ToLOVEる ~ 生まれ変わった意味を探して~   作:アイスが食べたいマン

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今回は少し短いです。


~三姉妹の思い~

「ユウト、この前は大丈夫だった?」

「…何が?」

「なんか大変だったってナナが言ってたよ?」

 

私はユウトと私の部屋にいる、数日前の夜、ユウトが美柑とヤミちゃんに襲われて大変だったって言ってたけど…どーゆー意味かな?

ユウトは強いから負けないと思うし、美柑もヤミちゃんもユウトのことが好きだから、襲うはずないと思うケド…

 

───ナナさんとモモさんに一週間、優兄の家に出入り禁止にされた

 

───プリンセス、あの二人を説得してください

 

美柑とヤミちゃんも一週間、優斗の家に出入り禁止になったみたいだし…

 

「…ッ!?」

 

私の言葉を聞いたユウトは、ビクっと身体を震わせた、寒かったかな?もしかして風邪?

 

「震えてるけど、大丈夫?」

「…大丈夫」

 

返事をしたユウトは自分の身体を抱きしめている、少し顔が赤い…やっぱり熱かな?

 

「ユウトー?ホントに大丈夫?風邪ひいちゃった?」

「…本当に大丈夫だよ、それより俺を部屋に呼んだって事は…できたの?」

「うん!できたよー!!」

 

いつも通りに戻ったユウトに頼まれていたものを渡す。

 

「はい!ユウトの───だよ、頼まれた通りユウトの──にそっくりに作ったよー!!」

 

サキの別荘から帰った日に、ユウトに作って欲しいと頼まれた物、ユウトにとって必要不可欠な物らしい。

 

「物の収納もしっかりできるよ!!操作の仕方はね───」

 

私はユウトに操作のやり方を教えるとユウトはすぐに使いこなしてしまった、やっぱりユウトはすごいなぁー、なんでもすぐに覚えちゃう。

 

「ララさん、申し訳ないんだけど、一つ頼みたいことがある」

 

ユウトはリトと喧嘩する前までこんな頼ってくる事がなかった。

 

「なんでも言って!!」

「作って欲しい物があるんだ」

「何を作って欲しいの?」

「─────────」

 

ユウトから作って欲しいと頼まれた物、それは私が一度使った発明品。

 

「そっか、そうすれば…宇宙人ってバレても大丈夫なだね」

「あぁ、ララさん達がいつも通り戦える」

 

やっぱりユウトは頭が良い、そんな方法思いつかなかった。

 

「後は、この人の事が分かれば…」

「ユウト、この人は誰?」

 

ユウトが見ていた写真、写っているのは男の人と女の人が遊園地で仲良く笑っている。

 

「…男の人は昔の春馬さんだ、こっちの女性は誰かわからない」

「これがユウトパパなんだ」

 

聞いていた話と違って、凄く優しそうな笑顔を浮かべたユウトパパが写っていた、女の人の方もすごく楽しそう…

 

「この写真、どうしたの?」

「春馬さんのパソコンをハッキングして見つけたんだ…でもこの女性の事だけ、どうしても分からなかった」

 

ユウトの話を聞くと、沙姫パパにも調べてもらってるみたいだけど、まだ分からないみたい。

 

「ユウト!その写真借りてもいい?」

「いいけど、どうするの?」

「私も調べてみる!何かわかるかもしれないから!!」

「色々ありがとう、ララさん」

 

今まで私達はユウトにたくさん助けられた、だから今度は私の番、そう思ってたのに…

 

「それで、ララさんは何を悩んでるの?」

「…え?」

「昨日から浮かない顔をしてたから」

 

ユウトは私の顔を見ただけで私が悩んでることに気づいたみたい。でも今は私の悩みよりも、ユウトの方を優先するべきで…私が悩んでる事、それは地球で初めてできた一番のお友達…春菜の事。

 

「…何でもないよ!」

「ダウト、なんでもなくないでしょ」

 

ユウトは私の嘘を簡単に見破ってくる。

 

「俺だと力になれないこと?」

「そんなことないよ!!けど…今はユウトの方を優先しないと…」

「俺の方はまだ時間がある、だからララさん、話して欲しい」

 

