貞操逆転世界の中堅冒険者   作:だいたいおおそよだいたい

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前回のあらすじ。
聖書読むの楽しみやな〜〜
   ↓
  帰宅
   ↓
不法侵入共がまた家にいる!今度こそ終わった〜〜
   ↓
不法侵入者共(アルティとシース)「「ごべーーーん!!!」」

俺 「しゃあなしな」


嫉妬ドワーフとマゾ

剣が折れた。

 

アルティとシースの全身全霊たる謝罪をうけ、罪をチャラにした俺だがまーた面倒な事が起きたものだ。

 

俺の目前には、綺麗に真っ二つに折れた俺の愛剣。

 

苦し紛れで樹液で作った接着剤を塗ってみたが、軽く訓練用に設置している紐でまとめた藁に軽く切りつけるだけでまた真っ二つの状態に戻ってしまった。

 

これは…修理が必要か。

修復自体は火の魔法を使って溶接すれば出来るが、鞘に収まりづらくなるのとやはり溶接部分が脆くなるので応急処置に過ぎない。

 

仕方ない。鍛冶師に剣を持っていくか。

そうと決まれば即行動。俺は鍛冶屋へと向かう。

今から向かう鍛冶屋はこの街唯一の鍛冶屋で、鍛冶師兼店主の性格が少し捻くれているが、腕はS級冒険者や勇者の専属になれるほどの腕前。

 

実際店には常に溢れかえる程に人が降り、剣を預けてから修理完了まで数週間かかるのだ。

スペアの剣はあるものの、やはり手に馴染んでいないからかどうしても実力が数段落ちる。

 

しかし、その心配も杞憂だった。

店に着いたが、確実に何かがおかしい。静かすぎるのだ。

 

店に入ると、普段は人が溢れかえっている狭い店内には人っ子一人おらず、俺の違和感は最高点に到達する。

 

店のドアをみてみる。そこにはデカデカとOPENとなぐり書きされた看板が目に入る。

 

そうして困惑しつつも俺は鍛冶師を呼ぶ。

 

「ウツノスキーさん、いますかー?」

 

すると店の奥の炉と金床が置いてある一室からガタン!と一つ大きな物音がする。

そしてその一室のドアがゆっくりと開く。

 

「おぉ、フィルか。久しぶりだなぁ…そうか。お前は男だもんなぁ…」

 

そこには鍛冶への情熱だけで人ひとり焼き殺せそうだったウツノスキーさんは何処にもおらず、覇気を失った小柄な女性が目に入った。

 

「どうしたんですか!?客も1人もいないし、貴方は覇気もないし…」

 

「それを聞くかぁ……はは……………はぁ…。」

 

ウツノスキーさんはそう自嘲的に乾いた笑いをした後、大きなため息をした。

 

「どうせ男だったら何やっても成功するんだ。男だから優遇されるんだ。」

 

そう呪詛の様に呟く。

 

「でも、俺は男女関係無くウツノスキーさんのこと尊敬してますよ。」

 

俺はウツノスキーさんの目を見てそう話す。

するとウツノスキーさんはさらに目を曇らせこう吐き出すように言った。

 

「それ思えるのはお前が男だからだ。男は何やっても女からヨイショされ、人生イージーモードなんだよぉ…」

 

あかん。ウツノスキーやなくて鬱ノスキーになってる。

こういう状態の人は、理由を聞きそれに共感することで少し気が楽になる事がある。

 

「一体何があったんですか?教えてください。理由や不満を吐き出せば、少しは楽になるかもしれませんよ。」

 

するとウツノスキーさんは少し黙った後に口を開く。

 

「実は、数週間前、この街に新しい鍛冶屋ができたんだ。」

 

そうだったんだ。俺は噂話に疎いので知らなかった。

 

「でもそこの鍛冶師は男で、なんならエロ売りしだしたんだぁ…。」

 

あーー。何となく話の流れが見えてきた気がするぞ。

俺がその鍛冶屋の噂を聞かなかったのは、男の前でエロ売りの店の話。しなかっただけなのか。

 

「私は何年も見習いをして、鍛冶に命をかけ、ようやく店を個人で建てられて、腕前一本で食っていけるようになったのに…」

 

「ぽっと出の、しかも大して鍛冶もうまくないのに、男ってだけで。体を売ることで私の客達を全員持って行ってしまったことが…どうしょうもなく……苦しいんだ…」

 

まずいぞ。前からウツノスキーさんは何処か斜に構えてるというか、冷笑系なイメージがあったけど完全に鬱になっている。

しかしそうか。この世界では男は腹をチラ見せするだけで砂漠で干からびかけている遭難者が湖を見つけた勢いで寄ってくる。

しかしそれは蜃気楼。実際には触れられず痛い思いをするだけの幻。

 

「でも、俺はウツノスキーさんの技術を頼ってここに来ました。どうか、この剣だけでも修理お願いできませんか?」

 

するとウツノスキーさんはさっきと変わって一変。

 

「それはもちろんだ!久しぶりの客だし、何よりフィルだからな!」

 

ウツノスキーさんと俺はアルティを拾った時から関わっている。だいたい、5〜6年前からか。

 

