ToLOVEる ~ 生まれ変わった意味を探して~ 作:アイスが食べたいマン
「優斗くん!!お願い!一日彼氏になって欲しいんだ!」
ナナとモモとすき焼きを食べて数日後の土曜日。
朝、チャイムがなって玄関を開けると俺の目の前には、以前写真撮影を手伝った霧崎さんが立っていた。
「…はい?」
急にそんなことを言われて、困惑してしまった、また撮影の手伝いか?いやそれなら他に適任がいるはず…
「えっと、理由を聞いてもいい?」
「昨日、楽屋で友達と恋バナになったんだけど、彼氏がいるって嘘ついちゃって…その流れでダブルデートしようって話になったの」
霧崎さんは友達に対して、見栄張ってしまったのか、でも分からないことがある、霧崎さんは、何故、一回しか会ったことない俺を選んだ?
「何で俺なの?他にも適任が…」
「ッ!それは…優斗くんは優しいから、信用できるから…」
…一回しか会ったことないのに信用できるって、もう少し人を疑った方がいいんじゃないか?
「お願い!優斗くんしか居ないの!」
手を合わせて頭を下げる霧崎さん。
ここまでお願いされると流石に無下にできない。
「わかったよ、出かける準備してくるから、中で少し待ってて?」
「ありがとう!優斗くん!!」
パッと笑顔になって俺にお礼を言う霧崎さんを玄関へ迎え入れて、出かける準備をする為に部屋に戻る。
「…玄関にいる人はどちら様ですか、優斗さん?」
部屋に入った瞬間、背後から声がかけられる。
いつもより声のトーンが少し低く、寒気がするくらい冷たい声。
「モモ、怖いからやめて?」
「…どちらさまですか?」
「一回会っただけの知り合いだよ、この前、校長に襲われていた所を助けたんだ」
「一回会っただけの知り合いが、普通彼氏役なんて頼みますか?」
モモに後ろから抱きしめられる、表情は分からないが恐らく怒ってる、霧崎さんと話していたことを全部聞いていたのか。
「油断してると今度こそ、喰べられちゃいますよ?こんな感じに…はむっ」
「ッ!!モモ!?」
モモは背伸びをして俺の耳を甘噛みしながら、服とズボンの中に手を入れる。
「アイドルのキョーコさんにこのお姿をお見せしましょうか、優斗さんが誰のものか証明する為に」
アイドルの霧崎恭子って知ってたなら、どちら様って聞かなくても良かったのでは?
そんなことをくだらないことを考えていたのが良くなかった。
「ちょっ───やめ!?」
モモは服の中に入った手は胸板の突起を摘み、ズボンの中に入れていた手を下着の下に入れ、俺の大切なところを触り始める。
「…グっ!離して…モモッ!!」
「んむっ…少しずつ硬くなってきましたよ?」
「…セクハラって…知ってる?」
「散々襲われかけてきたのに、今更何を言ってるんですか?」
「……っ」
大切なところを触っていたモモの手をゆっくりと前後に動かされ、快楽で頭が真っ白になっていく、このままだとやばい。
「あら?立てなくなってしまいましたか?優斗さん」
「…本当に……やめ…て」
床に膝をつけて倒れた俺に覆いかぶさり、片手で動かしていた手のスピードが早くなる。
「優斗くん、大丈夫?」
「!?」
玄関から霧崎さんの声が聞こえてくる、それに気づいたモモはラストスパートをかける様に手の動きが更に早くなった、今こんな所を見られたら、本当にまずい。
