月村輝(つきむらひかる)
誕生日 10/10
年齢 16(高校1年)
身長 172cm
体重 63kg
家族構成
両親は物心付く前に事故により他界。それ以来祖父に男手ひとつで育ててもらったが、中学卒業とほぼ同時期に祖父も他界。以降は父が懇意にしていた弁護士が後見人となっている。
趣味・特技
ゲーム(特にKASSENが好きだがとある理由で現在はあまりプレイしていない)
料理(ゲームに代わって見つけた新たな趣味。その腕前は料理人顔負けで、バイト先のカフェでも厨房の最高戦力として扱われている)
苦手なこと
料理以外の家事全般(特に掃除は限界まで散らかしてからようやくはじめるタイプ)
プロゲーマー歴
14歳4月
KASSEN専門のプロゲーマーとしてデビュー
14歳5月〜15歳12月
プロデビュー直後に行った配信企画にて『百人斬り』を達成。それを皮切りにSETSUNA部門で数々の公式大会、大型大会を制覇。
15歳2月
出場した大会にてとある事件に巻き込まれプロゲーマー、配信者としての活動を無期限活動休止とした。
性格
基本的に穏やかで誰に対しても分け隔てなく接するタイプ。少々お節介な一面もあり、特に身近で無茶ばかりしている彩葉に対しては辛辣な言葉で諌めることも多い。
過去に起きた事件についてトラウマを抱えており、日常生活では問題の無い程度には精神が回復しているものの、時折起こるフラッシュバックでメンタルを著しく崩すことがあり、完全には克服できていない。
作中では彩葉のことを「自分に余裕がないのに他人に手を差し伸べる人」と評しているが、実際のところは自分もトラウマを抱えてるくせにそれを無視して人を助けようとするところがあるので、単なる似たもの同士なだけだったりする。
長くなりましたが以上!本編どうぞ!
「「お疲れ様でしたー!」」
今日も今日とてバイトを乗り切り俺と酒寄先輩は退店した。
BAMBOO cafeは週末よりも木曜日が何故か混み合うのだが、かと言って週末が混まないわけではない。普通にしんどい。
とはいえ、今回の週末に限ってはそう悪い話ばかりでもないのだが。
「ようやく訪れましたね……この3連休が!」
「そうだね、私も久しぶりに1日6時間は眠れるよ……」
「お願いだから普段からもっと寝てください……」
そう、週5勤務のバイト戦士である先輩にとって、週末の3連休など1年間に何度もある話ではない。
かく言う俺も週3勤務に加え、欠勤等の穴埋めには基本協力しているので、必然的に連休の数は少なくなっているのだ。たまにはガッツリ休んでも文句は言われまい。
「月村君は3連休なにか予定あるの?」
「あー、休み取っといて言うのもなんですけど特に無いんですよね。俺も最近寝不足だったんで寝て過ごすだけの何もしない連休になるかもです。そういう先輩は?」
「私はこの3連休を全部勉強に当てる。弱点科目の補強をするんだ」
花の女子高生の3連休がそれでいいのかと呆れにも似た感情が湧いてくる。普段の生活からしてもそうだが、この人は人間の限界ってものを知らないのだろうか。
あるいは知った上で見て見ぬふりをしているのだろうか。
「さすがに根を詰めすぎでは? 今だって勉強面で穴なんてないんだから多少休んでもいいでしょうに」
別に俺は先輩の保護者でもなければ恋人でもない。ただの接点が多いだけの後輩だ。
ただ、この人のこういう所を見ると、どうしても口を挟まずにはいられなくなる。たと余計なお世話だったとしてもだ。
「いやいや。目標に対してはまだまだ余裕なんてないし。もっと頑張らないと」
「東大志望なんでしたっけ。そこまでして学びたい何かがあるんですか?」
「いやぁ、そういう訳でもないんだけどね……私の親がさ──」
「ん? なんて言いました?」
「ううん、なんでもない。とにかく、私は私なりにこの連休を充実させるんだ」
「──そうですか」
明らかに何かを誤魔化された。でもこれ以上踏み込むのはさすがに野暮というものだろう。
──本当に、なんでここまでこの人を心配してるんだろうな。
そんなことを考えながらぼんやりと空を見上げた。
地元と違って東京はどこもかしこも光り輝いてて星は見えないが、月だけは変わらず優しく夜を照らしている。
『ええか輝。何かを綺麗と思う心は忘れたらあかんで。何に対してもそう思えへん時は心が疲れとる証拠やからな』
不意に、死んだじいちゃんの言葉が頭をよぎる。
──ごめんなじいちゃん。今の俺、お月さん見ても綺麗とは思われへんわ。
「月村君どうかしたの? さっきからぼーっとしてるけど」
「いえ、ただ3連休何しようかなって考えてただけで──」
そう言い切る前に、空を見上げていた視界の端で何かが煌めいた。
「流れ星!」
「流れ星だ! 帝様の願いが叶いますように!」
そんな周りの人の声に反射的に手を合わせる。でも星に託したい願い事なんて──
『神頼みは悪いことちゃうよ。ちゃんと努力しとる人間を、神様はよう見てくれとるからな』
──ならちょうどいい。じいちゃんの言葉を信じるなら、この願いは間違いじゃないはずだ。
流れ星様、どうか隣にいる無茶ばかりする先輩を助けてあげてください。これだけ頑張っている人なら、神頼みでも報われていいはずでしょう?
