血が出る描写とかはゲームのグロ規制準拠にしましょう!
翌朝、目が覚めた瞬間、俺は一つの重大な事実に気づいた。
ひじょーーーに寒い。
いや、家の中だから昨日の雪山ほどではない。
暖炉の火もまだ燻っているし、毛皮の寝具も思ったよりしっかりしている。
だが、それでも寒いものは寒い。
そしてもう一つの重大な事実として、隣の寝台では青髪の駄女神が毛布を全身に巻き付け、芋虫みたいな形状で丸まっていた。
「……おい」
「もうむり……」
まだ何も言ってないんだが。
「朝だぞ」
「むりィ……ポッケ村の朝、なめてた……。水の女神の住環境としてはだいぶ過酷なのよー……」
「昨日あれだけ騒いでた割に、順応が早いな」
「順応じゃないわよ、諦めよ、諦め。あと五分……」
「却下だ、顔洗ってこい」
俺は毛布の端を掴み、容赦なく引っぺがした。
「きゃああああっ!? 何すんのよこの鬼畜! レディの寝起きに対する敬意ってものがないの!?」
「女神なんじゃないの?お前」
「女神にもあるわよ人権が!」
「神権じゃなくて?」
「うまいこと言ったみたいな顔しないでよっ!」
結局、十分ほど揉めたあと、俺たちは眠気と寒さと戦いながら支度を済ませ、村長の居る場所へ向かった。
外は相変わらずの銀世界だ。
夜の間にまた雪が降ったのか、屋根や柵の上には新しい白が積もっている。
吐く息は白く、頬に当たる風がぴりつく。
「……ねえカズマ」
「何だ」
「私、今さらだけど思ったの」
「なにを?」
「異世界転生って、もっとこう……温暖で過ごしやすい場所から始まるものじゃない?」
「それは俺もきた時からずっと思ってる」
「草原とか、どっかの王都だとか、せめて雪原地帯でももう少し大きな街の中とか」
「お前の送迎ミスだろうが」
「だから多少の誤差だって言ってるでしょ!」
「初手ティガレックスは多少の誤差で済まねえよ!」
村長の元へ着くと、すでに焚火の前でお茶を飲んでいた小柄な老婆が、俺たちを見るなりふっと笑った。
「おや、ちゃんと起きてきたね。てっきり寒さで布団と一体化してるかと思ったよ」
「確かになりかけてたわ……」
「こいつは放っておくと本当にそうなりそうだったんで、無理やり剥がしてきました」
「あんまりな言い方じゃない!」
「まあ座りなさい。朝の話をしようじゃないか」
俺たちは村長の前に腰を下ろした。
湯気の立つお茶を渡された。
一口飲むと、体の中に熱が落ちていく。
「昨日も言ったが、あんたらはこの村にいる以上、ただの厄介者で終わるわけにはいかない。住むなら働く。食うなら動く。それが当たり前だ」
「ごもっともです」
「で、幸いあんたらには武器がある。なら、狩人……いや、最初は見習いとしてでもいい。ハンターとして働いてもらうのが一番早い」
ハンター。
その単語に、少しだけ背筋が伸びる。
「いきなり大物を狩れとは言わないよ。まずは簡単な依頼からだ。雪山草の納品さ」
「雪山草?」
「雪山に生えている草だよ」
アクアが首を傾げた。
「その通り。寒さに強い特徴を持つ薬草の一種で、雪山の低いエリアに生えてる。ポッケ村じゃ何かと入用でね。危険の少ない場所で、採集と地形に慣れるには丁度いい」
「……なるほど、分かりました」
確かに、モンハン的にも最初は採集クエストからだ。
いきなり大型モンスター討伐なんて無茶はさせない。いや、昨日はその無茶をチュートリアルで強制的にやらされたわけだが。
「ってことは、今日はあの化け物と戦わなくていいのね!?」