「このままだとバレちゃいますね、優斗さん?」
「…モ…モ…」
「…やめて欲しいですか?」
「…やめ…て…っ」
「今度、私ともデートしてくださるなら、今日は許してあげますよ?」
「する…から…やめ…っ!」
「わかりました」
耳元で囁くモモはラストスパートの様に動かしていた手を止める、
…寸前で止められた、これはこれで…辛い
「…ふぁ…はぁ…はぁ…」
「約束ですよ、優斗さん」
「はぁ…はぁ」
「それと今日のデート、悪いことをしないかしっかり見てますからね?」
モモはそう言うと満足そうに部屋を出ていく、俺は霧崎さんに少し待ってもらい、落ち着いてから、出かける準備をした。
「霧崎さん、待たせてごめんね」
「大丈夫だよ、いきなりお願いしたのはこっちだから」
出かける準備を終えて、霧崎さんと待ち合わせ場所まで歩きいて向かう。
待たせてしまったことを気にしていない様で良かった、もしあんな所を見られていたら、俺は死んでいた。
「「「「…………」」」」
「…マジか」
「どうしたの、優斗くん?」
「…いやなんでもないよ」
視線を感じた方を見ると美柑、ヤミ、ナナ、モモの四人が俺を見ていた、なんか3人増えてるんだけど?しかも目が超怖い、見なかったことにしよう。
「霧崎さん、その服似合ってるね」
「え、ホ…ホント!?」
「嘘つかないよ」
霧崎さんの着ている服は、星のマークが入った半袖のトップスと、デニムのショートパンツ組み合わせでとても似合っている。
「その…可愛い…かな?」
「うん、凄く可愛い」
「っ!?そっか…ゆ…優斗くんもよく似合ってるよ、すごいかっこいい…です」
「ありがとう」
恥ずかしくなったのか、霧崎さんは顔を赤くして湯気を出したながら下を向く。
後ろの視線が更に痛くなった、やらかしたな、でも霧崎さんも普通、褒められただけでここまでなるか?
「そ…そういえば!今日会う友達のこと話してなかったね!」
「あー確かに霧崎さんの友達って誰?もしかして有名な人?」
「それはね───」
「あ、来た来た!キョーコこっち───」
「キョーコ?」
前方から聞き覚えのある声が聞こえてくる、声がした方を見るとそこにいた二人ともよく知っている顔がだった。
いや嘘だろ?なんでいるんだよ。
「こんにちは──初めまして霧崎恭子です、あなたが結城リトくん?」
「は…はい!って、優斗?」
「………」
俺の目の前には、霧崎さんを見て驚くリトがいた。
…なんでお前が此処にいるんだ、リト?
「キョーコ!これが彼氏のリトくんだよ!」
「あ…どーも初めまして」
なるほど、そういうことか。ルンさんも見栄を張ったわけだ。
「キョーコの彼氏は…ってえ?」
「私の彼氏の時雨優斗くんだよ!ルン!」
「え?え…時雨くん?」
「やあ、ルンさん」
ルンさんも俺に気づいたようでかなり困惑している。
まさか友達っていうのは、ルンさんだったとは思わなかった。
「え?もしかして三人とも知り合い?」
「ルンさんとは高校が一緒でね、リトとは幼馴染だよ」
「ゆ…優斗、お前…キョ…霧崎さんと付き合ってたのか!?いや、でも婚約が───」
目を見開き、驚いた表情をしたリトが俺に聞いてくる。
いや、マジかこいつ、この状況でまさか信じたのか?馬鹿なのか?どう見ても彼氏役だろ?
