ToLOVEる ~ 生まれ変わった意味を探して~ 作:アイスが食べたいマン
「わ~っ!おっきなプールだね───っ!」
月城と戦ってから二週間後、俺達は今彩南ウォーターランドにいる。
新しくオープンしたらしいが、ウォータースライダーや飛び込み台もあるのか、確かにデカイな。
「…優斗、お前大丈夫なのか?」
「何が?」
「何がって怪我だよ、お前一番重症でしばらく絶対に安静にしてろって御門先生が…」
「大丈夫だよ、もう治った」
御門先生の治療のおかげで月城と戦った、ララさん達の怪我は一週間程で直ぐに回復することができた。
問題は俺の身体で手術をした後、しばらくは動けず苦労した、御門先生には絶対に安静にしてろと言われて、毎日見舞いに来た美柑達からは無茶をしないよう監視されていた。
そのおかげもあって身体はほぼ完全復活して、御門先生から行っていいと許可も出た。
まあ″無茶をしたらオシオキするから覚悟しなさい?″と言われたが…
「…無茶するなよな?」
「わかってるよ」
「リト───っ!」
俺とリトが話しているとリトを呼ぶ声が聞こえてくる、声の方を見るとララさんと西連寺さんがこちらに向かって手を振っていた。
「春菜ちゃん…」
「呼ばれてるぞ、行ってこい、リト」
「あぁ、行ってくる…」
西連寺さんを見て顔を赤くしたリトの背中を押して送り出す、ララさんが来る前なら″優斗も着いてきてくれっ!″って言ってただろうな。
「よーし、泳ぎまくるぜっ」
「ナナ!準備運動もせずに!」
「気持ち~!」
そんなことを考えているとナナとモモの声が聞こえてくた、ナナは楽しそうに飛び込み、そんなナナをモモは少し呆れたように見ていた。
二人にも心配をかけた、ナナとモモが目を覚ました俺を見た時、抱きしめられて″無事で良かった″と言いながら泣いてしまった、もう二人を泣かせないようにしないとな。
「くらえ!モモ!!」
「あん…も~ナナったらぁ…お返し♡」
「うわ───っ!モモ、手加減しろ!!」
ナナもモモも怪我が酷かったが、もう大丈夫みたいだな、治ったからと言って少し暴れすぎな気もするが…
遠くで二人を見ながら考えていると、近くにいた美柑とヤミの姿が見える。
「ヤミさん、プールは初めてだよね」
「はい…」
「どうしたの、ヤミさん?」
「…なんでもありませんよ、美柑」
美柑と話していたヤミは少し暗い顔をしていたが、俺を見つけると二人でこちらに向かって近づいてくる。
「優兄!今日は絶対に無理しないでよ?」
「わかってるよ、程々にする」
「ホントにわかってる?」
美柑はむすっとした顔をしながら、肌が触れる距離まで近づいてきて俺を見上げてる。
結婚式が無くなった後から、また美柑の距離が近くなった、毎日のように泊まりに来るし、家にいる時はずっと抱きついてきたり、キスして欲しいとかねだってきて断ると、美柑の方から無言でキスをしてきたりと大分距離感がバグっている。
それに ″お父さんから許可は貰ったから!″って言ってたが、どうゆう意味だ?
