「えーと、説明する前にあなたにはコレを着てもらいます」
「What is this?」
「ナギサ殿今なんて言いましたか?」
「これは何?」
「顔を隠せる羽織です」
「なるほど」
ここはドワーフ王国の異世界っぽさあふれる家々の間にある路地裏。ちなみに上から順にアレク俺ユキナ俺アレク俺の発言である。少々変なテンションになっているのは御愛嬌。
もとがラノベ大好き少年だったから異世界っぽいところに来てテンション上がってるからねしょうがないね。
「んーこれなんで着るんだ?一応俺は旅装束的なの着てるけど、ユキナはまぁ狼だしいらないんだろうけど。必要か?これ」
アレクが持っているのは灰色の目立たないようにできているクローク....まぁアレクの言ったように顔を隠せる羽織みたいなもんだ。俺自身そこまでひどい顔をしているつもりはないが......。
「やっぱ醜かったか?」
「なんかとんでもない勘違いしてませんか!?というかボクも着てますし、怪しいのじゃないですって!」
違ったみたいだ。
「いいですか、ナギサ.....殿?」
「お兄ちゃんでいいぞ?」
「ナギサさんで」
薄情な。
「いやボク姉いるんで.....で、話戻すと。気づいていませんか?町の人のあなた達を見る目に」
「全く」
微塵も気づかなかったし。なんならここに来てから異世界すげーってしか思ってなかったぞ。てかどんな目で見られてんだ、何もしてないぞあのアフォスライムと違って。
「はぁ、ナギサさん吸血鬼なんでしょ?魔人なんだからもう少し危機感と言うかアナタの持つ影響力というのを自覚したほうがいいですよ?」
What is 魔人?
「力ある人の形をした魔物のことです。吸血鬼を筆頭に巨人族なんかが種族として該当しますよ、ナギサ殿」
ありがとうユキナ。頼りにならない護衛対象ですまんな。異世界初心者なんや。
「はい。狼さんの言う通りナギサさんはかなり有名な力ある種族なんですよ。ここがいくらドワーフ王のお膝元とは言え限度はあります。力があるなら、面倒事にならないよう不必要に自身のことを明かすのは得策ではありません」
異世界も面倒くさいな。有名人がサングラスとかかけて誤魔化すみたいな話か?多分 そういういい意味で追いかけられるんじゃないだろうけど。指名手配的な。
「はぁ....そんなもんか。んじゃ、それ着ていいか?」
「どうぞ」
渡されるクロークをパッと纏う。頭にフードつけて完璧だね。胡散臭いことこの上無い。てかあれ?このマーク何?なんか付いてるんだけど。
デザインに文句を言うつもりはないが、なんかついてる。なんかついてるんだよぉ!という感情を込めてアレクを凝視してみる。伝われ!俺の気持ち!!
「念話届いてますけど」
「はい、えーと。これは.....うちの姉の店のマークでして。お得意様しかこれもらえないんですよ?可愛いでしょ、この蝶のマーク」
「なんか誤魔化したけど勝手にお得意様にしてない?大丈夫?」
アレク最初キャッチみたいな声のかけ方してきたからな。ガチのキャッチか?こいつ。
「ナギサ殿、ちょっと失礼...」
ユキナがクロークに顔を近づけて、スンスンと匂いをかぎ始めた。嗅げば嗅ぐほど顔がしかめっ面に成っていき、俺は自身の体臭が気になり始めた。怖い。
「......アレク....貴方、ジュラの大森林南方のエルフですか?」
なぜ分かる。というか南方出身だから何なんだ。
「ッ..!よく分かりましたね、正解ですよ」
「どうりで。この蝶の印は南方のエルフのものです。服の匂いも甘い香りがしますしね.....」
そうユキナが言うと、アレクは身を構えた。こちらをニコニコしながら見ていたはずなのに今では完全に警戒モード。
うん、なんで?
「.....それがどうしたんです、何か言わないとわかりませんよ?」
どうかしたからアンタ警戒してんじゃないの?
「白々しい。貴方がソレを言いますか.......まぁ、ここで追求するつもりはありませんけどもね」
おぉ良かった。
ところでなんの話ししてるか聞いて良い?と思ったがユキナは、ただ。と付け加えた。俺の近くを離れアレクの方へ。
顔を近づけ背後からでも分かる圧倒的な冷気を滲ませながら。
「.....こちらに危害を加えたら....分かってるな
「あ....」
ひゅーこっわ。俺はユキナ怒らせんようにしとこー。
.........はぁ。
「ユキナさんや。さすがにそれはやりすぎだ。アレクがなんかしたのかもしれないけど、さすがに可哀想だ」
ちらりとアレクを見れば半泣き。こちらをキッと睨んできてはいるが完全に勝つことを諦めた眼をしている。
何の話か.....まぁおそらくきっとメイビーこちらをハメようとしてたんだろうが...正直どうでもいい。
「ほい、立てる?」
アレクに手を差し伸べる。立てそうですか?駄目ですか?抱っこルートですか?
