猫になった!街を探索した!アルティが襲ってきた!熱い抱擁でアルティを倒した!以上!
今回は何時もより色々と終わってる気がします。
あれから誤解を解くのに時間がかかった。
冷静になったアルティの協力もあり、何とか俺が着替えている時にアルティが興奮して襲ってきたと言うことになった。
すまないアルティ。君の尊い尊い犠牲は忘れない。
明日まで。
咄嗟にアルティのせいにしてしまったのだ。
俺は悪くない。
あの時のこの世の全ての不条理を孕んだ漆黒よりどす黒い目は、二度と俺の頭の中から抜けることはないだろう。
そんな大事な仲間を保身の為に売った俺は、まるでその罰を受けるかのように不眠に苦しんでいた。
不眠の原因は分かっている。それは異常な程のムラムラ。
俺は無駄に馬鹿でかいベッドの上で、大きなため息をつく。
ここ数日。屋敷に居候を始めてから、まともな処理ができていない。
あの2人、異様に鼻が利くのだ。
昔、ルーキーだった二人と一緒に魔物の巣を数日観察するクエストを受けた際、俺がこっそり処理して帰ってくると、二人の顔は異様とも言っていいほど赤らみ、モジモジしだした。
俺だってそんなに勘が悪い訳でもない。
二人の変化の原因が俺の処理にあったことは即座に理解した。
あの時の気不味さはもう二度と味わいたくない。
しかし日に日に増していく性欲。
正直、アルティに抱きついた際の擦れで出そうだった。
このままではいけない。と言うか夢精の方が後々地獄。
浄化魔法で精液を水に戻せばいい…と思うかもしれないが、浄化魔法を開発したバカタレが精液は神聖なモノ…と認識しているようで、精液は浄化に対応していないのだ。
なんかもうプライドとか捨てて二人に性処理頼めばいい気もしてきた。
普段の俺が聞いたら全力でぶん殴ってきそうだ。
最近は全く行ってなかったが、あそこに行くとしよう。
俺は軽く着替えた後、屋敷から抜け出す。
時刻は夜中1時頃。本来男がこんな時間に外に出たら誘拐されるか襲われるか誘拐されるか誘拐されるかだ。
だが、俺には秘策がある。
この変装の天才フィル様の変装術をとくと見よ。
俺は胸に丸めたタオルを詰め込む。
そしてフードを深く被る。
これだけであっという間に変装完了。
こーれはどこからどう見ても女性である。
俺はその完璧と言っても過言では無い姿で夜の街へと向かう。
夜の街と言っても、俺が何時も向かうような市場では無い。
俺がついたその街は、夜でも異様な明かりと活気を纏う、甘い香水と生臭さ混じる街。
まぁ、想像の通りこの世界の色街。花街。
この世界は女性の方が性欲が強い。
しかし、男とて完全に性欲が無いわけではない。
と言うか男の性欲も前世の世界と大して変わらない。
女性の性欲が異常なだけ。
性欲が強いのは別に良いが、見ず知らずの他人にまで容赦なく手を出せるのは前世の価値観を持つものとしては耐え難いものがある。
女性の強さがミジンコ並ならともかく、普通に男を殴るだけで頭蓋骨陥没して即死するぐらいの力がある。
この世界は全人類女性レイプ魔計画が成功した世界線なのだ。死ね。
ここ一帯は、俺がいつも暮らす街と隣接している。
と言っても徒歩15分ほどで移動できるし、パスポートや手形のような物もいらない。
ただ色街を俺達の街から分断する為に無理矢理作られたかのような街。
また、ここ一帯から少し離れるとスラムのようになっており、それに伴いこの街は治安がかなり悪い。
俺が変装したのもそのためだ。
少し冷える夜風と、人々の様々な匂いと欲望が溢れている。
俺はそれにより屋敷にいた時より冷静になる。
俺が向かうのはとある魔道具を売る店。
「ねえねえ、そこのお姉さん」
俺の事だろうか?髭だって剃ってきたし、こんな人混みだ。
俺とは限らないな。先を急ごう。
「そこのフードを被ったお姉さん!良い男揃ってますよ〜〜!1イキ、どうです?」
あ、俺だ。まぁ無視して進もう。
そう思い、目線を前に戻す。
が。俺の視界に1人の見覚えある…と言うより今最も会いたくない1人が目に映る。
「今日は…あの店にするか。」
何か呟いているが今はどうでもいい。
あの糸目、やはり例の失業系暗殺者だ。
俺は今変装しているが、やっぱり中々のやり手。
もし俺の正体がバレたら、間違いなく襲いかかってくる。
俺は今何も武器も小道具も持っていない。
つまりバレたら詰み。
「気が変わった。案内してくれ。」
「おっ♪毎度あり!」
俺はなるべく声を高くして、かつ早足でその風俗?に向かう。
案内され、ついたのは一見普通の飲食店。
しかし…というかこんな場所に普通の飲食店が建つわけない。
ここでは商品を頼めば頼むほどより良いサービス(性的な)が付いてくる。
しかし、そんな事よりもヤバい問題がある。
あんの糸目、この店目当てだったのだ。
しかも俺の隣の席。
「おにーさん、コレとコレ2つずつ、よろしくー」
しかし、自分の隣のやつが何も注文しないで帰るのは怪しまれるに決まっている。
今のところはバレていない。最低限の商品頼んでさっさとトンズラここう。
俺はできる限り自然な動きでメニュー表を開く。
エロ水 10銅貨
激エロ水 1銀貨
超激エロ水 20銀貨
なんか凄い絶頂を感じる水 1金貨
なんだぁ…この店のメニュー。
この世界は貞操だけではなくネーミングセンスも逆転してんのか?