「少し待っててくれ。すぐに取り掛かる。夕方には完成しそうだから、取りに来てくれよ〜」

 

そう言うと、剣を受け取ったうは足早に奥の部屋へと消えていった。

 

さて。時間もできたし、昨日買った聖書を読みたいところだが、彼女が言っていた新しくできた鍛冶屋が気になるので、少し覗いてから帰ろう。

 

まずはアルティかシース辺りに場所を聞こう。

ああいうのあいつら興味ありそうだから、場所ぐらい知ってんだろ。

 

 

 

 

ギルドに入り、受付にS級のあいつらの片方でもいないかと尋ねる。

 

「いえ。今はお二人共ブラックドラゴンの討伐に向かわれております。」

 

ひぇー。また神話級の討伐しに行ってるよ。

ギルドで待ってれば、転移魔法でアルティとシースは帰ってくるかもしれないが、恐らくギルドは歓喜の嵐に包まれるため、とてもじゃないが新しくできたエロ売り鍛冶屋はどこだ?とは聞けないだろう。

 

あ。なら受付に聞くか。この人も俺と同性だが、受付無だけはあるしゴシップには詳しいだろ。

 

「なぁ、ギルドとは関係ない事なのだが、最近できた新しい鍛冶屋の場所を知っているか?」

 

すると受付は一瞬驚いた様な顔をし、直ぐになぜ?と言う疑問を持つ目を持った。

 

そりゃそうだろう。同性がウツノスキーさんの店ではなく、エロ売りし始めたばかりの店にいくのだから。

目的として考えられるのは、同性愛者か冷やかしかだ。

 

しかし直ぐに顔を笑顔に戻し、こう答えた。

「あぁ。それなら…………」

 

 

こうして場所を聞き終えた俺はまさに今、その店の前に立っている。凄い人だかりだ。前までのウツノスキーさんの店と比べても比にならないほどの女性達が群がっている。

 

しかも彼女らの目は見る限り全員獲物をみる目をしている。

 

俺は急いでその店から離れ、変装用のフードを深くかぶって再度近づく。あのままでは俺が襲われていたような気がするからだ。

 

「ひ〜おっかな…」

 

そう勝手に言葉が漏れ出るぐらいには、おっかない。

すると鍛冶屋のドアが空き、SPと見られる鬼族の女性が複数、その中心にウツノスキーさんが愚痴っていたというか恨みつらみを吐いていたとみられる男。

 

その男は身長160センチ前半。茶色の毛で直毛。サラサラヘアーは清潔を体現したかのよう。

顔もなかなかの美男子だ。こーれはモテます!

 

しかも胸にはサラシしか巻いておらず、へそが出ている。

なんというか、正に鍛冶屋!といった印象だ。

 

辺りが歓声に包まれる。なんというか…エロ売りというより、アイドルのほうが近い気がしてきたな。

 

「うぉぉぉ!マーゾちゃん!かわいいよぉぉぉ〜〜!」

 

「マーゾちゃん最高〜〜!いま同じ空気を吸えているという事実だけでこの世に生まれてきた感謝を実感できるよぉ〜〜〜」

 

「ヤラセロ」

 

「あ〜〜ッ!私今、マーゾちゃんが通った座標に立ってるわ!!これって実質的性行為なのでは!?!?私、処女卒業しちゃったんだ〜〜〜〜!」

 

「ヤラセロ」

 

と、周りの客……?観客?は正気ではないようだ。

そんな中、俺とそのスガオキさんとやらの目が合う。

そして俺に向かって微笑みかける。

 

いや、アイドル観客あるあるの、あ!?今俺の方向いた!!

ではなく、本当にもうガッツリ目が合ったのだ。

 

しかしそこから何事もなくショー……というか謎の見せびらかしタイムが終わり、皆がぞろぞろと帰っていく。

 

そんな中俺も帰ろうとしたのだが、先ほどの鬼族のSPの一人に止められる。

 

「マーゾさんから、あなたと話をしたいとのことです。お時間よろしいでしょうか。」

 

おいおい。一体俺になんの用なのだ。フードをかぶっているから、男だとはバレていないはずなのに。(目茶苦茶バレてます。彼の隣にいた観客はどさくさに紛れて尻や太ももにタッチしています。)

 

「わかりました。案内お願いできますか?」

 

「ええ。直ぐご案内いたします。」

 

そうして俺は鍛冶屋の裏口から入っていくのだった。

というか鍛冶屋でやる必要なくないか?別に鍛冶屋っぽい格好してアイドルとしてやっときゃいいだけだろうに。

 

奥の部屋に進むと、1つの木製の椅子があり、そこに佇むのは先ほど目が合った、マーゾさん。

 

「始めまして。B級冒険者のフィルさん。」

 

!?!?!?!?!?!?!?!?俺の事を知っている!?!?馬鹿な!?俺の完璧な変装術をあの距離で気づかれたというのか!?

