貞操逆転世界の中堅冒険者   作:だいたいおおそよだいたい

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今回、序盤半分はアルティ視点です。


のじゃロリ分からせの回

ロズとフィルが邂逅するより少し前、アルティとシースはロズによって異空間に閉じ込められていた。

 

「この空間…何もないわね。目に見える全てが暗闇だわ。」

 

「そうだな。早くここから出なきゃならねぇのに…どうしたもんだか。」

 

「転移魔法は…無理そうね。この空間に魔法を放つのは恐らく不可能に近いわ。」

 

「参ったな。あんのババア…出たら必ずぶっ殺してやる。」

 

「…出れたら、の話でしょ。」

 

にしてもまずいわね。ここから出る方法が思いつけない。

 

と言うかここは何処なの?私の見解ではロズの魔力で作られた私達の世界とはまた別の空間なのだけど…

 

「取り敢えず走ってみる。はぐれないように背中にくっついとけ。」

 

「わかったわ。」

 

何か行動しないとね。フィルならもう行動起こしてるし。

にしても相変わらず速いわね!?

 

「あん?…あっつ!?お前魔法使えないんじゃねぇのかよ!?」

 

「え?…確かに、シースのみが魔法の影響受けてるわ…」

 

「なんでよりにもよって炎の魔法で試すんだよ…」

 

「ごめんごめん。暴発よ。…それより大きな発見ね。」

 

「そうだな。つまり肉体強化魔法は使えるってことだよな。」

 

「そうね。と言うか、もうかけたわ。」

 

「相変わらず仕事が早いこと。…しっかし、強くなったところでどうにか…なるかねぇ。」

 

「やるしかないわよ。少しでも被害を食い止める為に少しでも迅速に…ね。」

 

私達しかできないもの。助けられる範囲はとことん助ける。

それ以外は考えなくていい。

 

「しっかし思うんだが…何か俺達の範囲だけ闇が深くねぇか?なんか奥のほうが均一にグレー寄り…みたいな」

 

「確かにそうね。てっきり永遠に同じ空間が続いてるのかと思っていたけれど…」

 

シースが歩いていく。…すると、突然シースが消える。

 

「!? おい…どうなってる!?」

 

「自分達の範囲だけ空間を生成しているのか…?おいシース!こちらに戻ってこい!」

 

すると、闇の中からシースの鼻が生成される。

が、消えたり現れたりしている。遊んでいるの?

 

「やっぱりだ!」

 

「何が?」

 

シースの奴は自信満々にこう言い放つ。

 

「お前の顔が見える直前、暗闇なのにアルティが見えなかった!」

 

「つまり、この空間が生成されるまでに少しの時間があると言う事?」

 

「そう言う事だ!早速やるぞ!」

 

私は勢い良くシースの背中に飛び乗る。

 

「皮全部剥がれるかもだけどごめんな!」

 

「え?」

 

その瞬間、シースが全力で走り出す。

こ、呼吸できない…死ぬ…

 

「今だぁぁ!」

 

パリィィィン!!

硝子が割れた様な音と共に、空間の隙間から青空を覗かせる。

 

「あ?ここ海じゃねぇか!?」

 

「多分現実の位置とリンクしているのね。ならこのまま街まで転移するわ!」

 

「可能ならフィルの場所にしてくれないか?真っ先にあいつと合流する方が動きやすい。」

 

「分かったわ。大体の魔力を見るに…よし、転移の準備完了よ。」

 

「おう、早くやってくれ!何だか嫌な感じだ!」

 

私が転移魔法を発動させると、割れ目から覗かせる空間がひび割れた石レンガになる。

 

「おい!フィ…ル?」

 

「シース?何か問題…が」

 

そこにいたのはロズと…生気を失ったフィル。

定期的に痙攣を起こしており、いち早くの処置をしなければ危ない状態であるのは素人目でも分かる。

 

「なっ!何故ここから抜けられっ!」

 

言い終わる前にシースが目にも見えない速度でロズにフルスイングを食らわす。

 

「シース!!私はフィルをシロの元へ持っていくからロズは任せたわ!」

 

「おう。任せろ。」

 

フィルを担ぐ…が体温が異常に低い。

すぐに転移魔法で………あれ?座標が上手くまとまらない。

まずいまずいまずい。

 

声が震えて魔法を正しく唱えられない。

動揺したって現状が変わるわけ無いと昔散々フィルに教えられたのに。

 

ひとまず私が今出来ること…それは…やだ。

それよりも。そんな事よりもフィルに死んで欲しくないと言う衝動が、絶望が私の脳内の思考を蝕む。

 

「嫌だ。アタシはこんなの…」

 

シースも顔が青白くなり、今にも決壊しそうなほど精神に多大なダメージを負っているのがわかる。

 

私の恩人。家族に、人々に全てを否定され、ただ朽ち果てるのを待つだけだった私に生き方を教えてくれた人。

そんな人が目の前で死に瀕している。それだけで手の震えが止まらない。

 

「無様じゃなぁ…お二人。」

 

「ロズ…貴方、フィルに何をした?」

 

「ちょっと体に自我消失の薬を打ち込んだだけじゃ♡」

 

「解毒方法は…?教えたら命は助けてやる。」

 

「まぁ、あるにはあるが…教えない♡儂の大切な奴隷じゃからな♡」

 

奴隷…か。大体奴の目的は分かった。

 

「そっか。じゃあ…死んで。」

 

「お前らがな!小童二人!」

 

奴は漆黒の大弓を取り出し、無数の矢を四方八方から撃つ。

その威力は下水道の天井が跡形もなくなり、範囲100メートルが更地になるほど。

 