これ以上メニュー表をめくる勇気が出てこない。
「すいません、激エロ水一杯ください。」
「毎度〜」
取り敢えず無難そうなもの(?)を1つ頼む。
これを飲み干し次第、さっさと店を出よう。
先に失業糸目の方の注文が来たようだ。
「こちらご注文のディルドステーキとチンコ茶でーす」
成る程。そう来たか。
この店は何でもかんでも男性器を模せばいいと思っている脳みそ下半身野郎が料理を考えたのか?。
つーかチンコ茶って何?チンコと茶の共通点は?
ほら、皆も聞こえたか?聞こえただろう?
食材が泣いている。(幻聴)
俺が1人で絶望している時、糞糸目はそれはもう美味しそうにチンコの形のステーキを頬張る。
畜生。深夜だからか少し美味そうなのが余計に腹が立つ。
まぁ胃もたれ確定だから食べはしないが。
眺めているのが一番いい。
「お待たせしましたー激エロ水でーす」
俺のもとに届いたのは普通の水。
なんだ、よかった。ただ作った人がエロを見いだしているだけの一般的な水の様だ。
料理人がミズナーだったことに感謝し、まずは一口。
……ほんのりしょっぱい。おえっ。
? よく見たらマカロニの様なものが6つ浮かんでいる。
それは文字になっており、並び替えると げきえろみず 。
そんなABCスープみたいなノリだったのか…
俺は心を無にして激エロ水を飲み干す。
口の中が塩味でいっぱいになる。不快だ。
と言うかあのガニ股糸目、ステーキ2つも頼んで、後々の行為で気持ち悪くならないのだろうか。
俺はそんな謎とも言える心配をしながらも、会計しに行く。
「あら?お客様、サービスの方は受けていかれないのでしょうか?」
「ああ。すこし急用を思い出してな。」
「了解しました。1銀貨、お預かりいたしました。ご来店ありがとうございました。」
なんか、丁寧だな。
俺がよく夕飯を食べに行く酒場はもっと荒々しいのだが。
さて、会計を完了した俺はさっさとこの場から………
「食い逃げだーーっ!糸目の女が裏から逃げたぞ!」
……………。あいつ、食い逃げ目的だったかぁ。
だが別に俺は追うつもりは無い。
俺はざわつく店内を尻目に、店を後にする。
そして、すこし人通りの少ない路地になったところで。
首にナイフが当てられる。
同じ奴にナイフを首に当てられるのは人生初だ。
「おい、そこの女。さっきから私をチラチラと見ていたな。何が目的だ。」
「いや、サービス目的の人が殆どなのに、沢山食べるなぁ…と思った。それだけだ。」
「そうか。因みに、自衛団やあの店のケツを持っている貴族や地主、冒険者に私の特徴を言ったら殺す。わかったら消えろ。」
イラッ。
なんだ、反省していないじゃないか。
まぁ別に反省して欲しいとは思っていないが。
俺は瞬時に胸から布を取り出し、クソカス糸目の首を縛る。
「がっ!き…さ………ま!!」
不意打ちも不意打ちだったようで。
奴は大した抵抗もできず段々と力が弱くなっていき…死んだ。
嘘だ。殺してはない。
生きとるやろ。多分。
「…………。」
ベチィィィン!