アクアががばっと身を乗り出す。
「低い場所なら、轟竜に遭うことはまずないよ。ギアノスやブランゴといった小型モンスターに気をつける程度だ」
「よかったぁ……!」
「安堵の基準が低すぎるな、おい」
「昨日のあれを経験したあとなら当然でしょ!」
村長は苦笑しながら、依頼書らしい木札を俺たちの前に置いた。
「雪山草を三つ。納品箱へきちんと入れること。もし危険を感じたら、無理せず戻るんだよ」
「分かりました」
「あと一つ」
村長が、妙に真面目な顔になる。
「雪山は、簡単な依頼でも油断すると死ぬ。寒さ、段差、視界、足場。モンスターだけが敵じゃない。昨日の自分たちの『恐れた気持ち』を忘れないことだね」
「「……はい」」
その言葉だけは、冗談抜きで胸に落ちた。
昨日のティガレックス。
あの咆哮。あの圧。
あの、雪山そのものが牙を剥いてくるような感覚。
ここはゲームの中のようでいて、やっぱり“現実”なのだ。
「じゃ、まずは腹ごしらえね!」
隣では、さっきまで神妙だったくせに、アクアがもう立ち上がっていた。
「切り替え早いな」
「狩りの前はしっかり食べなきゃ力が出ないんでしょ? 昨日学んだわ!」
「まあ、それはそうだ」
食事処へ行くと、アイルーたちが朝から元気に動き回っていた。
湯気の立つスープ、焼き魚、肉料理、野菜。相変わらず、とても美味しそうに映る。
「今日も絶対しっかり食べるわ。昨日みたいに、空腹で化け物に追い回されるなんてごめんよ!」
「それ空腹のせいじゃないけどな」
「細かいことはいいの!」
席に着き、料理を口に運ぶ。温かい。うまい。
やっぱり体の芯から力が湧いてくる感覚がある。
「……よし」
片手剣の柄に触れてみると、昨日より手に馴染む気がする。
もちろん気のせいかもしれないが、こういうのは雰囲気も大事だろう。
…覚悟を決めるか。
「…ホラ、見なさいカズマ、この私の華麗な太刀さばきを」
俺の雰囲気を察してか、妙に明るいアクアが席で箸代わりに木のスプーンを振り回し始めた。
「まだ食ってる最中だろうが」
「こう、敵が来たらすぱっと!」
「人に向けるなって昨日言ったよな?」
「これはスプーンだし!」
アイルーの一匹が、ちょっと引いた目でこちらを見ていたと思う。
食事を終え、装備を整え、俺たちはついに村の入り口へ立った。
白い息。
きしむ雪。
背負った武器の重さ。
「……なあアクア」
「何よ」
「これ、いよいよ始まるな」
「ええ。ハンター生活ってやつがね」
「不安は?」
「あるわよ」
「即答か」
「でも、それ以上に」
アクアは太刀の柄を握り、にやりと笑った。
「ちょっとだけ、わくわくもしてるわ」
「……まあ、俺も同じだ」
そうして俺たちは、ポッケ村の門を抜け、雪山へ向かった。
◇
向かう道中の幕間
「あ、そういえばなんか…女神パワー的なのあんまり使えなくなってたわ!」
「…マジですか!?」
「まぁなんとかなるでしょ!」
「なんとかなるかー??」
◇
雪山へ入った瞬間、空気が変わった。
村の周りだって十分寒いが、ここは別格だ。
風が強く、視界は白く、足元は滑りやすい。
地形の起伏もあって、ただ歩いているだけで体力を削られていく感じがする。
「さ、寒っ……!」
「当たり前だろ雪山だぞ」
「知ってるわよ! 知ってるけど寒いものは寒いの!」
アクアが肩を抱いて震える。昨日のようにパニックになっていないだけ進歩だが、油断するとまたすぐ騒ぎそうだ。