「優斗、怪我は平気なんですか?」
「御門先生から、許可が降りたから大丈夫」
本当はまだ少し痛むがこれくらいなら、問題はない。
俺の言葉を聞いても何故かヤミは暗く、何かを考えているような顔をしていた。
「…美柑、少し優斗と二人にして貰えませんか?」
「ヤミさん?」
「優斗と話したい事があります」
「…わかった!向こうでみんなと待ってるから、終わったら優兄と来てね!!」
美柑は少し考えてからそう言うとララさん達の元へ向かって行く、ヤミは美柑を見届けると俺に向き直り、真剣な顔をして俺を見た。
「ヤミ、話って…」
「…何故、優斗は私の過去を聞かないのですか?」
「…過去」
「私がイヴと呼ばれていた、過去の話です」
ヤミの過去には月城も関わっていて、月城が言った″今の君には用がない″と言った理由も、そこにあるかもしれないが俺は今まで聞いてこなかった。
「…過去を話すことって勇気がいると思うんだ」
「…え?」
「俺がそうだったからさ」
例え親しい人だったとしても、過去話す事は覚悟がいる、俺はリト達に話すことができたのだって、とらぶるクエストがあったから、あれが無ければ話す事はなかったかもしれない。
「話したくなったら話せばいい、話したくなければ、話さなくてもいいよ」
「ですが───」
「だってヤミの過去に何があっても、俺にとってはヤミは大切な存在だから」
「っ!?」
「ヤミがずっと笑ってくれるなら、俺はそれでいい」
これは俺の本心だ、みんなが俺を受け入れてくれたように、例えヤミの過去がどんなものでも俺はヤミを拒絶しない。
「…あなたにそんな事を言われるから、誰にも渡したくなくなるんですよ」
ヤミは俺に抱きついて小声で何かをつぶやく、表情は見えないが耳が赤くなっている。
なんて言ったか聞こえなかったが、悪い事では無いと思う。
「ヤミ、ここで抱きつかれると人の目が…」
「…少しだけこのままで居させてください、あなたの温もりを感じていたいんです」
月城と戦った後から、こんな感じでヤミも少し積極的になった気がする。
″美柑みたいに私の頭も撫でてください″や″海の時みたいに抱きしめてください″と言われた時には驚いた。
襲われかけた事はあるが、あんな感じで言葉に出して甘えてくる事はデートをした時以外は、あまり無かったから。
抱きしめてから数分が経つとヤミが顔を上げてた、少し何かを考えてから、意を決したように口を開いた。
「優斗、私は…あなたが…」
「……」
「…やっぱり、なんでもありません」
ヤミが俺になんて言うつもりだったのか、大体わかる、きっとヤミの想いを伝えようとしたんだ。
「美柑が待ってます、行きましょう、優斗」
過去だけじゃない、俺はみんなの想いと向き合わないといけない、きっといつか選択肢ないと行けない日が来てしまう。
駿に過去を話さなかったことで失ってしまったあの時みたいに、後悔しない為にも…
「優斗、何を立ち止まってないで行きますよ」
「…別に引っ張らなくても…」
「こうやって連れていかないと、またすぐに消えてしまいそうですから…」
ヤミは俺の手を掴んで美柑達がいる場所に走っていく、ヤミが俺に抱きついているのをジト目で見た美柑に″楽しそうだったね、優兄?″って言われて脇を小突かれた。
「まう〜まう~」
「いいね、セリーヌ気持ちよさそうだ」
美柑とヤミと遊んだ後、俺はセリーヌといた、セリーヌは浮き輪で浮きながら、水をパシャパシャして遊んでいる。
やっぱり植物だから、プールとか海とかの水は気持ちいいのだろうか?いつもより生き生きしている気がするな。
「私があんたも気持ちよくしてやんよ?」
「っ!?里紗!」
里紗が後ろから抱きしめてくる、左手は、胸板の突起周りを円を描きながらさぞり、右手は水着の上から俺の大切な所を撫でる。
「ちょっ!人目がある!ここでやるのは!」
「セリーヌちゃんの影になってるから、あんたが声を出さなきゃバレないって、それにたまにはそーゆースリルも悪くないでしょ?」
「スリルって…バレたら───っ!?」
「ふぅー」
「っ!!?」
