作者は喜びの舞を踊っております。
それからしばらくは、二手に分かれて戦後処理に追われていた。
村の広場にいるリムルと少し離れたところで、寝かせた彼女を見ている俺という感じでだ。
村にて防衛に努めていたゴブリンたちは被害ゼロ。
牙狼族の生き残りは、およそ九十匹――――長だけが死亡した形になる。
そしてそのうち九匹――白牙狼である彼女を含めた一団だけが、リムルの配下に入ることを拒んだ。 結果として、そいつらは一時的に俺の下に付く形になっている。
……いや、“付く”って部下になったとかそういう感じじゃなくて。
(我らは、お嬢様の意思に従うのみ)
そんなことを言っている。 .......当の本人は、まだ目を覚ましていないんだけどな。
ちなみにその牙狼族の一団に関してリムルからは。
「ナギサが責任持つなら村にいてもいいんじゃないか」
と言われているので問題ない.......俺が責任を持つのは当然だからな。
そして戦いが終わってその翌日。
リムルの方では、ゴブリンと牙狼族をペアにして生活させる方針を打ち出したらしい。 正直、昨日のアレを見た後だと不安しかなかったが――
「意外とうまく行ってる」
と、リムルが念話で言ってきた。なんで?と思ったが 理由は単純らしく。
(群れの大半は、若様に従っておりますので)
九匹のうちの一匹が、そう説明してくれた。
――若様。つまり、あのボスの息子だ。
「なるほど」
トップが従えば、群れも従う。 分かりやすい構図だ。
しかし彼女に付いた8匹は違うらしく。
そのうちの一匹、年老いたような褪せた黒毛の牙狼が言うには。
(我らは……別ですが)
とのこと。そしてぽつりぽつりと、続ける。
(命を救われましたゆえ。お嬢様に、従っております)
「……そっか」
短く返す。
..........現在村には2つのグループが出来ている。
リムルについたゴブリンと牙狼族、白牙狼の彼女についた牙狼族の一部。
グループというには数が偏りすぎているが、気にするな。
........よく考えたら俺どっちでもなくね?
そんなことを内心思っていると。
(……スライム殿に従うつもりは、ありません)
はっきりとした声音で老いた牙狼が言う。
....まぁ、だろうな。
「...俺が言うのもアレだけど、それで良いんじゃないか」
肩をすくめる。
「そういうの、無理に変えるもんでもないし」
実際―― 昨日のことを考えれば、簡単に割り切れる話じゃない。 むしろ、それでもこの場に残ってるだけすごいことだろう。 ……たぶん。
そして現在、リムルはもうひとつ大きなことを始めていた。
――名付け。 ゴブリンと牙狼族、双方への命名だ。
昨日の戦後処理の最中に、「誰が誰だか分からなくて不便だ」とぼやいていたので、その延長だろう。 実際、俺も同じことは思っていた。 思っていた、んだが――
(……名付け、ですか)
隣にいた一匹が、低く呟く。 その声音は、わずかに強張っていた。
「ん、 どうした?」
(いえ……)
言い淀む。だが、すぐに続けた。
(名を与えられる、というのは我等魔物にとって大きな意味を持ちます)
「あーまぁ、そうだろうな」
俺自身ヴェルドラに名をつけられて何かが刻み込まれたような感覚があったのだ、そういうのがあっても不思議じゃない。
(名は魂を結ぶもの。我ら魔物にとって、一生消えることのない繋がりです)
(それは庇護の証であり、それ即ち従属の証でもあります)
....庇護はともかく従属? 俺は別にヴェルドラに従属してるつもりもないし感覚もないのだが。
『告 アナタは個体名ヴェルドラ、並びに個体名リムルと同じテンペストという名を共有しております。それは同格であることの証明なので、従属関係にはありません』
そんなこと思っていると支援者が説明してくれた。 そっかそういうことか、ヴェルドラもそんなこと言っていたな。
(名ありの魔物――ネームドになることは喜ばしく誉れのあるものです、しかしだからこそ主は選びたい。そして――我等はお嬢様次第ではありますがあのスライム....)
(リムル殿に仕えることは、無いでしょう)
そうして、話してくれている彼の視線の先に目を向ける。 そこでは、リムルがゴブリンに一人また一人と名を与えていた。
特に気負う様子も見せず。
ヒョイヒョイヒョイだ。
「まぁ....俺もこの話聞かなかったら気にしなかったからな」
(ごめんナギサ、なんかいい名前ない???)
そろそろ名前のレパートリーが尽きてきたのか、リムルが俺に助けを求めてきた――ので案を出す。
(田中太郎とかどうよ)
(却下だ却下)
そう言って念話は切れた。まぁちゃんと考えたわけじゃない適当な名前だ。
せいぜい一人で悩むが良い.....。
なんて思っていると牙狼族が気づいたように言ってきた
(そうですか.....あと、いらぬ心配かもしれませんが)
「お、どうした?」
心配とな?名付けでか?
と思った瞬間――――爆弾発言してきた。
(名付けは一回するだけで莫大な魔力を消費すると聞きますが....大丈夫ですかな?)
ほえ?
そう思った次の瞬間。
(あっ!?ごめんナギサ俺あと3日は動けないかも―――!!)
と爆音の念話が飛んできて――名付けをしていた広間から驚愕の声が広がった。
「「「「リムル様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」」」」
.............。
(......遅かったですかな?)
「.................多分」
うん、面倒なことになったようだ。
今日は後2話投稿したい……。
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全然書いてないけどイフリート戦終わったら、他の視点やる?
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リムルから見たナギサ
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日向と凪沙の昔話
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黙って続き書けや