貞操逆転世界の中堅冒険者   作:だいたいおおそよだいたい

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前回のあらすじ

ゾンビ化ドラゴン襲来!街が目茶苦茶!普通のゾンビも街に大量に侵入!

今回少々長めです。


オラッ!淫乱ガス!(普通にMVP)

街にゾンビが侵入して来てから数十分。

俺は冒険者達をポーションで治療、そして冒険者が一般市民を治療をし、近くにあった冒険者ギルドにて避難所を作っている。

 

この世界のゾンビは噛まれて感染…とはならない。

術者が死体や死にかけの体に疑似的な魂を上書きし、術者の命令を聞く存在。

 

ここで1つ、わかった事がある。

あのゾンビ共、女を襲わない。

抵抗すると襲ってはくるが、自分から襲いかかってくることは無いのだ。

 

なら男は?

 

男は拘束され、何処かへ連れ去られる。

少なくともゾンビを作った術者は性欲がある…かは断定出来ないが、男を何かしらに使おうとしている。

 

しかしそんな事よりも最悪な事が1つある。

ドラゴンがそこらかしこに火を放つのだ。まるで見せしめかのように。

 

音の爆弾によるショック死や焼死者、そして絶賛街で暴れまくってるゾンビと化したレッドドラゴンによる轢死者など、数百人は既に死者が出ているだろう。

 

俺達はギルド内にて、生き残りの男を取り囲む様な陣形をとっている。

 

「なあフィル…お前も中心の安全地帯にいたらいいんだぜ?あとはS級3人が帰ってくるのを待つだけなんだから。」

 

「何言ってんだ。S級3人が帰ってくるまで踏ん張るのが俺達の役目じゃないのか?」

 

「…まったく。お前、そう言う所は昔から一切変わらねぇな。後普通に凶暴化したゾンビが突っ込んでくるかもしれないリスクを減らす為に男は固まってて欲しいんだが。」

 

………。俺は無言で男達の方に数歩下がる。

 

それにしてもウォルスの奴、遅いなんてもんじゃない。

ここからあいつの足だと、屋敷への行き帰りで15分もかからない。シロを持ってたとて余りに遅い。

 

だが、今俺にできることはここでの待機。

ゾンビが俺達男を見ると凶暴化すると分かった今、無闇に動くことこそ悪手。

 

救助は他の冒険者に任せるのが最適。

 

 

 

 

 

 

 

俺がギルドに立て籠もっている際、屋敷では猛者2人が睨み合っていた。

 

 

「…あん?お前、ここは屋敷の敷地内だぞ。」

 

「…おや?貴方、この街ではあまり見ない顔ですね。」

 

相対するのは…俺をあの時拷問した眼鏡女。

 

「お前のその雰囲気…裏の人間だな。消えろ。アタシはシロって奴に用があるだけだ。」

 

「へえ…。それは奇遇ですね!私もなんですよ!」

 

「…お前、どーせ雇用主に誘拐か殺しでも頼まれてんだろ。消えろ。今なら特別に生かしてやる。」

 

「無理ですね。貴方こそ、今すぐそこから立ち去れば命だけは助けてあげますよ?」

 

「あっそ。じゃあ殺し合いで決まりだな!」

 

「それが貴方の最後の言葉にならないことを願いますよ!」

 

そう言うと、眼鏡の女は腰から一本のレイピアを抜く。

 

「私の名前はアプ。いや…コードネームの方が正しいですね。地獄でその名を広めてくれたら幸いです。」

 

「そいつはどーも。自己紹介ありがとさん。」

 

ウォルスは俺の体の大きさはあろう大鉈を背中から抜き出す。

 

「…最近は小細工だらけの後出しじゃんけん野郎とやり合ったばかりなのですが…やはり私は斬り合いの方が好きですね。」

 

「そうかい。お前…裏の人間の癖にやけにおしゃべりだな。」

 

言い終わると同時、ウォルスは地面を抉る様な勢いでアプに突進する。

 

「オラァァァ!!」

 

そのまま大鉈を真横に薙ぎ払う。

しかし、速さしなやかさが大鉈のそれではない。まるで小枝でも振り回す様に大鉈を薙ぐ。

 

「ちっ…!」

 

普通ならこれで上半身と下半身がお別れ。

しかし、アプは全力で跳躍することで何とか躱す。

 

(想像以上に早い…!あまり正面からやるのは得策ではありませんね…!)

