アリス可愛い。なんか思いついたので描いちゃった。
1話 もう一人の勇者
俺はただぼんやり見ている。死屍累々となった人混みを、瓦礫になった街を、焼け爛れ見るも無残な左手を、
俺は死を待っていた。死が迎えに来るその時まで変わらない横向きの街並み。その光景を変えるだけの力は私にはもうなかった。
俺はどうしたいのだろう。ただぼんやり考える。ぼんやりと……それ故に何も考えていない、人間らしい答えが出た。それが誰にも聞かれる事なんてないと分かっていたとしても、声に出した。
「まだ…………生きたい……」
本能任せな回答に俺は馬鹿らしく感じたが、続きを考える力も使い果たしそのまま意識を失った。
「お!二人寝てるよ!二人とも裸だし一人は地面で寝てるし……」
うーん……
「先生見てないよね!?」
うるさい…………折角の安眠の時間を邪魔しないで欲しい。
"み、見てないよ!……"
……………駄目だ、もう寝付けなさそうだ。
「うーん………………」
目を開くと人が3人位いた。二人はよく似た格好をして、一人だけスーツを着ていた。なんで人がここにいるのかよく分からなかったけど、私は伸びをして立ち上がる。
なんだか前より低い気がする。なんで縮んでるんだろう?…………
「お、起きた!」
「…………ここは????」
いや、ここ何処????
「知らないの?」
「知らない…………てか寒い」
なんでこんな寒いんだろう……二の腕さすさすして体を温め…………待って服着てなくない?……
「…………えっ、服ない……」
「今気づいたの!?」
「そう…………と言うかなんでこんな所いるか分からない」
「記憶喪失?…………」
うーん……記憶喪失…………ではないような……こういう時はつい頭をかきたくなる。頭カキカキ…………ん、髪型まで変わってる。髪すごく長い。
それと多分体型も違う…………なんでだろう?…………
”名前は覚えているかな?”
「名前は……
私がどうしてだか覚えている名前を口に出すが、不思議な名前しか出てこない…………駄目だ思い出せない。私もう女みたいだしなんか適当に…………
「病村?????」
「変な名前だね」
「お姉ちゃん失礼だよ?」
「病村ハル、そう呼んで欲しい」
病村ハル……これでいいだろう。この名前が本物であるにしろないにしろ、一先ずこれでいい。
すると私の視界の端から何かが映る。あり得ないレベルで髪の長い少女…………とは言え今の私とは身長が変わらさそうな子だった。
「状況把握、難航、会話を試みます――説明をお願い出来ますか」
「…………」
どうやら私と同様気づいたらここにいたようだ。でも私と違い機械じみた発言なのはアンドロイドだからなのだろう。
「貴方も記憶喪失????」
「肯定、接触許可対象への遭遇時、本機の敵対意志は発動しません」
「うわ、すごい!ロボットの市民ならよくいるけど、こんなに私たちに似てるロボットを見るのは初めて!」
どうやら私は人として認知されているらしい。しかし私は果たして機械なのだろうか?……体が大きく変えられている事に何故か余り驚きを感じないが。
「うーん……どうしようか……」
「工場の地下、ほぼ全裸の女の子、おまけに記憶喪失……ふふっ、良い事思い付いちゃった!」
私はその発言に嫌な予感を覚えながら、予備の服を受け取り外へ向かう。
「そう言えば貴方方は?…………」
「自己紹介してなかったね……私は才羽モモイ!」
「私は才羽ミドリ、モモイの妹です」
”先生だよ。よろしくね”
「よろしくお願いします」
外へ出ると閑散とした廃墟だった。しかし見覚えのある場所でもあった。もしかしたら、目覚める前の場所があるかもしれない。
「もう帰るのか?」
「うん、そうだけど…………?」
「一つ寄りたいところがある……いいか?」
”いいよ。行こうか”
私は何となく予測がついていた。それを確信に変えたかったから、見覚えのある場所まで行きたかった。
…………………………………………………………
「うわ……何ここ酷い」
「オートマタもいないし…………」
「あった」
私達は周囲が酷く倒壊した場所に辿り着いた。壊れた街、死体の山、そのなかで私の持ち慣れた小銃を持つ左腕の焼け爛れた死体があった。酷い有様だったが、私は錆びてボロボロの小銃を拾い左腕の焼け爛れた人間に手を合わせる。
やっぱり私の身体は死んでいた。どうなっているのかは分からないけど、魂は死体からこの身体に乗り移ったようだ。
”…………”
「「…………」」
「質問、何をしているのですか?」
私の行動に気を使ってか才羽姉妹と先生は何も話さなかったが、Al-1Sは何も知らないから質問して来た。
「この死体の、魂が今後幸せであれるように願っている」
「願う?……」
「あぁ。意味なんてないだろうが、やらないよりはやったほうがいい」
私はそう答えてボロボロの小銃を拾い上げる。魂にとって持ち慣れたそれは今の私の身体には少し大きかった。それでも、私はこれを使いたかった。
「ねぇ、この人って?…………」
「…………」
私の前の姿…………と言っても信じてはくれないだろう。だから何か言い訳をしなくては。
「…………ただの知り合いだ」
それぐらいの回答しか思いつかなかったけど、もうそれでいいだろう。
「悪いな。私のわがままに付き合わせてしまって」
「ううん、気にしないでいいよ…………」
「その…………大変だったんだね」
「まあ、そうだな…………?」
なぜだか重苦しい雰囲気になったけれど、私達はその場所を去った。
…………………………………………………………
私達はミレニアムサイエンススクールのゲーム開発部と言う場所に連れられたようだ。私はミレニアムサイエンススクールの名前は聞いたことがなかった。
「もごもご……」
「あぁっ私のweeリモコン食べちゃだめ!ぺっ、して、ぺっ!」
私の隣の椅子に寝ていた少女は、赤子のようにゲームのリモコンを食べていた。
「にしてもこの子、なんて呼ぼうか……Al-1Sじゃ呼びにくいし」
「ハルちゃんは何か知らないの?」
「いや、知らん」
私が何故あの場所で眠っていたのか、と言うか何故死んだのにこの少女の体に変えられていたのか私が聞きたいぐらいだ。
「やっぱりハルちゃんも記憶喪失?……」
「…………そうなるのか?」
記憶喪失と言うには以前の記憶がはっきりと残っているが、朧気な記憶もあるから何とも言えない。
まあ私は記憶喪失としておけば過去の詮索をされ辛いだろう。
「………まあそうだな」
「うーん……それじゃあ今日からこの子はアリスって呼ぼう!」
「本機、アリス」
Al-1S……いや、アリスがそう肯定したためアリスとなる。まあ、本人が気に入っているならそれでいいと思う。
「……話は変わるが、私達の処遇はどうなる?」
「それは勿論、私達ゲーム開発部の部員になってもらうよ!」
「部員に?……何故?」
私が何故入る必要があるのだろう。そもそもミレニアムサイエンススクールと言う学校に通っていない者が部員と成れるのか分からなかった。
「それは…………」
「うちの部活は部員数が足りてないから」
「成る程……だが私はそもそもミレニアムの人間ではないが……どうするつもりだ?」
「それは私達がなんとかするよ!」
ならそれを信じよう。寧ろ私とアリスは拾われている以上、野に放たれれば困る身分故願ったり叶ったりだ。
「助かる」
「じゃあ服用意してくるね」
私はこれ以上何も言う必要はないだろう。そう思って、私はこの部室で彼女らの帰りを無言で待った。