僕のヒーローアカデミア〜シスターズ・ニュー・ワールド〜   作:BONDX

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初めまして。
本作を手に取っていただき、誠にありがとうございます。
人生初のハーメルン、AIの力も借りて遂に執筆を決意しました。
この物語は、『僕のヒーローアカデミア』をベースにした二次創作です。
以下の独自設定・独自解釈が含まれますので、ご一読いただけますと幸いです。
【本作の主な独自設定】
爆豪勝己に双子の妹・光利(ひかり)がいます。
轟焦凍に双子の妹・零火(れいか)がいます。
妹たちの存在により、爆豪勝己や轟家、そして緑谷出久の歩む道が原作から大きく分岐(改変)します。
原作では敵(ヴィラン)となったあのキャラクターの救済要素が含まれます。
【注意点】
一部、オリ主(妹たち)の個性の性質上、自傷的な描写や「余命宣告」などの重い設定が含まれます。
基本的には「妹を救いたい兄たち」と「期待に応えたい妹たち」の熱い絆と、B組での無双を描く物語になる予定です。
原作の悲劇を叩き壊し、新たなヒロアカの世界を築く。
そんな彼らの「滾る」物語を、どうか最後まで見守っていただければ幸いです。
ご都合主義満載で趣味丸出しのヒロアカですが、どうかお楽しみください。


プロローグ1 緑谷出久&爆豪勝己:Re;セット〜紅蓮の産声〜

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 あの日、爆豪家の時計は一度止まり、そして「守護」という名の狂気とともに動き出した。

 子供達の四歳の誕生日前夜。

 本来なら世界で一番幸せなはずだったリビングが、一瞬にして「地獄の底」へと作り変えられた。

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「見て、アニキ! あたしも――」

 

 爆豪勝己の双子の妹、光利(ひかり)が、得意げに右手の指を鳴らした、その瞬間だった。

 パチパチという可愛い火花を期待した勝己と出久の目の前で、空間を震わせるほどの指向性のない全方位爆発が、光利の小さな身体を内側から引き裂いた。

 

「…………ッ!?」

 

 言葉すら出ない。

 ドォン、という重い音と共に、光利の顔の真ん中が、頬が、その小さな身体の全身が真っ赤に割れ、両腕の血管が内圧に耐えきれず弾け飛ぶ。

 

「あ………れ……?けぼっ……ぉ…。」

 

口と目から、あらゆる穴から光利の血が流れ出て、自らの血溜まりの中に幼い少女の肢体が音を立てて倒れた。

 

「ひ、……ひーちゃああああああああん!!!」

 

「光利ィィイイイイイ!!!」

 

 出久と勝己の絶叫が、血飛沫に染まったリビングに響き渡った。

 さっきまで笑っていた妹は、一瞬にして「真っ赤な肉塊」へと変わり、床に崩れ落ちている。

 

「……あ、……あ、あぁ……あああああああああ!!!」

 

 キッチンから飛び出してきた母・光己が、それを見て腰を抜かし、半狂乱で娘の元へ這い寄る。

 父・勝も、震える手で通報ボタンを何度も押し間違えていた。

 

「止まれ! 止まれよクソが! なんで……なんでこんなに出るんだよッ!!」

 

 勝己は、溢れ出す光利の鮮血を、自分の小さな両手で必死に抑え込もうとした。

 けれど、指の間から温かくて生臭い液体が、ドクドクと容赦なく溢れ出す。

 自分のTシャツも、ズボンも、腕も。すべてが妹の返り血でベッタリと赤黒く塗り潰されていく。

 その横で、出久はただガタガタと歯の根を鳴らし、自分の「無個性」をこれほどまでに呪ったことはなかった。

        *

 病院の廊下。

 緊急手術中を告げる赤いランプが、死神の目のように二人を睨みつけている。

 光己は勝の肩を掴んで泣き叫び、勝はただ一点を見つめて沈黙していた。

 勝己は、パイプ椅子に深く沈み込み、自分の「両手」を見つめていた。

 洗面所で何度洗っても、爪の間に、皮膚の皺に、光利の血の色が、あの生臭い鉄の匂いが、こびりついて離れない。

 