「流石にこれで少しは…って、これでも効かんか!?」

 

私とフィルの周りに転移魔法を常に発動させ、一時的に無敵のバリアを作る。

 

「シース。まずは腕からね。」

 

「はぁ?まともにくらったシースはもう原型留めて無いとおかしいぞ?」

 

「あいつはおかしいのよ。」

 

その刹那。ロズの両腕が消し飛ぶ。

 

「は?何故…何故じゃ…!お前らぁぁぁぁ!」

 

ロズが大きく叫ぶと、大量の木の根が私とシースに向かって高速で飛んでくる。けど、見えるから問題ないわ。

 

「こんなもの転移魔法を発動するまでもないのよ。」

 

私は木の根を掴み、全力で雷を放つ。

 

「ギィィィィィィィ!!!」

 

大量の木の根が焼ける匂いと共に、黒焦げのロズが崩れ落ちる。

 

「ねぇ?まだ直せるのでしょ?解毒方法を教えるまで殺さないわ。シース、足。」

 

「あいよ。」

 

「がっ!…貴様ら…そんな悠長に儂を拷問していたら可愛い可愛いフィルが完全に自我を失ってしまうぞ?」

 

「大丈夫よ。今フィルの時間を魔法で止めてるもの。」

 

「ま、待て。」

 

私は回復魔法でロズの手足を生やす。

今まで出来なかったのだけど、意外と出来るものなのね。

 

「シース、もっかい腕。手から少しずつ消してね。」

 

「ひっ!」

 

その瞬間、またロズの両腕が消し飛ぶ。

消し飛ぶ…と言うより、シースが高速で少しずつ肉を千切ってるんだけどね。

 

「ほんとに…この程度の拷問で口を開くのか?」

 

「さあ?じゃあもう一段階上げてみましょう。」

 

「わ、分かった!教える!教えます!」

 

数百年生きたエルフの癖して随分精神が軟弱ね。

私でもこの程度なら1週間はいけるのに。

 

「こ…この解毒剤で自我を取り戻します!なので命は…!」

 

「ふーん。」

 

ロズの目を見つめる。…嘘ね。そんな勘がするわ。

 

「じゃあ、この解毒剤、貴方が全部飲んでよ。」

 

「え、」

 

「確かにそれは妙案だ!アルティなら薬品だけ転移させる事も可能だから、死ななきゃ本物ってことだろ。」

 

「嘘です嘘です嘘です!これが本当の解毒剤です!」

 

「やはりか。やっぱ信用ならねぇな。」

 

急いで私は瓶の蓋を開け、フィルの口に肺に流れないように飲ませる。

すると、フィルは段々呼吸が落ち着き、顔色も良くなる。

よかった。本当に。全身の力が抜けるのがわかる。

 

「さて…じゃあロズ、貴方に命令があるわ。」

 

「は、はい…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは何処だ?今度こそ死後の世界か?

まあ死後の世界があるかは知らないが。

 

暗闇で何も見えない。体が動かせるわけでもない。

ひたすら視界が固定されているような…そんな感覚だ。

 

「フィル…フィル………。」

 

何処からか俺を呼ぶ声がする。

それと同時、暗闇が段々白くなっていき、最終的には光に包まれる。

 

 

 

 

 

「フィル!目が覚めたのね!」

 

「…あ?」

 

「よかった。お前…このまま眠りっきりなのかと…」

 

目の前には大粒の涙を零すアルティとシース。

 

「フィルさん…目覚めてくれたのですね…!」

 

その声はシロか。長いこと寝ていたらしい。

と言うか生きてたのか俺。

 

俺はベッドから起き上が…?体が変な感覚だ。

 

「フィル…言いにくいのだけど貴方…右腕脚が…」

 

「…そうか。まあ命が助かっただけでも御の字だ。にしても…冒険者引退か?」

 

「お前…手脚失ったんだぞ!?なんでそんな冷静に…」

 

「死んだと思っていたからな。お前ら二人が助けてくれたんだろ?ありがとう。」

 

「今は安静が一番です。動くのはせめて明日から。」

 

「ん?」

 

俺はその瞬間、眠っていた時の記憶を少し思い出す。

 

「俺さ、地獄に日帰りで行ってきたんだけどさ…そこで死んだ奴等に会ってきたんだよ。」

 

「…そう。」

 

「…そうか。」

 

「やっぱりあいつら、俺に会った第一声がヤラせろ、だったわ。」

 

「…そう。まああの馬鹿共ならそう言うでしょうね。」

 

「アタシだって地獄でフィルに会ったら頼むわな。」

 

 

 

ひとまず今回の騒動はこれで終わったようだ。

今後の事も大事だが、今は少しだけ休むとしよう。

 

その瞬間、部屋のドアが勢い良く開く。

扉から現れたのはウォルス。

 

「おい見ろ!倉庫に黄金のディルドがあったぞ!って…フィル!目覚めたのか!黄金のディルドだぞ!これ見て元気出せ!」

 

「そうだなー。すごい元気になったぞー。黄金ディルドパワーが俺を癒やしてくれるー。」

 

「出てけ糞犬!」 

「出ていって糞犬!」 

「失せなさい糞犬!」

 

怒涛の三連続叱責を食らい、ウォルスは尻尾を垂れ下げ部屋を後にする。

 

 

「あ、そうそう。今回の被害で死んだ人々なんだけどね?」

 

アルティが少し元気な声で話をきり出す。

 

「あ?おう。」

 

「ロズを生贄にしたら、全員蘇ったの!」

 

は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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