貞操逆転世界の中堅冒険者   作:だいたいおおそよだいたい

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害獣駆除と髑髏

「さてと…」

 

俺は今日、久しぶりに依頼を受けに行こうかと思っている。

近頃は非常に多忙…と言うかハプニングに巻き込まれすぎて、ギルドに行く暇も無かった。

 

だが一段落ついたところだ。

…にしても今はどの依頼が流行っているのだろう?

 

そんな事を考ええつつ、朝のほんのり涼しさを感じる空気の中俺はまだ人通りの少ない大通りを進んでいく。

最近は朝早くに街を出歩く事が無かったが、やはり早朝に歩くのは気持ちが良い。一歩、また一歩と足を進めれば進めるほどやる気が湧いてくる。

 

…ギルドに到着した。

ギルドは基本的に24時間空いており、いざという時逃げ込める交番の役割も果たしている。

 

と、言っても早朝に冒険者は全くと言ってもいいほどおらず、ロビーは俺の独占状態。

何故なら依頼そのものの更新は大体朝9時頃に行われるため、今行ったとて旨味の少ない依頼や、一年中受けられる依頼のみ。

 

だが今の俺には丁度いい。

追加されたばっかりの依頼には時折A級冒険者じゃないと達成出来ない様なハズレも紛れている。

だが今は依頼が張られてからおよそ1日経っているため、ハズレはある程度取り除かれているだろう。

 

まあ、引く時は引くけど。

 

「…あれからラインナップがかなり変わっているな。」

 

思わずそうポツリと言葉が漏れる。

俺が毎日の様に通っていた時はスライム駆除、薬草採取、害獣駆除が一般的だったのだが、今は害獣駆除以外が全くない。まあそれなら害獣駆除でいいか。

 

「職員さん、これ頼む。」

 

俺は依頼を剥ぎ取り、職員に冒険者証と共に渡す。

すると数秒後、判子が押され帰ってくる。

 

「フィルさん。言いにくいのですが…その…腕と足の方はどうなのでしょうか?」

 

「ん?気にするほどでもない。むしろ前より戦術の幅が広がったまであるな。」

 

まあ誰だって知り合いが欠損したとなれば心配はするよな。

…まあ今はそんな事よりこの害獣駆除だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「酷いな…。」

 

いざ依頼の指定された場所に訪れたものの、こいつは酷い。

農作物が軒並み荒らされており、侵入を防ぐ為の簡易バリケードも真ん中からバキバキに割られている。

 

この街周辺の土地は肥沃…とまではいかないがそれなりに農作物は育てられる土地だ。

なのでそれなりに害獣への対策もあるはずなのだが…依頼の内容によると最近はどうも追いつかなくなっているらしい。

 

「……いた。」

 

早速駆除対象を見つけた。…が、どうやら興奮状態らしい。

目が血走っており、息も荒い様に見える。

それにしても少し足跡を辿るだけで一匹見つけられるとは…随分数がいるなこれは。

 

俺は静かに弓を構え、駆除対象の頸動脈向けて毒矢を放つ。

 

見事ヒット。…が、死なない。

本来ならのた打ち回る程苦しい毒なのだが…

 

ひとまず俺は突進してくる駆除対象を躱すと同時に剣を全力で振り下ろし、首を両断する。

まあ即死だ。

 

俺は害獣の死体をじっくりと観察するのだが…余り見たことない種類だな。角兎の変異種か?

俺は角を剥ぎ取り、袋にしまう。

俺の受けている依頼は駆除である為、討伐した証拠を渡せばいい。続きだ。

 

こうして俺は淡々と駆除を進めていく。

ここで気付いたことが二つ。畑付近の雑木林には様々な動物がおり、普段は害獣指定どころか見かけない様な動物ばかり。それに一部の動物には傷ついたものが一定数いた。

傷は様々だったが、剣のような鋭いもので斬りつけられた傷もあり、一部知能の高い魔物の群れが森に根付いてしまったのかもしれない。

つまり…森の方に何かがおり、そいつから逃げてきたと考えるのが妥当。

 

しかしそれは推測に過ぎない。

何か決定的な証拠を持って帰らねば、すぐにギルドは動かないだろう。

 

良くて調査隊の派遣。それでは被害が広がってしまう。

俺の経験上、ここで仕留めなければ碌なことにならない。俺は動物達がいつ何処から現れたかを知る為、近場にいた農民達に話を聞く。

 

「割とここ最近だねぇ。普段見かけない様な動物が出始めたのは。確か北の方からだったかな…?」

 

「でも見に行ったっきり戻らない奴も一定数いるもんだからねぇ…それに調査に来た冒険者も帰ってないって噂だよ。」

 

「…成る程。教えて下さりありがとうございます。」

 

「ええってええって!兄ちゃん冒険者かい?頑張るねぇ!」

 

思ったより大事だ。

話だけでも複数の討伐隊を組まねばならない気がする。

俺は北の方の森へ、足を進める。

 

文化や知性を持つものなら、生活の跡があるはず。

深くには潜りすぎないが、証拠さえ見つけられればこちらのものだ。

 

なんかもう都合よく人骨とか死体とか落ちてないかな。

まあそんな簡単に死体とか人骨見つかるなら、とうの昔に討伐隊が組まれてるけどな、がはは!