(……俺が、……俺が『爆発』なんて見せなきゃ。……あいつ、こんな……っ)

 

 自分の『最強の個性』が、大好きな妹をズタズタにした。

 その事実が、勝己の心を鋭利に切り裂いていた。

 

        *

 

 深夜の病室。

 そこには、全身を幾重にも巻かれた包帯だらけの光利が、痛々しい機械音に囲まれて眠っていた。

 顔の真ん中を横断する太い包帯。両腕、両足、首筋。

 

「……奇跡的に一命は取り留めましたが、全身に消えない傷が残るでしょう。……そして、この個性を使い続ければ、彼女の身体は……」

 

 勝己は、医師のその言葉を最後まで聞くことができなかった。

 ただ、眠り続ける光利の、わずかに露出した青白い頬を、震える指でなぞる。

 

(……死なせねぇ。……二度と、あんな音はさせねぇ)

 

 勝己の掌が、怒りと恐怖で小さく爆ぜた。

 この夜、彼は決めたのだ。

 妹を救えない「最強」なんていらない。

 

 

 

 あの日、爆豪家のリビングに飾られるはずだった四歳のバースデーケーキは、手付かずのまま放置され、光利の血で汚れた床だけが、その凄惨な「目覚め」を物語っていた。

 真っ白な病院の応接室。消毒液の匂いが、逃げ場のない現実を突きつけていた。

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「……個性の名は『爆血(ばっけつ)』。文字通り、自らの血液を起爆剤とする変異型の発現です」

 

 医師の声は、無機質で、残酷だった。

 差し出されたレントゲン写真には、幼い光利の体内で、まるで時限爆弾のように脈打つ血管の異常なネットワークが写し出されていた。

 

「起爆のたびに、血管と筋肉が内側から破裂します。……今回は、全身の毛細血管が一度に弾けたことで、多臓器不全と出血性ショックを引き起こしました。一命を取り留めたのは、彼女の再生能力が異常に高かったからです。ですが――」

 

 医師は眼鏡を指先で押し上げ、爆豪夫妻と、椅子を握りしめて立ち尽くす勝己を交互に見た。

 

「再生はタダではありません。細胞分裂を極限まで加速させれば、その分、寿命のロウソクは早く燃え尽きる。……この個性を使い続ければ、お嬢さんの心臓は二十歳まで持たないでしょう。……いえ、それより早く、身体が『爆発』に耐えきれなくなる可能性の方が高い。」

 

 

「…………っ……あ」

 

 

 光己の喉から、ひび割れたような悲鳴が漏れた。

 いつも強気で、勝己を怒鳴り散らしていた彼女が、今は糸の切れた人形のように椅子から崩れ落ちる。

 

「なんで……なんでよりによって"血"なんですか!! あの娘が何したっていうのよ!!こんなの、あんまりじゃない!!」

 

 光己は、勝の胸ぐらを掴んで激しく揺さぶった。

 勝はただ、涙で歪んだ視界のまま、娘のレントゲン写真を見つめることしかできない。

 

「これじゃ光利は……あの子は、何のために生まれてきたの!? 自分の命を燃やして、あんなにボロボロになって……そんなの、そんなのヒーローでも何でもないわ!! これじゃただの……ただの呪いじゃない!!」

 

 光己の絶叫が、静かな廊下に響き渡る。

 その隣で。

 勝己は、自分の『爆破(最強)』の手の平を見つめていた。

 

(……俺の汗は、俺を傷つけねぇのに……あいつの血は、あいつを殺すのかよ。)

 

 数分違いで生まれた。同じ「爆発」の力を授かった。

 なのに、自分は「勝利」を与えられ、妹は「死」を背負わされた。

 その不条理が、四歳になったばかりの勝己の心に、消えない暗い影を落とす。

 

「……光利」

 

 勝己は、両親の嗚咽を背に、一人で応接室を出た。

 向かったのは、集中治療室のガラス越しに見える、小さな、小さすぎる妹の姿。

 全身を巻かれた包帯。機械的に繰り返される人工呼吸器の音。

 勝己は、自分の掌を血が滲むほど強く握りしめた。

 

(……俺が『爆発』なんて見せなきゃ、お前は……憧れなきゃ、お前はこんな……っ!!)

