転生したら吸血鬼だったんだけど何か違う件   作:五月雨と狐

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 いやぁ一日一投稿目指してたんですけど、見守り設定ついちゃって。
 お待ちにしてくれている方々申し訳ございません!
 これからは出来るだけ心がけるので、ぜひぜひ評価とコメントお願いします!


友達とツンデレドラゴンあるいは名付けの儀

 

 ―――その後なんやかんやありつつ、スライムの目が見えるようなったり、お互いの身の上を話したり、ヴェルドラからユニークモンスターとは、転生者とは、などいろんなことを教えてもらい―――

 

 今はヴェルドラの昔話を聞かされていた。

 

 (―――加護を持つ人間。"勇者"と呼ばれる存在であった)

 

 (勇者、ねぇ………)

 

 またファンタジー全開な単語が出てきたな。

 剣とかなんやらを振り回して魔王と戦うアレだろ?

 

 (勇者も、自身を召喚者だと言っておった)

 

 (………召喚者?)

 

 また知らない単語が増えた。

 

 それについてスライムが質問しているが俺は全く分からない、というか聞いてない。

 

 今まで出てきた情報を整理するのでいっぱいいっぱいなのだ。

 

 (―――もしかしたら貴様らと同郷の可能性もあるな)

 

 ………マジか。

 

 同郷。

 

 つまり日本人。

 

 (結構いるんだな……、こういうの)

 

 という俺のつぶやきに対してヴェルドラが

 

 (まぁ同郷かは分からんが召喚者は居ると思うぞ。召喚者ならは個々特有の能力を持つからな。早い話戦力として呼ばれるのだよ)

 

 ほへー。

 

 異世界って言っても世情は世知辛いらしい。

 もしくは、戦争なんかのために呼ばれるのかな?

 どちらにしても、召喚者に人権は無いみたいだ。

 

 (後はそうだな……その時勇者の隣には外套を纏った奴がおったぞ。そいつがなかなか厄介でな。我の巨体すらも切り裂いたりしてきたのよ)

 

 聞いてないことまで話してきやがった。

 

 それとヴェルドラの巨体を切り裂く奴はもう異常である。

 異世界コワイ。

 

 その後もヴェルドラは語り続けた。

 

 勇者がいかに強かったか。

 

 どれほど激しい戦いだったか。

 

 外見の特徴………仮面をつけていたことまで。

 

 やけに細かくて途中で出てきた外套の奴が忘れ去られたようだった。

 

 カワイソス。

 

 そんなとき横からあのスライムが余計なことを言った。

 

 (ヴェルドラさんって、その勇者に見惚れて負けたんですか?)

 

 (フザケルナッ!!!)

 

 洞窟がビリビリと震える。

 

 (マジでやめてくれ……)

 

 心臓に悪すぎである。

 ガチで悪すぎである。

 

 そんなやり取りをしつつも、話を聞いていてなんとなく分かったことがある。

 

 ヴェルドラは人間が好きなようだ。

 

 口ではゴミだチリだ、なんだかんだと言ってはいるが自分から殺そうとしたことはないらしい。

 

 過去に一度、逆鱗に触れたことがあったらしく街一つを灰燼に帰したらしいが、それはしょうがないだろう。

 

 こんな異世界なのだ。

 あからさまに触れちゃいけない奴の逆鱗に触れる奴が悪い。

 

 まぁそんな事があって、勇者を差し向けられ封印されたらしい。

 

 ………俺にはヴェルドラの気持ちは分からない。

 

 所詮人間……吸血鬼と竜だけど。

 

 他人同士は分かり会えないのだ。

 

 だけど、大切なことは寄り添いお互いを理解しようとすることだ

 

 だから……というのはついでで単純に俺がヴェルドラのことを、良い奴だと思ったからだ。

 

 「(じゃあ―――)」

 

 声が被った。

 

 「(―――おう)」

 

 となりのスライム。

 

 俺がこの世界で初めて出会った存在と同時に。

 

 ………あぁやっぱりコイツは俺と同じ事を考えている。

 

 妙な納得な納得と共に、少しだけ笑いそうなる。

 

 だったら、遠慮する必要はない。

 

 俺はそのまま言葉を続けた。

 

 「(俺たちと―――友達になろうぜ)」

 

 

 ◆

 

 

 そう告げると―――

 

 一瞬。

 

 沈黙が落ちた。

 

 (なぁスライム、これ地雷踏んだかな?)