 

 

 

人骨があった。

それもバリバリに髑髏。ドクロだ。

 

腐った肉が少しこのドクロについており、ある程度かじられてからここに捨てられたのだろう。

まあ、この元人には悪いが証拠として持ち帰させてもらう。これなら充分に証拠になる筈。

 

俺は頭蓋骨をカバンに入れ、踵を返す。

 

…その瞬間、視界が真っ逆さまになる。

いきなりだ。意味がわからない。…罠か?

俺は恐らく獣を捕らえるような罠にかかっている。まあ俺の片脚を締め上げる縄は見る限り植物性。この程度の縄なら剣で切れる。

 

と言うかなんなら俺を吊るしている片脚は義足の方。

俺は魔力を止め、義足の拘束を外す。

うん。脱出できた。そのまま縄を剣で切り、もう一度つけ直す。しかし…この辺りの猟師の罠なら近くに罠があることを知らせる米印が大きく木に彫られているはずだが…

 

見当たらない。

まあ取り敢えず報告だ報告。いち早く立ち去るのがベスト。

 

「…!」

 

今、確実に足音が右隣の草むら聞こえた。

…見られている?

 

どうするべきだ?最も安全なのは雷魔法を放ち、ショックを受けてる間に逃げる。

しかし、草むらの中にいる奴が魔物や獣以外、つまり人間である可能性も捨てきれない。まだ何もかもが確定していない今、俺ができるのは…逃走!

 

俺は最初から全力で大地を蹴り、森の外へ一直線に逃げる。

一直線と言っても、木を蹴って勢いをつけたり蛇行に逃げる。

 

……何かがまずい!

俺は全力で体をねじる。その瞬間、俺の頬すれすれに飛んでくるは一つのこん棒。

 

「今ノヲ避ケルカ。」

 

咄嗟に反撃の構えを取る。が、次の一撃を受け止めた俺はそのまま吹っ飛ぶ。

 

「なんつう力…!」

 

しかし、そいつはそのままクソデカい棍棒をまるで小枝を振り回すかのように俺に打ち付けようとしてくる。

 

「人間ノ雄ニシテハ反応ガイイ。」

 

俺にカタコトつつも何処か知性を感じる言葉を話しているのはオーガ。

 

「別に俺はお前に敵対していない!何故襲う!?」

 

まあ時間稼ぎだ。

ここで引いてくれるなら嬉しいけど、そんな事起こるわけない。

 

「ウルサイ!人間ト話シテモ無駄ダ!」

 

そうオーガが叫んだ瞬間、地面を蹴り上げ、俺に土のカーテンが襲いかかる。小癪だな。 

土の高さはオーガの身長以下。つまりオーガはそのまま突っ込んでも何のデメリットも無い。

 

つまり今の目眩ましは俺を動揺させる為。

だが俺とてそのぐらいはわかる。横に激しく飛び、先程話していた時に取り出した暗器を奴のみぞおち目掛けて投げる。

 

「コシャクダナ。」

 

…ヒットしたものの奴の筋肉のせいで軽症にしかなってない。これじゃあ直接打ち込んでも急所まで届くか微妙だな。

 

このままでは俺はジリ貧で負ける。

 

奴は暗器をみぞおちから抜くと、俺に向かってほぼノーモーションで投げてくる。

奴が暗器を抜く動作をした瞬間に横に移動したのだが…俺の腕に刺さってしまった。

 

…だが移動してなければ俺のみぞおちに暗器が帰ってきていたことだろう。

 

「来いよデカブツ!」

 

俺はそう啖呵を切ると、手から圧縮させた水魔法を相手の目にむけて放つ。

 

見事にクリーンヒット。魔法はタメがいるが、奴と相対した瞬間から圧縮させてたんだ。この流れで決めきる!

 

俺は怯む奴の急所に剣を叩き込む…が、奴め。棍棒を力一杯全方向に振り回すことで視力回復までの時間を作りやがった。更に俺の剣は弾かれ、明らかな隙ができる。

 

「モラッタ!」

 

そのまま、俺の腹に奴のフルスイングが…空振る。

 

「さっきから何処見てるんだ?」

 

「貴様!マサカサイゴノサイゴデ…!」

 

俺はその時にはスライディングでオーガの足元まで来ていた。奴のフルスイングを待っていたのだ。

 

「貰ったわ。人間殺してるから、容赦できねぇな。」

 

「……?ハ?殺シテナイゾ。一人モ。」

 

「……え?」

 

……じゃあ…あの頭蓋骨は?

 

「おいお前…何処から来た?」

 

「?私ハタダノ旅オーガ、ダ。」

 

旅人ならぬ旅オーガか。うん、聞いたことない。

 

「じゃあ何故俺を襲った?」

 

「オマエコソ、獲物ヲ逃ガシテオイテ…少シ、オ仕置キスルツモリダッタノダガ…」

 

「あ!あれお前の罠だったのか!すまない。あれは俺が引っかかってしまっただけだ。」

 

「エ?ソウナノカ…互イニ勘違イシテイタヨウダナ…」

 

「なんだ。じゃあ茂みの中に居たのはお前だったのか。」

 

その瞬間、俺達の奥から巨大な兎が顔をのぞかせる。

その目は完全に俺達を獲物として見る目だ。

 

「ドウヤラ、答エ合ワセガ済ンダヨウダナ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







近頃少々多忙でして…投稿頻度下がります。すいません。
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