なんか思ったよりまともそうな感じしますが、原作に寄せていきますよぉぉぉ!
村長に「仲間を探してみてはどうだい?」と言われたあと、俺とアクアはそのまま集会所へ向かった。
……向かったのだが。
「ねえ」
「何だ」
「本当に見つかるの?」
「……知らん」
「知らんって何よ!」
「だって仕方ないだろ!俺だって、こういうのはゲームだと酒場で話しかければメンバーが即加入、みたいなイメージしかないんだから」
「何よそのウィザー○リィな世界…」
雑なのはお前の人生も大概だろ、てかウィザー○リィ分かんのかよ!と喉まで出かかったが、今は飲み込んでおく。
ちなみに俺の好感度はちょっぴり上がった。
外は相変わらず寒い。
だが、集会所の戸を開けた瞬間、そこに流れていた空気は外とは別物だった。
暖炉の熱。
獣臭さと鉄の匂い。
木の机に乱雑に置かれたカップ。
雪山帰りらしいハンターたちの防具と武器。
誰かの笑い声と、真面目な依頼の話をする低い声。
ポッケ村の集会所はべらぼうに広い…わけじゃない。
でも、その距離感が近いせいか“狩るための人間が集まる場所”としての熱は、村の他の建物よりずっと濃かった。
「……何か、急に本物のハンターっぽいわね」
隣でアクアが小声になる。
「……今さらかよ」
俺もヒソヒソと小声で返す。
決して場の雰囲気に気圧されたわけじゃない、うん。
「だって今までは村長と加工屋とアイルーと行商のおばあちゃんくらいしか接点なかったじゃない」
「…確かに、それはそうだな」
正直、俺も少し分かる。
ここにいる連中は、たぶん俺たちより長くこの村で狩りをしてきた連中だ。
ギアノス五匹で大騒ぎし、ファンゴに轢かれて半泣きになっていた俺たちとは、場数が違う。
「……何か、急に声かけづらくなってきたんだけど」
「同じく」
とりあえず、空いている場所に立って中を見回す。
弓を手入れしている男。
斧か槍か…よく分からない武器を壁に立てかけている女。
テーブルで地図を広げている二人組。
どいつもこいつも、少なくとも見た目は一流ハンターのそれっぽい。
だが、それっぽいが完成されてるだけに、話しかけづらい。
「……カズマさん」
「…何ですかね、アクアさん」
「言い出しっぺなんだから、最初の一人はあんたが行きなさいよ?」
「嫌だ…ってかなんでオレなの?」
「だって、あんたの方がまだ話せそうだし」
「…お前、色んな人見送った女神なんだろ!? 見知らぬ人に声かけるの慣れてるんじゃねえのか!!」
「私から声かけにいくことなんてなかったもの! ウィザード○ィしながら待ってて、来た人送ってただけだもん!」
「とんだコミュ障駄女神じゃねーか! どんだけウィザード○ィ好きなんだよ!?」
「人聞きが悪いわね!…あっ!じゃあ」
「じゃあどうすんだよ?」
「……自然に話しかけられる流れが来るのを待つっていうのは?」
「それ待ってたら日が暮れるわ!!」
俺がもはや小声なのか大声なのかよく分からない声量でツッコんだ、その時だった。
「君たちは……!」
不意に、後ろから落ち着いた女の声がした。
「ケガは無いみたいだな…よかった」
俺とアクアが同時に振り返る。
そこに立っていたのは、背の高い女ハンターだった。
しっかりした鎧。
スラッとした長身。
まっすぐ立つ姿勢。
その背中には大きな武器。
ただ、頭装備までつけているせいで、顔まではよく分からない。
「えっと……あの?すみません…人違いでは?」
俺が戸惑っていると、その女は小さく首を傾げた。
「ん? ……ああ、すまない。頭装備をつけたままだと顔も分からんな」
そう言って兜を外す。
その瞬間、見えた顔に、俺は数秒固まった。
金髪。
整った顔立ち。
真面目そうな青い瞳。
雪村の空気の中でも妙に目を引く、凛とした美人。
そして――今、思い出す。
ティガレックスに追われ、どう考えても死ぬと思ったあの瞬間。
閃光玉が炸裂して、あの化け物の動きが止まった。
自分の視界も全て塞がれたのだが…一瞬だけ見えた“美人なお姉さん”だ。
「あ! あの時の美人なお姉さん!!?」
Oh・・・。
ナンテコッタ。
思わず脊髄から言葉がそのまま出てしまった。
そして、出てから気づいた。
