転生したら吸血鬼だったんだけど何か違う件   作:五月雨と狐

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ワイは頑張ってる、いいね?


沈黙のリムルと牙狼族の恩

リムルは――完全に沈黙した。

 

念話を飛ばしても返事がない。

 

……文字通り、ただの屍のようだ。

 

いや、屍じゃないけど。                                                 

 

 

 

そんな感じ内心ボケてみたが……笑えない。

 

リムルが動かなくなって広間は一気に騒然となってしまった。

 

ゴブリンたちは右往左往し、牙狼族も落ち着かない様子でざわめいている。

 

完全に収拾がつかなくなっていた。

 

「……はぁ」

 

小さく息を吐く。

 

あんまり前に出る気はなかったんだけどな。

人前に立つようなタイプじゃないし..........少し、ほんの少しだけ、めんどくさかった。

 

 

......でも。

 

このまま放っておくわけにもいかない。

リムルだけじゃなく俺もゴブリン村の守護を任されているのだから。

 

「ごめん、ちょっと行ってくる」

 

後ろに声をかける。

 

彼女についた数匹の牙狼は、変わらずその場に控えていた。

 

(えぇ、お気をつけて)

 

(ナギサ殿にお任せいたします)

 

「……任せるってほどでもないけどな」

 

軽く手を振る。

 

それでも、あいつらは一歩も動かない。

 

――あくまで、“俺”じゃなくて。

 

“彼女の側にいると決めた”

それだけでこの村に留まったのが見てわかる。

 

.........とても彼女は慕われているのだろう。                                     

 

大したもんだ。                               

 

「……ま、いいか」                                         

 

本当なら側を離れるべきじゃない。

 

けど、あの様子なら目を覚ましても暴れはしないだろう。

小さく呟き、広間へと歩き出す。

 

混乱の中心へ。

 

さて――

 

どう収めるかね。

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで広間に到着。                                                                                   さっさと収めてしまおう――――どうするか決めてないけど。                                    

 

「あっナギサ殿、リムル様がっ」

 

と村長に声をかけられるが、ハンドサインで余裕だと示してさっさと動く。                                                                      

 

パンパンッと手を叩いてサクッと注目を集める―――――が、この状況じゃ意味なかったらしく落ち着きは戻らない。めんどくさいけど、声でどうにかしよう。                                                  

 

「みんな、驚かせて悪かったな。いまリムルは名付けのし過ぎでダウンした!!」                   

 

通るように大きな声で。                                           これでちょっとざわつきが収まったかな?                                   

 

「数日は起きないらしいが―――まぁ大丈夫だ!さっきもらった命令を守って動くように!」          

 

あと言うことは.....。

こんくらいか。

 

「あっちに俺はいるから、なにかあったら俺に話してくれ、いいな!」                             

 

ひとしきり喋り終えて、ゴブリンたちは落ち着いたらしく、各自自身のやるべきことをしに戻った。が、牙狼族が動かない。                                         

 

なんだ?と思ったがつかの間。                                         

 

一匹が前に出てきた。                                    

 

(すみませぬナギサ様。ちょっとよろしいですか)                          

 

「んお?お前は確か――」                                                

 

牙狼族のボスの息子、今群れを統率していたやつだ。                              

 

(はい、先程リムル様より''ランガ''の名前をもらったものです)                      

 

「そうかランガだな、ありがとう――それでなんかあったか?」                         

 

正直こいつ‐――ランガとは接点はなかった。                              戦後処理のさなか少し言葉をかわしただけである。                                

 

リムルに忠誠を誓ったとはいえ何を言うのか―――と思ったのだが、その心配は無用だった。                                      

 

ランガが、ゆっくりと頭を下げる。 ――それも。 地に額が触れるほど、深く。

 

うん何事?と思ったが次の瞬間。

 

後方に控えていた牙狼族が、一斉に同じ動作を取った。                                   八十を超える巨体が、すべてこちらに向けて伏している。

 

圧が――凄い。

 

「いや、ちょっ……どうしたんだよこれ!?」

 

さすがに動揺する。 というか、するなって方が無理だろ。                                   しかしそんな俺を気にせずにランガは続ける。

 

(我らが群れの“牙”――)

 

ランガが、頭を下げたまま口を開く。

 

(白牙狼にして、我が妹)

(その命を、救っていただいた)

 

静かに、だが確かに響く声。

 

(……感謝を)

 

「……」

 

言葉が、出ない。                                                                                            まさか......ここまで言われるとは。ただの礼じゃない。                                  

 

「……いや、別に」                                           

 

と、なんとか絞り出す。                                                

 

「俺は、やりたいようにやっただけだ」 

「礼はいらない」

 

自己満足。

結局は、俺のエゴ。                                                   

 

(それでも、です)                                                

 

即答だった。                                           

 

(あの場、あの瞬間――妹は、殺されていてもおかしくなかった)

 

(……それ以前に、貴方に敗北した時点で死んでいてもおかしくなかった)

 

淡々とした声音。

だが、その奥にあるものは、はっきりと伝わってくる。

 

(妹が正しいとは、言いません)

(ですが――あやつの気持ちは、痛いほど理解できます)

 

