光の勇者と闇の勇者   作:脱力戦士セシタマン

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 ミカとの遭遇

 月夜姫明サマ、前話誤字報告ありがとう御座います。それから都市の光サマ、3話5話の誤字報告ありがとう御座います。あとアリス可愛い。




10話 友好

 

 

 朝だ。もう1回言おう。朝だ。トリニティのトップが来る日だ。

 もう…………波乱万丈になる気しかしない。タダでさえ私が訓練で疲れまくっているにも関わらず私はもっと動かなきゃいけなくなりそうで、凄く憂鬱だ。

 それにトリニティのトップ、しかも単騎なのだ。相当計算高い奴で先頭にも抜かりのない化け物が来るんだろう

 

「………………」

 

 私は三つ編みにしてケープマントを付ける気力はあったけど、マスクとフードをするまでには至らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この子が新入りちゃん?可愛い〜♡」

 

 今絶賛ピンク髪の推定トリニティのトップの一人に撫でられている。何となくこの人凄まじい力を持ってそう。少し暴れようとしても全く動かないんだけど。怖いって…………

 

「あぁ……」

「リーダー…………タスケテ……」(涙目)

「大人しく撫でられておけ」

 

 リーダー見捨てないで!……そう心の中で叫んだけど、まあ私の色仕掛け(?)である程度拘束出来ていると考えたらまあいいのか。いいんだろうけど、へまをすれば私がこのまま握り潰されそうで凄く怖い…………

 

「『病村(やむら)ハル』です」

「ハルちゃんって言うんだ〜」

 

 頼むからそのなでなでする手を止めてくれ。はぁ……フード被って顔隠したほうが良かったなぁ…………

 因みに私の名前はトリニティのトップには言っていいみたい。まあ、私がバレたらアリウスかバレる事だから、別にいいみたいだ……いいんだが…………離して欲しい。

 

「それで…………アズサの様子はどうだ?」

「アズサちゃん?いい感じだよ!」

「そろそろハルの事もアズサに紹介しないとな……」

 

 アズサが誰だか、会ったことはないけど話は聞いてる。トリニティに行ったアリウスの内通者らしい。その援助をしたのがこの人なのだとか。

 

「その……貴方は?…………」

「あ、私?私はティーパーティの聖園ミカだよー」

「…………よ、よろしく」

 

 もう何と言うか、抱きついてワシワシするのやめてほしい。このままヘッドロックを決められたら三途の川が絶対見える。

 

「それで…………計画の方は?」

「順調だ。それにハルも増えて戦力としては幾分か安心だ」

「え?強いのこの子?」

「あぁ……マダム曰く、人を殺した事があるらしい」

「えっ?……………」

 

 ミカが衝撃的な表情で、私を離し……いや、私の肩に両手を置いて私の顔を見る。どうしても私のことは離したくないみたいだ。

 

「こんな幼気な子が?……嘘……だよね????」

「嘘じゃない。私がやり合ってそう感じた」

「えっ?……………」

 

 ミカは信じられないと言わんばかりの顔で私を二度見する。

 

「でも……望んでやったわけじゃないんでしょ?」

「……そう。私は……仲間を守る為に沢山殺した」

 

 数多くの敵を殺して、数多くの味方が死んで、悍ましい死体の山が出来た。

 

「でも……私は守れなくて、皆死んじゃった」

 

 私の故郷は戦争でなくなってしまった。もう存在しない故郷。とても懐かしくて……寂しい。

 

「えっ?……ハルちゃんもしかして過去からタイムスリップして来た人????」

「それは分からないけど…………私の朧気な記憶で、僅かに覚えてる。滅びたかどうかは…………あれ?」

「?……どうしたの?」

 

 どうして私は故郷が()()()()()()()()()()()()()()のだろう?私は戦争で戦ってて……殺して、殺して、殺して………………

 

「ううん…………ちょっと昔の事がちゃんと思い出せなくてね」

「ハル……お前は昔の事をどこまで覚えているんだ?」

「うーん……」

 

 私が何となく覚えているのは、何処かの国の軍人で、そこが戦争によって滅んだ事…………あとは…………

 

「…………結構忘れてるかな……覚えているのは私がいた国が滅んだってこと位だから……」

 

 私は自分の名前すら忘れていたのだ。まあ、記憶喪失でないとは思っていたが、思い返せば記憶喪失なのだろう。それでも、死ぬ直前の記憶は残っているし、国の存続の為に沢山殺した事も覚えてる。

 

「それに…………私は沢山人を殺した。やっぱり私は怪物だよ」

「………………」

 

 如何なる理由があれ、私は余りに大きな屍の山を気付き上げた。それが許されるかどうかが分からなくなるほど倫理観は終わっていない。

 人殺しはよくない、それが正しいかどうかはさておき、人が傷付けられるのは良しとしてはいけないはずだ。

 

「…………よし、決めた!」

「…………なんだ?」

 

 ミカの一念発起したかのような発言に、私は心の何処かで嫌な予感がしていた。なんか、碌でもない事に巻き込まれそうな気がしていた。

 

