許してヒヤシンス!
……え?
寒い?
白牙狼の彼女と約束を交わして、一晩が過ぎた。現在、朝である。
リムルは昨日と変わらず眠ったまま。
まぁ、あと二日もすれば起きるだろう。
眠る前に
「三日くらい寝る」
と言っていたし。
........それにしても、夜は暇だった。
一応、村が襲われないよう見張りをしていた――文字通り一晩中。
だが、魔物が襲ってくるわけでもない。
暇。
めっちゃ暇。
暇すぎて支援者と吸血牙装の練習をしたりしていた。
リムルがいないだけで、こんなに暇になるとは。 まさかの発見である。
そして今は村のみんなも起きていた......一足先にランガとは話したが。
そして、そこから分かること。
それは.......無事ではない可能性が非常に高いこと。
「はっはっは!!! おはようございますナギサ殿!!! 今日はいい天気ですな!!!!」
「あぁ……うん、おはよう」
目の前には筋骨隆々の緑色の大男、俺より頭一つは大きい2m近くはありそうだ。
「このリグルド!! 絶好調でございます!!!」
……誰? そう思った人もいるだろう。 安心してほしい。 俺も起きてきたコイツを見た瞬間、爪を出しかけた。
それくらいには怖かった。 だが、支援者曰く。そしてこの大男曰く。
「リムル様のおかげで、ゴブリンから進化しましたぞ!! より村長の役目を果たせそうです!」
そう。 こいつ、村長である。 昨日まで若いゴブリンに支えられて歩いていたヨボヨボの老人が、一晩でこれだ。
……なんだよ、名付けって。
そんなことを思いながらリグルドと話しているここは、彼女の眠るテントから程よく離れた場所だった。
「しかしナギサ殿。なぜこんな場所なのですかな? 皆も会いたがっておりましたし、広場で良かったのでは?」
「まぁ……それには理由があってさ」
支援者によれば、名付けでゴブリンたちは人鬼――ホブゴブリンへ進化したらしい。 その結果、全員一気に体が成長した。
つまり。 服が入らなくなった。
……リグルドを見れば分かる。 筋骨隆々。
上裸である。
...... 男性陣はまだいい。
問題は女性のゴブリナたちだ。
明らかに女性らしい体つきへ変化した結果、服が全然仕事をしていなかった。
俺は目のやり場に困って逃げた。
ちなみにホブゴブリンの男連中もゴブリナを見る目がちょっと危なかったので、そっちも広場から離してある。 つまり、今ここにいる理由は単純。
俺は逃げたのだ......しかし
「あぁ……その、そっちのリーダー格ってリグルドじゃん。だから先にリーダーに伝えておこうかなって思って」
逃げたこちは誤魔化す。
こちとら村の守護者扱いやぞ!そんな情けないこと言えるかって!!
........決めないといけないこともあったしと、脳内だが言い訳しておく。
「ナギサ殿からリーダーと認めてもらえていたとはこのリグルド感激ですぞ!!!」
話を振ったつもりだったのだが、なぜかリグルドは感激して泣き始めた。
……忠誠心ってここまで人を変えるものなんだろうか。
現実逃避気味にそんなことを考えていると、ようやく落ち着いたらしい。
「して……伝えたいこととは?」
なんでもしますぞ!!と やる気満々のリグルドに苦笑しながら、本題へ入る。
「食料に関しての話だ」
現在村には百五十を超えるゴブリンと牙狼族がいる。 俺やリムルは食べなくてもいいが、あの人数分の食料は確保しなければならない。
「あぁ、そうですな。以前我々は森の幸を手に入れて食っておりましたが」
「なら大丈夫だ。話は早い」
狩りの文化があるなら話は早い。 あとは効率よく狩れるようにすればいい。
「ランガに話は通してある。ペアにしたゴブリンと牙狼族を、何組か集めてグループにしてくれ。そのグループで狩りを行って欲しいんだ」
これは支援者と夜を明かしていたときに考えていた案だ。
さきほど出会ったランガは、ゴブリンたち同様に進化しており、順当進化というよう
なかんじだった。 かっこいい大きな狼!そんなイメージだ。
しかも、群れとしても《嵐牙狼族》というのになっているので大分強くなっている。
そんなランガたちとゴブリンで狩りしてもらい食料問題の解決を図ろう、そんな考え
である。
最初は俺が全員分狩ってくるというのも考えたが、支援者から止められた。
『告 コレ以上の消耗は認められません』
とのこと。
今までにない語句の強さだったので、しぶしぶそれを飲んでしまったという話だ。
「ふむ.......なるほど!!ではことは早いほうが良いですな、早速グループに分けてきますぞ!!!
アスリート並みのスピードで去っていくリグルドを見送る。
美しいフォームであったとだけ言っておこう。
◆
リグルドのたくましい背中を見送りながら改めて思う。
........名付けというのは不思議なものだ。
どうして名前を与えただけで、あそこまで変わるのか。 いや、理屈は分かってる。
名前ってのは魔物にとって特別なもので、リムルの魔力が譲渡されその結果進化した。
しかし、気持ち納得できない。
(........リグルドだけだよなぁ...)
なぜヨボヨボからムキムキに。
そんなこと考えながら、足はとあるテントに向かっていた。
昨日眠って以来会ってない白牙狼の彼女を見に行くためだった。
そもそも俺が彼女含めあの一団の責任を負っているわけなのだから、見に行くのも当然だろう。
『告 理屈で動いているわけではありません』
......そういうことは言わなくてもいいんだぞ。支援者。
『否 正しく伝えるのも役目です』
どうやら正しさとは時に人を傷つける刃になることをコイツは知らないようだ。
評価とコメント待ってます♡
作者はもうヤケクソでこの話上げてるので、前書きがクソでも気にしないでね!
全然書いてないけどイフリート戦終わったら、他の視点やる?
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黙って続き書けや