ユウトの言葉をを聞いて、ユウトの目を見た瞬間、私は悩んでいたことを話し出しちゃった、地球で初めてできた一番のお友達の事を…

 

「…ユウトはもし、一番のお友達と好きな人が一緒だった時ってどうしたらいいのかな?」

「西連寺さんのことか」

 

私の言葉を聞いただけでユウトは春菜と言い当てしまった。

 

「え!なんでわかるの!?」

「…わかるよ、みんなをずっと見てきたからね、ララさんの友達の中でリトの事が好きな人っていったら、西連寺さんかルンさんかなって思ったんだよ」

 

ユウトはよくみんなのことを見てる、自分に向けられた好意にも気づいてるみたいだし…私は自分の事ばっかりで…春菜の想いに気づけなかった。

…それだけでわかっちゃうなんて、やっぱりユウトはすごい。

 

「昨日ね?春菜に言われたの…リトが好きだって」

「………」

「私、春菜の想いに全然気づけなかった…鈍いよね」

 

昨日春菜に言われた話をユウトに話す、ユウトは最後まで、私の話を黙って聞いてくれた。

 

「このまま、ララさんの恋を応援するのもいいかなって…でも春菜のやさしさに甘えるのは違う気がするの」

「…ララさんは西連寺さんにリトを諦めて欲しい?」

 

春菜が私の為にリトを諦める…そんなのダメだよ、だって春菜は私よりもずっと前からリトが好きだったんだから…

 

「私の為に春菜が自分の恋を諦めて欲しくない、でも私はリトが好きで…」

「その想いを西連寺さんに伝えてみたら?」

「…え?」

「誰かに恋をするのは生きていたら普通のことだよ、それが偶々、友達と一緒の人だっただけ、別に諦めなくてもいいはずだよ」

 

ユウトは″まあ、俺の周りは諦める所か、喰べようとしてくるけど…″と苦笑いしながら小さい声で呟く、ユウトを喰べようとする?

 

「自分の恋も応援して、春菜の恋も応援してもいいの?」

「いいんじゃないかな、二人で同じ人に恋したって」

 

私の言葉にユウトは笑顔でそっか春菜は諦めなくていいんだ…二人で恋したっていいんだ!!

 

「ありがとー!ユウト!!私、春菜に伝えてみる!!」

「…ララさん、好きでもない人に抱きつくのはやめといた方がいいかな」

 

ユウトに抱きついてお礼を言うと、ユウトの身体がビクってした、どうしたんだろ?

 

「私、ユウトの事好きだよ?」

「…友達としてでしょ?」

「うん!!ユウトとお友達になれてホントに良かった!!」

「大袈裟だな」

 

大袈裟じゃないよ、ユウト…ラコスポの時もそうだけど…私達の事を影でずっと守ってくれてた。

 

パパが地球に来た時もリトと春菜を守ろうとしてくれたし、とらぶるクエストの時もナナとモモを命懸けで守ってくれた。

 

ナナとモモがユウトを好きになるのだって頷けるよ、もし、私とユウトの出会いが違ったら、私もユウトを好きになっていたかもしれない。

 

「ユウト!一個お願いがあるんだ!」

「何?」

「ナナとモモの事、幸せにしてあげてね!!」

「…え?」

「泣かせたら、許さないからね!!」

 

ユウトなら二人を任せられる、二人ともユウトを振り向かせられる様に頑張ってね。

 

 

 

~ナナside~

 

あたし達は今スーパーで夜ご飯の買い物に来ている。

 

「ユウト、姉上と何話してたんだ?」

 

隣で買い物カゴを持ったユウトに話しかける、姉上の部屋に行ってくるって言ってから、かなり時間が経っていたから少し心配だった。

 

「頼んでた物が出来たんだ、それを取りに行ってた」

「ふーん、ホントにそれだけか?」

「それだけだよ?」

「美柑に捕まって、また如何わしい事されてないか?」

「されてから大丈夫だよ」

 

数日前の夜、ユウトは美柑とヤミに襲われていた、ギリギリの所であたし達が助けたケド。

 

「優斗さん、随分気持ちよさそうに喘いでましたね?」

「…隠し撮りしてた映像見たの?」

「はい、美柑さんとヤミさんが優斗さんを襲い始めてから、私達が助けに来るまで全て見ましたよ?」

 

モモがユウトの部屋に仕掛けてたカメラのおかげで取り返しがつかなくなる前に助けることができた。

 

美柑とヤミがユウトを襲った次の日にモモと映像を見たら、ユウトが気持ちよさそうな声を出しながら、とろんとした顔をしていて、それを見ながらあたし達は自分の尻尾を…ってあたしは何思い出してんだ!