里紗は胸板の突起を摘んでこねくり回し、耳に息を吹きかける、いきなり耳に息を吹きかけられた俺は声を抑えるようにプールの中に口を入れる。
「…なんか前より感度が上がってる気がするけど、誰かに調教された、優斗?」
「なに…言って…」
「誰かに襲われかけたでしょ?」
「っ!?」
少し声のトーンが低くなった里紗は突起を摘んでいた力を強くし、水着の中に手を入れる、後ろから里紗の胸のやわらかい感触が伝わってくるのもあって身体が快楽に支配されていく。
「図星なワケ?」
「ちがっ───っ!?」
「へぇ~じゃあオシオキが必要だね、ダーリン?」
「!??」
そういった瞬間、里紗は俺の耳の中を舐め始める、快楽で頭が真っ白になってろくに抵抗ができない。
セリーヌに隠れて触っているところは見られてはいないが、このままだと…色々とやばい。
「ホント耳弱すぎ…」
「…本当に…やめて…里紗」
「…口ではそう言っても、あんたのココはすごい硬いけど?」
″舐められて気持ちいいんでしょ?優斗″と言いながら、里紗は硬くなった所を激しく…
「一緒にこのままトイレに行ってこうぜ、ダーリン、最後までシテやるからさ」
「んっ…!?」
「…最高に気持ちよくしてやるよ」
里紗は俺の手を引いてトイレまで連れていこうとプールから上がろうとした瞬間、俺は誰かに引き寄せられた。
「里紗、優斗が嫌がってるじゃん」
「…いい所なんだからさァ、邪魔しないでくんない、紗弥香?」
里紗から引き剥がした俺を紗弥香は、抱きしめるように引き寄せる。
…危なった、もしトイレに連れ込まれていたら、俺の貞操は里紗に奪われていた。
「それに里紗よりも私の方が、優斗を気持ちよく出来るから!」
「へぇ〜本気で言ってんの、紗弥香?私、優斗を襲った事あるから、弱点知り尽くしてるけど?」
…どこで張り合ってる?公衆の場でそんな事を大きな声で言わないでくれ、俺が社会的に死ぬぞ?
周りを見ると向こうにいたリトが、里紗達の声に気づいてこちらを見ていた。
「…いいよ、証明するから!」
「っ!?なにして───!!?」
紗弥香は俺を抱きしめてキスをする、ビーチの時とは違って無理やり、舌を入れられた強引なディープキス、逃げようとしても抱きしめられて逃げられない。
「んっ───っ…」
「────っ!!?」
紗弥香はキスをしながら、下半身を擦り寄せてくる、抱きしめていた右手は水着の中に入れられてお尻を揉んでくる。
ディープキスをされながら、下半身を擦り寄せて大切な所を刺激されると同時にお尻を揉まれた俺の頭は真っ白に…
「…私も負けてらんないわ……レロッ」
「───っ!!!??」
里紗がそれをただ見ているわけがなかった、後ろから抱きつき耳を舐める。
二人の胸の感触を味わい、耳を舐められた俺の頭がスパーク仕掛けるが寸前で耐えた。
「ぷっぱ!里紗、このままだと目立つし、優斗が壊れちゃうから一緒にヤるっていうのはどう?」
「…優斗の初めては私が貰えるならいいけど?」
「…そこは相談しよ、とりあえず今は人気のない場所に連れ込んで…」
「新井さんでしたっけ?優兄にそんなことをさせると思いますか?」
「…相変わらず、えっちぃ人ですね?籾岡里紗」
セリーヌを抱き抱えながら、殺気を放つ美柑と、髪をトランスで刃に変えたヤミが里紗と紗弥香の前に現れた。
「…まさか公衆の場でえっちぃ事をするとは思いませんでした」
「それを言ったらヤミヤミだって、優斗を抱きしめてたでしょ?」
ヤミと里紗の間に火花が散る。
「美柑ちゃんだよね?邪魔しないで欲しいな?」
「新井さんは優兄からキスされたことはありますか?」
「…ないけど」
「へぇー私は優兄にキスしてもらった事ありますよ?」
「……」
紗弥香と美柑の間でも火花が散る、今にも戦いが始まるんじゃないかってくらい修羅場になったこの状況、周りに見ている人がいなかったのがせめてもの救いだった。
あの後は地獄だった、さすがに殺し合いは始まらなかったが、2対2でお互いに言い合いをしながら、水の掛け合いが始まった。
