ごめんだけど!!
テストがあったんや―――!!!(盛大な言い訳)
どうやら洞窟は森のなかにあったらしい。
少し開けた丘のような場所に、ポツンと入り口があった。
「おぉ……ここが地上か。思ったよりも普通だな」
「ソンナザンネンナコト、イウナヨ」
相変わらずリムルはカタコトだ。
まぁ、洞窟を出たからと言って行くあてがあるわけでもない。
発生練習だってやり放題だろう。
「コレ、ナンダトオモウ?」
「おっ?」
リムルの視線の先には洞窟の入口を囲うように、複雑な紋様の魔法陣が広がっていた。
なんだ?さっきの冒険者が作ったものか?
……支援者教えてチョモランマ。
『告 これは個体名:ヴェルドラを封印するための術式と推測されます』
質問した俺に、返ってきたのはなんとも納得の行く答えだった。
「エ、ソウナノカ?」
今更だが支援者は、俺にだけでなく周囲の存在にも声を届けられる事が出来るらしく、今のようにちょくちょくスピーカーのような感じで喋ってくれる。
リムルも最初は驚いていたが、すぐに慣れて今ではしっかり反応までするようになった。
『是 人類にとって竜種は脅威です。街一つ壊滅させた事例を踏まえれば、妥当な処置でしょう』
……正論だ。正論すぎる。
だがな支援者、言って良いことと悪いことっていうのは確かに存在してるんだ。
ほら見ろよあのスライム。
冷や汗かいてるぞ。
スライムに汗流す機能あるかは知らないけど。
まぁ無理もない。
リムルは洞窟を出る前にヴェルドラを取り込み、体内で封印の相互解析を始めているのだから。
いざ封印をしっかりと確認して自分のやったことに、ようやく気づいたのだろう。
なんとも後先考えないやつである。
『否 あなたも冷や汗をかいてますよ』
はは…気のせいだろ。
決して俺が
「体内で解析したらいつか出られるようになるんじゃね?」
とか言ったわけでもないし、
「なんなら支援者も手伝ってくれるらしいぞ?」
なんて自分から協力したわけでもない。
したわけでもないのだ。
リムルにはこの責任を背負ってもらわねば。
「おいリムル、何やらかしてんだよ」
「オマエモノリノリダッタダロ!?」
「やれやれ言い訳は見苦しいぞ?」
「キオクデモナクシタノカヨ!?!?」
「困ったもんだなぁ……リムルは」
「マジカオマエ!?」
『…………ハァ』
◆
そんなこんなで森を歩くこと数時間。
空は紅く染まり始めていた。
「支援者ーいま何時ー?」
『解 現在時刻は午後四時です』
ガッツリ夕方である。
転生する前の俺であれば、妹とお菓子を母に無断でバリバリしている時間帯だ。
本来ならお腹が空いて力が出ない(小並感)、的な時間帯のはずだが―――
「お腹減ってない……」
「オマエモカ?」
妙な話だが、本当に何も感じない。
道中、暇すぎて支援者に判別してもらいながら、リムルと怪しい色をした果物を食べたりしていたが満腹にもならず、かと言って空腹なわけでもなかった。
あのとき、洞窟で支援者はこう言っていた。
『消耗しない限り、補給の必要は無い』
こんなんだった。
支援者ー?お腹空かないんだけどこれ大丈夫なの?
あと今はわざわざリムルに聞かせる意味もないので、スピーカーモード、オフである。
『解 現時点での補給は少量の消耗しか負っていないので不要です』
ほうほう。
『そして、アナタにとって血液を含まない食物は栄養価を持たず、摂取する意味もありません。食事を愉しむ、という観点に重きを置くのであれば別ですが』
ほーん?
と、いうことは今後俺は毒のある魔物を悲しく啜ることが確定したわけだ。
なんてこった。味はわかるのに栄養価が無いとは。
吸血鬼も不便なものである。
………え?人の血は吸わないのかって?