 

「モモが仕掛けたカメラのお陰で何とかなったけど、ユウトの部屋にカメラ仕掛けて隠し撮りしてたとか最低だよな!」

 

他にもモモのパソコンには、″優斗さん調教記録″ってファイルに今まで寝ていたユウトを襲っていたモモの映像が記録されていたり、″優斗さんの生着替え″とか″泥棒猫″とかいうファイルもあった、まあ″全部見た″後、しっかりあたしが全部消したけど。

 

「最低って言うけど、ナナだって私が記録した映像全部見て自分の尻尾を───むぐっ!?」

「う…うるさい!あたしはそんなことしてない!!」

 

あたしは余計なことを喋ろうとしたモモの口を塞ぐ。

ユウトのあんな姿みたら、少し身体が熱くなってしまっただけだ、如何わしいことはしてない!

 

「二人ともここスーパーだから、それ以上は騒がない」

「…わかったよ」

「…すみません、優斗さん」

 

ここは家じゃないし、こんな所でこれ以上騒いだら、ユウトに迷惑がかかる。

今だってユウトには家に住んだり、ご飯作って貰ったりと色々迷惑をかけてるんだ、これ以上ユウトに迷惑をかけたくない。

 

「優斗さん、ご迷惑じゃないですか?」

「何が?」

「私達が優斗さんの家に住むようになってから、まだ少ししか経ってませんが、色々と優斗さんにご迷惑を…」

「なんだそんな事を気にしてたの?」

 

モモの言葉を聞いたユウトは手に取っていたナスから手を離して、あたし達を見る。

そんな事って、モモがカメラ仕掛けて、寝込み襲ったり、あたしは寝てるユウトの頬にキスをしたり…

たくさん迷惑を…

 

「二人が家に住んでくれるようになってから、毎日が凄く楽しいよ」

「え?」

「だから、これからもずっと居て欲しい」

「「ッ!?」」

 

あたしとモモを見ながら、ユウトは笑顔で答えた。

笑顔でそんな事を言われたら、あたし達はユウトから離れらんなくなるだろ!

 

「わざと言ってんのか!ユウト!!」

「そんな事言われてしまったら、ユウトさんが結婚しても住み続けてしまいますよ?」

「それもいいかもね、楽しそうだ」

 

ユウトが結婚…もし今、ユウトと考えている作戦が失敗すれば、この楽しい生活も全てが終わるのかな…結婚相手は酷いヤツって聞いたけど、きっとユウトは優しいから、相手がどれだけ酷いヤツでも結婚したら、笑いかけるんだろうな…

 

「…ユウト」

「どうしたの、ナナさん?」

「あたしは嫌だからな、酷いヤツにユウトが取られるの…」

「…私もですよ、優斗さんを絶対に渡しません」

 

作戦が失敗すれば、それが現実になる、そんなのあたしは嫌だ。

 

「…大丈夫だよ、必ず成功させる」

 

ユウトはそういうと″夜ご飯何食べたい?″と場を和ませるように聞いてくる。

 

「食べたい物、なんでも作るよ」

「そうですね…お姉様から聞いたスキヤキを食べてみたいです」

「すき焼きね、ナナさんは?」

 

ユウトは姉上やあたし達を頼ってくれる様になったけど、きっとまた無茶をする。

 

───足掻くな、死に損ないが

 

───…悪いな教官

 

───…哀れだな、最終的にここにいる奴らは全員死ぬんだ、そんなことまでして助けた所で、数分の延命に過ぎないだろ

 