一瞬だけ、言葉が止まる。

 

(……ゆえに)

(身を挺して妹を守っていただいたこと――感謝いたします)                            

 

 

 

――きっとこいつ、ランガも本当は彼女と同じ気持ちだったのだろう。                           

 

でも、父を失って。 代わりに立場を背負って。

 

それでも――感情を押し殺して、ここに立ってる。

 

「……」

 

少しだけ、息を吐く。

 

「いいって」

 

なにかを誤魔化すように肩をすくめて。

 

「ちょっとの間だったけどさ、あいつと話したんだ」

 

「だから――見捨てられなかった。それだけだよ」                                   

 

感謝なんてされるもんじゃない。 自分勝手に助けようとしただけだ。 余計な理由なんて、いらない。                                 

 

ランガはゆっくりと顔を上げた。 それに続いて、群れも動く。 だが。 その視線は、変わらない。 まっすぐに、こちらを見ている。                                    

 

(......散れ)

 

短く、一声。 それを合図に、牙狼族は踵を返した。

ゴブリンたちの後を追うように、それぞれの持ち場へと散っていく。

 

残ったのは――ランガだけだ。

 

「……どうした?」

 

問いかける。 すると、ランガはほんの僅かに間を置いてから―― 再び、こちらを見据えた。                                                               

 

(あやつの、妹のことです)                                 

 

ランガはそう零した。                                         

 

(おそらく、あやつは目が覚めたらリムル様に害をなそうとするか――)                    

 

 

溜めてその先を続ける。                                     

 

(―――自ら死を選びかねません)                                                    

 

そう、言い切った。                                        

 

(ワレはそれを止めたい)                                         

 

「..............そうだな。でも、なんで俺に先に言ったんだ?」

 

自分で止めろよ、という意味を込めて返した。

 

いや、別に俺も見捨てるとか、その死をみすみす見逃すつもりはないのだが。

 

 

 

兄ならば、誰かに頼る前にまず自分で妹を止めるべきだと思うのだ。                   

 

ま、俺に言えたことじゃないけど

 

俺には、置いてきてしまったが妹がいるのだから。                               

 

生意気なやつだが可愛い妹だと思うし、責任だってそれ相応に感じている。そして、そういう妹のための言葉は自身で伝えるべきだと思うのだ。                        

 

しかし、ランガはその言葉に顔を歪ませて続ける                                                      

 

(――ワレの言葉では……いや、群れの誰の言葉でも止められぬでしょう。)                           

 

 

 

(.......誰もあの時、あやつの味方ではなかったのですから)                        

 

悲しそうに、寂しそうに告げる。                                   

 

(唯一、あやつのために.......)

(なにかをできた...アナタだけにしか、できないことなのです)       

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

....俺にしか、できない....か。                                                      

 

「……そうか」

 

正直、まだ思っていることはある。                                 でも、ランガの目を見れば分かる。                                    自分にできるのはここまでだと、分かってしまっている目。                                                             

 

それはどこか過去の自分を見ているようで―――――――――。                      

 

 

 

 

......そこで考えるのをやめる。                                     今はただ、自分にできることをしよう。                             

 

ランガは、いまだ返事をしない俺を見ている。 

 

だったら、それに応えるのが先だ。                      

 

「あぁ.........分かった」

 

その目をしっかりと見据え。                                      俺も自身の思いを伝える。

 

「もし、彼女がそんなことになったのだとしたら」

あの時の光景が、頭に焼き付いている。 父の亡骸に縋りついて、叫んでいた姿。 あれを見て、なにもしないなんてこと、俺にはできない。

 

「俺は、どんなことになっても止めてみせる」

 

.......そう告げると、ランガは深く頭を下げた。

 

(……感謝します)

 

「やめろよ、あんま気にするな」

 

これは俺が招いた出来事でもあるんだから。 でも、やっぱり俺だけじゃだめだ。                                 

 

「その代わりというか、彼女の眼が覚めたらどれだけ経っても良い。絶対に声かけて、話し、しろよ?」                                                

 

兄妹じゃないと、話せないこともあるんだから。                                

 

そう言うとランガは、少し驚いた顔をして―――――――。                        

 

(ハハッ......分かりました)                                          (........この恩は、必ず返させて頂きます)                                                            

 

そう返したのだった。                                    

 

................なんとなく、兄貴同士ってやつなのかもしれない。                                 

 

 

 

そんな空気が流れた時。 ばたばたと慌ただしい足音が近づいてくる。 振り向くと、牙狼族の一匹が息を切らしながら駆け寄ってきた。あの老いた牙狼だった。           

 

 

「おぉどうした、なんかあったか?」

 

(ナギサ殿ッ!!)

 

切羽詰まった声。 俺の質問は無視された。                                      そのまま、牙狼は息を切らしたまま叫ぶ。

 

(お嬢様が目覚めましたっ!!!!)  




おいおい………22話話重すぎて嘔吐しそう。

とりま評価と感想待ってます!

全然書いてないけどイフリート戦終わったら、他の視点やる?

  • ヒナタのドロドロ感情劇場
  • リムルから見たナギサ
  • 日向と凪沙の昔話
  • 黙って続き書けや
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