何で俺は初手で“美人なお姉さん”って言ったんだ。
「……」
「……」
若干照れ顔で困惑する女ハンターと果てしなくジト目のアクアの視線が、同時に刺さる。
「いや、あの、違う! 違う違う! ちゃうんです!その、言い方があの!!」
「…何がどう違うのよ?」
「…いやまぁ、そのう…」
女ハンターが、ほんの少しだけ困ったように笑う。
あ、駄目だ。
笑い方まで綺麗だ。
「ええぃ!……とにかくっ!! あの時はありがとうございました! ティガに追われてた時、助けてくれた人ですよね!?」
「ああ。轟竜に追われていた二人を見かけてな。閃光玉を投げた」
「やっぱりあの時の!」
「そうか。あの時は閃光をまともに見ていたな。私にはあまり効かないから、少し羨ましかったぞ」
さらっと何か変なことを言った気もするが…これがハンタージョークっていうやつか。
その横で、未だにアクアがじとーっとした目で俺を見ていた。
「……何よ、その顔」
「何が」
「いや、こっちの台詞なんだけど? 何その、さっきまで誘う勇気無いですーみたいだったのに、急に目の色変わったみたいな顔は」
「気のせいだろ」
「気のせいじゃないわよ」
女ハンターはそんな俺たちを見て、少しだけ首を傾げた。
「何かあったのか?」
「いや、何でもないです!」
「大いにありそうな返しね」
くそ、あわよくばと思ったが、アクアが妙なところで鋭い。
とにかく話を戻す。
「ええと、その……実は今、村長に仲間を探してみろって言われてて」
「仲間?」
「未確認の大型モンスターが出たのよ。それで二人で行くには、ちょっと分が悪いかもしれないな〜って…」
アクアのその言葉に、女ハンターの表情が少しだけ真面目になる。
「なるほど…二人はハンターで…未確認のモンスター、か」
「…何か、知ってるんですか?」
「いや、噂程度だが…かなりの大型の足跡を発見したというのは耳にした。しかし…いずれにせよ脅威を放っておくのは村にとっても良くないな」
そこで彼女は、一拍置いてから、まっすぐこちらを見た。
「よければ、手伝わせてくれないか?」
「…え?」
こっちから声をかけようと思っていた手前、
思わず間抜けな声が出た。
「いや、その…いいですか?」
「構わない。懇意の村の近くを荒らされるのも困るし、君たちにも借りがある」
「借り?」
「いや」
彼女は少しだけ言い直すように視線を逸らした。
「借り、というのはちょっと違うか。あの時は私が勝手に助けただけだしな…。いずれにせよ、君達が、今噂に聞く村を守ってるハンターだろう?私はこの村が好きなんだ…だから、その礼も兼ねて同行させてくれ」
何だその、出来すぎた人みたいな台詞は。
いや、実際出来すぎてる。
見た目が美人で、強そうで、しかも話までまとも。何なんだ。村の看板ハンターか何かか。
思わず、後ずさりしながら、ぽろっと本音が漏れた。
「やばい、見た目だけじゃなくて心まで美しいハンターだぞ、おい……」
アクアがすぐ横からじっとりした声を出す。
「……何よその目は」
「…べーつーにー?」
「腹立つわねその言い方!」
麗しき女ハンターは少しだけ困ったように眉を下げる。
「…あの…そういうのは、少しむず痒いからやめてほしいぞ?」
「す、すみません!」
「コホン…自己紹介が遅れたな」
彼女は兜を脇に抱え直し、きちんとした所作でこちらに向き直った。
「私の名はダクネス」
「ダクネスさん…」
「ふふ、歳だってそう離れていないだろう、だから敬語や“さん”付けはなるべく早く外してくれると嬉しいぞ?」
そう言って友好の証として差し出された手に、俺は慌てて応じた。
…綺麗だが、しっかりした手だった。
鍛えている人間の手だ。
華奢さよりも、強さが先に伝わる。
やっぱり本物だ。
見た目だけじゃない。
ちゃんとガチのハンターだ。
……だが四方八方どの方向から見ても美人さんと握手しているわけでありまして…。
「えっとあの…俺はカズマって言いまして、和を持って貴しの和に…」
「あのーしどろもどろはやめてもらえます?もうどいてっ!…私はアクアよ!よろしく頼むわね!ダクネス!!」
「ちょ!おま!!?」
俺とダクネスさんを引き離すだけで留まらず、生意気な口を聞きやがって!?