「か、金……」
当の本人は女子高生に有るまじき俗物的な願い事ですけども、そのぐらい必死に頑張っているので。ええ、はい。
いや本当にそれでいいのか女子高生。
そんなこんなで、星に願いを託して俺たちは帰路に着く。
──その星の軌道がどこに向かっていたのかも気づかないままに。
***
うーん困ったなー。ここからどこに行けばいいんだろ?
とりあえず
よし! とにかく面白そうなものがありそうな場所を目指そう! この細い
あ、道が別れてる。どっちに行こうかな?
こっちだよ
ん? 今の誰?
こっちだよ
私以外に誰かいるの? そっちに行ったら楽しいものが待ってる?
もちろん、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎が保証しちゃう
──じゃあ着いてく! どこに行けばいい?
──ふふ、こっちだよ
あっ、待ってよー!
突然聞こえてきたもうひとつの声に導かれるまま、私はこの道を進んでいく。
声の正体だれなのかとかもちょーっとは気になったけど──うん、何でかわかんないけどこれは信じてもいいやつだ。
だって、こんなにもワクワクしてるんだもん!
──ここだよ
ここ? この
うん
わかった! ここまでありがと! あなたは──
あれ、声聞こえなくなっちゃった
ん? というか私
──まぁいっか! なんかここにいれば面白いことが起こる気がする!
いざ! 着陸!
ありがとう⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。あの子の記憶を消してくれて。
ふふ、それにしても本当に懐かしいなぁ
──初めまして。ずーっと待ってたよ⬛︎⬛︎⬛︎
***
あれから俺は酒寄先輩と別れ、アパート近くのスーパーへと立ち寄っていた。
いやー、いつもはすっからかんになってるはずの惣菜たちが割安で手に入ったのは嬉しい誤算だった。偶の3連休を祝うかのようにツキまで巡ってきたらしい。
普段は自炊を心がけている分こういう時ぐらい贅沢をしてもいいだろう。
さーて、晩飯食べながら溜まってたアニメを消化して──
「ちょっと! 忘れ物ですよー!」
「ん?」
角を曲がればアパートに着くというタイミングで女の人の大声が耳に飛び込んできた。
というかもしかしなくてもこの声は。
「酒寄先輩?」
「わっひゃう!?」
「どうしたんですかデカい声出して。なにか驚くようなことでも──」
言葉は最後まで続かなかった。それほどに目の前の光景に目を奪われた──というより理解が追いつかなかったからだ。
こちらを振り返った酒寄先輩は腕に何かを抱えていた。
よくよく観察してみればそれは玉のような肌を持ち、まだこの世に生を受けたばかりの小さな体とふっくらとした表情は自然とこちらの庇護欲を掻き立てる。
見紛うことなき赤ん坊が腕の中で安らかに眠っていた。
「…………」
「えっと、月村君、これには深いわけがあって……」
そう言って冷や汗をダラダラと流す酒寄先輩。
いやだな、そんなに動揺しなくてもわかってますって。これでも後輩の中では最も先輩と関わりの多い自分です。みなまで言わずともよーく承知しておりますよ。
「だから先輩、とりあえず一緒に自首しに行きましょう」
「分かってない! なんか全てを理解したみたいな表情浮かべてたけど何も分かってない!」
「大丈夫、きっと勉強のしすぎで気の迷いを起こしただけです。先輩が情状酌量で減刑して貰えるように俺いくらでも協力しますから」
「菩薩みたいな表情浮かべてないで話を聞いて! 攫ったりしてないから!」
「ふ、ふぇぇぇん!」
俺たちが大声で話しすぎたせいか赤ん坊が泣き出してしまった。
いや、うん、さすがに泣き声を聞いて少し冷静になった。先輩が赤ん坊を攫うなんてリスクしかないことするわけないだろうし。
それに、よくよく見ればただの捨て子という訳でもなさそうだ。
現に捨て子であればおおよそあるはずの赤ん坊が収められたであろう籠やダンボールなんかも見当たらない。
なんだか一周まわって冷静な推察はできているが、じゃあこの子は一体?