 

 (………なんかヤバい気がする)

 

 そう念話を繋げて話していると、その次の瞬間。

 

 (な、ナンダトォ!?)

 

 洞窟が震えた。

 

 鼓膜がビリビリする。

 

 

 (スライムと吸血鬼のくせに、この我と!"友達"だと!?)

 

 完全にブチ切れている。

 

 (あー………嫌ならいいんだけど…)

 

 横からスライムが、若干引き気味に言った。

 

 少しかっこつけて言った手前、今の状況は少し恥ずかしい。

 この羞恥心は日向に勝利を確信して勝負を挑んだ期末テストで、ボコボコにされた時以来だ………

 

 と、現実逃避している俺。

 

 そんな二人にヴェルドラは―――

 

 (バカモノォ!!!)

 

 さらにデカい声。

 もう俺の鼓膜のライフポイントは0である。

 

 (誰が嫌だと言った!)

 

 あれ………?

 

 (じゃあ……どうする?)

 

 と、スライム。

 

 (そうじゃなぁ……どうしてもと言うなら……考えてやっても……)

 

 明らかにトーンが落ちている。

 さっきまでの圧が消し飛んだ。

 

 (どうしても、だ。決定な!嫌ならもう来ない。絶交だ!おい吸血鬼!一緒に行くぞ!)

 

 お?声をかけられてしまった。

 

 ははーん?読めたぞ?

 

 なら―――俺も遠慮なく乗ってやろう。

 

 「あぁそうだな、さっさとこんなとこ出ちまおう!地上にでたら目一杯遊ぼうぜ!」 

 

 きっと俺たちは今悪い顔をしているのだろう。

 スライムに至っては表情分かんないけけど。

 

 (ちょ!…仕方ないな!この我が貴様らの友達になってやろう!)

 

 ふ、このツンデレドラゴンめ。

 素直じゃないな……まぁ俺たちがそんなこと言えたもんじゃないが。

 

 (じゃあよろしくな!)

 

 「よろしく、ヴェルドラ!」

 

 (よろしくの!そうじゃお前らに名をやろう。お前……スライム!我に名をつけよ)

 

 (は、?名前?)

 

 「なんで名前?」

 

 友達になった瞬間に意味不明★なことを言ってきた。

 

 まさかコイツ………

 

 「友達にあだ名つけるタイプ?………嫌われるからやめたほうがいいぞ?」

 

 (違うわ!)

 

 どうやら違ったらしい。

 

 (同格ということを魂に誓うのだよ。人間で言うファミリーネームみたいなものだ。まぁ我からお前らに名付けるのは加護にもなる。お前らはまだ名無しだから、これでネームドの仲間入りできるぞ)

 

 とのことでした。

 

 いまいちよく分からんが、まぁ名前をもらうと強くなるらしい。

 

 ……でもなぁ、俺自分の名前好きなんだけどな…。

 

 そんなことを思っているとスライムが

 

 (暴風だから、ファミリーネームはテンペストとかでいいんじゃないか?)

 

 横から言ってきた。

 

 テンペスト。

 

 英語で暴風という、そんままの意味。

 

 分かりやすいけど……

 

 (ちょっと安直じゃね?)

 

 そうスライムに伝えて、ヴェルドラを見る。

 

 (決まりだな!素晴らしい響きだ!)

 

 ((気に入ったのかよ))

 

 思わず被った。

 

 スライムと目が合う、

 

 言葉は交わさずともわかる。

 

 ((コイツチョロくね? ))

 

 そんな無言の会話を交わしていると。

 

 (今日から我はヴェルドラ=テンペストだ!)

 

 高らかに宣言が響く。

 

 (そしてスライム―――お前には"リムル"の名を与える!今日からリムル=テンペストと名乗るがよい!)

