Fate/stay night[Endless Stardust] 作:おーたまー
慎二が何をしていたのか気になるところだが、これ以上の深入りは危険かもしれない。一歩間違えたら、昨日みたくサーヴァント同士の争いに発展するリスクがあるわけだ。
何より、あの女性を放っておくのはまずい。何かされる前に、ちゃんと家に送ってやらないと。
女性は遠慮しつつも、俺達の厚意に従い、近くまで随伴する。君達も早く帰った方がいいよ、と言い残し、俺達も帰路に立った。
しかし、いよいよ夜も更けてきちまった。藤ねえ、心配してるだろうな。
「……」
冬木中央公園に差し掛かる。
10年前、火災で何もかもが焼け落ち、その跡地として作られた公園。
芝生のひとつでも植えりゃいいのに、いつまで経ってもここはさっぱりしてしまっている。ビルやら何やら慌てて建てていったぶん、ここだけぽっかりと孔が空いてしまったみたいで落ち着かない。
開けた視界に、あの焼け付くような黒煙の影がちらつくのは、この景色のせいなのか、俺自身の問題なのか。
「ここ……先輩が正義の味方になりたいって言ったのと、なにか関係あったりするんですか」
「な、なんで分かったんだ」
思わず目を丸くする。
察しがいいなんてもんじゃないぞ。
「いえ……ここ、怨念の密度が凄く濃いので。それと同類のサーヴァントなら、きっとみんな感じると思います。きっと、何が凄く悲しいことが、あったんだろうって」
「……」
心臓に吊るされていた錘がいくつか数を増したように、どこか胸の奥が重くなって、苦しい。
そりゃそうだよな。あれだけのことがあったんだから。
すぐに成仏して、あの世になんていけやしない。死にたくない。生きたい。それでも、それが叶わなかったんだから。
だから、のうのうと息をしている俺を、ここにいるみんなはきっと、心の底から憎らしく思っているだろう。
ごめん。
謝って済む問題じゃないのは分かってる。だからこそ、俺は──
「見つけたよ、お兄ちゃん」
「……!」
鈴のような声を聞いて、思わず顔を上げる。
何だ、あの子。
雪原を思わせる白い長髪に、夜空の下、爛々と輝く宝石のような紅の瞳。まるで、常世の国からやってきたみたいな、浮世離れした美しさ。
まて。そういえば、昨日の夜、家に帰る途中ですれ違って、確かその時──
──早く喚び出さないと死んじゃうよ、お兄ちゃん──
「もう分かってるんだよ。お兄ちゃんがマスターになったこと。だってそいつ、サーヴァントなんでしょ」
「……!」
友奈が傍らで息を呑み、俺はこの状況の危うさを感じ取る。
遠坂も慎二も、そのサーヴァント達も、友奈をサーヴァントだと看破出来はしなかったというのに。
「普通の魔術師やサーヴァントじゃ分からないでしょうね。でも、霊脈がなんか気持ち悪いし。私の目は誤魔化せないわよ」
そう言って、白い少女の背後の空間が歪み、俺達は絶句する。
巨岩と見紛う程の大男が鬼神の如き眼光を閃かせ、こちらを見下ろしていたのだ。
間違いなくサーヴァント。ただ、あんなのはその中でもどう考えたって尋常の外にいるだろう。桁が違う。次元が違う。そんな表現じゃまるで足りない。あれは言うなれば、そう、反則そのものみたいな、絶対破滅の化身──
「私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。そしてこいつはバーサーカー、ギリシャの大英雄ヘラクレス。これで自己紹介は済んだし──」
イリヤスフィールと名乗る少女は優雅にスカートの裾を持ち、ゆっくりと顔を上げ──
「じゃあ、殺すね。やっちゃえ、バーサーカー!」
信じられないような言葉を発し、俺達に牙を剥いた──!
今回ははっきり民意が示されましたね!
やりやすくて助かります。
ちなみに……
「慎二を尾行する」
を選ぶと、ライダーとの交戦になる予定でした。