 

 この日、勝己の中から「最強のヒーロー」という傲慢な夢が半分死に、代わりに「妹の心臓を、一秒でも長く動かす」という、狂気にも似た守護の執念が産声を上げた。

 爆豪家の時計は、この日から、二十歳という名の絶壁へ向かって、絶望的なカウントダウンを開始したのだ。

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ーーーあの日、僕は二度目の、本当の絶望を味わった

 

一度目は、3歳の時。かっちゃんの手の中で、眩い火花が散ったとき。

才能という名の格差に、僕は自分の無力さを知った。

 

 

二度目は、かっちゃんとひーちゃんの4歳の誕生日前日、つまり今日。

祈るような静寂を切り裂いて、真っ赤な鮮血が舞ったとき。

 

 

 病院の廊下。消毒液の匂いが、鼻腔の奥にこびりついて離れない。

 僕は、自分の震える手を見つめていた。

 洗面所で何度洗っても、爪の間に、皮膚の皺に、ひーちゃんの血の色が、あの生臭い鉄の匂いが、こびりついている気がして。

 

(……あ。……あぁ。……これが、個性なんだ)

 

 僕がずっと……喉から手が出るほど欲しがっていた、ヒーローの力。

 それは、かっちゃんの手の中では眩い『勝利』の輝きだったのに。

 ひーちゃんの手の中では、彼女自身をバラバラに引き裂く『地獄』の爆音だった。

 

『なんで……なんでよりによって"血"なんですか!! あの娘が何したっていうのよ!!こんなの、あんまりじゃない!!』

 

 応接室から漏れ聞こえる、光己さんの叫び。

 あんなに強くてカッコよかった光己さんが、壊れた機械みたいに泣いている。

 

 『これじゃ光利は……あの子は、何のために生まれてきたの!?』

 

 その問いに、答えられる大人は誰もいなかった。

 二十歳。

 お医者さんが言った、ひーちゃんの心臓が止まるまでのカウントダウン。

 僕たちはまだ、五歳にもなっていないのに。……ひーちゃんの未来は、もう半分以上、奪われてしまった。

 僕は、集中治療室のガラスに額を押し当てた。

 包帯だらけで、機械の音に守られなきゃ息もできないひーちゃん。

 あの日、僕が『無個性』だと言われた時の絶望なんて、この血の匂いに比べたら、なんて贅沢な悩みだったんだろう。

 

(……ごめんね、ひーちゃん。……僕が、……僕が代わってあげられたら良かったのに)

 

 あの日、僕のヒーローへの憧れは一度死んだ。

 正義とか、平和の象徴とか、そんな遠い国の言葉はどうでもいい。

 僕はただ、ひーちゃんの心臓を、一秒でも長く動かしたい。

 

 僕の手は、まだ何も掴めないほど小さいけれど。

 この手の温もりが、いつか彼女の『爆血』の熱を少しでも吸い取れるなら。

 僕は、ヒーローになんてなれなくていい。……ただ、彼女の『命』を繋ぐための、一欠片の部品になりたかった。

 ――これが、僕たちの『オリジン』。

 

 おめでとうと言えない誕生日の朝。

 僕たちは、血に染まった拳を握りしめて、二十歳という名の絶壁へ向かって歩き出した。

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 目を覚ました光利(ひかり)が最初に見たのは、真っ白な天井と、視界を半分遮る分厚い包帯だった。

 全身を走る、焼けるような熱。呼吸をするたびに、内側から引き裂かれた身体が悲鳴を上げる。

 

「……ぁ、……アニキ」

 