 

 スライム―――もといリムル=テンペスト。

 

 見た目は何一つ変わらないぷよぷよボデーだが、ナニかが変わったような気がする。

 

 ―――これが名付けの儀、か。

 

 ………きっと、俺もヴェルドラの考えた名を貰い、名乗るのが正しいのだろう。

 

 でも、俺は………

 

 

 (……いやだな……)

 

 そう明確に思ってしまった。

 

 

 俺は自分の名前が好きだ。

 

 親からつけてもらったというのもあるし、それに愛着が湧いているというのもある。

 

 でも―――1番は。

 

 (もし、また日向に会った時に、"凪"って呼ばれなかったら、嫌だろ)

 

 

 俺が死ぬまでの時間、ずっとそばにいてくれた幼馴染を思い出す。

 

 また会う―――そんな可能性はきっと無いけれど、ソレは俺にとって、自分の名を捨てる理由にはならなかった。

 

 だから……俺は自分の名は変えられない。

 

 (そうだな……吸血鬼、オマエは……)

 

 ヴェルドラが俺に視線を向けてくる。

 

 ―――声を掛けようとしているその前に。

 

 

 

 

 

 

 

「悪い……ヴェルドラ」

 

 俺は声を挟んだ。

 

 

 ◆

 

 

 「本当に、名前をくれるのは嬉しいんだ」

 

 「でも………変えたくないんだよ」

 

 

 そう言うと、静寂に洞窟は包まれた。

 

 きっと、ヴェルドラは悲しむんだろう、もしかしたら怒るかもしれない。

 

 でも………俺はコレは変えたくないと吸血鬼になっても変えたくないと思った。

 

 だから、どんな事を言われても甘んじて受け入れるつもりである

 

 ――――――そう思っているとヴェルドラが声をかけてきた。

 

 (ふむ……そうか)

 

 その声は驚きはなく、むしろ納得したように頷いてきた。

 

 

 (やはりか。あまり嬉しそうではなかったからな。やっと理由が分かった)

 

 (ならば――前世での名を教えよ。そのままその名を与えてやろう)

 

 「ホントか……?」

 

 思わず声が漏れる。

 

 ソレができるなら、それが一番いい。

 

 「ホントに、いいのか?」

 

 そう、俺が確認するように言うと――

 

 

 (構わんよ)

 

 そう優しく、ゆっくりと微笑みながら言ってくれた。

 

 

 (我の名……"ヴェルドラ"も兄上から貰った大切なものだ。誰かから貰った物を大切にしたい、そう思うのは我だって一緒だ)

 

 

 

 

 ヴェルドラ………お前って奴は……。

 

 隣でリムルが、

 

 

 (えっ、前世の名前でいいの?)

 

 って言ってるけど、ヴェルドラ………お前って奴は……。

 

 

 (ふん!そういうことだ!早く貴様の名を教えるがいい)

 

 

 そう少し照れたのを隠すように、ヴェルドラはそっぽを向きながら言ってきた。

 

 ………ありがとう、ヴェルドラ。

 

 このことは忘れ去れない。

 

 「そうだな………ヴェルドラ。俺の名前は」

 

 そう―――俺の名前は

 

 

 「凪沙、俺の名前は凪沙だ」

 

 進藤凪沙、それが俺の名前だ。

 

 (ふっ、そうか。―――良い名だな。……吸血鬼!お前に名を与える!ナギサ、お前の名はナギサだ!今日からナギサ=テンペストと名乗るがよい!)

 

 そう、告げられると魂にナニかが刻まれるのがわかった。

 

 

 

 きっと意識しないとわからないほどの変化。

 

 でも、それは俺が異世界に来たという証明だろう。

 

 

 

 

 ナギサ=テンペスト。

 

 

 それが俺の異世界での名前だ。 

 

 

 




 
 いやー長かった。

 悩んだんです主人公の名前。
 いいの思い浮かばなかったので前世の名前をそのまま採用。
 ヴェルドラ良い奴だな、と思ったら評価とコメントお願いします!

 後シュナのヤンデレ希望者はコメントお願いします!
 

全然書いてないけどイフリート戦終わったら、他の視点やる?

  • ヒナタのドロドロ感情劇場
  • リムルから見たナギサ
  • 日向と凪沙の昔話
  • 黙って続き書けや
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