「とりあえず、せっかくのダブルデートなんだから、近くのカフェとか行ってみようか」
「ダブルデート!」
ルンさんもリトと一日過ごしたいだろうからな、せっかくだから、ルンさんにも楽しんでもらうか。
「いやでも、確かに…優斗とお似合いというか…」
「何考えてるのか知らんが行くぞ、鈍感男」
「誰が鈍感男だ!」
鈍感男だろうが、この馬鹿は今のルンさんの表情に気づいているのか?ダブルデートって言葉に目をキラキラさせているんだぞ。
「リトくん!早く行こ!」
「あ…あんまりくっつくなよっ…」
「ラブラブだね…優斗くん、私達もさ!」
「…そうだね」
ルンさんはリトの腕に抱きつき、霧崎さんは俺の腕に抱きついて、近くにあった喫茶店に向かった。
ルンさんと霧崎さんの二人はとても楽しそう笑顔を浮かべながらに歩いていた。
◇
「三人とも何食べるか決まった?」
「うん!私は決まった!」
「オレも決まった」
「う〜ん、どうしよ」
リトとルンさんは決まった見たいだが、霧崎さんは何かを見て悩んでいる。
霧崎さんが見ているページ的にケーキかパフェで悩んでいるのか。
「俺はケーキ頼むから霧崎さんはパフェにしたら、そうすれば二つとも食べれるよ?」
「…え?」
「ケーキとパフェで悩んでいるように見えたらから、俺の頼むケーキ半分あげるよ」
「いいの?」
「ダメならこんな提案しないよ」
俺の言葉を聞いて、霧崎さんは笑顔になった。
「ありがとう!優斗くん!私のパフェも半分あげるね!!」
「パフェを半分にするの大変だと思うからいいよ」
「そんなのダメだよ!私のも半分あげる!」
「…いや、でも──」
「カロリーも大変なことになっちゃうから食べて!」
「…わかった、半分貰うね」
貰えるのは嬉しいけど、パフェをどうやって半分に分けるんだ?
全員の注文が終わるとルンさんが話し始めた。
「そういえばキョーコ!明後日の結婚式のライブマネージャーなにか言ってた?」
「うーん、それが何も言われてないんだよね…結婚式を開くお嬢様のワガママでライブするみたいだけど…詳細がまだなんだよね…ってそんなことより、ルンとリトくんの事を聞かせてよ!」
「え!?」
「初めてはどうやって出会ったの?」
「それは───」
霧崎さんが二人の出会いを聞いてルンさんが話していく。
…なんか所々嘘の話も混ざっている気がする。
「へぇ~ラブラブだねぇー」
「優斗とキョ…霧崎さんはどうやって出会ったんだ?」
「キョーコでいいよ!リトくん」
ルンさんの話が終わるとずっと疑問に思っていたのか、リトが俺と霧崎さんを見ながら聞いてくる。
「私と優斗くんの出会いはね、ヘンタイに襲われそうになった所を優斗くんが助けてくれたんだ」
「…なんか、優斗らしいな」
「っで!そっからどうなったの!?」
霧崎さんが俺との出会いの話をしているとルンさんが食い気味に聞いてくる。
俺達の関係はそれと写真撮影したくらいだが、どうするつもりだ?霧崎さん。
「それからは、一緒に写真集の撮影をしたり、その流れで一緒にデートしたり…そんな感じでだんだん距離が縮まって行ってさ…恋人になって…キスとかしちゃって…あとは言わなくてもわかるでしょ?」
霧崎さんの話を聞いた二人は何を想像したか知らないが、顔が赤くなっていく。
なんか後半、存在しない記憶があったんですけど…
「「「「……………」」」」
壁を挟んだ隣のテーブルから何かを″ドン″と叩いた音と共に四人の殺意を感じる。
…マジで怖いからやめて欲しいんだけど。
「ま…まま…まさか…む…胸と…とか…触ったり…」
「は?」
「…そそ…そ…それで…で、どっちが告白したんだ?」
ショート寸前で目を見開いたリトは霧崎さんの話を完全に信じきっている様で顔を赤く染めながら、恐る恐る聞いてくる。
リト、俺で何を想像した?なんだ胸を触るって、いつも触ってるのはお前だろ?お前の脳内で俺はどうなっている?
「そ…それは…私から…」
「キョーコから…告白…私も…いつかリトくんに…」
話してる霧崎さんの顔が赤くなる、ルンさんは口を手で押えながら目をキラキラと輝かせる。
「もしかして!キョーコ!ホントに時雨くんとキスの先まで───」
「お待たせ致しました、ガトーショコラのお客様は…」
「あ、こっちです」
ルンさんがとんでもない事を霧崎さんに聞こうとしたタイミングで俺が注文したガトーショコラが届く。
店員さん、マジでナイスタイミング。少し遅ければ隣にいた四人がこちらに向かって飛びかかってくるところだっ…っ!?待て、なんで隣の席以外から殺気がする!?