 掠れた声で呼ぶと、ベッドの脇で椅子に座り、自分の両手を見つめていた勝己が、弾かれたように顔を上げた。

 その瞳は赤く腫れ、いつもなら「うるせぇ!」と怒鳴るはずの口が、今は小刻みに震えている。

 

「……光利……目が、覚めたのか」

 

「……おはよ、アニキ。……あたし、……パチパチ、できたよ。……アニキと、いっしょ……」

 

 光利は、包帯でぐるぐる巻きにされた右手を、誇らしげに、けれど力なく持ち上げようとした。

 その瞬間、勝己は椅子を蹴るように立ち上がり、妹のその手を、壊れ物を扱うような手つきで、けれど激しく押し留めた。

 

「……ふざけんじゃねぇ!!」

 

 怒号。けれど、それは光利に向けられたものではなく、自分たちの運命への絶叫だった。

 

「何が『いっしょ』だ! テメェのは、爆発じゃねぇ! 自分をバラバラにする、クソみたいな呪いだろ!! 二度と……二度と、その手で指を鳴らすんじゃねぇぞッ!!」

 

 勝己の目から、大粒の涙が光利の頬に落ちる。

 大好きで、世界一かっこいいと思っていた兄からの、初めての拒絶。

 光利は、包帯の下で顔を歪めた。

 

「……なんで? ……あたしも、……アニキみたいに、……つよくなって……」

 

「強くなんかならなくていい!!」

 

 そこへ、病室のドアを開けて、光己と勝が飛び込んできた。

 光己は光利の姿を見るなり、その場に泣き崩れ、ベッドのシーツを真っ赤な指先で自分の爪が食い込むほどに握りしめた。

 

「光利……。ごめんね!……お母さん、あんたを……こんな身体に産んじゃってッ……ごめんね……っ!!」

 

「光利、もういいんだ。ヒーローなんて、……そんな危ないこと、目指さなくていい。……お父さんたちが、一生、あんたを守るから……」

 

 家族全員が、泣いていた。

 本来なら「おめでとう」と笑い、ケーキを囲むはずの4歳の誕生日。

 光利に与えられたのは、家族からの「愛ゆえの拒絶」と、「ヒーローになる夢の剥奪」だった。

 部屋の隅では、出久がただ黙って、包帯だらけの光利を見つめていた。

 光利の頬を伝う涙が、包帯に染み込んでいく。

 

「……あたし、……いらない子なの?」

 

 ぽつりと漏れた、あまりに幼い問い。

 

「……違えよッ……死なせたくねぇだけだ!バカが!」

 

 勝己は、妹の冷え切った左手を、自分の「爆破」の熱を押し殺した掌で、ぎゅっと握りしめた。

 

 ――めでたくなんてない、4歳の誕生日。

 光利は、自分の血が流れる音を聞きながら、世界で一番孤独な「主役」になった。

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ーーーー1ヶ月後

 退院の日。光利は光己の腕に抱かれ、慣れ親しんだ玄関をくぐった。

 けれど、家の中に漂っていたはずの「火薬の匂い」は消え、代わりに鼻を突くのは、真新しい消毒液と、無理やり塗りつぶしたような芳香剤の匂い。

 

「……おかえり、光利。今日はあんたの好きな、辛くない麻婆豆腐にしたからね」

 

 光己の声は、いつものハリを失い、腫れ物に触るような脆さを孕んでいた。

 食卓に座る光利の身体には、まだ服の下に隠しきれない白い包帯が幾重にも巻かれている。

 

「……いただきます」

 

 光利がレンゲを持とうとした瞬間、隣に座っていた勝己が弾かれたようにその手首を掴んだ。

 

「……待て。……俺が、やる」

 

「えっ、……あたし、じぶんで……」

 

「……いいから……テメェは……動くんじゃねぇよ。」

 