言い合いの内容は、俺とどんな事をしたのか、何が弱点なのか等、聞いてるこっちが恥ずかしくなるような内容で俺はセリーヌを連れて、その場から隙を見て逃亡した。
(…何とか逃げられた)
色んな意味で死にかけた俺は身体が落ち着いてから、プールから上がり歩いていると、座って何かをしてい唯の姿が見えた。
「唯は泳がないの?」
「優斗くん…私は浮き輪を膨らませないと…」
俺は唯に話しかけると唯は持っていた猫の柄の浮き輪を俺に見せる。
そういえば、唯は泳げなかったな。
「貸して?」
「…え?」
「手伝うよ」
唯が泳げがなかった事を思い出した俺は唯から浮き輪を受け取り膨らませる。
浮き輪は徐々に膨らみ空気も満タンに入ったのを確認して唯に渡した。
「終わったよ」
「あ…ありがと」
唯はそう言うと顔を赤らめているながら、自分の水着を見る、その姿はまるで何かを気にしているように見えた。
「その水着可愛いね、唯によく似合ってるよ」
「えっ!?」
唯の仕草からして俺が唯の着ている水着が変だと思ってないか気にしていると考えた俺は、素直な感想を言うと唯の顔は真っ赤になってしまった。
「っ!?あなたはどうしてそうゆうことを平気で言えるのよ!」
「伝えられる時に伝えないと後悔するからね」
顔を真っ赤にしながら、指をさしてくる唯にオレは手を差し出す。
もう俺は二度と選択を間違えて後悔したくない、だから俺は、伝えられる時に想いを伝える。
「一緒に遊ばない?唯」
「っ!?」
「セリーヌも一緒だけどね?」
「まう!まうー!!」
沙姫さんの別荘の時、唯が言いかけた言葉を言う、あの時は里紗が後ろから襲ってきて遊べなかった。
「怖いなら手を繋ぐよ?」
「そんなの!ハレンチよ!!」
と言いながら、差し出した手を握る唯、唯も俺に好意抱いてくれている、その想いにもしっかり向き合わないといけない。
「…仕方ないから、付き合ってあげるわよ」
「ありがとう、何して遊びたい?」
「…ウォータースライダー」
「ウォータースライダーね」
セリーヌもつれて三人でウォータースライダーへ行く、並ぶかと思ったが、意外と空いていてすぐに俺達の番が来た。
「ママさん!しっかり抱えていて座ってください!パパさんはその二人からお二人を抱きしめて守ってあげてくださいね!!」
「パ…パパ、ママっ!!?」
スタッフに言われた言葉に顔を真っ赤にした唯は優斗くんがパパ″と言ってセリーヌを抱えて座る、その後ろから俺が唯を抱きしめる。
この体勢、唯の温もりを感じて俺もドキドキしてしまう。
「それじゃあ楽しんできてください!」
「まーう───っ!!!」
スタッフとセリーヌの掛け声で俺達は発射した。
ウォータースライダーは意外と早く、セリーヌも″まう!まう!!″と言って楽しんでいた。
「その…もう一回すべりましょ?」
「まう!まう!!」
ウォータースライダーが終わりプールから上がると唯がセリーヌを抱えながら言う。
「そうだね、セリーヌも楽しかったみたいだし、もう一回行こうか?」
その後も耳まで真っ赤にした唯と三人で一緒にウォータースライダーを楽しんだ。
◇
唯と沢山遊んだ後、俺の視界にリトの姿が入った、リトもララさん達と遊んだ後の様で少し休んでいるみたいだった。
「リト」
「優斗…なんか大変そうだったな」
プールサイドで座って休んでいたリトに話しかける、大変そうだったっていうのは、里紗と紗弥香の時だろうな、こいつしっかり顔を赤くして見ていたし。
「…気づいてたなら、助けて欲しかったな?」
「…あれは無理だろ」
こっちを見ていたむっつりスケベの隣に座り一言文句を言うが、俺がリトの立場なら、助けるのを諦めていたと思う。
「そっちも楽しそうだったな?」
「あぁ、ララ達と沢山遊んだよ」
「…変わったな、リト?」
「変わった?オレが?」
…変わったよお前は、誰よりもな、そしてそんなお前に俺は救われた。
「昔ならお前なら、女の子と一人で話す事も出来なかっただろ?」
「ん…んな事…あったかも…」
「そんなお前が、今はこうやってプールで遊んでる」
「…それは」
「ララさんがお前を変えたのかもな?」
「ララが…オレを?」