 

(今のを普通に避けやがるか…めんどくせぇ相手だな。)

 

「ではこう言うのはどうです?」

 

アプは空中から爆弾スライムを固めたものを瞬時に4つ、手から飛ばす。

 

「あ?」

 

刺激を受けた爆弾スライムは瞬時爆発。

本来ならこれで勝負が終わる。それほどの爆発がウォルスを包む。

 

…しかし。煙が晴れ、中から現れたのは少し煤が付いただけで無傷に等しいウォルスの姿。

 

「わりぃがアタシは将来S級冒険者になる女だ。この程度の爆発で傷つく女じゃねぇぜ。」

 

「一々面倒くさい女ですね…!」

 

そのままウォルスがアプに瞬間移動かと見間違う速さで接近する。

そのまま流れる様に大鉈がアプに振り下ろされた。…が、やはりアプを捕らえるには至らない。

 

(やはり、私の実力で奴を仕留めきるのは困難…だけど、別にあの狼獣人を殺すのが仕事ではありません。あと5分粘れれば万々歳…!)

 

しかし、アプの顔を見てウォルスは謎解きが解けたような、嬉々とした声を張り上げる。

 

「…お仲間に頼り切りか!お前のこの顔!決定打がありませんって顔してるなぁ〜!」

 

「一々大声で喋らなくても聞こえてますよ。クソ犬。」

 

(今最優先は定期的に攻めて、逃げるを繰り返します!)

 

アプはさっきまでの引きから一転、自らウォルスに突っ込み、レイピアを高速で突きまくる。

 

「こんなの避けるまでも…あ?」

 

レイピアを突いたと同時。

爆発でも傷つかなかったウォルスの身体から血飛沫が舞う。

 

(傷の割に痛ぇ。あのレイピア、金属が特殊?それとも刀身に細かいかえしでも大量についてるのか?)

 

「そのレイピア…特殊な金属か特殊な造りで作られてるな。めんどくせぇ。」

 

「両方正解です。この街の名工が打ったレイピアですので。」

 

(突かれた部分がピリピリするな…毒か。)

 

「……タフですね。」

 

(この毒、常人なら少量でも触れると麻痺して動けなくなる代物なのですが…)

 

「いい加減死んでください。」

 

「お前こそ!」

 

ウォルスはいち早く決着をつけたい。

アプはその焦りを利用して時間を稼ぎたい。そのため更に毒を打ち込むべく、斬り合いを選ぶ。

 

互い全力で斬り合う。それは嵐と見間違う程の斬撃。

それは平等に二人に振り注ぐ。

 

…ように見えたが、ウォルスが毒の痺れの影響で一段スピードが遅くなっている。

 

攻撃が当たった際のアドバンテージを見るに、互角に見える勝負。

 

…しかし、アプは全て見切り、ウォルスだけが血飛沫をあげていく。

 

「…ちっ!痺れるなぁ!体も勝負も!」

 

そして、ウォルスの確実な隙をついたアプは急所に向かって今までの比ではない速度で突きを放つ。

 

「貰いました。さよなら。」

 

「がっ!」

 

レイピアがウォルスの胸部に深々と突き刺さる。

…が。

 

(ちっ!この感覚…!鎧で見えなかったが殆どが体毛と胸の脂肪!)

 

「あー…。わざと隙作ったんだが…意外と冷静さを欠いてたみてぇだな。攻めすぎだ。」

 

「何を…!」

 

(だが!この距離で大鉈は振れない…!このままレイピアを心臓まで捻り込む!)

 

「それは負け惜しみですか?随分と間抜けな遺言でしたね!」

 

アプがレイピアに力を込める。が、その瞬間。

 

「アタシ、狼の獣人なんだわ。」

 

「ごふっ!」

 

ウォルスの鋭い爪がアプの着込みの鎧ごと腹を引き裂く。

 

「ごぶっ!!!!」

 

爪は内臓を斬り裂いており、ボトボトと違う地面に垂れていく。

 

「終わりだ。これ以上やっても勝てねえよ。」

 

「そ…れがどうしましたか!共に地獄にいきましょう!」

 

しかし、アプは執念で力を振り絞り、レイピアをそのまま押し込もうとする。

 

「…ここで引いたら生かすつもりだったんだが…それ以上は手加減できねぇわ。」

 

「…は?」

 

ウォルスは瞬時に爪でアプの手と足の腱を削ぎ落とし、首元に噛みつき頸動脈を食いちぎる。

 

更にそのままアプの首を180°回し、力無く倒れるアプの身体を大鉈で真っ二つにする。

 

