セリーヌさんを救うため、惑星ミストアに行った時、優斗は初めて声に出して、嬉しそうな顔をして笑っていた、あんな顔をした優斗を私は初めて見た。
「きっと優斗はあなたたちの前では、ここの底から笑っていたんでしょうね」
私は優斗をあんな風に笑わせることはできない…
「……ッ!!」
「GAAAAAAAA…HAAAAAAAA」
刃を押し切り斬り、晴野駿へと斬りかかる、斬られた晴野駿は悲鳴のような声をあげて再び私へと斬りかかる。
「…先程の回し蹴りやねこだましも優斗から教わったんですね?」
「……ッ!!HAAAAAAAA!!!」
晴野駿の攻撃を後方へ下がり回避する。
「大切にされていたのですね…ずっと笑って、生きていて欲しいと願われていたのですね」
───できるだけたくさんの人に笑っていて欲しい、特に身近な人には
───身近にいるヤミさんには特に幸せに笑っていて欲しい
───だから、ヤミさんはずっと笑っててくれ
きっと…きっと優斗は願ってた、あなた達に生きて笑っていて欲しいってずっと…
「HAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」
晴野駿の刃が私の頬を掠める。
「晴野駿、さっきは優斗を守ろうとしてくれたんですよね?」
「HAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」
私は振ら降ろされた晴野駿の刃を受け止める。
「抗っているんですね?今もあなたは、優斗を苦しませないために…
「HAAAAAAAAaaaa………」
「…もう楽になってください、晴野駿」
晴野駿の刃を弾き返し、私は突きの体勢に入る。
───俺達の技を正しく使ってくれ
優斗の言葉が頭によぎる、使わせてもらいます、私の大切な人を守るために…
「この一撃に全てベットします」
言葉と共に私は晴野駿に目掛けて走り出す。
「チェックメイト」
雨が止み、晴れた夜のビーチに私の言葉が響く、トランスで刃に変えた私の腕は晴野駿の胸を貫いた。
「…ユウ…ト…セ…ン…パイ…の…突き…」
私が彼の胸を貫いた時、晴野駿は私を見て一瞬笑っていた気がした。
「…いい…突き…っす…」
貫いた刃を引き抜くと晴野駿はその場に倒れ込む。
「ヤミッ!!」
「…優斗、今、終わりました」
私に駆け寄ってきた優斗は、倒れた晴野駿を見る。
「…みんなの元へ行かなかったのですか?」
「あっちにはララさん達がいる、それにヤミが心配だった」
優斗はそういうと私を抱きしめる、え?今私は優斗に抱きしめられている?
「…無事でよかった」
「…優斗」
抱き合うというのは、こんなにあったかいのですね。
「ピッピ…」
静かなビーチに電子音が響く、晴野駿を見ると、腹部には30秒と数字表示されていた。
───そして彼の最後はあの時と同じような終幕を迎えてもらう
───…俺の過去を調査したせいで、権力によって両親は殺され、あいつも爆弾で自爆した
まさか!あれは爆弾!!でももう間に合わない!!
