ハルちゃんは魔王にしません()
月夜姫明サマ、誤字報告ありがとう御座います。休みだけど執筆する気力が湧かねぇぜ。眠い。更新頻度上げられないのは赦して…………
アキちゃんは生かしたげましょう。あとアリスかわいい♡
あの鏖殺から1日が経った。私は一睡し朝を迎えて初めてあの異常性がどれ程恐ろしいものなのか冷静になって気付いた。
なんであんな殺したのか。私は罪のない人間は殺さないと決めていたのではなかったのか。怒りに任せてあれだったのか?でもあれは怒りと言うには余りに荒唐無稽で凄まじい物だった。だからといってあれは許されるものではない。いや、私が許したくなかった。
それに何より、私は殺しを喜んでしまっていた。守る為に殺すと決めていた筈なのに?……私は所詮人を殺す為の怪物でしかなかったの?
「私は…………何者なんだ?……私は人を殺すべくして殺す怪物だったの?」
私は目の焦点が合わず、グラグラする。駄目だ。マダムの所に行かなければいけないのに。なんでこんな全部が支離滅裂で整合性が保てない感じがするんだろう。そんな疑問を解決する気すらなく、私は体のバランスが取れず倒れてしまう。
「?……」
しかし誰かに支えられ、倒れずに済んだようだった。誰が支えてくれたのか──それに気を向けられる程私に余裕はなかった。
「ハル!大丈夫か!」
「リーダー…………」
どうやら私はサオリに支えられたようだ。
「大丈夫か?」
「大丈夫……大丈夫…………」
自分に言い聞かせるようにそう言うけど、私は自らの力で立てそうにはなかった。
「まずは休め。マダムには言っておく」
そのままぐったりしたままの私はサオリにお姫様抱っこされて、私の部屋まで運び込まれ、ベッドに寝かされた。
「ハル……体調が優れないなら寝ておけ」
「いや……体調が悪いわけじゃない」
身体の調子は悪くない。けど、心はぐちゃぐちゃな感情に埋め尽くされて、今私がどう感じているのかもう分からなかった。
「どういうことだ?……」
「私は………………自分が怖いよ」
「?」
サオリはきょとんとした様子で私を見た。
「私は……昨日の要人暗殺で、沢山殺した。罪のない人間を」
「…………トリニティは罪のない人間ではない。我々を追放した悪人だ」
「そうかもしれないけど……私は…………」
涙で視界が歪んでサオリがどんな顔をしているかよくわからなかった。私は下を向いて、心を埋め尽くすぐちゃぐちゃな感情を、表面から少しずつ剥ぎ取るように言葉にしてみる。
「私は…………誰かを守る為に戦いたい……でも……私の心の何処かで人を憎んでて、それがなんでか分からなくて……それで……それで……………………」
けれどこの強大な感情は到底説明出来ない気がした。私は…………どうしたいのだろう。
「あぁ……私は…………」
ふと私は昔の事を思い出した。それは掠れかけて、最早記憶と呼ぶには余りに断片的な物だったけど、私に取ってかけがえのない記憶の数々が呼び起こされた。
『ハルトー!死ぬ死ぬ!やばいって!』
『大丈夫俺はノーダメで……アーッ!死んだぁーっ!』
『フハハハ!これで1スト…………あっ自爆した!』
『油断するから……』
『まだ終わっちゃいねぇ!道連れアターック!』
部屋で寝転がりながら、幾人かと画面へ向けたコントローラーを小さな手で握った記憶。
『お兄ちゃん美味しいよ!』
『立派になって……!お母さん嬉しいわ……!』
『ありがとう……でも俺はこれで最後になるかも』
『…………ならせめて、後悔ないようにやってこい!』
『…………分かったよ、父さん!』
或いは幾人かと食卓を囲む記憶。
『ハルト……明日もまた天使サマをぶち殺してこいだとよ』
『だるすぎ〜』
『マジで銃弾効かねぇとかどうなってんだって話だよな』
『いやマジでそう』