「…それで!キョーコ!時雨くんと───」
「お待たせ致しました、いちごパフェです」
「…俺の隣です」
後に続くように、霧崎さんがいちごパフェ、ルンさんがタルト、リトがモンブランと注文した全てが届いた。
「全員の届いたから、食べようか?」
「…そうだね」
俺達は″頂きます″と言ってそれぞれ届いたものを食べ始める。
「霧崎さん、約束通り半分置いておくね?」
「ッ!あ…ありがとう、ゆ…優斗くん」
霧崎さん、俺を見て自分が言ったことを思い出して恥ずかしくならないで貰えます?
「…いつもみたいに…してくれないの?」
「…え?」
「食べさせてくれないの?」
約束通りガトーショコラを半分して渡すと、霧崎さんは恥ずかしそうに上目遣いをしながら、俺を見てくる。
「ッ!!」
「お…お客様!大丈夫ですか!?コップが割れて!!」
「…すみません、普通に握ったら割れてしまいました」
隣からコップが割れる音がしたと思ったら、店員とヤミが声が聞こえてくる。
いや、普通に握ってコップが割れるわけないだろ。
「ねぇ?うちのダーリンがさ?アイドルと浮気してたらどーすればいいと思う?紗弥香」
「今里紗に彼氏なんていないよね?でも私の彼氏が浮気しそうなんだー」
「何言ってんの?紗弥香だって彼氏いないでしょ」
「…ハレンチだわ」
左後ろの席から、聞き覚えのある名前と声が聞こえてきた。
…三人共居たのか、恐らく霧崎さんの話の途中から店に入ってきたな?
「…ダメ?」
「ッ!?わかった、いいよ」
「やったっ!」
俺は霧崎さんの″ダメ″って言葉を聞いてしまったら、断れなかった。
この状況で食べさせるなんていちばんの悪手なのに…
「…注文いいですか?」
「はい、なにを───」
「殺虫剤ってありますか?」
「…はい?」
隣の席で店員と話す、美柑の声が聞こえてくる。あるわけないだろ、殺虫剤なんて。
「私の旦那さんに悪い虫が集ってるみたいで、すぐにほしいんですけど」
「お客様、ここはカフェでそう言ったものは取り扱ってないんです、それに旦那さんって…お客様小学生では…」
「…何か…問題ですか?」
「大変申し訳ありませんでしたっ!!」
美柑の声と圧にビビった店員は店の奥へと逃げていく。
…なんだろ、帰りたくなくなってきた。
「優斗くん、食べさせて…」
「…あぁ、口開けて…霧崎さん」
俺を見ながら霧崎さんは口を開ける、俺は切り分けたガトーショコラを食べさせた。
「んっ」
「…お味はどうですか」
「お…美味しいよ…」
湯気が出そうなくらい顔を真っ赤にした霧崎さん、そういう反応されると俺まで少し恥ずかしくなる。
「お静ちゃん、私ね?今度とある薬をYU君に使うの」
「とある薬?」
「その薬はね?飲むと私以外の人を見れなくなって私の事しか考えられなくなるのよ、私以外で感じられ──────」
後ろの席から、御門先生と村雨さんの声が聞こえた。
いつから居たんだ御門先生、てか生徒になんて薬飲ませようとしてんだ。
「ゆ…優斗くん…口開けて?」
「…え?」
「…私も何時もみたいに食べさせてあげるから」
霧崎さんはパフェをスプーンでよそって俺の口へ向けてくる。
周りの目が気になるが、俺は向けられたスプーンにかぶりついた。
「…美味しい?」
「…あぁ、美味しい」
何だこの雰囲気、これじゃあまるで本物の…
「…なんだろ、見てるこっちまで熱くなってきたね、リトくん」
「…そうだな、てかそれ関節キスなんじゃ…」
「ホントにラブラブだね、キョーコと時雨くん、新婚さんみたい…」
「ウガァァァァッッ」
「…フフフフッ」
ルンさんの声を聞いた為か、隣の席にいたナナが変な声を上げ机を叩き、モモは不敵に笑っている。
「リトくん!私のもあげる!口開けて!!」
「…え?いや、オレは…」
「…優斗くん、次も…」
「このペースだと溶けるよ、霧崎さん」
「…大丈夫だよ、はい…口開けて?」
その後、食べさせあったりしながら、俺達は何とか完食できたが、周りにいた人達の目がずっと怖かった。
「…ケーキとパフェ美味しかったね」
「そうだね、とても美味しかった」
「そーいえば、時雨くんはキョーコがフレイム星人と地球人のハーフって知ってるの?」
「え?」
食後に運ばれたコーヒーを飲みながら、話しているとルンさんの言葉に手が止まる、霧崎さん宇宙人だったの?