きっとララさんがいなければ、リトはここまで変わらなかった。
「人はきっかけ一つで変わることができる、良い方向にも悪い方向にもな」
「良い方向にも…悪い方向にも…」
「きっとララさんはリトに良い方向にきっかけを与えてくれたんだ」
ララさんと過ごしていく中できっとリトの仲にあった何かがかった、そしてにそのきっかけが巡り巡って俺を過去から救い出した。
「ララさんと出会ってから、俺達は沢山の人と関わった…そして色んな人から変わるきっかけをもらったお前は俺を過去から救い出した」
「…優斗」
「みんなが居たから、俺はここにいる。そしてそんな出会いをくれるきっかけを、最初に作ってくれたのはララさんだ」
きっとララさんがみんなと出会うきっかけや繋がりを与えてくれなかったら、リトと春菜の進展も進まなかったかもしれないし、俺や春馬さんも最悪な結末を向かうたはずだ。
「リト───っ!」
リトを見て笑顔で手を振るララさんを見ながら、俺は笑う。
あの笑顔にどれだけの人が救われたか、ララさんの優しさにどれだけの人が変わったか。
「優斗、オレは…」
「…お前が西連寺さんとララさんのどちらを選ぼうと俺はリトの味方だ」
「……」
「もしその結果にデビルーク王とかが文句言ってきたら、次は叩き潰してやるよ」
リトが選んだ答えにあの暴君がまた文句言って攻めてきたら、今度は叩き潰す。
「…だから、後悔しない選択をしろよ?」
過去の俺が輝や駿の時、選択を誤って死んでしまった時のように…何度も変えたいと願っても過ぎてしまった時間は変えられないから。
「過去の俺みたいに間違えるなよ?」
親友のリトにはそんな思いをして欲しくない。
「長話をして悪かったな、ララさんと二人で遊んでこい」
俺はリトの背中を押して送り出す、ララさんに口パクで″頑張れ″と伝えるとララさんが″ありがと、ユウト″と返されてしまった。
リトの恋を応援したいと同時にララさんの恋まで応援したいと思うなんてな。
「リトさんだけじゃなくて、優斗さんも考えないといけないんですよ?」
「…言われなくてもわかってるよ、モモ」
股の間から現れたモモは、頬杖を着きながら片手で俺の太ももをなぞる。
俺も誰か一人を選ばないといけない、でももしその結果、選ばれなかった人達が悲しい顔をした時、俺は耐えられるか?
「リトに選べって言っておきながら、自分が一番迷ってる、酷いブーメランだよね、モモ」
「…選ぶ必要あるんですか?」
「…え?」
「仮に優斗さんが誰か一人を選んでも、選ばれなかった皆さんは諦めないと思いますよ?」
「それでも選ばないといけないでしょ?」
仮にみんなが諦めなくても俺は…
「全員選んではいかがですか、優斗さん」
「なにを…言って…」
「ホントは私はだって一番がいいです、でももし、他の誰かと添い遂げて一緒に居られなくなってしまうなら、私は一番じゃなくても優斗さんと添い遂げたいです」
一番じゃなくても添い遂げたいってどうゆう意味だ?それにそんな事できるわけない。
「それを可能にできるんですよ、優斗さん」
「…心読まないで欲しいな?」
「優斗さんがハーレムを作ればいい」
モモの言葉を聞いた瞬間、それは現実的ではなく不可能だと思ってしまった、今の日本でそんな事は許されない。
「日本では一夫一妻だ、そんな事は許されない」
「日本ではです、宇宙では一夫多妻の方が多いんですよ?だから───えっ?」
モモが何かを言いかけた瞬間、液体の触手がモモをに絡みつく。
「モモっ!」
「優斗さん!?」
絡みついた触手から無理やりモモを引き剥がし、距離を取るとプールの中から巨大なスライムの様な生き物がでてきた。
…こいつデカすぎないか?それにあの触手、一瞬触れたがすっごいぬるぬるした。
「モモ、大丈夫?」
「私は大丈夫です!」
助けたモモに怪我は無いのを確認してから、戦闘態勢に入る。
打撃が聞くような相手には見えないが仕方がない。
「こ…こいつは!アクアン星系の原始生物ミネラルンだ!!すっごいレアなヤツだぞ!」
こいつがレアなのか?リトがやっていたRPGの雑魚スライムにそっくりなんだが?