「つ、月村君! とりあえずこっち来て!」
「え、あっちょっと!?」
酒寄先輩に腕を引かれて階段を駆け足で登る。気づいた時には俺部屋の隣室──酒寄先輩の住まう部屋へと引きずり込まれていた。
「ごめんちょっとだけ片付けるから待ってて!」
「えと、お構いなく?」
初めて、女の子の部屋に入った。
────いやいやいやいや! 冷静に考えてまずいだろ! 引きずり込まれたとはいえこの状況は!
いやそれどころじゃないのはわかってるが、これが何かの拍子に学校で知れ渡ったらどうなる!?
答えは簡単! 先輩のファンから滅多刺しにされる! やったね輝クン! 黒ひげもびっくりな刺されっぷりだよwww
ってなにわろてんねん!
やかましいわ! 頭ん中で1人コントかましとる場合か!
「おまたせ。とりあえず上がって」
「あ、はい」
先輩に声をかけられてようやく無駄な思考回路がストップした。気づかないうちに先輩が寝かしつけたのか、謎の赤ん坊は布団の上ですやすやと寝息をたたている。
「んで、どういう状況なんですかこれ? 本気で先輩が攫ったとは思いませんけど、その子はどこから来たんですか?」
「えっと、とりあえずツッコミは無しで聞いて欲しいんだけど……」
「っていうことなんだよね……」
ふむふむなるほど。
つまり、疲れた体を引きずって帰宅すると、そこには七色に光り輝くゲーミング電柱がそびえ立っていたと。
不思議に思って近くで見ると、電柱の中が光り輝き、中から可愛い赤ん坊が出てきたと。
────よし、まずは一言だけ言わせてください。
「ゲーミング電柱ってなんやねん……」
「やっぱりそうなるよね……」
まじで訳分からん……いや、百歩譲ってそこは飲み込んだとしてもや。そこから赤ん坊が出てくるってなんやねん、竹取物語か。現代風にするにしても方向性がインターネットに毒されすぎやろ。
いかん、思考がだいぶ地元のノリに戻ってきた。でもこの状況は──
「先輩、これからこの子どうするんですか?」
「……正直子供助けてる余裕なんてないよ。でもだからって見捨てることもできなくてさ」
「じゃあ面倒を見ると?」
「少なくとも週明けまでは。それ以降はどうなるか分からないけど……」
ですよねー。バイトで見てたからよくわかる。自分に余裕なんてないくせに、求められれば手を差し伸べてしまう。この人はそういう人だ。
「なら色々物を揃えないとですね。最低限必要なのはっと……」
「……え?」
「どうかしましたか?」
「もしかして、手伝おうとしてくれてるの?」
「いや、ここまで話聞いたんだから普通手伝うでしょ」
何を言ってるんだこの人は???
まさかとは思うが、ここまで話を聞かせておいて全部1人でやりきる気だったのか? それはさすがに無茶ってもんでしょ。
「ここで『そうですか。あとは頑張ってください』とか言うほど薄情じゃないですよ。それともそういう男だと思われてたんですか俺は?」
「そ、そんなことないけど。私はただ誤解を解こうとしただけだったから……」
「いつも思いますけど、少しは人を頼ることを覚えた方がいいですよ。どれだけ凄い能力を持った人でも、人間1人にできることなんてたかが知れてるって死んだじいちゃんがよく言ってました」
「────あ、ありがとう」
「はい。それじゃ、とりあえず今日は帰ります。また明日」
挨拶を残して酒寄先輩の部屋を出る。
なんだか妙な展開になってしまったが、手伝うと宣言した以上は責任を持とう。
それはそれとして。
(先輩の部屋、殺風景だったけどいい匂いしたな……こんなこと誰にも言えんけど)
先輩ごめんなさい。でも俺だって健全な男子高校生なんです。突然みんなの憧れの存在の部屋に連れ込まれたドキドキは許してください……