ハルちゃんが襲われていますが私は悪くありません。
「……なんのよう?」
「お前には我々の仲間になってもらう」
「何故?」
私はこの人がどういう人なのか知らなかったし、何のつもりで私に来てほしいのかよく分からなかった。
「お前の力は我々の役に立つ……」
「…………怪しいからお断りさせてもらうよ」
「…………そうか……なら」
まあ、わざわざ私に話しかけてる位だ。どうせ『力ずくで気絶させていく』とか言い出すんだろう。ならばその前に殺る。
「力ず──」
ダダダダダダダダダ!!!
「!?」
先手必勝。殺せればいいのだ。飯は食えず睡眠は多分廃墟で起きてから一度も寝られていない為体の動きは些か鈍いが、まだどうにかなる範疇だ。
「ちっ!」ダダダダダダダダダ!!!
ヘイローの付いた人間の殺し方は
ならば毒と病原菌で弱らせ、短剣による出血で出血死を狙う。
今は互いに障害物に隠れた状態。銃を短くして、右手に若干錆びているボロボロの銃剣を持ち、角待ちをする。そして私は勘でタイミングを計り、サオリの方へ飛び込む。
「ふっ!」
「っ!?」
シャッ!!!
サオリを名乗る人間の腹を銃剣で切り裂く。キヴォトス人の耐久性ゆえに深く斬る事は出来ないが、浅くて十分。銃剣の状態は酷く、斬れば病原菌が入り込みボロボロの刃は複雑な傷を形成する。角待ちを警戒しないなんて感心しないな……角待ち対策は死にゲーの基本である。
毒も仕込まれているから、この時点でこちらがアドを取れた状態だ。ここからは純粋な殴り合い…………いや、体格差と戦闘経験の差から殴り合いは勝てないだろうから距離を取りたい。銃撃ならイーブンだろう。
「待て!」
私は一旦逃げる。路地裏だから道は入り組んでいて、追いかけるのは難しい筈だ。
「…………はぁ……諦めて……」
そこそこ逃げた辺りで私は足をとめる。傷もある。追っては来ない筈…………
タッタッタッ……!
走る音が聞こえる……後ろか!
私は錆びた剣を私の身長程ある大盾に変えて構える。
ダダダダダダダダダ!
「あたり!」
「甘い……!」
嫌な予感!
ドガーーーーン!!!!
「はぁ……はぁ……弱っている筈なのに手榴弾を食らって意識があるとはな…………」
サオリは倒れる私に銃口を突きつける。どうやら私は後ろに投げられていた手榴弾がクリーンヒットしたようだ。全身が痛いし力が入らない。だが銃剣に仕込まれている毒と流血で相手も確実に弱っている。
「降参…………」
ガシッ!
「!」
「するとでも!?」
こんな所で終われる訳がない。仕留められるのに、仕留めないなど言語道断。私は降参して両手を上げるふりをして銃口を掴んでそらす。
「殺す……殺す……殺す……!!!!」
今引き剥がされれば
ザシュッ!ザシュッ!
「っ!?」
今度は左足と腹を庇った左手を斬る。続いて左手の『錆びた剣』を槌の形に再構築させて叩きつける。
ゴッ!
「っ!」
横に跳ばれた為に地面に叩きつけられるが、それを追うように無理矢理私も飛び付いて短剣を切りつけようとする。
「ふん!」
ドンッ!
「うぐっ!……」
俺はそれを蹴りで拒否され、ふっとばされる。だが俺は錆びた剣を触り元の形に戻し、射撃する。
ダダダダダダ!
「っ!……」
銃弾は傷口に当たり、傷を更に悪化させる。
「ごほっ……ごはっ……」
「やっと膝を付いた…………言い残す事は?」
更に毒が効いてきたようだ。銃剣に仕込んでいるのは出血毒と神経毒をで2:8位の割合で混ざっている物だ。出来る限り神経毒のような即効性が高い毒のほうが良いが、逃げられた際に失血も狙えるよう出血毒も一応仕込んである。
「はぁ……はぁ……」
「…………無理だよな。神経毒で麻痺ってるからねぇ」
あとはこいつを何処かに隠s
ドガァァァン!!!!!