 

と、目茶苦茶動揺しているとその事に気付いたスガオキさんはくすりと笑った。

 

「フードの奥から見えるゴツい輪郭、B級冒険者の証しである銀のプレート、そして僕のことを全く邪な目で見ていない。そのことから推理しただけですよ。貴方、そこそこ有名人ですので。(エッチということで)」

 

なんという推理力。コ◯ンや金◯一少年にも引けを取らない…こいつ……将来BIGになるぞ……

 

「よく分かったな……そうだ。俺はB級冒険者のフィルだ。それで、そんな俺にどんな用があって呼んだんだ?」

 

俺は口調を崩しつつも問う。

 

「それはですね……その、貴方とウツノスキーさんって知り合いなのでしょう?貴方を通じてウツノスキーさんと会うってことはできないのでしょうか?」

 

?何故今ウツノスキーさんが?

 

「?できないことはないが……何故そのようなことを?」

 

「実は……僕、あの人に憧れて鍛冶屋を始めたのですが、かなり売れるようになったので、まずはお友達からでもいいから……その……いつか、ウツノスキーさんとお付き合いしたいのです!」

 

 

はぁ!?と、俺は思ったものの、なんとか口には出さなかった。

しかし、こいつは何を勘違いしているのだろうか?

まぁまだ餓鬼なのだろうが。

 

「あのだな…まず、今のお前がウツノスキーさんに会っても、確実に拒絶されるだけだと思うぞ。」

 

「そんな……!」

 

いや、んなびっくりすることか?

 

「単刀直入に言おう。お前はウツノスキーさんにエロ売りしているだけの鍛冶師としては風上にも置けないやつとして認識されている。」

 

俺はあえてそのまま伝える。こういう奴はバカ正直だが、その分優しさでついた嘘も簡単に信じ込んでしまう。

 

「だったら、どうしたらいいのでしょうか…」

 

やはりこの子は正直者かつ優しい。

この子はかなりイケメンというか、顔が整っているので、昔から蝶よ花よと育てられてもおかしくないのに、偉いなぁ。

俺の何倍も。

 

だから俺も正直に応援してやる。この子ならウツノスキーさんともうまくやれそうだしな。(何様) 

 

「まず、お前は鍛冶屋をやめろ。そして、全力でウツノスキーさんに弟子入りをお願いするんだな。」

 

「でも、僕のお客さん達はどうすればいいのでしょうか…」

 

「大丈夫だ。グッズ販売とか明確な金を貢がせるシステムは作ってないんだろ?」

 

「はい。僕、鍛冶師ですし。」

 

「なら、今すぐ店は閉めるなり何なりして、自分の正直な気持ちを伝えて、ウツノスキーさんに弟子入り願うのが最短かつ最適解だと思うぞ。」

 

「な…なるほど……!わかりました!ではさっそく店を閉店にします!!」

 

「待て待て待て待て。」

 

「?」

 

「お前、何でまだあってから1時間もたってないような他人の意見なんかをすぐに取り入れて実行しようとするんだ?少しは悩んだりしないのか?」

 

すると、マーゾはこう即答する。

 

「はい!僕は他人に言われた事を従順に行えば、皆喜んでくれるって両親が言ってくれました!」

 

あっ。

家庭環境に問題ありだこれ。

 

「はぁ…。分かった。俺も着いて行ってやるから、ウツノスキーさんの所行くぞ。そろそろ俺の剣も打ち終わってくれた頃合いだろうしな。」

 

「ありがとうございます!!」

 

 

 

そうして俺は剣を受け取りに、マーゾは弟子入りの為にウツノスキーさんの店へ戻った。

 

俺達が店に入り、名を呼んで出てきたウツノスキーさんは、スガオキの顔を見て、思わず顔をしかめる。

すると、スガオキ君は頭を直角90度に下げ、こう叫んだ。

 

「お願いします!どうか、僕を弟子にしてください!!!」

 

「……理由を聞こうか。」

 

「昔、貴方が一心不乱に剣を打つ姿をみて、それに憧れて鍛冶師になったんです!でも、実力はまだまだで…だけど!最低限の実力は身につけたから、弟子入りしたいのです!」

 

「………そうか。色々と言いたいことはあるが、ひとまずは弟子入り認めてやる。これからみっちりしごいてやるから、覚悟しておくべきだな。」

 

「ッッッ♡はい♡僕をしごいてください♡それはもう、毎日、みっちりと♡」

 

 

あり?

 

話の流れが変わったな。

 

なんというか、さらに面倒くさい事になりそうだったので、俺はさっさと剣を受け取り、家へと早足で帰っていくのだった。

 




ちなみにマーゾも転生者で、目茶苦茶猫かぶってました。

でもウツノスキーのことは本当に一目惚れです。
ウツノスキーとくっつくために鍛冶師になったものの、あまりに周りからヨイショされるものなので、調子に乗ってアイドル生活を楽しんでしまっていました。

しかしそこでフィルを見つけ、フィルはそこそこの有名人なので、ウツノスキーさんとくっつくための協力を促しました。彼はタイミングを逃さないタイプの男です。

因みに目茶苦茶マゾです。

ウツノスキーも虚勢は張っていますが、普通にマーゾがイケメンなので実際あったら目茶苦茶緊張しています。

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