「ハルちゃんをトリニティに編入させてあげよう!」

 

 私は思わず天を仰いでしまう。分かってはいたが、それを良しとするのはいかがなものかと思えた。

 

「なっ!?」

「…………やめたほうがいいと思う」

「えっ!?でも今よりいい生活が出来るんだよ!?」

 

 サオリはマダムの時のように信じられない物を見たような顔でミカの方を見た。

 

「私は人殺しだし、そういうのが向いてる。トリニティに行っても、合わないと思うよ」

「大丈夫!いじめとか私が許さないんだから!」

「それに……私は戻りたい所がある」

「戻りたい所?」

 

 私は……ゲーム開発部に居たい。多分私のことなど忘れ去られ、追われる身故に入ることなんて出来ないんだろうけど……けれど…………

 

「…………滅んだ故郷も、その場所も…………私は居られなくなったけど…………それでも……戻りたい」

 

 私はミカの瞳を見つめてそう言う。私は凄く我儘だ。でも……私はあの楽しかった時間がどうしても忘れられなくて、どうしても戻りたかった。

 

「…………そっか」

 

 ミカはそう言うと漸く私を離してくれた。や っ た ぜ(大歓喜)

 

「まあ、暗い話は程々に……私の能力について解説でもしようかな」

「能力????」

「あぁ」

 

 そう言って私は拾った石ころを飴玉に変えてみせる。

 

「わーお☆まるで魔法じゃんね!」

「ハルは銃を弓に変えて撃ってるぞ」

「えっ!?ハルちゃん弓撃てるの!?」

「えっあっまあ」

「見せてほしいなぁ〜?」

 

 ミカさん、よしてくれ。無闇矢鱈に撃つものじゃないし、私にも負担が少なからずかかるのだ。でも撃たなかったら何されるか分かんないよぉ…………

 

「わ、分かりました…………あの看板にでも当てます」

 

 そう言って私は錆びた剣を魔剣ミストルテインへと変える。そして静寂の中私は魔剣ミストルテインに螺旋状の矢をつがえ弦を引く。

 

ぐぐぐぐ…………

 

 そして建物の一階に張り付けられた看板に狙いを定め、放つ。

 

「はっ!!!!」

 

バビュゥゥゥン!!!!!

 

 矢は衝撃波を放ちながら看板をぶち抜く……どころか建物の壁に大穴を開けるにまで撃ち抜かれる。

 

「凄ーい!」

 

 ミカが感嘆の声を発するが、それよりも私は建物がほんの僅かに傾いていることのほうが心配だった。

 

「ハルちゃん、やっぱり私の護衛に…………」

「ミカ!危ない!」

「!」

 

 サオリがそう叫ぶが、私は倒壊する建物に巻き込まれそうなミカを見た時には、既に身体は動き出していた。

 よくよく考えてみれば彼女は怪力なので瓦礫ぶち破って出てこれそうなもんだが、私の身体は勝手に動いていた為、巻き込まれないためにもミカに飛び掛って抱える。

 

「うわっ!?」

 

 私はミカを抱えて無理矢理地面を蹴った。

 

ガシャーン!!!!

 

 私とミカは瓦礫に埋もれずに済んだようだ。

 

「大丈夫?」

「う、うん……ってハルちゃんの方こそ大丈夫!?」

「大丈夫。大丈夫だから」

 

 私は随分お人好しらしい。人を殺す者が人を助けるなど、不思議な事だろう。だが私には守りたい物があった。今はもう、なくなってしまったけれども。

 

「無事で何よりだ。ハルも無茶しないでくれ」

「ごめんよリーダー」

 

 そしてこのあともミカさんとの会話(また撫でられながら)が続くこととなった。

 

 

 

 

 

 

…………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

「じゃあね〜!」

「またな」

「ま、また…………」

 

 今日はとても疲れた。訓練をしているわけではないのに何故か身体が重い…………

 

「……ハル」

「何?」

「お前はどうして利用する相手を……しかも強いと分かっていて助けたんだ?」

 

 ミカが見えなくなった辺りで、サオリはそう質問して来た。

 

「分からない」

 

 どうしてなのかは分からない。お人好しだから助けた、と言うにしては殆ど知らない人だし助ける必要もなかった筈だ。けれど、それはいけないと直感したから動いた。とても不思議な事だ。

 

「そうか。あと……建物はどうするつもりだ?」

「…………」

 

 マダムに絶対怒られるやつだ。非常に不味い。

 

「…………報告に言ってこい」

 

 ……私はいつもヒヨリが『うわーん!』と言っている気分が分かった気がする。内心泣きそうだった私は心の中でヴァニタスと唱えながら、どうか丸く収まってくれと願うことしか出来なかった。

 

 

ハルちゃんは最後にどうなって欲しい?

  • ゲーム開発部の部員になってハッピーエンド
  • 陰ながらもゲーム開発部を応援するファンに
  • 誰かを庇って死亡
  • 絶望して自殺
  • 姿を消し、その存在が二度と表に出なくなる
  • どうでもいい。アリス可愛い。
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