ここの街では、幸せな子供がたくさんいる!もちろん、僕も含めてね!
でも、僕達みたいな、お母さんがいない子は自分で名前を決めるんだ。
僕の名前はね、ルスクって言うんだ。何かお菓子みたいな名前でいいでしょ!
「うん、ありがとう。よくわかったよ。」
「良かった!…おじさん、僕たちに本当の名前を教えてくれるって言ってたけどほんと?」
「ほんとだよ。君たちの本当の名前を教えてあげるよ。」
「でも、名前を教えるには少し条件がいるんだ。その条件を満たした子から教えてあげるよ。」
「条件って?」
「ひみつだよ。これはゲームだよ。楽しんでね。じゃ、」
「…ばいばい!」
ゲームだなんて、今すぐ知りたいのに。あのおじさんはやっぱりいじわるだ。…がんばろ!
その日から僕は色々がんばった!パン屋のおてつだいをしたり、お手紙を届けたりした!でも、おじさんは他の子に本当の名前を教えていっしょに散歩?してるんだ。そっから戻ってこないけど。
どこに行ってるかは知らないけどね。でも、きっと天国に行ってるんだ!ふわふわしてて幸せって聞いたことあるし!みんな幸せだから戻ってないんだ!
「おじさん!僕いっぱいがんばったよ!本当の名前、教えてくれない?」
「そうだね、君はたくさん頑張ってたからね。」
「君の本当の名前はね。」
"フィースト" だよ
「んー何かむずかしい名前だね。」
「そうかな?おじさんは君によく合ってると思うよ。」
「えへへ、ありがと!じゃあさ、おじさんいつも名前を教えた後、散歩行ってるから僕も散歩行きたい!」
「散歩、散歩か。いいよ、行こうか。」
「うん!」
僕とおじさんは散歩をする!憧れの天国に行けるんだ!
―――
「おじさん…ここどこ?怖いよ…」
「ここは、おじさんの土地、家だよ。」
周りは暗くって、赤い森で、見たことが無い……。でも、ここが天国ならいいのかな。
「ここは天国?」
「あぁ、とても天国さ。色々な種類のご馳走が居るよ。ちょうど、ここにも一匹ね。」
「!僕、お肉なんて食べたことないよ?」
「はは、じゃあ特別に食べさせてあげよう。」
「ありがと!」
やっぱりここは天国だ!おじさんがお肉を食べさせてくれるだなんて!
―――
僕たちはダイニング?に来た!机がとっても大きくて、まるで貴族さまのところみたい!椅子も大きいしいっぱい!
「じゃあ、そこの席に座っておいて。」
「はじっこ?」
「うん。」
楽しみ、楽しみ!足が勝手に動いちゃう!えへへ!
……包丁?ここにも持ってくるんだ。初めて知った!準備してるのかなぁ。
?!
「痛い!痛いよ!おじさん!」
「食べたいんだろ?お肉を、」
「違う!やめて!離して!」
おじさんの爪が僕の肩に刺さってて痛い。抑えないで、抑えないで。怖くて動けない。
ここは天国じゃない。地獄だよ。本当の名前なんか聞くもんじゃなかった。
「痛い!やめて!痛い!助けて!」
「おじさんの耳が痛くなっちゃうよ。はい、あげるよ。」
「きっと美味しいさ。君は人一倍動いて美味しくなってくれたからね。」
うそだ。こんなに痛いのに。
「う、やだ、食べない。」
「わがままだね。食べないともっと地獄へ連れて行っちゃうよ?はい、あーん。」
「ふ、う、あう、」
口の中に何かが押し込まれる。…痛い、怖いよ。
「だれか、助けて…」
「泣くのはしょうがないよね、でも、おじさんだってしょうがない理由があるんだよ。」
「君たち孤児は、誰にも関心が向けられないだろ?みんな君のことは気にしないんだよ。」
今、言わないでよね。悲しくなってしまう。でも、痛い、痛い、今の苦しみは全部おじさんのせいだ。嫌いだ。
「うん、そろそろ食べ頃だ。ありがとうね。」
嫌だ、僕は生きるんだ。仲間だって居る。
あれ?でもみんなは戻ってきてない。
…仲間はおじさんに食べられた?みんな、食べられたのか。おじさんは嫌いだ。でも死ねばみんなと会えるんじゃないか?
うーん、痛いの我慢すればいっか!
嫌いだけど、大っきらいだけど、みんなと会えるならいいや!
「おじさん!僕を殺して!」
「ふふっ、お望み通りに。」
"フィースト"になってくれてありがとう。
みなさんも"フィースト"どうぞご堪能ください。