「すまねえな。最初からお前に勝ち目なかったんだわ。」

 

アプは言うまでもなく即死。

声を上げる間も無くその生温かい中身を地面にぶち撒ける。

 

「…んなことよりもシロはどこだ!?」

 

その時、屋敷の窓が突き破られ、一人の子供がウォルスの足元まで転がり込む。

 

「んだ!?そこの餓鬼!シロって奴はどこか知らねか!?」

 

そこから出てきたのはクロ。

 

「あ、貴方はこの前屋敷にいた…!突然屋敷が襲撃されて…!」

 

「んなこた見ればわかる。それよりシロって奴…」

 

「おいおい!そこの糞犬!さっさと逃げるなら命は…」

 

窓から出てきたのはアプの部下。

 

「うるせえ。今はこの餓鬼と会話してんだ。」

 

瞬間、ウォルスは高速で部下の背後に移動し、足の腱を爪で深く抉る。

 

「ぐっ!があああ!」

 

「…で、話の続きだ餓鬼。シロって奴はどこだ?フィルが呼んでるぜ。」

 

「案内します!隠れているので!」

 

「了解!アタシの肩にしがみつけ!そちらの方が速い!」

 

 

ウォルスは屋敷の廊下を全速力で駆けていく。

罠はウォルスとロズは発動しないように既にアルティが作り替えてくれている。

 

「そちらを右です!そしてそのまま左!この部屋です!」

 

「失礼するぜ!」

 

メキメキ…

 

(この人…鍵掛かってるのにこじ開けてる…)

 

「…天使族ってのは本当らしいな。フィルがお呼びだ!来い!」

 

「…!逃げてくださいクロ、そこの獣人さん!貴方達の後ろに」

 

「はいはい!わかってるよ!」

 

瞬時にウォルスは後ろ蹴りをする。

 

「へぶっ!」

 

一人がクリーンヒット。窓を突き破り落ちていく。

 

「ですが…まだ!」

 

「知ってるっての!」

 

残りの二人に爪を鳩尾に深々と突き刺す。

 

「かっ…!」

 

「ぎっ…」

 

「はい終わりだ。…さて、フィルがお前をお呼びだ。付いてきてくれるか?」

 

「は…はい。お強いのですね。」

 

「そこの餓鬼はどうする?ついてくるか?」

 

「…ついていきます!」

 

「そうか。とばすからしっかり捕まってろ!」

 

三人は屋敷から飛び出し、フィルがいる場所へと高速で移動していく。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、俺達が立て籠もるギルド内は混沌に染まりつつあった。 理由は3つ。

 

1つはS級3人が全く帰って来ないこと。

もう一つは街に黒い霧が充満してきている事。

最後はドラゴンがより本格的に暴れ出した事。

 

最初は火事によって生じた煙かと思ったが黒い霧。

それは凶暴化の効果が含まれており、これを一定量吸ってしまった市民は暴徒とかしている。

 

恐らく本来は皆が気絶している際に黒い霧を充満させ、殺し合いをさせる。

また、男はゾンビ共によって攫わせる。

 

ゾンビは女は無視する…のだが、攻撃すると一転、殺しにかかってくる。

つまり凶暴化した市民がゾンビを攻撃し、ゾンビによって殺される。あとは術者が魂をその市民の死体に入れれば新たなゾンビの完成って訳だ。

 

黒い霧が街に充満した今、俺達は屋根の上に避難しつつ時計塔への移動の計画を他の冒険者と共に話し合っている。

 

「ドラゴンが暴れている今、下手に大規模での行動は出来ない。かと言って俺達が市民を一人一人背負って屋根伝いに時計塔へ移動するのも現実的ではない…どうすれば…」

 

「でも、少しずつだが男子供優先で運んでいくしかねぇんじゃねえのか?凶暴化した際、真っ先に死ぬのはそいつらだ。」

 

「だけどなあ…その事を市民に伝えて反感を買っても困る…やんわり女も混ぜつつ避難させるのがベストか?」

 

…意見がまとまらない。

 

「…ん?何かが屋根伝いに俺達の方にやっくるぞ。あれは…獣人…か?」

 

「…ようやく、か。」

 

 

 

そこにやってきたのはクロとシロを抱えたウォルス。

 

「すまん遅れた!しっかしフィル、お前が屋敷に行かなくて正解だったぞ!」

 

「そうか…理由はあとで聞く。早速だがシロ、少し協力してくれるか?」

 

「ここまで呼ばれて協力しない訳がありません!僕ができることなら、何だってやってみせます!」

 

「ありがとう。じゃあ、お前の羽と小便を貰いたい。」

 

「…は?」

 

空気が凍りつく。…おい!やめろ!俺をそんな目で見るな!

