Fate/stay night[Endless Stardust]   作:おーたまー

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大人しく帰る。


2日目-開幕Ⅲ

 慎二が何をしていたのか気になるところだが、これ以上の深入りは危険かもしれない。一歩間違えたら、昨日みたくサーヴァント同士の争いに発展するリスクがあるわけだ。

 何より、あの女性を放っておくのはまずい。何かされる前に、ちゃんと家に送ってやらないと。

 

 

 女性は遠慮しつつも、俺達の厚意に従い、近くまで随伴する。君達も早く帰った方がいいよ、と言い残し、俺達も帰路に立った。

 しかし、いよいよ夜も更けてきちまった。藤ねえ、心配してるだろうな。

 

「……」

 

 冬木中央公園に差し掛かる。

 10年前、火災で何もかもが焼け落ち、その跡地として作られた公園。

 芝生のひとつでも植えりゃいいのに、いつまで経ってもここはさっぱりしてしまっている。ビルやら何やら慌てて建てていったぶん、ここだけぽっかりと孔が空いてしまったみたいで落ち着かない。

 開けた視界に、あの焼け付くような黒煙の影がちらつくのは、この景色のせいなのか、俺自身の問題なのか。

 

「ここ……先輩が正義の味方になりたいって言ったのと、なにか関係あったりするんですか」

「な、なんで分かったんだ」

 

 思わず目を丸くする。

 察しがいいなんてもんじゃないぞ。

 

「いえ……ここ、怨念の密度が凄く濃いので。それと同類のサーヴァントなら、きっとみんな感じると思います。きっと、何が凄く悲しいことが、あったんだろうって」

「……」

 

 心臓に吊るされていた錘がいくつか数を増したように、どこか胸の奥が重くなって、苦しい。

 

 そりゃそうだよな。あれだけのことがあったんだから。

 すぐに成仏して、あの世になんていけやしない。死にたくない。生きたい。それでも、それが叶わなかったんだから。

 

 だから、のうのうと息をしている俺を、ここにいるみんなはきっと、心の底から憎らしく思っているだろう。

 

 ごめん。

 謝って済む問題じゃないのは分かってる。だからこそ、俺は──

 

「見つけたよ、お兄ちゃん」

「……!」

 

 鈴のような声を聞いて、思わず顔を上げる。

 何だ、あの子。

 雪原を思わせる白い長髪に、夜空の下、爛々と輝く宝石のような紅の瞳。まるで、常世の国からやってきたみたいな、浮世離れした美しさ。

 まて。そういえば、昨日の夜、家に帰る途中ですれ違って、確かその時──

 

 

 ──早く喚び出さないと死んじゃうよ、お兄ちゃん──

 

 

「もう分かってるんだよ。お兄ちゃんがマスターになったこと。だってそいつ、サーヴァントなんでしょ」

「……!」

 

 友奈が傍らで息を呑み、俺はこの状況の危うさを感じ取る。

 遠坂も慎二も、そのサーヴァント達も、友奈をサーヴァントだと看破出来はしなかったというのに。

 

「普通の魔術師やサーヴァントじゃ分からないでしょうね。でも、霊脈がなんか気持ち悪いし。私の目は誤魔化せないわよ」

 

 そう言って、白い少女の背後の空間が歪み、俺達は絶句する。

 

 巨岩と見紛う程の大男が鬼神の如き眼光を閃かせ、こちらを見下ろしていたのだ。

 

 間違いなくサーヴァント。ただ、あんなのはその中でもどう考えたって尋常の外にいるだろう。桁が違う。次元が違う。そんな表現じゃまるで足りない。あれは言うなれば、そう、反則そのものみたいな、絶対破滅の化身──

 

「私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。そしてこいつはバーサーカー、ギリシャの大英雄ヘラクレス。これで自己紹介は済んだし──」

 

 イリヤスフィールと名乗る少女は優雅にスカートの裾を持ち、ゆっくりと顔を上げ──

 

「じゃあ、殺すね。やっちゃえ、バーサーカー!」

 

 信じられないような言葉を発し、俺達に牙を剥いた──!




今回ははっきり民意が示されましたね!
やりやすくて助かります。

ちなみに……
「慎二を尾行する」
を選ぶと、ライダーとの交戦になる予定でした。
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