「ありが、とう....ございます」
「気にすんな。ユキナはあぁ言ってるけど俺はマッジでどうでもいいから。それに声かけてくれたのは善意だろ?それでトントンだ」
いやトントンかは知らないけどね?しかも本当にハメようとしてたかは知らないし。ワイは自称鈍感系主人公。察して欲しい?お前はメンヘラか。
それにここまで来たのも俺の向こう見ずだ。行き当たりばったり上等。予定帳?そんなの無い。
「.....どうしてそこまで?まだボクはあなたたちになにも....」
なんか驚いているアレク。この世界って行き当たりばったりって言葉無いの?というか何もしてないって、そりゃだって.....。
「今からしてもらえる予定だからな。そうだろ?」
な?な?と念を押しておく。生き残れはするだろうけど町中で生き残れるだけじゃ意味ないし。俺はアレク頼りでここにいるんやで。
とりあえずカスみたいな発言をして、助けてくださいヘルプミーしてみたけど、なんかアレクが笑い始めた。失敬な、こっちはマジでカス発言してんのに。
「あはははっ!そうですか、助けてもらえる予定、ですか!」
イケメンは笑い方までイケメンか?おい、なぁ、おい。
「.....ナギサ殿。そういうところはあなたの魅力ですけど、コイツは...」
もうどうでもいいんだって。最悪ユキナが傷つかんかったら大丈夫なんやって。モーマンタイなんやって。
「ですが...」
「いやね、ユキナが俺を思いやってくれてるのは分かるけど。俺以外にも優しくしてくれよ?俺はそっちのが嬉しいかも」
申し訳ないけど、ね。
「......すみません」
おk。
「ナギサさん」
「どした」
笑っていたイケメンが話しかけてきた。コイツぁ将来女泣かせになりますよ。今のうちに潰しとくか悩むレベル。
「はい、承りました!」
なにを。
「このドワーフ王国.....武装国家ドワルゴンにおいて!ボクことアレクが、ナギサさんたちをお助けします!!」
おぉ....ナイス意気込み。頼もしいこと..なんだろうけど、12歳に16歳と狼がお世話になるのはどうなのだろうか。あと....
「アレクさんや」
「なんでしょう」「その意気込みは嬉しい..けどさ、ここ路地裏とは言っても家と家の間なわけよ」
「はい」
「さっきのやつ、周りの家からしたら丸聞こえっす..多分」
その後アレクは15分ほど口を利いてくれなかった。
◆
ごくり、自身のつばを飲み込む音が聞こえる。眼の前には程よく焼け茶色のタレがかかった最高にうまそうな串焼きが....ある。噛めばきっとジューシーで程よい食感が己の舌を唸らせてくれることが確定している。
ただ、ここは異世界。俺がコレまで食べて来たのはくっそ不味いお茶、いっぱい食べないといけなかったなんとも言い難い味わいの肉。
この世界から見れば異世界に当たる前世で美味いものに慣れすぎた俺の舌に、美味い と言わせることが貴様にできるか?
では、喫食......いただきます。
「お、美味しい.....だと!?」
ほのかに香る果汁、舌を刺すぴりりとした辛味、きっと秘伝のタレであろう芳醇な旨味。肉自体も最高にジューシーで噛めば噛むほど肉が出てくる。うっ.....涙が。
「何に驚いているんですか!?」
なにを当然のことを。
「串焼き」
「それは分かりますけども!?」
なにやら頭を抱えるアレク。ははは何に驚いているというのかね。あ、そうそう。
「ユキナ、俺ので良かったら食べる?」
「良いんですか!?......頂きます、ハグっ」
一気に半分以上.....というか一口しか喰ってない串焼きが持っていかれた。
「....美味しい?」
万感の思いを込めて尋ねる。せめて美味しいと言ってくれ。
「むぐむぐむぐ.......ナギサ殿。これを村で作れるようになりましょう」
「良かったなアレク。お眼鏡にかなったようだぞ」
「ボク、ナギサさんに買ったはずなんですけど!」
俺の護衛だからねしょうがないね。ユキナの口から串焼きの串を回収しぽいっと捨てる.....もちろん公共のゴミ箱に。
ナイッシュー!
「で、ところでなんだけど」
「はい、なんですか?」
「どこに行ってるんだっけ?」
「さっき言いましたよ.....ボクの姉が働くお酒が飲めるところです」
やはりキャッチか貴様。というか俺未成年だし、飲めねぇよ。
「ご飯も美味しいですし、というかボクもドワルゴンで数日寝泊まりできるようなお金持ってないですよ。だから姉の職場の所有する宿場に部屋を借りるんです」
「ちなみに値段は?」
「一応無料です。店主さんと懇意にしてまして、ボクの客人ならタダなんですよ」
アレクってもしかしてすごいやつだったりする?偉い人の息子?