 勝己は無言で、妹の口元にレンゲを運ぶ。

 そこにあるのは「お兄ちゃん」としての優しさではなく、「今にも崩れそうなガラス細工を凝視する」ような、狂気的なまでの強迫観念だった。

 勝己は、光利が少し肩を震わせるだけで「どこか痛むのか」と血相を変え、光利がフォークを落とせば「爆発させたのか」と、その掌を無理やりこじ開けて確認する。

 

(……アニキ、こわい。……お母さんも、お父さんも……みんな、あたしを『見てない』)

 

 家族の視線は、光利本人ではなく、彼女の血管の下でいつ爆ぜるか分からない『呪いの血』だけに注がれていた。

 爆豪家のリビングから、笑い声が消えた。

 光利が何かを喋ろうとするたびに、大人は「静かにしてなさい」「心臓に悪いわ」と、彼女の言葉を、……彼女の「生きたい」という衝動を、愛という名の真綿で締め付けていった。

 

「……ごちそうさま。……あたし、おへやにいくね」

 

 光利は、半分も残った料理を置いて、逃げるように二階へ上がった。

 

        *

 その夜。勝己は、自室のベッドで自分の掌を見つめていた。

 

(……あいつ……笑わなくなった。……俺が……俺のせいで……っ)

 

 自分が「使うな」と突き放したから、妹は死を免れた。

 けれど、自分が「ヒーローになんてなれるか」と夢を奪ったから、妹の心は死んでしまった。

 

 階下から聞こえる、光己の忍び泣く声。

 勝の、溜息。

 

 ――この家は、あの日、光利の血とともに一度壊れたのだ。

 

 勝己は、壁一枚隔てた妹の部屋に向かって、心の中で何度も謝り、そして、何度も自分を呪った。

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        *

 

 

夜。雨の降り始めた公園で、勝己は街灯の下に立ち尽くしていた。

駆け寄った出久に向かって、彼は血を吐くような絶望を叩きつけた。

 

「……何で、よりによって『血』なんだよ……!」

 

 

鉄柵を殴りつける。鈍い金属音。

 

 

「俺の汗は、爆ぜても俺を傷つけねぇ。……なのに、あいつのは何で……。俺と双子なのに、何でこんなに、全然違うじゃねぇかよっ!!」

 

 

二人は既に四歳の誕生日を迎えた。

だが、おめでとうなど、言えるはずがない。

 

「かっちゃん………。」

 

 

「…あいつ、4歳になったんだぞ」

 

雨に打たれながら、街灯の下で怖く勝己。その手には、本当なら誕生日に渡すはずだった、光利が欲しが っていたアニメのキャラクターのキーホルダーが握りしめられて いる

 

「おめでとうなんて、言えるかよ……… あいつが指を鳴らす度に、寿命が削れていくんだろ。…めでてえわけねえだろ、そんな誕生日……っ!!」

 

キーホルダーを地面に叩きつけそうになり、けれど結局、壊すことができずに勝己はそれをポケットにねじ込んだ。

 

「……死なせねえ。二十歳だか何だか知らねぇが、俺

が…俺の隣で、あいつを白髪のババアになるまで 生き永らえさせてやる。その為なら俺は……一生あいつに嫌われたままでいい」

 

勝己の震える肩に、出久はそっと手を置いた。

あの日、二人の価値観は根底から壊された。

「無個性」を嘆く暇なんて、もうない。

光利の二十歳の誕生日を、自分達が絶対に守り抜くと誓った。

 

ーーこれは、僕たちが最高のヒーローになるまでの物語じゃない。

僕たちが、たった一人の「彼女」の心臓を守り抜くための、茨の道の記録だ。

翌朝、腫らした目のひーちゃんを迎えた、四歳の誕生日。

それは、世界で一番残酷で、静かな「地獄」の始まりだったーー




最後までお読みいただき、ありがとうございます。
第1話から重苦しいスタートとなってしまいましたが、これが本作の「始まりの地獄」です。
光利の「爆血」という個性が、勝己や出久のヒーロー観をどう変えてしまったのか……。原作とは違う道を歩み始めた二人の「守護」への執念を感じていただければ幸いです。
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