吸うわけ無いだろそんなモノ。
そんなことまでやり始めたら心の奥まで吸血鬼だ。まさに最後までたっぷり人間性を失い、楽しいバケモノ生活の開始が宣言されてしまう。
そんなことは、俺の中にある人間性が全否定している。
耐性スキルは持ってないが、今後手にはいる機会だってあるだろう。頑張って毒の無効を目指すだけだ。
一方、リムルは味はわからんし、補給すら必要ない……らしい。
お互いとんでもない体である。
とはいえ……このままじゃリムルが味気のない暮らしをすることになってしまう。
なので、蝙蝠みたいに身体器官を再現できるような魔物をさがす、これは今後の目標の一つと言えそうだった。
◆
――――――しかし、 森をいくら歩いても、魔物には遭遇しない。
表皮抜けするほど平和なまま、数日が過ぎてしまった。
ひたすら歩き、時々休んで、暇つぶしに支援者まで巻き込んでしりとり。
そんなゆるい時間が続く。
そんな中で唯一の事件といえば……………
【しりとり森の中グランプリ第38回 動物縛り】の最中。
なんかでっかい狼に襲われかけた。
体長大体2mくらい、ジャーマンシェパードもびっくりなサイズである。
とはいえ、支援者が圧倒的な知識量で他二人を圧倒する中、俺の編み出した
「いそうでいない、でも否定しきれない動物名」
を連発していたせいで、半ギレ状態だったリムルが―――
「ア"?」
と一声。
それだけで狼は逃げていってしまった。
なんとも情けないやつである。
◆
未だ森の中から出られず、ここでさまよい続けてはや………
「どんくらい?」
「オレもワカンナイゾ」
……まぁそんなもんだ。
この辺りまで来ると魔素濃度もすっかり下がりきり、支援者の精度もだいぶ安定したらしい。
試しに魔力感知を頼んでみると―――
なんとびっくり!半径200メートルほどまで確実に探知可能とのこと。
流石だぜ支援者さん!
『是 それほどでもありません』
…なんて真面目な奴なんだ。
軽く感心、重く苦笑い、そんなこんなで周囲を探っていると、妙なことに気づいた。
「リムル…気づいた?」
「お前モカ?」
どうやらリムルも気づいていたらしい。
何に気づいたか?
それは、俺たちの周りに何も反応がない、ということだ。
今更考えてみても、森の中数日ぶらついて魔物と出会ったのがたったの1回。
洞窟の中とは雲泥の差だ。
「支援者、スピーカーモードで説明してもらえる?」
そしてこんな時に頼れるのは支援者である。
『了 個体名リムル・テンペストの影響であると思われます』
え?そうなん?
「エ、俺?」
どうやらリムルに原因があったらしく、本人もその自覚はないようだった。
『個体名リムル・テンペストは周囲に妖気を放出し続けています。下位の魔物にとっては威嚇と同義に感じられるのでしょう』
ほんほん。
じゃ、リムルが原因ってことで大丈夫?
「是 その認識で間違っていません。アナタの妖気はワタシのほうで管理しているので問題無いです」
「リムル………なんでダダ漏れなんだよ」
「オマエも一人じゃデキてナイダロ!?」
「ぐぅの音も出ないぐぅ」
「言ってんジャねェカ!?」
そんなくだらない会話をしている時だった。
『告 魔力感知に反応あり。複数接近してきています』
「ほえー?」
「タシカニ何か着てる気がスル」
おんぶに抱っことはこのことだ。吸血牙装は出せるようになったが、魔力感知は自分じゃよく分かんないとは。
◆
やがて姿を現したのは―――三十匹以上の人型の魔物だった。
小柄な体躯に粗末な武装。
薄汚れた外見にどこか鈍い目。
いかにも異世界にいそうな奴である。
おおよその検討はついているが、一応聞いておくことにする。
支援者あれ何?
『解 下位の魔物
予想的中。
テンプレ中のテンプレだ。
いささか出てくるのが遅すぎるが。
冷静に考えたら三十匹以上の魔物は脅威である。
数は力とはよく言ったものだと思う。
しかし―――全ッ然怖くない。
本能が警報を鳴らさない。
装備もおそ松さん、洞窟の連中を見習ってほしいパート2だ。
まぁあの狼のが、よほど強そうだけど。
(まぁ……あの大蛇とか、蜘蛛とか見た目の圧も凄かったもんなあ)
(流石蜘蛛を前にして逃げただけはあるな、ナギサ?)
(オイテイッテナイカライイダロー)
………そう判断した時だった。
群れの中から1体が前に出た。
あの個体よりわずかに体格が良い。
(リーダー格かな?)
(多分そうかもな)
そいつがぎこちなく口をひらく。
「グガッ………ツヨキモノヨ……コノサキニ、ナニカ、ヨ、用事、ガァ……アリマスカ……?」
(おぉ、リムル喋ったぞ!初めて喋る魔物見たわ)
(ゴブリンって、喋れるんだな)
(俺のなかでは普通に喋れる枠だぞ、こういうタイプ)
片言……リムルの百倍酷いがそれが、かえってそれらしい。
これでペラッペラだったら逆に違和感があるだろう。
しかし―――武器を構えてるくせしてやけに丁寧だ。
敵意は薄い?敵ではないのか?
判断が難しいところだ。
だったら……………………。
(吸血牙装、出すか)
(早いよ!?ちょっと待て!?!?)
リムルが即座につっこんできた。
(話せるんだから会話してからに決まってんだろ!?)
……………タシカニ。
異世界に来て、大体敵対してたからそこの間隔は麻痺ってたかもしれない。
頑張って夏休みまでに原作2巻まで終わらせるから!!
頑張るから!!
だからコメントと評価、お願いします――――!!!!、
全然書いてないけどイフリート戦終わったら、他の視点やる?
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黙って続き書けや