え?シリアスは?
………読んだらわかる。
そんなにシリアスじゃないよ!
ご都合主義万歳!!!
先の知らせを聞いた俺は、ランガになにかあったときの連絡を任せ、目を覚ましたらしい彼女の元へ向かった。
今、ちょうど意識がはっきりしてきたらしい。
(ここは……?)
「柵の中に急ピッチで建てた簡易テントだ」
広場からほどよく離れた静かなテント。そこに彼女は眠っていたのだ。
(……ありがとうございます)
「……あぁ」
分かってはいたが、元気がない。生きる理由を失ってしまったような、大切なものを取りこぼしてしまったような。そんな感じだった。
「……水でも飲むか?」
一応、いつ目覚めてもいいように器へ川から汲んだ水を入れてある。目が覚めてまだ何も口にしていないようなので勧めてみたが。
(いえ、おかまいなく……)
「そうか」
……何を話せばいいのか分からない。空白の時間が続く。決して居心地がいいものではない。
そんな時間が数十秒――いや、数分続いた頃。彼女がふと口を開いた。
(父上……)
(父上は、どうなりましたか……?)
――彼女にとっては受け入れ難い事実だったのだろう。そう聞いてくる彼女の顔には、光がなかった。
俺は、それに――
「……死んだ」
そう答えた。
彼女も分かっていて聞いたのだろう。反応は、薄かった。
(そう、ですか)
――いや、感情が薄いんじゃない。ただ、押し殺してるだけだ。あふれる感情を、破裂させてしまわないように。
そして、そのまま顔を伏せる。
(……)
「……」
伏せたまま、彼女は俺に尋ねた。
(……殺しては、くれなかったのですか)
その世界を恨んでいるような一言で、俺はランガの言っていたことが正しかったと改めて認識した。
(なんで……)
彼女は、誰に言うわけでもなく独りでつぶやく。
(なんで私は……生きている)
答えなんて求めてはいないのだろう。でも、俺はランガに託された。兄として、託されたのだ。その言葉に応える義務がある。
「……俺の、エゴだ」
「生きてて欲しいと願った、俺の汚い願いだ」
(……なら、私を殺してはくれないのですね)
俺の言葉に返ってきた声は、もう擦り切れていた。
(……自分勝手、ですね)
「……あぁ。よく言われるよ」
前世では、幼馴染にも言われていた。
(私は……負けました)
ぽつり、と零す。
(大切なものを失ってなお……生きている)
否定はしない。否定できるような人間じゃない。
(ならば、本来なら私は――)
でも、その言葉は駄目だ。
「死ぬべきだった……か」
途中で切った言葉を、俺が代わりに口にする。
彼女は驚きもせず、さらに続けた。
(分かっているなら、なんで……)
(なんで……そんな顔するんですか)
「…………」
(なんで……あなたのほうが、苦しそうなんですか)
それに、俺は――
「……分かってる」
「……分かってるから、苦しいんだ」
リムルに迷惑をかけたのも。君がそんなに苦しんでいるのも。全部全部、俺のせいだと分かっているから。
そう言う俺に、彼女はついに感情の蓋が外れたように叫んだ。
(――なら、なんで!! あのときスライムから私を庇ったんですか!!)
(あの一撃で、私が殺されるのを見てれば良かったじゃないですか!!)
それは、尤もなものだろう。でも、俺が駄目だった。
「全部、おれのせいなんだ」
恨んでくれたって構わない。
だけど。
(だったら――――!!!!!)