───それでも…目の前で…助けられる人が…いるなら……俺は助けたい…それで…俺が…死んだと…しても…

 

───なら死ね

 

あたしとモモを助けてくれたの事を思い出す、右胸に貫かれた刃に腹部を貫かれた弾丸、あたし達のせいでユウトは一度死んでしまった。

 

「ナナさん?」

「…え?あ、ごめん、なんて言ったんだ?」

「もうナナったら、優斗さんが夜ご飯何食べたいって聞いてくれたんですよ?」

 

考え事をしていて聞いていなかったあたしに、モモは呆れたように言ってくる。

 

「モモさんからはすき焼きが食べたいって意見が出たけど、ナナさんは何食べたい?」

「…あたしもスキヤキがいいぞ」

 

まだ短い間しか過ごしていないけど、今の生活はとても楽しい、だからもう二度とあんな事は絶対に起こさせない、ユウトと一緒にいる生活を守るために、今度はあたしがリトみたいにユウトの手を掴む。

 

「って!ユウト!!アイス買いすぎだ!!身体に悪いだろ!!」

「え、ダメ?」

「また、美柑さんに怒られますよ?」

「二人が黙ってくれてれば大丈夫だよ」

 

ユウトはそう言いながら、アイスの箱を3箱カゴに入れる、アイス好きすぎだろ。

 

「…一つ言うこと聞くなら、黙っててやる」

「聞けることならいいよ、ナナさん」

「ナナさんっていうのやめろ!」

 

ずっと思ってた、ユウトは美柑やヤミは一部の人は呼び捨てなのに、あたしやモモはさん付けする、それがすっごく気に食わない。

 

「一緒に住んでんだからナナでいい!」

「私も美柑さんやヤミさんみたいにモモって呼び捨てにして欲しいです」

 

やっぱり、モモも同じ事を思っていたのか。

 

「わかったよ、ナナ、モモ」

「もう一度呼んでください!ユウトさん!」

「っ!?ユウトに抱きつくな!ずるいぞ、モモ!!」

 

ユウトがあたし達を呼んだ瞬間、モモがユウトの右腕に抱きついた。

…あたしだってユウトに抱きつきたい。

 

「あら?何がずるいの?私は優斗さんに───っ!」

「あたしだって負けないぞ!モモ!」

 

あたしは買い物カゴを持っていたユウトの左腕に抱きついた。

「ナナ!ユウトさんが買い物しにくいでしょ!」

「うるさい!モモだって邪魔だろ!!」

「…周りの目が痛いな」

 

結局、あたしとモモは家に帰るまでユウトの腕に抱きついていた。

 

 

~モモside~

 

夜ご飯のスキヤキも食べ終え、私達はリビングでくつろいでいた。

 

「優斗さん」

「なに?モモ」

 

ユウトさんにモモって呼ばれるだけで胸が高鳴る、今は抑えないと…

 

「これを渡しておきますね」

「…これは?」

「ダヅールの種、ピンチの時に地面にたたきつけると衝撃で急速に発芽して、相手に絡みついて動きを止めます」

 

もし、優斗さんと離ればなれになってしまった時、優斗さんはきっと無茶をする。

そんな時に私が渡したこの種が、少しでも優斗さんの役になって欲しい。

 

「お守りです、必ずみんなで帰ってくる為の…」

「モモ、ありがとうね」

 

私は必ずこの日常を守り抜きます、優斗さんがいるこの幸せな日常を…

 

優斗さんとナナと話していたら、楽しい時間はあっとゆう間で、もう夜も遅くなってしまった。

 

「…優斗さん、襲わないと約束しますので、今日も一緒に寝てもいいですか?」

「あ…あたしも一緒に寝るぞ!」

「本当に一緒に寝るの?また、二人が寝れないよ?」

「「一緒に寝ます!(寝るぞ!)」」

「…わかったよ」

 

私達は三人で優斗さんの部屋へ向かう、正直、優斗さんと二人で寝たいけど、そうゆう訳にも行かない。

三人で優斗さんのベッドに入る、少し狭いがその分、優斗さんと密着することができた。

 

「二人とも、おやすみ」

「おやすみ、ユウト」

「おやすみなさい、優斗さん」

 