「とりあえず、村から支給された身体をあっためるドリンクを飲んで…身体に馴染んだら、最初のエリアで雪山草を探す。低い場所なら比較的安全なはずだ」
「…比較的って言ったわね今」
「この世界に絶対安全はないと、昨日学ばさせていただいたので」
「嫌な学習成果だこと!」
地面の端、岩陰、雪の薄い場所。
そういうところを意識して探していくと、しばらくして村長から聞いていた緑色の細い草が見つかった。
「これか」
「へえー、ほんとにあるのね」
「そりゃ依頼なんだからあるだろ」
俺はしゃがみ込み、慎重に雪山草を摘み取る。冷たいが、葉はしっかりしている。
「一つ目」
「思ったより簡単じゃない?」
「最初はな。こういう時こそ油断――」
その時、少し離れた場所から甲高い鳴き声が響いた。
「ギャウッ!」
「……来たか」
青白い小型の肉食竜。
確か…ギアノスだったか。
ソイツらが二頭、こちらを見つけて駆け寄ってくる。
「小さいじゃない! あれくらいなら私でも!」
アクアが太刀を抜いた。
「待て、考え無しに突っ込むな――」
「えいっ!」
ホーーント聞きやしないんだから。
アクアはそのまま雪を蹴って走り出し、太刀をぶんっと横薙ぎに振る――が、当然ながらそんな簡単に当たるわけもなく、ギアノスはひょいと身をかわした。
「えっ」
「だから言ったろ!」
すれ違いざま、別の一頭がアクアの足元へ噛みつく。
「きゃああっ!? ちょ、痛っ、痛い! 何このトカゲ、意外と本気で噛んでくるんだけど!?」
「モンスターだからな!」
身体が丈夫になった補正のおかげか、血は出ていないようだ。
…アイツで大丈夫なら、俺だって大丈夫なハズさ。
冷静に状況を見ると、もう一体の方がフリーだった。
俺は片手剣を抜き、アクアへ飛びかかろうとしていた個体の横腹へ斬りつけた。
そこまで硬くはない。ちゃんと刃通る。
もう一体のギアノスも短く鳴いて飛び退く。
「一旦退がれっ!」
片手剣は軽い。
大振りしなくていい。
今の俺にはこれくらいがちょうどいい。
脇腹に一撃喰らわした方と相対する。
アクアの方では、足を噛んだギアノスに対し、半泣きになりながら睨みつけ、太刀を振り回していた。
「女神の足に噛みつくとか不敬よ不敬よ!!」
「モンスターに礼儀を求めるな!薬草もらっただろ、今のうちにかじっとけ!!」
俺は目の前の奴がビビっていると判断し、
太刀を片手に薬草をもしゃもしゃしているアクアの前へ回り込み、盾の方で殴りつける。
めまいをおこしたギアノスは体勢を崩した。
「今だ、落ち着いて斬れ!」
「わ、分かったわ!」
アクアが今度はしっかり構え、上から振り下ろす。
偶然か、それとも女神の本気を出したのか、刃はきちんとギアノスの背に当たった。
「や、やった!」
「一回当たったくらいで調子に乗らない!」
「やったものはやったのよ!」
残った一頭は、こちらが思ったより手強いと見たのか、ギャウギャウと威嚇の声を上げてから雪の向こうへ逃げていった。
「……ふう」
戦闘が終わり、俺は片手剣を下ろす。
「足、大丈夫か?」
「大丈夫よ!…た、大したことなかったわね!」
「足噛まれて泣いてたやつが何か言ってる」
「泣いてない!」
「涙目だったろ」
「寒さのせいよ!」
まあ、最初の相手としては上出来だろう。
俺もアクアも無傷とはいかないが、大きな怪我はない。
そう思っていた矢先だ。
「ねえカズマさん」
「今度は何だ」
「あれ、雪山草よね?」