「ななっ何でそんなのがプールに!?」
「そういえば、ミカド先生の患者さんが″ヌップル″と言うペットが逃げたって言ってましたけど」
「ぬぷっ!!?」
唯の言葉に村雨さんが思い出したように言うと顔を真っ赤にした唯が″何よ、そのハレンチな名前!″と言っていたが…どこがハレンチなんだ?
それにスライムは誰かのペットなのか?こんな巨大なヤツを今まで良く飼っていたな?
俺がそんなことを考えていると唯と里紗に向かって、液体の触手が伸びてくる。
「唯!里紗!」
「きゃっ!?」
「優斗っ!!?」
俺は咄嗟に二人の抱きかかえて横へ飛ぶ、液体の触手は何とか避けることができた。
「二人とも俺の後ろに隠れろ!」
「え…えぇ」
「優斗、あんたどーする気!?あいつ素手とか効かないんじゃ…」
里紗が話している途中に液体の触手がこちらへ迫ってきた。
俺は二人を守るように前に立って手を広げると、触手は俺の目の前で何かによって斬られた。
「優斗、大丈夫ですか?」
「ありがとう、助かったよ、ヤミ」
ヤミは美柑の前に立って俺を見る″優兄、また無茶してる″と美柑が小声で呟いていたが今は無視する。
その理由はヤミに斬られた触手は再び再生を始めたから…
「…やはり液体生物では斬ってもムダのようですね」
「この感じだと打撃も効かなそうだな」
「ナナ!動物ならあなたが説得して大人しくできないの?」
「ダメだよ、あいつ、知能が低くて話になんない!」
ナナが会話して大人しくできないってなると、残された道は力技か…けど、どうすればこいつにダメージを与えられる?
「きゃ───っ」
「ハルナ!!」
「は…離して───っ」
「「「!!」」」
触手に捕まった西連寺さんはミネラルンに液体の中に取り込まれてしまう。
「春菜───っ!!!」
西連寺さんを助けようと走り出したララさんは波に囚われて、西連寺さんがいるミネラルンの中に取り込まれてしまった。
まずいな、このままだとララさんと西連寺さんは間違いなく窒息する。
「ちょっと…コレ、やばいんじゃ」
美柑がそう言った瞬間、液体の触手が美柑の水着に絡みつく。
「きゃっ!?」
その姿を見て声を聞いた瞬間、俺の身体が勝手に走り出していた。
俺は美柑に近づいてその手を掴み、強引に引き剥がして抱き寄せる。
…こいつ、美柑を狙ったな?
「…美柑、下がれ」
「優兄!」
「…ヤミ、動けるか?」
「…動けますが、どうやって救い出すつもり───っ!」
「うおおおぉ─────────ッ!!!」
ヤミの言葉を遮るように叫びながらリトがミネラルンに向かって走り出す。
「リト!!」
「っ!どっちを先に助ける!!いや、優斗ならきっと二人を同時に助けるっ!!!」
そう言ってリトはミネラルンの中に飛び込み、二人の手を掴む、そのままリトは力いっぱい二人を外に向かって投げ飛ばす。
「ハルナ!!」
「お姉様!」
落ちてきた西連寺さんをナナとモモが受け止めて、ララは何事も無かったように着地する。
「リトっ!た…たいへんっ!助けなきゃ!!」
[ダメです、ララ様!!今近付いたら、またあの中に取り込まれてしまいます危険です!!]
「ララさん、あとは任せて、リトは必ず助ける」
「っ!優斗くん!無茶だわ!!」
「ちょっ!あんたまだ治ったばっかでしょ!!」
唯と里紗の静止を振り切って俺はミネラルンに向かって走り出す。
「俺の手を掴め!リト!!」
ミネラルンの触手を躱しながら、液体の中に左腕を突っ込んで手を伸ばす。
「───っ!?」
「手を伸ばせば救える命があるなら!俺はこの手を伸ばす!!」
左肩まで液体に浸かったがリトの手を掴むことができた俺はそのまま力いっぱいに引き上げて、二人揃ってプールサイドに向かって落下する。
「リトっ!」
「優兄!!」
俺とリトはヤミのトランスした手に受け止められた。
「…優斗、あとは任せてください」
俺達を地上に下ろすとヤミはそのまま下半身を人魚にトランスして、丸い核のようなものをトランスで作ったハンマーで叩いた。
核を叩かれたミネラルンはそのまま小さくなっていく、小さな液体になったのを見た俺はリトに近づき声をかけた。
「…リト、無事か?」
「あぁ…助かった」
リトの身体には異常がないように見えるが、本当に大丈夫なのか?