優斗さんは目を閉じる、数分すると優斗さんの寝息が聞こえてきたが、すぐに優斗さんは少しづ苦しそうに汗をかき始める。

 

「…うぁぁ…アァァ……」

「っ!?またか!」

「…優斗さん」

 

数日前に睡眠薬を辞めてから、優斗さんは悪夢にうなされている、御門先生からしばらく悪夢を見ると言われたらしいですけど…ここまで酷いなんて…

 

「やめ……ろっ……アァァァァ」

「っ!優斗さん!!」

「やめろ、モモ!」

 

悪夢にうなされて苦しむ優斗さんを起こそうとするとナナに止められる。

 

「でも!優斗さんが!」

「…ユウトは頑張ってんだ!前に進もうとしてるんだ!」

 

ナナは涙目を浮かべながら、私を止める、優斗さんも悪夢を見るのは覚悟の上だった、前を進む為に止めないで欲しいとも言われてた。

 

「ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ッ!!!」

 

数時間すると優斗さんは叫び声を上げながら、飛び起きる。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

「ユウト!!」

「優斗さん、大丈夫ですよ、私達はここにいますから…」

 

滝のような汗をかいて頭を抱えていた優斗さんの背中をナナと二人で摩る、徐々に息を整えた優斗さんは力が抜けたかのように私達に寄りかかってきた。

 

「…二人とも迷惑かけてごめんね」

「あたし達が好きでやってんだから、謝るなよ」

「そうですよ、優斗さんが悪夢を見なくなるまで、私達はずっとお傍にいますから…」

「…ありがとう」

 

幻覚も見て、悪夢にうなされて、こんなボロボロになるまで優斗さんは仲間の為…国の為に一人で戦い続けた…そして優斗さんは報われることなく、最終的に腹違いの妹さんに殺された。

 

(そんな結末酷すぎますよ…)

 

私の横で再び眠りについた優斗さんを見る、本当はこんな苦しいことを今すぐにでも止めたい、でもそれを優斗さんは望まない。

 

私とナナは朝まで悪夢に苦しむ優斗さんを隣で見守る事しか出来なかった。

 

 

 

 

「時雨桜、いや今は時雨優斗だったわね?」

 

優斗達が眠りについていた時と同時刻、タイムレインズカンパニーのとある一室で、南雲瑠偉は時雨優斗の資料を見ていた。

 

「時雨優斗、10月3日生まれ、A型、右利き、母親に殺されかけた所を警察が保護、虐待されていたのか、食事をろくに与えられてなく、身体には多くの打撲の跡があり生きていたのが奇跡…ねぇ」

 

南雲瑠偉は机で頬杖をつきながら、資料に目を通す。

 

「…今現在の情報はないわね、春馬ちゃんどんだけ彼に会いたくないのよ、現在の情報がないと連れてくる時、色々面倒じゃない」

 

南雲瑠偉が資料を見ながら、そんな事を考えていると部屋の扉が開かれる。

 

「瑠偉、明後日の土曜の夜に優斗を此処に連れてこい」

「あら、春馬ちゃん、この前式の予定は二週間後って言ってなかったかしら?」

「…予定変更だ、来週の月曜に式を開く」

「どうしてかしら?」

 

時雨春馬の言葉に南雲瑠偉が疑問を抱く。

 

「天条院劉我が私達の事を探っているようでな、邪魔される前に優斗の式を終わらせる」

「あら、それはめんどくさいわねぇ、わかったわ、彼を連れてくる」

 

時雨春馬の言葉に南雲瑠偉は笑みを浮かべて答える。

 

「優斗が抵抗したら、骨を折っても構わん、なんとしてでも連れてこい」

「了解よ」

 

それだけ言うと時雨春馬は部屋を出ていった。

 

「…これでやっと春馬ちゃんの──が終わるわね」

南雲瑠偉は引き出しから一枚の写真を取り出す、その写真には笑顔の男女が写っていた。

 

「楓、これでやっと、あの頃の春馬ちゃんが戻ってくるわ」

 

南雲瑠偉は写真を眺めながら、悲しげに呟いた。

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