なおも言い募る彼女に、俺は。
「でも、それでも」
「あの時をもう一回やり直せと言われても」
「俺は、必ずまたお前を助ける」
そう言った。……その言葉に、彼女は何も言わなかった。
少しの沈黙が、俺たちの間に降りる。外からはゴブリンたちとペアになった牙狼族の声が聞こえてくる。
――そんなとき、再び話し始めたのは彼女だった。
(……兄上……群れのみんなはどうしていますか……)
「……いま、テントの外にいる八匹以外、リムルに忠誠を誓った」
嘘は、言えない。
また、しばらく沈黙が落ちる。
「……会いに行くか?」
なんとなく、そう聞いてみる。
だが。
(いいえ)
迷いは、なかった。
(今の私は……もう群れに戻れないでしょう)
……なぜ、とは思わない。だって分かってしまうから。
(あのスライム――リムルと言いましたか。アレに忠誠を誓ったのでしょう? 兄上たちは)
(……なら、もう終わりです)
ぽつり、と。諦めにも似た声だった。
(我ら牙狼族にとって、『忠誠』は絶対です)
(父上を殺した相手に頭を垂れた時点で――もう、私とは違う)
「……」
言葉に、少し棘が混じる。だがそれは、ランガたちへの怒りというより。置いていかれた側の痛み、なのだろう。
(もちろん、理解はしています)
(群れを生かすには、あれが最善だった)
(兄上は間違っていない)
「……あぁ」
たぶん、本当にそう思ってる。だからこそ。余計に、自分の居場所がなくなったと感じている。
(ですが)
ぎゅ、と。敷かれていた布を爪が掴む。
(私は、あの場で父上の死を受け入れられなかった)
(皆が頭を下げる中、一匹だけ牙を剥いた)
(……もう、同じ群れではいられません)
静かな声だった。先程のような叫びも、怒りもない。空虚で、重さだけがある言葉だった。
(……本当に……私は、どうしたらいいんでしょうね)
「……俺に、言えることなんて無い」
ここにいろ?
俺が守る?
……どれも違うだろ。
俺なんかが言える言葉じゃないから。
でも。
「決めるのは、お前だから」
これだけは確かなんだから。
(――――)
「今は、まだ。決められないかもしれない」
父親が殺された。それから時間なんて、全然流れていない。選択を今迫るのは、酷だ。
「決まるまで。君が決めるまでは――」
俺のエゴで救ってしまった。
なら俺にできることは?
俺がやらなければいけないことは?
それは、きっと。
「俺が、支えるから」
(……ぁあ)
こういうことだ。
(ッ……あ……)
「今ではないいつか、君が答えを見つける。そのときまで」
「だから、死ぬと決めるのは、その答えを見つけてからにしないか」
(……本当に)
(本当に、なんなんですか、アナタは……)
――なんなんだろうな。俺って。
人間じゃない。
吸血鬼かと言われれば、そうなんだろう。
でも、心だけはあの日のまま、人間のままで。
どっちつかずの、中途半端な存在。
……なんだか、自分でも笑えてくる。
小さく息を吐いて、俺は苦笑した。
「俺にも、わかんない」
分からない。人を救う資格があるのかも。この選択が正しかったのかも。この先、彼女が幸せになれるのかも。何一つ分からない。
それでも。
分からないからといって、手を放す理由にはならない。
そんな俺ができることを、彼女に。
「でも、約束はする」
「君が答えを見つけるまで」
「それまで悩むことができる場所だけは、俺が用意する」
(居場所……)
「だから今は悩んでくれ」
「出ていきたくなったら、出ていけばいい」
少し、間を置いて。
「それがお前の答えなら、俺は尊重する」
(……ずるい、人ですね)
「……そう言われたことは、あんまり無いかな」
苦笑して返す。
返事はなかった。
でも。
さっきまで俺を睨みつけていた視線は、もう向けられていなかった。
俯いたまま。何かを考えるように、黙っている。
……考えてくれてるなら、それでいい。
それが彼女のこれからに繋がるのだから。
さぁーてここで問題!!
作者のやる気は今どのくらいでしょーか?
【ゼロです】
食い気味だぁぁぁぁぉぁぁぁ!!!
コメント評価待ってます!
めざせ週間ランキング100位以内!!(無謀)
全然書いてないけどイフリート戦終わったら、他の視点やる?
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黙って続き書けや