 

「お前…この状況で良くそんな冗談言えるな。もはや尊敬の念を抱きつつあるぜ。」

 

ウォルスは呆れた目で俺を見つめる。

 

「…待て待て待て待て。決して冗談じゃない。ゾンビ化したレッドドラゴン討伐に必須なんだ。」

 

「あ?冗談じゃなく…本気なのか!?…まさか、皆でシロの小便を飲んで、活力みなぎらせようってわけか!?」

 

「その発想が瞬時に出てくるお前のほうがアレだと思うが…違うに決まってんだろ。天使族の肉体は治癒能力が備わっている。ポーションとはまた違う、神聖なる力だ。」

 

 

「…それをドラゴンにぶっかけようってのか!?」

 

「まあそう言う訳だ。このままS級3人が帰って来ない以上、俺達があのドラゴンを完全に停止させるにはこの手段以外俺は思いつかん。」

 

「なんだ。そう言うことかよ。……なんかアタシが変態みたいな空気になってねぇか!?」

 

「うるさい騒ぐな。…シロ。お願いできるか?お前しかできないんだ。」

 

「……わかりました。これでいま生きている皆が助かるのなら、喜んでやります…」

 

「…本当に、ありがとう。」

 

俺はシロを屋根の端に移動させ、そこから皆に見えないように普段敵のかく乱様に持っている防火布を広げる。

 

「この空のポーション瓶に注いでくれ。」

 

「……はい。」

 

シロは瓶の中に小便を放つ。

小便がポーション瓶に溜まっていく音が、街の破壊音と建物が燃える音と共に奏でられる。

 

何というか…後ろから凄まじいじっとりとした視線を感じる気がする。気のせいだよな。

 

「…終わりました。では、羽根の方も。」

 

シロはプツプツと羽根を抜いていく。

 

「よし。その程度でいい。…ありがとうな。」

 

「いえ。皆の為なら!」

 

ポーション瓶の中に6割ほどある薄黄色い水。そこに2割ほど回復ポーションを入れ、天使の羽根を入れ、蓋をして激しく振る。

 

油に生きた百足を数ヶ月漬け、死んで溶け切ったら完成の百足油と言う傷薬がある。

それの今作っているポーション版。

 

魔力を込めながら振ると、段々羽根が溶けていき、色も薄紫色へと変化していく。

これで完成。即席ハイポーションの出来上がり。

 

最悪小便じゃなく大便や普通に指とかでも作れるが、両方共に色々とシロに対するダメージが大きい。

 

まさか、ポーションを作成するクエストを受けた時の知識がここで生きるとはな。

 

「ウォルス。このハイポーションをドラゴンの口内にぶち込むことは可能か?」

 

「…出来ないことはないぜ。」

 

「じゃあ、ここであのドラゴンとの決着をつけるとしよう。」

 

「アタシ一人の方が動きやすい。…が、今突っ込んでも自殺行為だ。数秒でいい。何か隙を作る方法はないか?」

 

「うーん…そうだ!クロ…アレ、お願いできるか?」

 

「…アレ、ですね。わかりました。やってやります!」

 

「おう。アレだ。容赦なく噴出してやれ。」

 

「はい!クラクラのガクガクにさせます!」

 

「ウォルスがまずドラゴンに攻撃。そこから隙をついてクロが足止め。それでいいな。」

 

「おう!問題無いぜ!」

 

「シロは他の冒険者達と一緒にいろ。それが一番安全だ。」

 

「わかりました。」

 

「じゃあ、作戦開始だ!」

 

 

まず、俺はスライム駆除の際、匂い避けとして使っていた布マスクを二人に渡す。

これで黒い霧は幾らか軽減できる…はず。気休め程度には。

 

 

まずはドラゴンの陽動から。

俺は走って近づいてくるゾンビ共を引き連れ、あえてドラゴンの視界に入る。

 

「捕まってろ!クロ!」

 

ドラゴンは俺達を視認するなり即炎のブレスを放ってくる。

しかしどこか機械的。やはりゾンビはそんなもんだろう。

 

「ちっ!絶対俺である必要なかったぞ!」

 

ゾンビがねちっこく追いかけてくる。

走る速度は俺の方が上だが、奴等は数もいるし体力も実質無限。疲れや痛みを感じないから足の筋繊維が千切れるまで追ってくるだろう。

 

ウォルスが俺達とは比にならないスピードで強烈なパンチをドラゴンの目に向かって放つ。

 

よし!クリーンヒット!!