「はぁ....今更ながら申し訳なくなってきたぞ。串焼きまで奢ってもらっちゃったし。あ、めっちゃ美味かった、ご馳走様でした」
「いえいえボクが作ったわけではありませんし。あとボク恥ずかしい思いしてまであんな発言したんですから。この町にナギサさんたちが用がなくなるまで面倒は見ますよ」
「イケメンは根性までイケメン.....か」
これだから恨め無いんだよなイケメンも。みんなクズだったら良かったのに。
「なんか変なこと言ってますけど......って、あれ?」
アレクが顔を上げる。その視線の先にはなにやら慌ただしく動いているドワーフの騎士たちが。
「あっちは確か.......鉱山の方で」
「なんかあったっぽいな....ユキナ、こっからでも聞こえるか?」
ユキナは狼だ、それが関係しているのかめっちゃ耳が良い。ギリギリ聞こえたりしないかな。
「えーっと.....はい。鉱山の方でアーマーサウルスが出現したようです。今し方討伐隊が向かったようです」
アーマーサウルス?なんじゃそりゃ。
『告個体名:ヴェルドラと遭遇した洞窟でも確認できています。アナタがトカゲと言っていた魔物です』
納得。完全に理解したわ。
「ってかそれヤバくね?」
俺が行ったほうが良いか?一回倒したことはあるけど中々硬かったぞ?なんて考えていると。
「いえ、大丈夫だと思いますよ。ドワルゴンの兵は強いです。Aランク以上でもなければ確実に討伐できますよ」
「ほえ.......さすがドワーフ王国って感じか?」
「そうですね。他国であればここまでうまくは行かないでしょう。不敗神話は伊達ではありませんし」
すげえなドワルゴン。武装国家ってだけあるし。なんか秘密の部隊とかいそうだな。異世界だし、ロマンは求めたい。それに不敗神話ねぇ...やっぱロマンがありますわ。
「というかずっと聞いていませんでしたけど、ナギサさんたちって何しにドワルゴンに来たんですか?」
....何しに?何しにとな?あれ、なんだっけ。俺はリムルに誘われたから来ただけで.....えーとなんかリムルは、えと、そうそう。
「アレだ、アレ。ドワーフの職人とかを見つけて村に来てもらおうってことだった...気がする」
家も服もボロボロだったし。リムルは鍛冶屋が欲しいとか言ってたような気がしなくもない。
「ほう?職人....しかもその言い方だとナギサさんがことの発端じゃなさそうですけど.......まさかあの狼ですか?あんな考え無しの考えで来たんです?」
口悪....まぁ否定しきれんけど。ただそう思われっぱなしも癪だな。フォローっぽいことはしとくか
「ま、一応村の守護者だからなあいつは。俺より強いししっかりしてるぞ」
「しっかりしてるのはナギサ殿ですよ。あのスライムが考え無しなのも事実です。それにナギサ殿だって村の守護者ですからね、私としてはナギサ殿の方が強そうに見えますしなんなら一度その身を持って知っていますから。あんまりアイツの下にいるような発言はよしてください」
「俺のフォロー全部意味なかったんだけど!」
全部消し飛んだぞおい。マシンガントーク過ぎて突っ込みも追いつかなかったし。あとさすがにずっと言い過ぎ。
「え....?あれスライムなんですか......?狼、大きな狼じゃなくて....?」
アレクもアレクで聞いてないしよ。でもあれがスライムなことに驚いてるのは正しいことだぞ。俺もそう思うし。
「ユキナそう言うのは辞めておけ。あんまり言いたくはないけど、ユキナだってあの村にいる身だろ?守護者なリムルを嫌うのは良いけど口に出して否定するな」
リグルドとかあの筋肉俺は止められんぞ。
「......分かりました。ここでは口を閉じておきます」どこでも閉じといてくれると助かるんだけど。
「.....えぇと、まぁ、はい。もうスライムなのは置いておきますね。それで職人、守護者ですか。村でも作ろうとしてます?」
「惜しい。もともと村があるんだ。そこの守護者に勢いでなっちゃって、最低限衣食住はどうにかしようってことでここに来たんだ」
君、なかなかかしこいじゃないか。お兄さんかしこくて顔がいい男見ると捻り潰したくなっちゃうんだ。覚悟できてる?
「なるほどですね....ジュラの大森林ですかね?」
「お、正解」
まぁユキナとジュラの大森林の南方がどうのこうの言ってたし、アレクもそっち出身だろうな。てかジュラの大森林って南方とか方位で分けられるほどデカい森なんだな。知らんかったわ。
「ふぅん.....いつか頼ることがありそうですね」
「おっ含み持たせたな?お兄さん伏線とか嫌いだから今話してもらっていい?」
「なんですか伏線って。それに気にしなくていいですよ!今のところ可能性の話ですし」
「今のうちに凍らせますか?」
あらやだ物騒。
「それはやんなくていいけど....俺実はミステリーとか最後のページ見てから安心して読み始めるんだよねっ何考えてるか教えてもらうぞ!!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!?」
こんな感じでドワーフ王国を満喫する俺達でもあった。
ところで今リムルたちってなにしてるの?そう一人12歳を締め上げながら疑問に思う俺でもあった!
感想と評価ください(懇願)
全然書いてないけどイフリート戦終わったら、他の視点やる?
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ヒナタのドロドロ感情劇場
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リムルから見たナギサ
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日向と凪沙の昔話
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黙って続き書けや