アクアが指差した先は、岩壁の上の方だった。
細いツタが垂れていて、その先の足場に草が生えている。
「あー……あれはそうっぽいな」
「じゃあアレを取りに行きましょ!」
「そうだな。三つ集めりゃ終わりだし」
俺たちはツタの前へ移動した。
…ここは見覚えのある地形だ。
モンハンプレイヤーなら一度は見たことがある、“登れるけどだいぶ無防備だなー”って思ったやつだ。
「先に行くぞ」
「え、ちょっと待ちなさいよ、私こういうのあんまり――」
「さっさと登れ。ここで立ち止まってても寒いだけだ」
俺はツタを掴み、慎重に登り始める。
足をかけ、体を引き上げ、また手を伸ばす。
……よし。いける。
その下から、アクアの情けない声が聞こえてきた。
「ちょ、ちょっと、これけっこー滑るんだけど!?」
「雪山だからな!」
「何でそんな当たり前みたいに言うのよ!引きニートだったんでしょ!!?」
見下ろすと、アクアが太刀を背負ったまま、ぎこちない動きでツタにしがみついていた。
「おい、武器が邪魔なら一回外せ、持ってやるから」
「もうそんな余裕ないわよ!」
「だったらもっと体を壁に寄せろ!」
「うぅ…分かったわよ!」
そう言った直後、雪の向こうからまたあの鳴き声が響く。
「ギャウッ!」
「……げ」
さっき逃げたギアノスか、その仲間か。
三頭ほどがこちらへ向かってきていた。
「カズマ!? 何か来てるんですけど!?」
「見りゃ分かるわ!」
「ねえ、これ登ってる最中に襲われるやつじゃない!?」
「その通りだよ畜生!」
ゲームとは違う。
全然襲ってくるだろう。
俺は上へ急ぐ。
足場まではあと少しだ。
だが、下のアクアは半分ほど登ったところで完全に固まっていた。
「ちょっと、待って、これ以上急いだら落ちる! 落ちるわよ私!」
「じゃあ落ちる前に登れ!」
「無茶言わないで!?」
ギアノスたちがツタの下へ到達する。跳ねる。噛みつこうとする。ぎりぎり届かないが、時間の問題だ。
「アクア! とにかく足動かせ! 俺が下に飛び降りるから!!」
「やってるわよ! あ、あのー…飛び降りるのはちょっと待ってもらいたいなぁ、って!」
「…なんでっ!!?」
「だって…下から色々覗けちゃうじゃない!?」
「そんなこと言ってる場合か!!?」
「だって丸見えは嫌なのよ!!」
「命の心配をしろ命の!次からズボン履いてこい!!」
「うわぁぁあん!尊厳は守りたいのよーー!!」
「その尊厳、ギアノスに食われる五秒前だぞ!!!」
「それはもっと嫌ああああっ!!」
恐怖がブーストになったのか、アクアは急にすごい勢いで登り始めた。
「速っ!」
「ハァハァ…やればできるのよ私は!」
その瞬間、アクアの足元が崩れた。
「嘘でしょぉぉぉっ!?」
「やればできてねぇぇぇ!!?」
俺は反射的に手を伸ばし、アクアの腕を掴んだ。
重い。
いや重いというか、予想以上に全体重でぶら下がってきやがる。
「お、おい! 暴れるな! 俺まで落ちる!」
「だって落ちたくないんだもん!!」
「知るか! 足! 足を壁につけろ!」
下ではギアノスたちが早く落ちてこいときゃんきゃん鳴いている。
上ではアクアが早く上げてくれとぎゃんぎゃん泣いている。
俺はカオスな状況で、そこらへんに生えているツタにしがみつきながら、片腕で女神を支える羽目になっていた。
何だこれ。初クエストの光景じゃねえ。
何か手は…?
……あった!
さっきまで見えてなかったが人が入れるだけの岩肌に窪みがある!