 

「クロ!このまま突っ込むぞ!準備しておけ!」

 

「了解です!」

 

俺は追ってくるゾンビを逆に掴み、ドラゴンに向けて放り投げる。 勿論ゾンビは炎によって一瞬で消し炭だ。

 

しかし、その頃には既にドラゴンの尻尾付近に回り込んでいる。

 

「今だ!ドラゴンのケツの穴に手を突っ込め!」

 

「は、はい!」

 

クロは勢い良くドラゴンの少し腐敗した冷たいケツの穴に両手を突っ込む。 そして。

 

「オラッ!淫乱ガス!!」

 

「ギ………?」

 

ドラゴンが一瞬うめき声のを上げる。

 

「いいぞ!もっと打ち込め!!」

 

「オラッ淫乱ガス!オラッ淫乱ガス!オラッ淫乱ガス!オラッ淫乱ガス!オラッ淫乱ガスゥゥゥ!」

 

クロが少し間抜けな声で淫乱ガスを打ち込みまくる。

これは流石にゾンビとあれど効くぞ…ケツから酒を飲むようなものだ。

 

するとドラゴンは何が何だか分からないような顔でその場にズシィィンと下の建物を巻き込みながら倒れ込む。

 

魂はダメージを受けていないが、肉体は別。

言うならば機体は故障したがパイロットは無事な状態。

 

ゾンビ化ドラゴンは何が何だか分かっていない様子だ。

 

「今だ!ウォルス!」

 

「おう!ドラゴン!これを食らいやがれぇぇぇ!」

 

そのままポーションを口の中に…

 

「口…閉じてるじゃねぇか。…ちょっと待て。」

 

ウォルスは即座に俺達の方へ近付く。

 

「オラッ!ケツ穴アタックだぜぇぇぇ!」

 

「ギガバダァァァァァァァァァ!!!」

 

ドラゴンが文字にならない様な悲鳴?を上げると、腐敗していた肉体がどんどん生気あるものになっていき、1度大きくのた打ち回った後、生気を取り戻した目できょとん…と周りを見渡す。

 

「こいつ…まだ本来の魂が残ってたのかよ…。流石はドラゴンだな…。」

 

「アタシもいつかサシで倒せるようになりてぇなぁ…」

 

この世界ではレッドドラゴンは非常に凶暴なドラゴンとして有名。しかし、それは奴のテリトリーに入った者だけ。

 

レッドドラゴンは何事も無かったかのように空の彼方へ飛び去っていく。

 

「なあ…普通にクロに最初からハイポーション持たせておけばよかったんじゃねえか?」

 

「ま…まあ確実性を取ったと言うか何というか…そんな事より!ゾンビは俺が今のうちに引き寄せておくから、一般市民を時計塔へと移動させてくれ!」

 

ウォルスは今までよりジトッとした目で俺を見てくる。

 

「あー。この黒い霧か。分かった。他の冒険者にも伝えてくる。」

 

俺は黒い霧を吸っても多少なら浄化の魔法でなんとかなる。

それに魔道具のマスクだってあるしな。

 

俺はウォルスとクロがギルドの方へと走って行くのをゾンビから逃げつつ見送る。

 

正直このゾンビ達、走ると言っても特別速いわけでもないし捕まったとて普通に振りほどける。

 

が、世の男からしたら話は別なのだろう。

俺はこの世界の男だと相当なゴリラになるからな。

 

 

 

 

 

「フィルよ。今戻ったぞ。」

 

幼くも自信と威厳にあふれた声がふと、背後から聞こえる。

 

「ロズさん!?無事でしたか!」

 

そこには全身ボロボロのロズ。

 

「あぁ無事じゃ。そうじゃ…アルティとシースじゃが…もう少し遅れてやってくるそうじゃ。」

 

「一体…どんな魔物がいたんですか?」

 

「それはもう…儂でもこわーくなるほどの奴じゃ。」

 

…先程からロズの雰囲気が不気味だ。

何だか、いち早く会話をきり上げたくなる。

 

「して、フィルよ。」

 

「……なんですか?」

 

 

 

 

 

 

「そなた、皆を見捨てる代わりにお主だけ生き残れるなら…生き残りたいかの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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