「ッ!クソ!!」
優斗は気づいて私を押しのけて晴野駿に向かって走り出す。
「優斗!!」
「駿、あの時みたいにお前を爆死でなんて殺させない!」
優斗は晴野駿の腹部から爆弾を取り出し、海へと投げる。
「ヤミッ!!」
投げた瞬間、私の方へ戻ってきた優斗は、優斗自身の背を爆弾に向けて私を庇うように抱きしめる。
「必ず守る!!」
優斗がそういったと同時に爆弾は爆発した。
「ヤミ、大丈夫!!」
「あなたのお陰で、私は無事ですよ、優斗」
私の言葉を聞いた優斗は安堵した顔でため息を吐く。
「…ジジ…」
「「ッ!?」」
私と優斗が音をした方をボロボロの晴野駿が立ち上がる。
「優…斗…先輩…」
「駿!!」
「すみ…ません…ご…迷惑…をおかけ…したっす…」
優斗は晴野駿に近づく、私は一瞬トランスで腕を刃に変えたがすぐに戻した、晴野駿の目を見て感じたから…今の彼に危険はないっと。
「俺が月城を殺し損ねたせいで、駿をたくさん苦しませた、すまない」
「優斗…先輩は…何も…悪くないっすよ」
晴野駿の身体が徐々に崩壊していく、恐らくコアとやらを破壊したから…
「…優斗…先輩……自分の…せいで…たくさん…背負わ…せて…すみ…ません…でした…」
「違う、お前は悪くない!月城が俺の過去を話す前に、俺がお前に全てを話せばよかった…俺のせいだ」
優斗は謝る、何度も…何度も…きっとずっと後悔して何度も謝りたかったんだろう。
「それだけじゃない、駿の両親が殺されたのも…駿の恋人だった桐生夏海を復讐鬼に変えてしまったのも…全部俺のせいだ」
「……先…輩…」
「駿、本当にすまなかった」
優斗の言葉に晴野駿は笑う。
「…なら…最後に…頼みを…聞いて…貰えませんか…?」
「…何だ?」
「ずっと…笑って…生きてください…」
「ッ!!」
「皆さんも…それを…望ん…でるっす」
晴野駿は私を見る。
「…金色さん…優斗…先輩を…頼みます…」
「え?」
「…自分…優斗……先輩が…あんな……顔して…抱きしめ…てるの…初めて…見たっす」
…愛されてるっすね、晴野駿は崩壊した身体で私にそういうと再び優斗を見る。
「…輝…先輩の…元に…戻り…ます…」
「…駿」
「…しばらく…こっちに……こないで…くださいよ…優斗先輩」
晴野駿は夏の海に手を伸ばし、海に向かって歩いていく。
「…夏海…ごめんね…今…いくから…」
晴野駿は身体は崩壊して消えた、優斗は晴野駿が居た所で立ち尽くす。
「駿、見ていてくれ、必ず全て終わらせる」
「…優斗」
悲しいそうな顔をしていた優斗を見た私は、優斗に向かって走り出す、彼を繋ぎ止めるために…
「優斗、私を見てください」
「なに…ん───っ!」
「…………んっ」
私は振り返った優斗の唇へキスをする、ずっとしたかった優斗とのキス。
(許してください、美柑)
今の優斗を見てどうしてもしたかった、それに今日は、これくらいの報酬を貰ってもいいと思います。
「……ヤミ」
「次はもっと大人なえっちぃキスをしましょう、優斗」
びっくりしていた優斗へ私は笑顔で言う。
「…金色の闇」
「クロ、なんですか?今いい所なんですが…」
クラウンとの戦いが終わったのか、ボロボロなクロは私に話しかけてくる
「クロ、なんですか?今いい所なんですが…」
「…奴を逃がした、狙いはお前と時雨優斗だ、用心するんだな」
クロはそういうとどこかへ消えていく。
「優斗!!」
「優兄!!」
声の方を見ると美柑達がこちらへ向かって走ってきていた。
「…優斗」
「──────っ!」
「「「なっ!!」」」
私は優斗の顔を掴んでもう一度、みんなに見せつけるようにキスをする。
「ん───んぅ───っ」
「──────っ!!」
「ヤミさん!?」
「何してんだァァァァァ!!」
美柑やプリンセスナナの声が聞こえるが気にしない。
(優斗、私はあなたが大好きですよ)
私は心の中で優斗に好きだと言った、きっとあなたは私の想いに気づいている、酷い人ですね。
あなたは私の恋のターゲットです、この想いを伝えて、あなたを手に入れるまで死なせません。
(あなた達にも渡しませんよ?)
こちらに向かってきている、籾岡リサやプリンセスモモに見せつけるように長いキスを続けた。
◇
「駿くん作戦は失敗かぁ~」
傷一つない月城秋良は、遠くから優斗達を見下ろす。
「イヴちゃんが恋するなんてねぇ?ダークネスの顕現に必要なのは、ティアーユくんだと思っていたけどなぁ~」
月城秋良は頭を掻きながら、ため息を吐く。
「優斗くんは春馬くんの計画に必須だったのに…ダークネスの顕現をさせるにも優斗が必要かなぁ…はぁ、この世界でも君に掻き回されるのか…」
月城秋良は拳を握りしめた。
「クソが、どんだけ邪魔したら気が済むんだよ、雨宮優斗!」
吐き捨てるようにそういうと月城秋良はどこかへと消えていった。