身体を振って反動をつける。
「よし、今だ! そこの足場に飛び移れ!」
「む、無理!」
「やれる!!」
「この鬼!」
「鬼でも何でもいいからやれ!!」
アクアは目をつぶり、えいやっと体を浮かせた。
どうにか窪みへ腹ばいに転がり込む。
……水色だったのか。
アクアが奥に行ったのを確認したあと、
俺もそこへ着地した。
「はぁっ、はぁっ……あ"ー疲れた」
「し、死ぬかと思った……」
「何回その台詞吐くんだよお前」
「昨日からずっと死ぬかと思ってるもの!」
下を見ると、ギアノスたちは諦めたのか、しばらくして別の方へ去っていった。
「……助かったな」
「ええ。あと、今のは仕方なかったとはいえ」
「何だ」
「…見えてないわよね?」
「そんな余裕一ミリもなかった」
「ホント?」
「…女神様に誓って」
「ならよし!」
「………基準が雑だな」
息を整えたあと、俺たちは近くの足場に生えていた雪山草を回収した。これで二つ目、三つ目。依頼の分は揃った。
「よし、これで帰れるな」
「帰れるのね!? 帰っていいのね!?」
「納品すればな」
「今すぐ納品しましょう! もう寄り道とかしなくていいから!」
その後の下り道でも、アクアはやたら後ろを気にしていた。まあ分からなくもない。俺だって、白い岩壁の向こうにティガレックスの影でも見えたら全力で逃げ出す自信がある。
幸い、帰り道で遭遇したのはポポがのんびり歩いているくらいで、あとは大きな事件もなかった。
そして、ベースキャンプの納品箱へ雪山草を放り込んだ。
「……終わった」
「終わったわね……!」
アクアが空を仰ぐ。
「何かすっごく疲れたんだけど、やったこと自体は草むしりとトカゲ退治と崖登りよね?」
「雪山の草むしりが平和だと勘違いしてた昨日の俺を殴ってやりたい」
「でも、ちゃんと終わらせたわ」
「まあな」
そう。終わらせたのだ。
派手な大型モンスター討伐じゃない。伝説の始まりでもない。
ただの雪山草納品。
けれど、昨日ティガに追われて死にかけた俺たちにとっては、それでも十分な一歩だった。
◇
ポッケ村へ戻ると、村長はすでに外で待っていた。
「おや、帰ってきたね」
「何とか、ですけど」
「雪山草もちゃんと納品してきたわよ! 褒めてもいいのよ!」
アクアが胸を張る。足を噛まれて半泣きだったことはなかったことにするらしい。
村長はくくっと笑った。
「初依頼としては上出来さ。戻ってこられただけでも十分だよ」
「随分ハードル低いな」
「雪山じゃ、それが一番難しいこともあるからねえ」
その言葉には妙な重みがあった。
「今日はゆっくり休みな。武器の具合も、自分たちの癖も、少しは見えただろう?」
「……はい」
確かに見えた。
俺は、無茶をしない方がいい。
アクアは、放っておくと無駄に無茶をする。
そして、この世界は簡単な依頼でも普通に人を殺しにくる。
「ねえカズマ」
「何だ」
「私、次はもう少し上手くやれる気がするわ」
「へえ」
「さっきのギアノス、二頭目はちゃんと斬れたし!」
「一頭目で噛まれてたけどな」
「そこは言わなくていいでしょ!」
思わず笑ってしまった。
疲れてる。寒い。先も不安だ。
けど、少しだけ分かってきた気がする。
この理不尽な世界でも、こいつとなら――いや、こいつがいるから余計面倒なことも多いだろうが――まあ、何とかやっていけるかもしれない。
「じゃあ次も頼むぞ、女神様」
「任せなさい! そのうちこの村で私の名を知らぬ者はいなくなるわ!」
「まずは武器を人に向けないところから始めろ」
「まだ言うの!?」
こうして、俺とアクアの最初のクエストは終わった。
轟竜を倒したわけでも、英雄になったわけでもない。
雪山の草を摘んで、ギアノスに追い回されて、女神のパンツが見える見えないで揉めただけだ。
……うん、実に俺たちらしい始まりだ。
だが、そんな始まりでも、一歩は一歩だ。
ポッケ村の空には、今日も白い息が溶けていく。
その向こう、雪山のさらに奥では、きっとあの轟竜が牙を研いでいるのだろう。
でも、今はまだいい。
今日を生き延びた。
それだけで、今は十分だった。
ご都合主義ですが、よければ感想とか評価とか頂けたら幸いどす!