651年、オクサス川の戦いで敗北した
653年、トリニティの形成を行おうとしていると前から疑惑があった
655年、余率いるミステリオン近衛隊の船舶部隊がリュキア川沖海戦でアビドスに惨敗。船舶部隊に尋常ではない被害を被り、その再建に莫大な資金が費やされ、全学公会の予算削減や学費の一括払い制度を取りやめ、年度ごとに徴収する前の税制への回帰を余儀なくされた。万臣殿の予算は実家の圧力もあり、削減できずにあくまでも現状維持となる。悲しきかな、今は貴族が強い時代の政治なんだよなこの学園と嘆くことに。
656年、アビドスで生徒会長を巡る内乱が勃発したと間諜から情報が入った。こちらに屈辱を味わせた
658年、余が学区付近のゲヘナ諸部族を制圧。
この時のゲヘナ人をミステリオンの激戦区に入植させ、ミステリオン防衛のための
661年、
同年にアビドスの生徒会長が襲撃され、生徒会長がアビドスは正当な政治を行える人物が生徒会長になるべきとする
それに対抗して、ミレニアムの一部の統治を担っていた総督家の三日月家から生徒会長が選出され、何世代も続いた系譜が途絶え、本校舎を新たにした新しい
663年、余がパテル第二分校に赴き
口論に終わった会見後、余はパテル第二分校に分校舎を置く。パテル第二分校は異論を唱えること無く、粛々とミステリオンの方針に従った。半ば傀儡化していると言っても良い分校だろう。
668年、余が滞在中のパテル第二分校で早期卒業に追い込まれる。下手人は一緒に付いてきていた自由銃民制によって、全学公会から議席を失った近衛隊の貴族兵だった。名前覚えたからな。
673年、アビドスの船舶部隊がキュジコス川付近を前線基地として確保。
674年、キュジコス川から進出してきたアビドスの船舶部隊がミステリオンの本校舎を包囲。
アビドスの攻撃は678年まで断続的に続いたが、再建したミステリオン近衛隊の船舶部隊の
680年、
また、同年に激戦区整理を行うべく、アビドスと不可侵条約を締結。その間に更なる軍備増強を行うべく、廃墟を含めた研究を加速化させた。オングロス川の戦いで
681年、南方ゲヘナ人の
688年、余とアビドスの
690年、余の命により哲学専攻における反使徒思想の創始者であるゲヘナ人の生徒が追放刑に処される。
692年、セヴァストポリス川の戦いで、アビドスがミステリオン近衛隊を破る。ゲヘナ人部隊を率いていた
出兵しなければよかったと後悔するも、アビドスがこれ以上力をつけて侵攻してきたら不味いという焦りがその後悔を正当化してくれない。
695年、レオンの政変が勃発。
銃民であり、近衛隊の一部隊であるライオン部隊を率いていた
698年、その間アビドスとの戦いでは遅れを取り、ミレニアム地域から徐々に学区を失っていくことになる。その間、余と共に追放された親戚ヘ使徒継承を行っていた為、使徒を名乗りはしても部隊長の姿が変わることがなかった。
698年、アビドスに敗れた船舶部隊の部隊長が余ではない方の使徒自称者の怒りを恐れて、船舶部隊の支援を取り付けて
「使徒たる余はここに居るのに無礼ですわ」
豪華とは決して言えない一室にて、静かに呟いた。政変によってミステリオンから追放され、鼻も折られたことは鮮明に覚えている。クーデターには不幸なことに慣れていたが、まさかクーデターの際に対面した瞬間に鼻を殴られるとは思わなかった。継承を終えても、指で鼻を触ってしまう。幻肢痛はないが、記憶としてはあまりにも生々しく覚えている。
煮えたぎってくる怒りのやり場すら見当たらない今では、不味い茶葉で淹れられた紅茶を飲むことしか出来ない。
「はぁ……」
ドアが開けられる。入っていたのはくるりと巻いた角を持つゲヘナ生、特徴を言うならばバフォメットだろうか。絢爛な宝石を散りばめた衣装を着て入ってきたのはまさにこの場所を統べている者。
「何の様ですか、タルタロス学園生徒会長」
そう、言われた本人は皮肉を何事も無いことのように聞き流し、対面の椅子に腰掛けた。まるで親しい友人と話すように語りだす様にストレスが溜まっていくのを、必死に内面へと抑えて向き合った。
「ミステリオンに戻るのだろう?」
悪魔らしい笑みを浮かべながら、自分で持ってきた飲み物を飲んでいる。確か、アリア二。ヨーグルトと水に塩を混ぜた飲料で、ミステリオンでも飲むものが居る。だが、それを無警戒に持ちながら、なぁと返事を催促してくるのだから自分の使徒としての権威の失墜を嫌でも分かってしまう。
「ええ、勿論。」
「戻る算段は?」
「あなたがよくお分かりでなくて?」
クハッと笑うこの生徒会長は意味を理解出来たらしい。先程から銀のコップに入ったアリア二を飲む手を止めた。深く考え込むように少し唸ってから、口を開く。
「タルタロスの軍勢を差し向けろと」
「ええ」
「得られる利益は?」
「質問ばかりですわね」
ゲヘナに正式に成立した学園は存在しない。ゲヘナ分校やソドムとゴモラにはその可能性があったが、依然として部族社会だ。部族は互いに同盟は結びはしても、最終的には分校同様に争い出すという負の連鎖にある。それ故に豊かな地を見つければ、そこを占領しに来るというのが生存するための鍵なのである。その混沌に終止符を打つには学園が必要になってくる。この世界での学園とは政府だ、つまり武力を預けて執行できる
そして、少なくともブルアカの世界においてゲヘナがゲヘナ学園として混沌と無秩序を標榜しつつも、今の部族社会のようになっていないのは技術的な進歩を除けばこの執行力と統一された学園があるため、大衆を部族という小集団でなく、ゲヘナというナショナリズムの下で大衆化出来ていると言っても良い。
「学園として承認してあげますわ」
だから、タルタロス学園は何より権威を必要とする。無論、タルタロスの生徒会長が名乗っている
「……はははっ!気にった!やはり、ミステリオンの使徒である者だ。こちらの望みを話さなくとも、理解出来ているとは。それにアビドスが仮にミステリオンを制圧してしまったら、我々タルタロスも危ういからな」
そして、ミステリオンをアビドスへの壁として利用出来る。言われなくとも、それくらいは勘定に入れてるのが為政者だ。タルタロスが善意でミステリオンを助けることはないし、その逆もまた然り。ならば、ここは一旦褒美をぶら下げて魚を釣れば良いだけのこと。
「それで、いつ動くのだ。残念ながら今すぐとはいかぬが、あと数年すれば兵力は用意しよう。優雅に凱旋するには雑兵では足らんだろう」
『陛下、現在のタルタロスの戦力では近衛隊と戦える兵を揃えるには最短で4年はかかると予想されます』
「ええ、4年後。余が卒業した頃にやりましょう。そちらもよろしくて?」
「ああ、勿論だ!使徒よ、ガハハ!!!盛大にやろうではないか!」
ただ、余が未来のゲヘナのような執行力と政府の誕生を許すつもりはない。だから、何年かかろうといずれ滅ぼして、ミステリオンの存続の糧にするのは既定路線だ。余は気が長いからな、何百年かかっても、その息の根を必ず止めよう。
再び紅茶を口に運んで、対面の生徒会長へにこやかに微笑みを返した。最後に笑うのは余故に。
『先生の着任まで残り1300年』
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