俺は全力でゴミ糸目にビンタをする。
……起きないな。
俺は気絶したのを確認すると、胸に布を戻す。
「なんだか…疲れたな。さっさと引き渡して魔道具買お。」
俺は気絶した糸目を店員に預け、小走りで店に向かう。
俺が今から買う魔道具は、精液のみを移動させる魔道具。
本当は子宮に精液をぶち込む為の魔道具だが、発射していなくても移動できる。
つまり、わざわざ自慰行為しなくてもいいってことだ。
少々値が張るので、家で一人のときは自分で処理していたが、再びこれに頼る日が来るとは。
俺は店に入り、目的の品を買う。
1つ大体俺の3日分の給料。痛手だ。
俺は魔法が入った紙に魔力を込め、精液を瓶に取り出す。
…不思議な感覚だ。
別に気持ちよくはないのだが、苦しくもない。
さっさと帰ろう。
なんだか性欲が抜けて冷静になってきた。
世界は平和であるべきだ。
俺は行きほど早足では無い、程々の歩速で屋敷へと戻っていく。
時刻はおよそ夜中の三時頃。
人によっては早朝と答えるかもしれないそんな時刻に、俺は屋敷の大扉を音が鳴らないようにゆっくりと押す。
ギィィィィィィィ。
うっせえ!!!
バレてない…よな?
もしバレたら二人にこっぴどく怒られることが確定している。
…………。
屋敷は静寂に包まれており、2人が出てくる気配も足音もない。
よかった。バレていないようだ。
俺は屋敷のドアを開ける。
ゴンッ。
何かにぶつかった。柔らかくも、硬い。
暗くてよく見えないが、こんなところに壁なんか無かったはずだぞ。
俺は思わず顔を上げる。
「こんな夜中に出歩くとは、貴様男としての意識が足りないのではないか?」
「何をいう。俺はフィルでは無い。えーっと…そう!郵便だ!」
壁だと思っていたものはシースだった。
背が高いんだよ。
「お前…いつも以上に嘘が下手だぞ。魔法で声を少し変えているようだが声が変声魔法を使用した男性のそれだ。」
「うっ。」
「というか、部屋にフィルの気配がない。胸もどうせタオルを入れているだけだろう。」
「謝れば…許してくれるか?」
「謝るも糞もない。お前、自分が男だということが理解しているのか?」
「うぅ。すまなかった。」
「はぁ…。だから、謝らなくてもいいんだ。ただ、お前の気持ちも分かる。」
「どこに行ったか分かるのか?」
「お前なぁ…何年共に冒険してきたと思ってるのだ?大体どこに行ってきたのか位、アホの鈍感なアルティだって分かるぞ。」
なんか…しれっとまたアルティがけなされたな。可哀想に。
「あの魔道具目的だろう。男だってあるにはあるからな。言ってやれば買ってきてやったものを…。」
「そ…そうか…ありがとう。」
「お、おう。おまえがそんな真正面から礼を言うなんて珍しいな。まぁいいこんな夜中だ。ホットミルクを用意してやるから、さっさと飲んで寝ろ。」
「あぁ。すまないな。」
シース、言動は少し荒々しい所はあるが、気も利くしなんだかんだ面倒見も良いし優しい。
昔からそうだ。いつも世話になっている気がするな。
俺は椅子に座り、テーブルに置かれた程よい温かさのミルクをちびちびと啜る。
「なぁ、フィル。お前は魅力的だ。それはもう、恐ろしいほどに。」
「んぐ!!ゴホッゴホッ!な、何急にそんな事言ってるんだ…?」
「いや、アルティと最近アツアツじゃねぇか。だから、アタシも攻めなきゃな、と。それだけだ。」
何なんだコイツ。本当に。
不法侵入者かつ下着泥棒のくせに。
「そ、そそそそうか。それは…少し嬉しいなー。なんて…」
「プッ!あははは!本気にしちゃってるの、やっぱフィル可愛いな。」
彼女は誰も起こさない程度に、小さくも分かりやすく笑う。
「んだとぉ…。」
ホットミルクのせいにでもしておこう、顔が熱いのは。
「ま、アタシは本気だけどな。」
彼女が放ったひと言は誰にも気付かれることなく、深夜の静けさの中に飲まれていった。