『なにゆーてんねん。勝てばよかろうなのだ!』
『明日でとりま休日入るし頑張ろーぜ!休みや休みぃ!』
『ぜってぇ全員で生きて帰って遊ぶぞ!』
或いは戦場で明日死ぬかもしれない仲間と下らない会話で笑い合った記憶。
どうあがいたってそんな時期には戻れない事はわかっている。けれど…………どうしても戻りたかった。
「凄く……寂しいよ………………!」
私はこの感情をどう表現すればいいのか相変わらず分かってなかった。寂しいと言い表すとしても、そうと言うにしては余りに辛くて押し潰されそうな物があったからだ。
「!?」
突然私の視界は私は何が起きたのか分からなかった。分かるのは私は誰かに抱きしめられ、撫でられていることだった。
「辛かったですね……」
聞こえてきたのは同情の声。聴いたことある声だったが、私は同情なんかして欲しくなかった。
「わからないよ……私の寂しさなんて……孤独なんて…………みんなに置いてかれて……私一人取り残されて知らない世界にいる気持ちなんて…………」
「確かに分からない。私達にとっては世界は虚しいから余計にな。だが…………」
「……少なくとも、私たちがいるでしょ?」
私たちがとは?──どういう事かすぐには分からなかったけど、私にはアリウスの仲間がいる。それに関わりの深さや合う合わないの差はあれど、仲間である事に代わりはない。
私は漸く離された為に顔を上げてみる。
「げ、元気になりましたか?……」
私はどうやら私はヒヨリに抱かれ泣きついていたらしい。私の顔が当たっていたお腹辺りが酷くぐしょぐしょに濡れていた。
「…………」
「やっぱ……ハルは怪物なんかじゃないよ。ハルはハル」
「ミサキ…………」
「ハル…………お前が例え怪物だったとしても私達の仲間だ。何かあればリーダーの私が何とかする」
「うん…………ありがと」
『一人じゃないよ』
姫はそう、手話で伝えてくれた。そうなんだ。もしマダムが利用しようとして、使い捨てにする事を目的にしていたとしても…………私はアリウススクワッドの一員だ。アリウスの仲間だ。
私は存外一人ではなかったみたいだ。
「なんかごめんね。ヒヨリも」
「えへへ、大丈夫ですよ……その代わり、今日はカレーでお願いします……」
「…………はぁ……ヒヨリは相変わらずだね」
「同感」
「お二人とも!?」
「確かにそうだな」
「リーダーまで!酷いですぅ!!!!」
「ふふっ…………///」
私は思わず笑ってしまう。それはきっと安心から来る物なんだろう。私はとても気分が穏やかだった。まるで荒れた波が静かに凪に変わったかのような……そんな感じだった。
「あと、ハルって意外と人間味あるね」
「えぇっ!?!?」
「昨日のあれ、あれ見たときは流石に『ハルはホントはヤバイ奴なんじやないか』って本気で思ったよ」
「昨日のあれ?……要人暗殺で何かあったのか?」
「ハルがこ────」
「待って待ってミサキ!やめて!駄目だから!ね!」
私はすっかり元気になっていた。やっぱり……かけがえのない仲間というのは大切だ。もし仮に人を殺すことを好む怪物だったとしても……皆は私を一人にはしないでくれるんだろう。
存外、如何に酷い環境であれどこの温もりというものは変わらないのかもしれない。私はこれが守りたかった。そうだった筈だ。
「ありがとう皆。元気出た」
今はアリウススクワッドの仲間と笑い合える時を噛み締めよう。私の心が例え怪物のような醜い物であったとしても……私は──
────アリスのように、勇者でありたい。
なんか綺麗に終わっちまったぜ。次回予告でもしておきますか…………
次回予告!ハルちゃんはゲマトリアの会議に参加!ハルちゃんはどうなってしまうのか!
次回、ハルちゃん死す!(言いたいだけ)デュエルスタンバイ!!!!