しかし、
その瞬間、ダクネスさんは少しばかり虚を突かれた顔を見せた。
そして、すぐにその表情は呼ばれる前よりも和らいだものとなった。
呼び捨て。
しかも、まるで前から知っていたみたいに自然な調子で。
少しだけ目を丸くしたあと、彼女はどこかくすぐったそうに、それでも嬉しさを隠しきれないように口元をほころばせた。
「ああ。こちらこそ、よろしく頼む、アクア……カズマもな?」
「…すみません、こんな生意気な賑やかし担当が居て…」
「賑やかし担当って何よ!」
「いや、お前…この方の前でずっと悲鳴上げてただろ」
「…当然でしょ!? 真後ろティガレックスよ!? それにアンタだってうるさかったんですけどーー!!」
「主にお前の(転移先の)せいでなー!!」
ダクネスが、ほんの少しだけ口元を緩めた。
「随分と仲が良いんだな」
「「よくない!」」
「そこは揃うのか……」
いやでも、第三者から見たらそう見えるのかもしれない。
少なくとも今のは、息が合ってると言えなくもない。
言いたくないが。
ダクネスは、壁際に立てかけていた武器へ視線をやった。
長い柄と、重そうな穂先。
いかにも突進してくる相手を受け止められそうな、頑丈な武器だ。
「明日もし、強大なドスファンゴでも居たら、私の真髄をお見せしよう」
その言い方には、妙な気負いがなかった。
ただ事実を述べるみたいに、自然に言う。
だからこそ、余計に頼もしく聞こえる。
「おお……!」
「…クッ」
思わず声が漏れた。
アクアは悔しそうな声が漏れ出てる。
「…なんか、すごい人っぽい台詞ね?」
「っぽいじゃなくて、実際すごい人なんじゃないのか?」
「なんなのよ…その、完全に信頼しきったみたいな顔は」
アクアがまた、じとっとした目を向けてくる。
「いや、だって…」
「ふーん?」
「…何だよ」
「別に? 私は別に何とも思ってないけど?」
「それ絶対なんか思ってるやつだろーが」
アクアはつんとそっぽを向く。
「何か、急に“頼れる人が来ました!”みたいな空気になってるのがちょっと気に入らないだけ」
「メンドくせー…」
「だってそうじゃない! 私だってここまでちゃんと戦ってきたのよ!?」
「そこは否定しないって」
「じゃあもっと私も立てなさいよ!」
ダクネスが、少し不思議そうに目を瞬かせたあと、真面目な顔で言った。
「アクアも、十分頼れる仲間に見えるが」
「……えっ」
アクアが固まった。
「いや、村長から二人の話を聞いてたんだ。やり手の片手剣使いと思い切りの良い太刀使いが村を守っている、少しくらい村を離れてもらっても構わない、と」
「……ふ、ふーん」
アクアが、今度は露骨にテレテレと照れた顔で俺とダクネスさんの方を交互に見てくる。
何だその、褒められた犬みたいな反応は。
「どしたん?」
「う、うるさいわね! 私は最初からやれる女神だったのよ!」
「さっきまで拗ねてたくせに」
「拗ねてないわ!」
集会所の空気が、少しだけ和らぐ。
ダクネスさんはそんな俺たちを見て、微笑を浮かべてから、静かに言った。
「では、明日の朝にまたここで落ち合おう。準備はしておく」
「あ、はい。よろしくお願いします!」
「よろしく頼む」
彼女はそれだけ言って、兜をつけ直した。
その動作まで妙に様になっているのが、何だか…ずるい。
立ち去る背中まで、いかにも“できるハンター”だった。
俺が思わずその後ろ姿を目で追っていると、横からどすっと肘が入った。
「いてっ!」
「また見てる」
「いや、そりゃ見るだろ。だって今の流れ、普通に格好よかったじゃないか」
「ふーん?」
「何だよその返事」
「別に。私は別に、ちょっとランス持ってるだけの人に感心したりしてないけど?」
「どうしたその無駄な対抗心」
「対抗してないわよ!」
してるな、これは。
だが、口では何だかんだ言っていても、アクアの足取りはさっきより軽かった。
俺もだ。
二人じゃ厳しいかもしれない。
そう思っていた相手に、ちゃんとした助けが入る。
それだけで、人間の心は結構あっさり軽くなる。
「……よし」
「何よ急に」
「明日、頑張るか」
「そうね」
アクアは、ちょっとだけ鼻を鳴らしたあとで言う。
「でも、明日になったら私の方が活躍するかもしれないわよ?」
「その台詞、今言うのかよ」
「今だから言うのよ。ああいう“私の戦いを見せよう”みたいなこと言われると、ちょっと燃えるじゃない」
「…確かにその気持ちも分からなくもないけど」
「でしょ?」
俺たちはそんなことを言い合いながら、集会所をあとにした。
明日、未確認のモンスターと戦う。
だが、その時には俺とアクアだけじゃない。
頼れる仲間が、一人増える。
その事実は、今日一番の収穫だった。
タグ追加しなきゃなー。
あ、そこの貴方!今なら感想と評価をして頂けると
来世でボーナスポイントが40以上に…いや強すぎますかね?
マジでよろしくお願いします!orz