「ルン!?優斗くん!違うの!その…これは…そのドラマの設定で───」
霧崎さんはルンさんの言葉を立ち上がって否定する。
「霧崎さん、急に立ち上がったら危ないから、落ち着いて!」
「違くてその…えっ!?キャッ!!」
「危な───っ!?」
急に立ち上がって慌てた霧崎さんはバランスを崩して、俺の方へ向かって倒れてくる。
倒れてきた霧崎さんの肩を掴めたが、完全に支えることができず、俺と霧崎さんの唇が重なった。
「───っ!!??」
「………」
お互いに一瞬思考が停まって状況が理解できなかったが俺とキスした事に気づいた、霧崎さん目を見開き困惑する。
俺は霧崎さん座らせてからゆっくり離れると″あ…″という声が霧崎さんから漏れ出る。
「ゆ…優斗くんと…キ…キス…しちゃった…」
霧崎さんは″初めてだったのキス…″とルンさんやリトには聞こえない声で呟いた。
「わぁーキョーコ…大胆…お店の中でキスしちゃうなんて…」
「っ!?ち…違うの!!これは───」
ルンさんの言葉に霧崎さんは必死で否定するが、それどころじゃ無い、周りから、ドンっ!と音が聞こえるとこちらを睨み、殺気を放つ人達がいた。
隣の壁越しでもわかる、あの四人もやばい事になってる。
「…長居は店に迷惑だから、そろそろ行こうか」
「あ…あぁ…そうだな」
「行くよ、霧崎さん」
「ふぇ!?」
「リトくん!私達も手を繋ご!?」
「いや、オレ達は…」
必死で弁明している霧崎さんの手を掴み、会計を済ませて外へと向かう。
「…凛、さっきの貴方は見ていまして?」
「はい、沙姫様」
「わたくしの目にはキスしているように見えましたわ?」
「…あの男はアイドルとキスしていました」
「ギルティですわね?」
まさか、外から沙姫さんと九条先輩に見られているとは、この時の俺は思わなかった。
◇
店から離れた俺達は霧崎さんを掴んでいた手を離す。
あのまま店に居たら色んな意味で本当にやばかった。
「優斗くん、さっきの話は…」
「宇宙人のハーフって話?」
「っ!?」
俺の言葉を聞いて霧崎さんは立ち止まる。
「信じられないと思うけど、私はフレイム星人って言う宇宙人と地球人のハーフなんだ…」
俯いている為、表情は分からないがきっと霧崎さんは俺に拒絶されるかもしれないと恐れている。
霧崎さんはきっとルンさんから聞いてリトに宇宙人に理解があるのは知っているはずだ、でも俺と会うのはこれで二回目、俺が宇宙人を知らず、怖がるかもしれないと感じたはずだ。
「俺は霧崎さんが宇宙人と地球人のハーフでも拒絶しないよ」
「…え?」
「それにルンさんがメモルゼ星人っていう宇宙人なのも知ってる」
「えっ!?」
俯いていた霧崎さんは顔を上げて驚いた表情で俺を見る。
「大丈夫だから、安心して?」
「ッ!優斗くんっ!!」
「おっと!」
俺の言葉を聞いて安心したのか、嬉しいそうに笑顔になって霧崎さんは俺に抱きつく。
…周りに人もいるが、アイドルが抱きついて大丈夫なのか?でも…笑顔になってくれて良かった。
「…時雨くんって人たらしだよね」
「優斗は昔から、こうだから」
リト、お前も人の事を言えないぞ?
