未来知識で2回目の人生を無双する予定が即崩壊した上にネットミームとなってしまった件について 作:かにしぐれ
結論から言うと、某想定科学ADVの理論は証明できるのかという問いに対してヤチヨは
一瞬剥がれかけた笑顔の仮面をかぶり直した後に、「タイムマシンはあり得る」と「"世界線"という考え方は新しいアプローチだ」という内容の回答をしてくれた。
あの作品の肝となり、そして私の計画でも重要な部分である"世界線"だが、これはヤチヨの回答から察するに「月」でも証明されていない理論なのだろう。だが、これは想定内だ。さすがに「教えてヤチエモン」で全部解決できるとは私も思っていない。
なので私はヤチヨに対して「理論の証明に役立ちそうな論文を集めて欲しい」というお願いをした。私一人で探していたら、いくら時間があっても足りないからだ。そこは分身とAIを駆使できるヤチヨに頼らせてもらいたいところだ。
私のお願いに対し、ヤチヨは論文を集めてくるのは良いが私がそれを読んで理解できるのかについては懐疑的だったのか、
「君の将来のためにも集めておくね」
と言った。今から情報収集をするのは無駄ではないのでヤチヨにもやらないという選択肢は無かったのだろうが、中学生が学術論文を理解できるとは思えなかったのだろう。常識で考えれば当たり前の話である。
だが、私はできる限り全力で取り掛かりたいのだ。仮に私の行動がハッピーエンドのためには一切関係ない無駄な行動だったとしても、それは
しかし、ヤチヨが集めた論文を今の内から私に回してもらえるようにするには、ヤチヨに「今から私が論文を読む意味がある」と納得してもらう必要がある。となると、やるべきことは一つ。私の完全記憶能力をヤチヨに知ってもらうのだ。
勿論、自己申告ではヤチヨは納得しないだろう。というわけで、それを証明するためにヤチヨにはいくつかの記憶力が鍵となるゲームに付き合ってもらった。その結果私はヤチヨを納得させることに成功し、ヤチヨがこれから集める論文を読む権利を獲得したのだった。
なお、私があまりにもゲームで無双したためヤチヨが拗ねてしまい彼女の機嫌が直るまで苦労したのだが、あまりにも不毛な時間だったのでそれについては割愛させていただく。やっぱりヤチヨは
ヤチヨと交流を持ってからそれなりに時間が経ち、ついに2030年の夏がやってきた。そう、かぐやが彩葉の元にやってくる時期だ。
とはいえ、私の方から彩葉とかぐやに接触する理由は無い。かぐやの配信が始まれば、折角なのでリアルタイムで追ってみようかなとは思っているがそれだけだ。
ヤチヨにはどうも私と
尤も、私の状況は某想定科学ADVの主人公こと鳳凰院凶真もとい岡部倫太郎よりもイージーである。オカリンはクリティカル(奇跡)を積み上げなければバッドエンドになるのに対し、私はファンブルを引く(状況を台無しにする)ことさえなければ、最低限のハッピーエンド(原作エンド)は約束されているからだ。
あまりにも無軌道に動いて「超かぐや姫!」の原作の流れを破壊するような事をしでかしてしまったのなら話は別だが、私は自重する気マンマンであるため大丈夫だ。
私の配信(動画投稿)活動の方もそこそこ人気といった具合である。間違っても「YACHIYO CUP」でダークホースとなる可能性は無い。そう、これで良い。全ては順調だ。
ヤチヨとは定期的にやり取りをしている(論文データ受け渡しだけでなく、たまに駄弁ることもある)上に、原作を特等席で見る事ができる私は最強の幸せ者だろう。私は今まさに人生の絶頂期にいる! 見るものすべてが輝いている!
とそんな風に内心で調子に乗っていたのがいけなかったのだろうか…
彩葉がかぐやとヤチヨのライブに参加した当日、私もヤチヨのライブ会場に居た。この私のチケットは厳正なる抽選を通った結果手に入れる事ができたものであると主張させていただく。ヤチヨ本人も抽選は一切の贔屓をしていないと言っていた。
その公正さのせいで彩葉と直接会う機会を逃し続けたのではないかと突っ込みたいところ*1ではあるが、それが彼女の矜持なら言うだけ野暮というものだろう*2。
ヤチヨのライブは無事に終了し、「YACHIYO CUP」の発表が進む中で私は己の目を疑った。現在の配信者の登録者数のランキングを表示する画面が表示される場面でおかしなものが映ったのだ。
「Black onyX」(帝のアイコン)を筆頭に登録者数の多い人たちがグラフと共にずらっと並ぶスライドに、なんだか見覚えのある超美麗3Dのグラサンを掛けた赤ちゃんのアイコンが紛れ込んでいた。
嘘だろう? そもそも
だが、なんど目を凝らしてもそこにグラサンを掛けた赤ちゃんのアイコンが消えることは無い。
いや、まだだ。あれはダンシングベイビーを模したライバーが居るというだけだ。決して私の(というか母親のアカウント)というわけでは無いはずだ、と現実逃避をしたいところだったが、赤ちゃんのアイコンから伸びるグラフは「Black onyX」に迫る長さという事実が私に現実から逃避することを許さない。
えぇ、まぁ、はい。あの動画は海外でも大変人気を博しておりまして、アナリティクスを見ると登録者の割合がワールドワイドになっております。キングオブポップの人気は何十年経っても強いままなんですね。恐るべしキングオブポップ。
なので、何年もかけて登録者数が増え続け、ついにミリオンを達成してしまっているのである。家に金盾が届いてしまった時はびっくりしたなぁ…
嘘だ、嘘だと言ってくれ。なんでこんなタイミングで過去が私を刺して来るのだ。というかヤチヨもなんでそこにダンシングベイビーを混入した!?
"世界線"の話はヤチヨも承知しているだろう!? ダンシングベイビーなんで原作では居なかったじゃないか!!
ならばダンシングベイビーはヤチヨの中の
あれなのか!? 歴戦の2ちゃんねらーとしての血でも騒いじゃったのか!? yachi8000が過去のネット投票の悪ふざけに全力で協力している事を私はこの世界で確認しているんだからな!?
五条〇とかコ〇ル事件においての投票ツール制作者の中にyachi8000が居ることを知っているんだからな!! 事件のまとめサイトにおいてもガッツリ名前が記載されているんだからな!!!
ふざけるな、ふざけるなよ馬鹿野郎!! こういうお祭りでネット民が悪ふざけをしないわけがないってヤチヨが一番知ってるだろうが!! それなのになんでネタ枠を混入したんだ!! 万が一があったらどうするんだよこれぇ!!!
もう私の頭は大混乱だ。かぐやの宣戦布告もその時はまったく耳に入らず(完全記憶能力のおかげで、後から思い返したらちゃんと聞こえていた事がわかった)、ただひたすらに冷や汗が流れ続けていた。
正気を取り戻した後すぐにママ上に確認したところ、ツクヨミ運営から丁寧なチャンネル利用の依頼文が届いており、それに対してイベントの盛り上げに一役買えるのなら良いと思い了承したという返事が来た。
映っているのは赤ちゃんだから身バレの心配もほぼ無いと言って良いし、ネットミームになっているので今更ではとはママ上の弁である。むしろ、丁寧に利用許可を求めてきたところが好印象だったので即OKを出したとのだとか。
今更どうすることもできない。こうして、私にとって地獄のような「YACHIYO CUP」が幕を開けるのだった…
※ヤチヨは拙作主人公のナギ(ヨミ)君がダンシングベイビーであることは知りません。つまり、完全に事故です。