私はその音と共に、意識を手放してしまった。
…………………………………………………………
俺はただぼんやり見ている。死屍累々となった人混みを、瓦礫になった街を、焼け爛れ見るも無残な左手を。
この光景を知ってる。横向きの壊れた街並みは、死ぬ前の光景だ。思い出したくない、地獄だ。
「はっ!……」
ふと体を起こすと、そこはまた別の壊れた街並みだった。屍の山はないし、左手が爛れている訳では無い。
最悪な目覚めだ。
「漸く目覚めた……」
「すごく苦しそうでしたね……やっぱり生きるのって辛いですよね……」
声のする方を向くと、水色髪と黒髪のキヴォトス人がいた。初めて見る人だ。
「でも、凄いよね……まさかリーダーを単身であそこまで追い込むなんて……」
「毒を使うなんて、容赦ないですね……」
「…………誰?」
「……まず貴方の方から名乗るべきじゃない?」
……確かにそうだろう。
「私は『
私は余りどうこう言う気力も力もやる気も残っていなかった。だから出来れば聞く方でいたかった。
「私は戒野ミサキ、16歳で2年生」
「わ、私は槌永ヒヨリ、同じく16歳で2年生です……よろしくお願いします」
二人はそう名乗った。
「…………サオリはどうなっている?」
「リーダーなら違う部屋で治療してる。特殊な毒と複雑な傷口だから治療に手間取ってるって」
「……そうか……」
私はサオリを半分殺すつもりで刃を振るった。まあ、放置していたら死ぬ程度だったので大丈夫だろう。解毒も死ぬ前には終わるだろう。
「しかし何故私を狙ったのだ?」
「それは、マダムが連れてくるように行ったから」
「マダム?」
「ここ、アリウス分校を仕切ってる生徒会長」
生徒会長…………それがこのアリウス分校と言う場所を仕切る存在なのか。
「手に持てる物質なら幾らでも再構築出来る特殊な力と、身寄りが無くなったのをチャンスって思ったみたい」
「ほう……」
そうなると私を利用しようとしている人間ということか。まあ、別に生きていられればそれでいい。もう私はゲーム開発部には帰れないから……
するとこの部屋の扉が開いた。
「リーダー!?」
「もう大丈夫なんですか!?」
「あぁ、大丈夫だ」
入って来たサオリは私が切り付けた所に包帯を巻いており、私から見ても酷くやられたんだと分かるような状態だった。
「それよりハル、お前に聞きたい事がある」
「…………何?」
私は何を聞くのか全く想像がつかなかった。
「一体お前は、何をそんなに憎んでいるんだ?……」
サオリは少し真剣な眼差しでそう聞いてきた。どうしてそんな目で聞いてきたのか分からなかったけど、私は憎しみと言う単語が何処か心の中をピタリと当てられたような感じがした。
「…………分からない」
「……どういう事だ?」
「私は記憶喪失なんだ。年齢とか覚えてるけど、過去に何があったとかは覚えてない」
「そうだったんですね……」
少なくとも私がこの体になる前の事は覚えていないという事にしておこう。その方が何かと楽だ。けれど、憎しみに関しては…………どうしてだかある。それは私が戦っていた相手なのかもしれない。
「だから、何を憎んでいるのか分からない…………」
ただ、私が具体的に何を憎んでいるのか…………それだけはどうしても思い出せなかった。
「…………」
「それでも……私の恩人達には恩を返したい。その人達と居る時間は…………今分かったけど、楽しかった。戻れるなら……あの時に戻りたい」
私にとってはこの身体になる前は戦いばかりで遊ぶ事が出来なかったのに、ああやって遊べるのは凄く尊い事だった。
「vanitas vanitatum. et omnia vanitas. …………全ては虚しい。どこまで行っても虚しいのだ。だからそう言う甘い理想は捨てろ」
「……当然だよ。もう私に選択権なんてないでしょ?」
「あぁ」
どうやら私はこのアリウス分校にぶち込まれるのは確定らしい。さよならミレニアム。せめていつかまたゲーム開発部に会える日を願っていよう。
「それで……動けるか?」
「まあ……何か食べたいけど…………」
「ならこれでも食え。これからマダムの所へ向かう」
マダム……私をこの場所へ連れて来るよう指示した女か。一体どんな女なのだろうか?……私はもらった不味い携行食料をかじりながら想像した。
「まあ、どうせ碌でもない人だよね……」
「食べたか……行くぞ」
そして私はベッドから立ち上がり、サオリの後ろをついて行った。
おやすみボーナスにより私は毎日投稿出来ていましたが切れます。毎日投稿は出来ませんごめんなさい。
ハルちゃんにはどれくらい酷い目にあってほしいですか?
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筆者が行けるとこまでかっとばせ!
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一回ボロボロにしたら十分!
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そんな幼気な少女(中身男)を虐めないで!
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どうでもいいアリス可愛い♡