「…優兄?」
「…優斗、話があります」
「…あんた、何回無茶したら気が済むわけ?」
「あなた…この前重症を負ってたの忘れたの!」
「…無茶すると心配するんだよ、優斗?」
「覚悟は出来てますか?」
「無茶しすぎだ!ユウト!」
後ろを向くと怒ったみんなが俺を見ていた。
…どうやら、リトの心配よりも先に自分の心配をした方が良かったみたいだな。
「みんな、大変だったみたいねェ、ヌップルちゃんは飼い主が来てくれたから安心してね?」
怒ったみんなの後ろから、御門先生が現れて連れてきた飼い主が怒ったみんなを見て″すみませんでした″と言って怯えた様子でミネラルンを連れて帰っていく。
「優斗くん、随分無茶したみたいね?」
敵がもう一人増えていた、怒った8人に囲まれた俺は両手を上げて降伏することしか出来なかった。
◇
「…すごい怒られたな」
「優斗くん、怒られたの?」
みんなから怒られ終わった俺はプールサイドを歩いていると後ろから声がかけられた。
「霧崎さん、来てたんだ?」
「今日はゲリラライブだったんだ!ほらあそこ!!」
霧崎さんが指を指した方角には大きなステージがあった。
なるほど、あのステージで歌ってたのか。
「ライブは終わったの?」
「変な水の化け物が襲ってきて中止になっちゃった」
「…なるほどね」
「それでね、今は自由行動なんだ!」
自由行動になった霧崎さんはバレないようにサングラスと麦わら帽子を被っている。
「優斗くん、今時間ある?」
「あるよ」
「少しだけ私に時間をくれないかな?」
「…ちょうど良かった、俺も霧崎さんに聞きたい事があったんだ」
俺と霧崎は人気のないステージの裏へ移動する、移動している時の霧崎さんはなんだが少し落ち着きがなかった。
「…ここなら、誰も来ないよね」
「なんで人気のない場所に?」
「私の話は人がいると難しいから…優斗くんからいいよ?聞きたい事って?」
「…わかった」
俺が霧崎さんに聞きたいこと、それは───
「霧崎さんが持ってきてくれた刀、どこにあったの?」
「あの刀は天野穂風さんが持ってたよ」
「…どこで手に入れたものかわかったりする?」
「…確か11年前に山奥で見つかった物をオークションで勝ち取ったって言ってた」
11年前の山奥?なぜそんなところにあの刀があった?
「他には何か知ってたりする?」
「他に…えっと、見つかった当日、刀には血が着いていてDNA鑑定してもその血は、この世界に存在しない人間の血だったとか言ってた気がする…」
間違いない、冬華教官の刀だ、でも…どうゆう事だ?なぜこの刀がこの世界に存在している?
─── …ありえないわ、過去の情報とはいえ確かな物のはず…貴方は時雨桜として生まれた時から″右利きの筈″よ
あのオカマにも聞かないと行けないことができたな、今はタイムレインズカンパニーの後処理で忙しいだろうが全てが片付いたら聞くとしよう。
「霧崎さん、あの時は刀を届けてくれてありがとう、おかげで助かった」
「優斗くんを助けられて良かったよ」
俺は霧崎さんにお礼を言う、あの刀がなければきっとあの場にいたヤミ以外は全滅だった。
「次、私の番でいい?」
「うん、いいよ」
「わたしはね…話したいことがあるんだ」
霧崎さんはそう言うと麦わら帽子とサングラスを取って俺を見る。
「…優斗くんに初めて助けてもらった時から、優斗くんの事が…好きでした…」
「…え?」
唐突に言われた告白に俺は目を丸くする、初めて助けた時…校長から助けた時からか?