「うっしょ───!!」
本屋の方向から聞き覚えのある変態の声が聞こえてくるが、まさか、この声は…
「キョーコちゃんにルンちゃんではないですかー!?」
「げっ!校長!!」
「隠れて、霧崎さん」
霧崎さんを背中に隠して俺は前に出る、蹴る準備はできてるぞ?変態。
「これは…服など着ている場合ではありますまい!!」
大きな声で叫んだ変態は、服を脱いでパンツ一丁になる。
マジでなんでこいつは校長を務めているんだ?流石にそろそろ捕まれよ、警察に賄賂でも渡してんのか?
「ワシのカラダにサインして~!!」
「わわわっ逃げろ───っ!!」
「あんな変態蹴り飛ばせば───」
周りを見るが人が多すぎる、蹴り飛ばせば、霧崎さんやルンさんが男といるのがバレて後が面倒になる…どうする?
「優斗くん逃げるよ!!」
「…ッ!?」
霧崎さんは考えている俺の手を引いては走り出す。
「ルン!リトくん!そっちに行けば逃げ切れるかも!」
俺達は人混みを抜け出して全力で走る、商店街へと走り出す、やがて変態の声も遠ざかって行って巻くことができたみたいだ。
(まさか、今ので美柑達も巻いたのか?)
周りにあった美柑達の殺気も消えた、完全に巻いたのか…いや、でもそれにしては周りに気配がなさすぎる。
周りを見渡すと仕組まれた様に店も閉まっていて、人がいない、土曜日のこの時間の商店街に人がいないなんてまず有り得ない。
「…おかしい」
「…え?」
「商店街なのに人の気配が無さすぎる」
「それって、どーゆー意味だよ、優斗───」
「グーデンモルゲン、時雨優斗君?」
商店街の路地裏から一人の男が不敵な笑みを浮かべながら出てくる。
…こいつ、誰だ?
「家に居ないから逃げられたと思って心配したわ?」
「え?男の人だよね?」
「また…ヘンタイ?」
「知り合いか、優斗」
「…いや、知らない」
服はスーツだが、歩き方や口調は女性の様で顔には薄い化粧をしている、だがもっと恐ろしいのはそこじゃない、こいつには一切の隙がない。
…こんなヤツ、あったことも無ければ見たこともない。
「さあ、春馬ちゃんの所へ行きましょう?」
「ッ!?まさか、あんた春馬さんの…」
「そうよ、あたしは南雲瑠偉、あなたを連れていく為に来たのよ?」
「待てよ!優斗の結婚式は一週間後だろ!!」
「え…結婚式?」
リトが南雲に向かって叫ぶ、何故、今俺を連れていく必要がある?
