Fate/stay night[Endless Stardust]   作:おーたまー

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3日目-襲来

 慎二が愛想良く声を掛け、遠坂は振り返り、口を開く。

 

「何か用かしら間桐くん。それから──元気そうね、衛宮くん」

 

 ……遠坂の目つき、なんかヤバくないか。

 第一、俺に対する声掛けもちょっと変だし。

 もしや、俺達がマスターだってこと、既に知ってたりするんだろうか。

 

 ここじゃ人目もあるということで、ひとまず屋上で仕切り直す。遠坂は警戒しているのかアーチャーを後ろに立たせた。まずは慎二がこう切り出す。

 

「実は、僕達マスターになったんだ。それで今一緒に組んでるんだけど、君も一緒にどう? 三人も集まれば、それなりの勢力になると思うんだけどさ」

「……」

 

 遠坂は値踏みするように俺達を交互に見る。んだけど、視線がなんだかやけに低いっていうか……どこ見てんだ。ほんと。

 

「あなた達、令呪はどうしたのよ。令呪が無いのにマスターだなんだって、冗談はやめて欲しいわね」

 

 れいじゅ。まーた専門用語が出てきやがった。

 俺は傍らの友奈をちらりと見ると、急にはっとして俺の手を掴んでは、まじまじと観察し始めた。

 何が何だか分からないまま好きにさせていると、友奈は一気に顔を蒼白にして、俺達から距離を取る。

 

「え……? 私……? どうやって……?」

 

 友奈は呆然と自分の身体を見下ろし、その場をぐるぐると周り始める。俺はなんて声をかけていいのかわからず、遠坂はそんな俺達を見て口を開く。

 

「はっきり言うけど、あんた達得体が知れなさすぎて不気味だわ。間桐君は魔術師ですらないし、二人とも令呪がない。私からしたらメリットが無いどころか、話にすらならない」

 

 後ろのアーチャーは同感だ、とばかりに大袈裟に腕を組んだ。その態度が妙に癇に障る。けど、何も知らない俺は何も言えず、ただ顔をしかめることしか出来なかった。

 

「待てよ。衛宮はよく分かんないけど、僕はこの魔導書が令呪の代わりになってるんだ。これがあれば簡単な魔術は使えるし、サーヴァントだってちゃんと従えてる。だからさ」

「間桐君。それってマスターとしての最低条件よ。貴方達をいちいち庇ってたらキリがないって言ってるの」

 

 そう言って、俺を刺すように睨みつける遠坂。

 なんだか、過去に俺を助けて大損こいて懲りたみたいな──

 

 まて。

 あの日、学校でランサーとアーチャーの戦いを目にして、俺はランサーに殺されかけた。けど、死んじゃいなかったわけだ。どんな手品を使っても、一度死んだ人間を生き返らせられるはずが無い。だとすれば、死ぬ前に何か反則みたいな手段で俺を助けてくれた誰かがいるはずなんだ。

 

 で、あの場ですぐに俺のとこに駆けつけられて、俺を治療できる力を持った人間は──

 

「……あのさ、遠坂」

 

 俺はポケットをまさぐり、掴んだそれを遠坂に見せる。

 あの時、俺のすぐ側に転がっていた赤い大きな宝石のペンダント。もし俺の考えが正しければ。

 

「これ、もしかしてお前のか」

 

 そう言うと、遠坂はぽかんとそれを見つめ、ゆっくりと後ろを振り返る。アーチャーはその視線を無視し、感情の無い色を瞳に反射させていた。そしてその先に映るのは俺の顔。まるで、俺自身と何かを繋げているように見えた。

 

「お、おおおい! お前ら! 上見ろ! 上!」

 

 慎二の慌てふためく声がしてすぐ、俺達の足元を巨大な影が覆い尽くす。

 振り向いて顔を上げると、曇天に浮遊する白桃の何か得体の知れない怪物が、白い布のようなものを揺らめかせながらこちらに近づいていた。縦長で、信じられないが校舎よりも全長が高い。規格外にも程があるというか、余りにも場違いでCGか何かに見えてくる。

 

 余りの迫力にたじろぐ俺達を他所に、友奈だけが前に進み、冷徹さを帯びた声で静かに呟いた。

 

「バー……テックス」

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