「変態から助けてもらった時に好きになったんだと思う、だってその後の写真撮影はずっとドキドキしてたから…」
「……」
「ルンとダブルデートは演技をして誤魔化してたけど、ずっと緊張してたんだよ?事故でキスしちゃった時は、恥ずかしかったけど嬉しかった」
霧崎さんの想いは止まらない、ダブルデートの時に霧崎さんの想いに薄々感じてはいたが、確信はできなかった。
「この想いに気付いたのはね、優斗くんを助ける為にタイムレインズに侵入した時…優斗くんを天野穂風さんに取られたくないって思った時に気づいたんだ、優斗くんのことが好きだったって」
霧崎さんは顔を湯気が出そうな程、赤く染めて歩ずつ俺に近づいてくる。
「…前世の事を聞いてもこの気持ちは変わらなかったんだ」
「っ!?なんでそのことをっ!!」
「優斗くんが治療されてる時にララさん達から聞いたから…」
まさかララさん達が霧崎さんに話しているとは思わなかった、それに前世の事を聞いたって…俺は人殺しだぞ?
「…聞いたんだよね?俺が何人も殺してる事」
「でも、誰かを救う為にだよね」
「…それでも本当に変わらなかったの?」
「これが私の気持ちだよ、優斗くん」
霧崎さんは俺を抱きしめてキスをする、今までキスをした誰よりもやさしいキス。
「…キスしちゃったね」
「…霧崎さん」
「私は優斗くんが大好き!」
大好きと言った霧崎さんの顔はテレビや写真撮影いをした時に見たものと比べ物ならないくらい、見惚れてしまうほど綺麗な笑顔だった。
「霧崎さん…俺は…」
「…今はまだ、振り向いて貰えないかもしれないけど、私は諦めないからね、優斗くん!」
「…まって、それだと俺の選択肢って…」
「優斗くんは私と付き合う以外の選択肢はないから!」
俺に指を指して宣言する霧崎さん、どうやら俺を諦める気はないらしい。
「はい、これ私の電話番号!それとこれからは私の事も名前で呼んでね!」
恭子さんは言うと″じゃあ、私そろそろ仕事だから…じゃあね!″と言って走って去っていく。
…きっとこれからたくさん恭子から連絡が来るんだろうな。
「…優兄」
「覗きは良くないよ、美柑」
恭子が宣言するちょっと前から、物陰から見ていた美柑が怒った顔をして出てきた。
「…キョーコさんと付き合うの?」
表情はムスッと怒っているが、内心不安なのか少し涙目だ。
「…分からない」
「……」
「…美柑」
「…なに、優兄───っ!?」
俺は美柑を抱き寄せる、頭を撫でながら、美柑の温もりを感じるとなんだがほっとする。
ビーチの時もそうだが、何故こうしたのか俺にも分からない。
「…俺が死なない限り…俺は美柑のそばにいたい」
「え?」
きっと美柑は俺の中で特別な存在になりつつある ───いや、もうもしかしたら…俺が気づいていないだけでなっているのか?
「もう少し考える時間が欲しい…この想いに気づく時間が欲しい…」
美柑に抱いているこの感情は、他のみんなにも抱きつつある、だからこそできるだけ、早く気づかないといけない。
「美柑、これだけは忘れないでくれ、俺の中で美柑が一番なんだ」
「っ!?」
「美柑とは生まれた時から一緒に居るから、まだ家族愛か恋心かどちらか分からないけど、これだけは言える」
「大好きだ、美柑」
俺は美柑を抱きしめながら耳元で囁いた。
◇
「っ!やっぱり優斗さんの中で美柑さんは…もうあんまり時間がないわ」
一人の少女は物陰から隠れて優斗と美柑を見ていた、その表情はかなり焦っている。
「…優斗さんが美柑さんへの想いに気づく前に…優斗さんが無理をして命を落とさないよう繋ぎ止めるためには…作らないといけない」
少女は決意していた、タイムレインズカンパニーで天野穂風を庇った優斗を見た時から…二度も優斗を失いそうになった時から…
二度と目の前で優斗を死なたくない、繋ぎまとめる為の計画を。
「…私は作ってみせる、優斗さんのハーレムを!」
これから少女は優斗にその道を進ませる為に動き始める。
無印編を見ていただきありがとうございました。
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次回からダークネス編に入りますが、期待しない程度に楽しみにお待ちしていただけると嬉しいです。