「あら?春馬ちゃん話してなかったの?あなたの結婚式は明後日になったのよ」
「なっ!?」
「…聞いてませんよ、そんな話」
「まあ、聞いていても聞いてなくても関係ないわ…今すぐに囲みなさい」
南雲がトランシーバーを取りだし、命令を出すと黒塗りの車が俺達の逃げ道を塞ぎ、スーツを着た男が数人出てくる。
抵抗すれば、三人がどうなるか分からない…詰みだな。
「大人しく来なさい?そうすれば周りの子には手を出さないわ」
「…わかりました」
「優斗!ダメだ!行くな!!」
「…はぁ、そのガキを止めて」
歩いて南雲の元へ向かう俺にリトが手を伸ばした瞬間、周りにいた男にリトが取り押さえられた。
「リトくん!!」
「動かない方がいいわよ?貴方達じゃ、あたしには勝てないから…」
「優斗くんを離し───」
「ダメだ、霧崎さん、この人には勝てない」
人差し指を南雲に向けた、霧崎さんを静止する。
霧崎さんでは、こいつに絶対勝てない、こいつはそれくらい強い。
「あら、聞き分けがいいわねぇ?そうゆう子大好きよ?」
「…リト達に手を出さないと約束してください」
「それはあなた次第よ、早く車に入りなさい?」
南雲は俺を睨みつける、こいつは人を殺したことがある人の目してる、今は従うしかない。
俺は潔く車に乗るしかなかった。
~リトside~
ララ達と考えている作戦の前に優斗が連れていかれそうになる。
「優斗っ!!」
「このガキ!大人しくしろっ!!」
「リトくん!!ちょっと!リトくんに何して───ってなにするの!離してよ!?」
「ルン!!」
スーツを着た男がルンを抵抗しないように抑える、やべーこのままじゃ!?
「リトくんねぇ?あなたの苗字ってもしかして結城かしら?」
「っ!なんでリトくんの事も知ってるの!?」
南雲はリトって名前を聞いただけで、オレの苗字を当てる、なんで知って…
「まさか栽培ちゃんの息子くんに会えるなんてね、栽培ちゃんは元気かしら?」
「親父を知ってんのか!」
「…知ってるわよ、しばらく会えてないけどねぇ…まあ、そんなことはどうでもいいの、あたし達の邪魔をしたら、栽培ちゃんやその息子くんだろうが、全て潰して…あ・げ・る」
南雲は取り押さえられたオレを見て笑い優斗が乗った車に向かう。
「優斗!!」
「解放してあげなさい」
「承知しました!隊長!!」
「行くわよ」
車に乗り込んだ南雲は窓を開けてオレたちを見る。
クッソこのままだと優斗が!!
「…恨むなら無力な自分を恨む事ね」
「まて!優斗を返せ!!」
「出して」
優斗を乗せた車に走って手を伸ばすが、オレの手は虚空を掴むことしか出来なかった。
「…私のせいだ、私がこっちの道に逃げたければ…いや、そもそも私が優斗くんに彼氏役なんて頼んだから…」
「え…彼氏役?」
「ルンに見栄を張って引けなくなって、優斗くんに手伝ってもらったの…私が頼まなければこんな事にならなかったかも…」
「…それは」
「まだ会うのだって二回目だったのに…なにも言わずに引き受けてくれたのに、私は優斗くんに甘えちゃった」
今思えば優斗はキョーコちゃんのことを苗字で呼んでいた、ほかの女子は名前で呼んでるのに彼女を苗字で呼ぶなんて普通はありえない。
「リトくん、優斗くんの結婚式って何?知ってるなら私にも教えて!」
「それは───」
キョーコちゃんに優斗の事を教える、前世の事はいきなり話しても混乱するだけだから、結婚式と優斗の親父の話だけ。
「やっと見つけた!」
「こちらにいましたか!!」
キョーコちゃんと話していると、オレ達を見つけた美柑達がこちらに向かって走ってくる、もしかしてつけてたのか?
「リトさん!優斗さんは!?」
「みんな、まずいことになったんだ!優斗が連れていかれた!」
「どうゆう事ですか、結城リト!!私達が見失っていた間になにがあったんですかっ!!」
ヤミは俺を掴んで問いただしてくる、すっげぇ怖い!!
「ヤミ、落ち着いて、待ってくれ!」
「とりあえず、みんなで落ち着いて話せる場所に行きましょう」
「仕方ありません、急ぎますよ!」
「え?何処に行くんだよ!!」
「あなたの家です、結城リト、あそこならプリンセスもいます」
御門先生の言葉を聞いたヤミが俺を掴んでいた手を離して、みんなでララが居る、オレんちに向かって走っていった。
投稿が遅くなり申し訳ありません。